おならは生理現象で、珍しいものではありません。
しかし、明らかにおならの回数・量が多い場合は、なにか原因があるかもしれません。
代表的な原因がストレスです。
それでは、なぜストレスがおならを引き起こすのでしょうか。
本記事では、おならとストレスの関係について、以下の点を中心にご紹介します。
- なぜおならは出るのか
- おならが出る原因とは
- おならが臭い理由
- おならを減らす方法
おならとストレスの関係について理解するためにもご参考いただけますと幸いです。
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おならが出る仕組みとは
おならとは体の中にたまったガスです。
体内のガスには2種類あります。
1つめは口から吸い込んだ空気です。
おならの約7割を占めます。
2つめは体内で発生するガスです。
たとえば消化器官での消化の際に発生するガスや、腸内細菌が生み出すガスが代表的です。
口から入った空気と体内で発生したガスは、腸内で混じり合います。
腸内で融合したガスは、最終的に腸によって肛門から体外に押しだされます。
いわゆる「おなら」となるわけです。
社会で生活していく上で、ストレスを完全に避けることは困難です。従って、正しくストレスと向き合っていくことが、人が健康的に暮らしていくためには大切です。今回はストレスについて、以下の点を中心に解説していきます。 ストレス症状[…]
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おならがよく出る原因6つ
おならは自然現象です。
回数・頻度には個人差があるため、さほど自分のおならを気にする必要はありません。
ただし、おならの回数が多くて日常生活に支障をきたす場合もあります。
たとえば学校・会社でおならを我慢して、よくお腹が痛くなる…などのケースが代表的です。
おならの回数が多いのは、生活習慣に原因があるかもしれません。
おならの原因となりやすい生活習慣をご紹介します。
食事
おならの3割は、消化器官での消化の際に発生するガスです。
具体的には、腸内細菌が食べ物を分解するときに出すメタン・水素などです。
食べ物の中には、消化の際に大量のガスが出るものがあります。
代表的なものは以下のような食品です。
- 食物繊維が多いもの(根菜・芋類など)
- 動物性食品(肉など)
- 発泡飲料(ビール・炭酸入りジュースなど)
食物繊維や動物性食品は胃腸での消化に時間がかかります。
そのぶん腸内細菌の働きが盛んになるため、ガスが多く発生しやすいのです。
一方、炭酸飲料は体内に入ると二酸化炭素と水に分解されます。
二酸化炭素とはすなわちガスです。
つまり体内のガス量が増えるため、そのぶんおならの回数・量も多くなります。
便秘
便秘もおならの原因となります。
便秘とは、便が腸内にたまった状態です。
腸内の滞在時間が長くなると、便はだんだん腐敗していきます。
すると腸内では悪玉菌が増加します。
悪玉菌は臭いのあるガスを発生させます。
結果、体内のガス量が増えるため、おならが出やすくなります。
なお、悪玉菌が発生させるガスは臭いがキツイのも特徴です。
禁煙
禁煙をし始めた方はおならが増えやすいです。
特に禁煙開始から2週間程度はおならの回数が増えます。
理由は、禁煙によって腸内環境が変化するためです。
具体的には、禁煙すると腸内ではプロテオバクテリアとバクテロイデスという菌が増えます。
プロテオバクテリアとバクテロイデスが増えすぎると、食べ物の分解が盛んに行われます。
簡単にいえば、食べ物を分解しすぎてしまうのです。
消化の際にガス量が大量に発生するため、おならが出やすくなります。
なお、禁煙によって出るおならは、臭いがキツイのも特徴です。
ストレス
ストレスはおならを増やす代表的な原因です。
実際に、緊張するとお腹が張るという方は少なくありません。
ストレスでおならが出るのは、自律神経のバランスが崩れるためです。
自律神経は内臓・筋肉・ホルモン分泌などを調節する神経系です。
胃腸の働きも自律神経によってコントロールされています。
ちなみに、自律神経は交感神経と副交感神経から成り立ちます。
消化器官の働きをよくするのは副交感神経です。
ストレスを受けると副交感神経の働きは弱まります。
一方で、活性化するのが交感神経です。
交感神経は胃腸の働きを抑制します。
つまり胃腸の機能が低下するため、食べ物の消化が滞るようになります。
結果、未消化物が体内で腐敗しやすくなるため、ガスが発生します。
あるいは、唾液の分泌量が増えるのもおなら増加の一因です。
ストレスによって胃腸機能が低下すると、代わりに唾液の分泌量が増えます。
唾液には食べ物を分解・消化する作用があります。
