必須アミノ酸は、体内で作り出すことができない栄養素です。
そのため、必須アミノ酸を摂取するには毎日の食事が重要なポイントとなります。
必須アミノ酸とは、そもそもどのような栄養素なのでしょうか?
必須アミノ酸を豊富に含む食品は何なのでしょうか?
本記事では、必須アミノ酸を含む食品について以下の点を中心にお伝えします。
- 必須アミノ酸の種類
- 「アミノ酸スコア」とは
- アミノ酸スコアが高い食品とは
必須アミノ酸を含む食品について理解するためにも、ご参考いただけますと幸いです。
ぜひ最後までお読みください。
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必須アミノ酸とは
アミノ酸は、身体の健康維持に欠かせない栄養素です。
具体的にはどのような栄養素なのでしょうか。
以下のように解説していきます。
- アミノ酸はタンパク質を構成する
- 必須アミノ酸は食事からしか摂れない
出典:厚生労働省【アミノ酸 – e-ヘルスネット】
アミノ酸はタンパク質を構成する
アミノ酸とは、エネルギー産生の栄養素であるタンパク質を構成する化合物のことです。
アミノ酸は、身体を作るのに必須です。
アミノ酸が1つでも欠けるとタンパク質を合成できません。
アミノ酸は、以下の2つに分類されます。
- 体内で合成できない必須アミノ酸
- 合成できる非必須アミノ酸の2種類です。
また、
- 必須アミノ酸が9種類
- 非必須アミノ酸が11種類
の、合計20種類がアミノ酸として存在します。
必須アミノ酸は食事からしか摂れない
必須アミノ酸は、体内で合成できない(または合成速度が非常に遅い)栄養素です。
必須アミノ酸には、以下の9種類が存在します。
イソロイシン | ロイシン | リジン | メチオニン | フェニルアラニン |
トレオニン | トリプトファン | バリン | ヒスチジン | ー |
タンパク質の合成と分解するためのアミノ酸は、身体を構成する上で毎日消費されます。
そのため、毎日の食事から必要量を摂取することが大切です。
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必須アミノ酸を上手に摂るためのポイント
必須アミノ酸を効率的に摂取するには、摂取する食材を見極めることが大切です。
必須アミノ酸を豊富に含む食材の見分け方について、以下のように解説していきます。
- 「アミノ酸スコア」とは
- 必須アミノ酸はバランスが大事
「アミノ酸スコア」って何?
食品の持つ必須アミノ酸の含有率を数値化した指標のことを「アミノ酸スコア」と呼びます。
アミノ酸スコアが100に近ければ近いほど、理想的といえます。
アミノ酸スコアを使うことで、アミノ酸を多く含む食品を見極められ、効率的に必須アミノ酸の摂取が可能です。
必須アミノ酸のバランスが大事
必須アミノ酸を摂取するうえで最も大切なのは、9種類の栄養素をバランスよく摂取することです。
例えば、9種類の必須アミノ酸のうち、1つでもアミノ酸含有量が少ないと仮定します。
すると、ほかの必須アミノ酸スコアが100でも、100以下のアミノ酸に合わせて合成されます。
この理論を「アミノ酸の桶の理論」といいます。
効率よく必須アミノ酸を摂取するためには、全てを100に近づける必要があるのです。
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良質なタンパク質とは?
アミノ酸スコアが100、または100に近いほど良質なタンパク質といえます。
体内での利用効率が良く、余分な老廃物が少ないことも良質なタンパク質の特徴です。
良質なタンパク質を摂取することで、健康的な身体の維持に繋がります。
出典:国立長寿医療研究センター【良質なタンパク質とは?】
アミノ酸スコアが高い食品一覧
アミノ酸スコアが高い食品には、どのようなものがあるのでしょうか。
以下の食品群ごとに、特徴と食品の具体例を解説していきます。
- 魚介類
- 肉類
- 卵類
- 豆類
- 乳製品
魚介類
魚介類に含まれる栄養素は、非常に豊富です。
魚肉のタンパク質は、肉類と比べてスジの部分が少なく、消化しやすい特徴を持っています。
アミノ酸スコアが高い食品は、以下のようなものです。
- アジ
- サケ
- イワシ
- タラ
- カレイ
肉類
豚肉には、炭水化物の代謝に必要なビタミンB1が豊富に含まれています。
牛肉は、吸収率が高いヘム鉄などの栄養素を豊富に含んでいます。
ただし、ウインナーなどの加工食品を摂取する場合は、脂質と塩分に注意しましょう。
アミノ酸スコアが高い食品は、以下のようなものです。
- 豚肉
- 鶏肉
- 牛肉
卵類
卵は、人の健康維持に必要な栄養素が余すところなく含まれている食品です。
肥満の原因となるコレステロールも含まれているため、1日1個程度にしましょう。
アミノ酸スコアが高い食品は、以下のような食品です。