つまり身体は、胃腸機能低下の代わりに唾液量を増やすことで、消化をスムーズにしようとするわけです。
唾液の量が増えると、そのぶん唾液を飲み込む回数が増えます。
唾液を飲み込むときには、空気も一緒に飲み込みます。
結果、体内のガス量が増えるため、おならの増加につながります。
噛む回数が少ない
早食いの方の多くは、食べ物と一緒に大量の空気を飲み込んでいます。
空気を飲む量が多いと、体内のガス量も増えます。
結果、おならが出やすくなります。
また、早食いは胃腸に負担をかけることもおならが増える原因です。
噛む回数が少ない方は、食べ物がそのままの状態で胃腸に入ります。
消化に時間がかかるため、そのぶん消化器官内で食べ物が腐敗しやすくなります。
結果、ガスが発生しやすくなるため、おならが増えるというわけです。
睡眠不足
睡眠不足は自律神経のバランスを乱します。
交感神経が活性化しやすくなるため、胃腸の働きが抑制されます。
すると胃腸での食べ物の分解に支障が出やすくなります。
結果、腸内の悪玉菌が増加して有害なガスが発生しやすくなります。
睡眠不足は疲労にもつながります。
疲労が蓄積すると、様々な身体機能が低下しやすくなります。
伴って胃腸の働きも低下するため、消化・吸収が滞ってガスがたまりやすくなります。
外部からの刺激に対する反応をストレスと呼びます。ストレスは、生活習慣病などの疾患にも関係しています。ストレスと生活習慣病は、どのような関係なのでしょうか。また、ストレスは一体どのように健康へ影響を及ぼすのでしょうか。本記[…]
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おならの回数と臭いについて
おならの回数・臭いが気になるという方も少なくありません。
回数が増える・臭いがキツくなる原因を解説します。
おならがよく出る
おならは生理現象であるため、もちろん健常な方でも出ます。
ちなみに成人の場合、体内に作られるおならの量は1日約200~2000mlです。
回数は1日につき10~20回程度が平均的です。
ただし、おならの回数や量は個人差があるため、一概にはいえません。
明らかにおならの回数・量が多い場合、原因は食べ物にあるかもしれません。
おならが増えやすくなる食品は食物繊維・動物性食品などです。
特に動物性食品は消化に時間がかかります。
そのぶん消化器官内で腐敗しやすいため、ガスが発生しやすくなります。
なぜなら、腸内の腐敗物は悪玉菌を増やすためです。
悪玉菌はタンパク質を分解するときに有害なガスを発生させます。
結果、体内のガス量が多くなるため、自然とおならの回数も増えます。
おならが臭う
おならが臭う原因は食べ物にあります。
具体的には、食物繊維・動物性食品などが臭いの原因となります。
いずれも消化に時間がかかるため、腸内の滞在時間が長くなります。
結果、消化の過程で腐敗してしまい、悪玉菌の増殖を引き起こします。
悪玉菌が腸内でタンパク質・脂肪を分解する際には、有毒なガスを発生させます。
具体的には、アンモニア・インドールといった成分を含むガスです。
アンモニア・インドールはいずれも悪臭の原因成分です。
結果、おならが臭くなるわけです。
ちなみに、おならに含まれる悪臭成分は全体の約1%です。
残りの99%はメタン・窒素・水素などの無臭成分が占めています。
おならを減らす!腸の調子を整える8つの習慣
おならが増えたり、臭くなったりするのは、胃腸の働きが悪くなるためです。
腸内環境を整えると、おならの回数・臭いは正常になります。
それでは、腸内環境を整える方法をみていきましょう。
よく噛んで、規則正しい食生活を送りましょう
おならを減らすには、よく噛んで食べることが大切です。
よく噛むと唾液が分泌されやすくなります。
唾液は食べ物の分解・消化をサポートします。
すると胃腸での消化がスムーズになるため、有害なガスが発生しにくくなります。
また、よく噛むことは、余分な空気を飲み込むのを防止する効果も期待できます。
体内に入る空気の量が少なくなれば、そのぶんおならの量も減少します。
食事をゆっくり味わうためには、規則正しい生活を送ることも大切です。
不規則な生活を送っていると、どうしても食事に時間を割く余裕がなくなってしまうためです。
また、生活リズムを整えることは、自律神経も整えるうえでも重要です。
自律神経が整うと消化器官の働きも正常に維持されます。
つまり消化機能が向上するため、有毒ガスの発生が抑制できます。
食生活を見直しましょう
おならが多いだけでなく、臭う場合は、腸内で悪玉菌が増えている可能性があります。
悪玉菌を増やすのは、消化が悪い食べ物です。
たとえば脂肪の多い肉などが代表的です。
食物繊維の摂りすぎが消化不良を起こす場合もあります。
ちなみに、臭いが強い食品も悪臭の原因となります。
たとえばニラ・にんにく・たまねぎなどが代表的です。
肉・食物繊維やにんにく料理をよく食べるという方は、量を減らすように心がけましょう。
腸内環境を整えましょう
腸内環境が悪化すると悪玉菌が増殖します。
そのぶん、臭いの強いガスが発生しやすくなります。
おならの回数・臭いを抑えるには、腸内環境を良好に保つことが大切です。
具体的には善玉菌を増やしましょう。
たとえばヨーグルト・チーズなどの乳性発酵食品は善玉菌の増加に役立ちます。
なお、善玉菌が増えると便通も改善されやすくなります。
便秘は腸内環境悪化の一因です。
善玉菌を増やして便通を改善することは、おならを減らすうえでも大切です。
便通改善には適度な運動も有効です。
運動は腸の働きを活性化させる効果があります。
意識して食物繊維を十分摂りましょう
食物繊維を摂ると、腸内環境が整いやすくなります。
特に便秘の方は、意識して食物繊維を摂りましょう。
ちなみに、食物繊維には2種類あります。
1つめは不溶性食物繊維です。
不溶性食物繊維は、腸内で便のカサを増やす作用があります。
さらに腸を刺激する効果もあるため、便がスムーズに排出されやすくなります。
2つめは水溶性食物繊維です。
腸内で固まった便を柔らかくすることで、体外に排出しやすくする効果があります。
不溶性食物繊維が豊富なのは根菜類・穀類・豆類・キノコ類などです。
対して水溶性食物繊維は、海藻類・果物類・大麦などに豊富です。
なお、食物繊維の摂りすぎはかえって便秘を招くことがあります。
特に不溶性食物繊維は、腸内の水分を吸収しやすいため、便を固まらせる効果が高いです。
結果、便の滑りが悪くなるため、便秘に至ることがあります。
もともと便秘気味という方は、水溶性食物繊維を中心に摂りましょう。
良質なオイルを摂りましょう
オリーブオイルは腸内環境の改善に役立ちます。
理由は、排便をスムーズにするためです。
オリーブオイルにはオレイン酸が豊富です。
オレイン酸は大腸の動きを活発化させる効果が高い成分です。
さらに適度な油分は、便の滑りをよくします。
結果、スムーズな便通が期待できるわけです。
オリーブオイルにはバージンオイルとエキストラバージンオイルの2種類があります。
便通改善に向いているのは、エキストラバージンオイルです。
1日15~30mlを目安に摂取しましょう。
コーヒーを飲みましょう
コーヒーは腸の動きをよくする効果が期待できます。
具体的には、コーヒーに含まれるカフェインが活躍します。
カフェインは副交感神経を刺激する作用があります。
副交感神経は消化器官を活性化させる神経系です。
副交感神経が優位になると胃腸の働きが良くなるため、スムーズな便通が期待できるのです。
ただし、コーヒーに含まれるクロロゲン酸は胃腸の働きを抑制します。
そのためコーヒーの飲み過ぎは、かえって便秘を招くこともあります。
運動をして腸を温めましょう
適度な運動は腸内環境の改善に役立ちます。
運動すると血流が良くなるため、体温が上がります。
すると腸が温められるため、活性化が期待できます。
また、適度な運動は腸を物理的に刺激します。
すると腸の動きが活発化しやすいため、溜まったおなら・便が押しだされやすくなります。
運動中におならをしたくなったら、我慢せずに出しましょう。
おならを我慢すると、腸内にガスが充満するため、かえって腸内環境が悪化しやすくなります。
リラックスする時間を作りましょう
ストレスはおならの代表的な原因です。
理由は、交感神経を刺激して腸の働きを抑制するためです。
反対にストレスが無い状態では、副交感神経が活性化しやすくなります。
すると腸の働きが促進されるため、ガスが出やすくなります。
ストレスを感じることが多い方は、心身をリラックスさせる時間を設けましょう。
代表的なストレス解消法には以下があります。
- 十分な睡眠をとる
- 趣味・好きなことをする
- 適度に運動する
- ブルーライトは脳を緊張させるため、夜間の使用は控える
ストレス性胃腸炎とは、不安等のストレスが原因で起こる胃腸の炎症をいいます。ストレスが溜まっていて、お腹が痛いという方は、ストレス性胃腸炎の可能性があります。本記事では、ストレス性胃腸炎について以下の点を中心にご紹介します。 […]
おならで受診する科と目安
おならの回数・臭いに明らかに異常が出る場合は、念のため医療機関を受診しましょう。
たとえば、おなら以外に以下のような症状があるときは注意してください。
- 腹部の痛み・不快感
- 長期間の下痢
- 長期間の便秘
- おならが止まらない日が1ヶ月に3日以上ある
- おならが原因で日常生活に支障が出ている
診療科は消化器内科・胃腸科が適当です。
あるいは、最寄りの内科を受診するのも1つの方法です。
おならがよく出る場合に考えられる病気は?