- 鶏卵
- うずら卵
豆類
特に、大豆のアミノ酸スコアは100であり、必須アミノ酸を効率よく摂取できます。
脂質も良質でありつつも、コレステロールを含んでいないことも大豆の特徴です。
アミノ酸スコアが高い食品は、以下のような食品です。
- 大豆
- 小豆
乳製品
アミノ酸スコアが高い食品は、以下のようなものです。
- 牛乳
- 生クリーム
- ヨーグルト
- チーズ
いずれの食材も、アミノ酸スコアは、100であり良質なタンパク質を含んでいます。
ヨーグルトやチーズは、タンパク質の一部がすでに分解されている状態の食品です。
そのため消化が良く、効率的に必須アミノ酸が摂取できます。
この記事の監修・取材協力さわだクリニック 院長澤田 樹佳 先生2002年に金沢大学医学部を卒業後、様々な病院への勤務を経て2018年にさわだクリニックを開院。内科疾患治療、泌尿器科疾患治療、AGA治療まで幅広い診療を[…]
動物性タンパク質と植物性タンパク質
必須アミノ酸の含有量は、タンパク質の種類によって異なります。
タンパク質の種類は、以下の2種類です。
- 魚介類を含む動物由来の「動物性タンパク質」
- 植物由来の「植物性タンパク質」
それぞれの違いは、以下の通りです。
- 必須アミノ酸のバランス
- 必須アミノ酸の吸収率
動物性タンパク質は、多くの食品が9種類全ての必須アミノ酸を含んでいます。
対して、一部に不足している必須アミノ酸がみられるのが植物性タンパク質です。
また、体内への吸収率では、動物性タンパク質のほうが高いことが分かっています。
アミノ酸全体の働きは、不足している必須アミノ酸の量に制限されます。
そのため、タンパク質を摂取しても、結果的に足りていなかったとなる場合があるのです。
動物性タンパク質を多く含む食材は、主に以下の通りです。
- 豚肉などの肉類
- 卵
- 牛乳
- サケ・イワシなどの魚介類
アミノ酸を摂るには動物性がおすすめ
動物性タンパク質は、植物性タンパク質よりもアミノ酸スコアが高い食品が豊富です。
また、先述の通り魚介類のタンパク質は、肉類に比べて消化しやすい傾向にあります。
動物性タンパク質は、
- ビタミン
- 鉄分
などのミネラルも多く含まれており、必須アミノ酸の摂取には最適です。
植物性なら大豆がよい!主食はパンよりお米
植物性タンパク質は、動物性タンパク質に比べ、アミノ酸スコアが低いです。
しかし、植物性タンパク質には、ミネラルなどの栄養素が豊富に含まれています。
先述の通り、植物性タンパク質の中で比較的アミノ酸スコアが高い食品は、大豆です。
大豆は、「畑の肉」というほどタンパク質が多く、肉類にはない食物繊維も豊富に含まれています。
また、アミノ酸摂取という意味では、毎日の主食はパンよりも米にするといいでしょう。
米のアミノ酸スコアは100に達していませんが、食べ合わせでスコアUPが期待できます。
例えば、米に最も不足しているアミノ酸は、リジンという栄養素です。
リジンを多く含む食材は納豆であり、一緒に摂取することで不足分をカバーできます。
アミノ酸が不足するとどうなるの?
アミノ酸が不足すると、以下のような症状がみられます。
- 筋肉量の減少による運動機能の低下
- ストレスが溜まりやすくなる
- 睡眠が浅くなる
- 成長障害
通常の食事をしている場合は、アミノ酸が不足することはほぼありません。
現代の日本人は魚介類<肉類だが…
厚生労働省による調査では、日本人の食事内容の現状が分かってきました。
魚介類・肉類に絞った、摂取量の1人1日あたりの平均値は、以下の通りです。
食品群\対象 | 総数(g/日) | 男性(g/日) | 女性(g/日) |
魚介類 | 64.1 | 70.4 | 58.4 |
肉類 | 103.0 | 118.4 | 89.2 |
出典:厚生労働省【令和元年度 国民健康・栄養調査】
男女ともに、魚介類よりも肉類の摂取が多いことが分かります。
必須アミノ酸を含め、身体に必要な栄養素が多く含まれているのが魚介類です。
販売されている魚の切り身を焼くだけでも、バランスの取れた立派なおかずとなります。
肉類に偏ることなく、魚介類を積極的に普段の食事に取り入れていきましょう。
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必須アミノ酸が豊富な食品まとめ
ここまで、必須アミノ酸食品について解説してきました。
必須アミノ酸食品についての要点は以下のとおりです。
- 必須アミノ酸は、イソロイシン、ロイシン、リジンなどの合計9種類
- 「アミノ酸スコア」とは、必須アミノ酸の含有率を数値化した指標である
- アミノ酸スコアが高い食品は、肉類、魚介類、乳製品などがある
これらの情報が少しでも皆さまのお役に立てば幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。