おならがよく出る場合、胃腸の病気が隠れている可能性があります。
おならが出やすい病気をご紹介します。
呑気症
呑気症とは、無意識に大量の空気を飲み込むことです。
たとえば食事の際に、一緒に大量の空気を飲み込むなどのケースが代表的です。
口から吸い込む空気が多くなると、そのぶん体内のガス量が増えます。
結果、おならが出やすくなるわけです。
呑気症の原因・発症メカニズムはよく分かっていません。
一説には、ストレスが原因と指摘されています。
クローン病
小腸・大腸などが炎症を起こしてただれる疾患です。
厚生労働省によって難病に指定されています。
クローン病を発症するとおならが出やすくなります。
あるいは、下痢・便秘を繰り返すこともしばしばです。
発症原因の1つとしてストレスが挙げられています。
過敏性腸症候群
腸に異常がないにもかかわらず、便通が乱れる状態です。
腸内環境が悪化しやすくなるため、おならの回数が増えがちです。
過敏性腸症候群の原因の多くはストレスです。
機能性便秘
いわゆる便秘のことです。
腸に病気・炎症などの器質的な異常はないものの、慢性的に便秘が続きます。
原因の多くは、ストレスなどによって大腸の働きが低下することです。
便秘になると腸内環境が悪化しやすくなるため、臭いのキツイおならが出やすくなります。
ストレスで過敏性腸症候群になる人の割合が多い
おならが出やすい病気としては、過敏性腸症候群が代表的です。
過敏性腸症候群は、腸に器質的な異常はないものの便通が乱れてしまう疾患です。
大きく分けて以下の3タイプがあります。
- 慢性下痢型:下痢が続く
- 不安定型:下痢と便秘を数日毎に交互に繰り返す
- 分泌型:強い腹痛のあと、粘液が出る
便通が乱れると腸内環境が悪化します。
すると悪玉菌が増加するため、臭いのあるガスが発生しやすくなります。
過敏性腸症候群の原因はストレスです。
具体的には、ストレスによって自律神経のバランスが崩れるために起こります。
自律神経は消化器官をコントロールしています。
そのためバランスが崩れると、器質的な異常が無くとも腸機能に支障が出やすくなります。
出典:厚生労働省「過敏性腸症候群 | e-ヘルスネット(厚生労働省)」
現代は、ストレス社会といわれています。ストレスが多くかかることで下痢になる場合があります。ストレスと下痢には、どのような関係があるのでしょうか。本記事ではストレスと下痢について以下の点を中心にご紹介します。 ス[…]
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おならとストレスの関係まとめ
ここまでおならとストレスの関係についてお伝えしてきました。
おならとストレスの関係の要点を以下にまとめます。
- おならは、口から吸い込んだ空気と、体内で発生したガスが腸内で混じり合ってできる
- おならが出る原因は、食べ物・便秘・ストレスなど
- おならが臭い理由は、腸内に悪玉菌が増えて有毒なガスを発生させるため
- おならを減らす方法は、食生活の見直し・適度な運動・ストレス解消などが代表的
これらの情報が少しでも皆さまのお役に立てば幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。