慢性的にストレスが溜まると脳萎縮がおこります。
ストレスによる脳萎縮は回復しないといわれています。
ストレスによる脳萎縮とはどういうものなのでしょうか?
ストレスによる脳萎縮は回復しないのでしょうか?
本記事ではストレスによる脳萎縮について以下の点について紹介します。
- ストレスによる脳萎縮とは
- ストレスを受け続けたときの症状
- 脳萎縮は回復するのか
ストレスによる脳萎縮について理解するためにもご参考いただけますと幸いです。
ぜひ最後までお読みください。
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ストレスによる脳萎縮とは?
まずは正常のストレス反応のサイクルについて説明します。
脳がストレスを感じると、脳の視床下部からCRHというホルモンが分泌されます。
CRHは副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)の分泌を促進させるホルモンです。
CRHが脳下垂体に移動し副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)が分泌されます。
ACTHはコルチゾールの分泌を促進させるためストレス促進ホルモンと呼ばれることもあります。
ACTHが腎臓の上にある副腎を刺激し、副腎皮質ステロイドホルモンと呼ばれるコルチゾールが分泌されます。
コルチゾールはストレスに対処するために分泌されるのでストレス対処ホルモンと呼ばれることもあります。
コルチゾールの主な働きは
- 脳の覚醒
- 血糖値・血圧の調整
- 体内の炎症の修復
などになります。
コルチゾールにより体内の調整や修復が進行すると、コルチゾールは脳にあるネガティブフィードバック機構でCRTとACTHの分泌を抑制します。
脳内に吸収されたコルチゾールは無害化され、CRTとACTHの分泌が抑制されることでコルチゾールの分泌が減少します。
ここまでが正常なストレス反応のサイクルです。
慢性的にストレスを受け続けたときにはCRTとACTHの分泌が抑制できずに常に分泌されている状態となります。
CRTとACTHが常に分泌されているということは、コルチゾールも常に分泌されていることになります。
コルチゾールを無害化の処理能力を超えたコルチゾールが脳内であふれて様々な悪影響を与えます。
様々な悪影響の1つに脳萎縮、特に前頭前野の容積が縮小するということが挙げられます。
コルチゾール以外でも、ストレスを受けることで脳内にノルアドレナリンやドーパミンという神経伝達物質が放出されます。
前頭前野のノルアドレナリンやドーパミンの濃度が高まると前頭前野の樹状突起が萎縮します。
樹状突起とは神経細胞の部位の一部で伝達される情報を受けとる部位をいいます。
神経細胞が萎縮することで脳萎縮します。
これがストレスによって脳が萎縮するメカニズムです。
脳萎縮はストレスが無くなると回復します。
しかし、自然回復で元に戻らなければそれ以上の回復は見込めないというのが今の常識になっています。
感情抑制を担う前頭前野の損傷でキレやすくなる
脳萎縮で前頭前野が損傷すると感情の制御ができなくなりキレやすくなります。
前頭前野は喜怒哀楽の感情を制御して理性を保つという働きをしています。
前頭前野の機能が低下することで理性をコントロールできなくなります。
そのため、キレやすくなったり暴飲暴食や衝動買いを抑えられなくなったりします。
海馬に与える影響
海馬はコルチゾールに対して非常に弱いとされています。
海馬は大脳辺縁系の一部で、記憶や学習能力に関係のある部位です。
慢性的にコルチゾールにさらされると海馬の神経細胞が萎縮します。
海馬はストレスによる脳萎縮の初期時点で萎縮の反応がでやすいです。
ストレス耐性ホルモンによる悪影響
脳萎縮以外でコルチゾールの過剰分泌による悪影響は
- 糖尿病・高血圧
- 脂質異常症
- 白内障・緑内障
- 筋肉量低下
- 脂肪沈着
- 骨粗しょう症
- 不眠症・うつ病
- 免疫力低下
などが挙げられます。
コルチゾールは交感神経を刺激し血圧を上げたり血糖値を上げたりする作用があります。
分泌され続けることで血圧・血糖が上がり過ぎて高血圧、糖尿病を引き起こします。
コルチゾールが分泌され続けると脳が覚醒し続けて眠れなくなってしまい不眠症になります。
コルチゾールが適量に分泌されれば代謝向上・脂肪燃焼で脂肪が溜まりにくい身体になります。
コルチゾールが過剰に分泌されると防衛機能により、身体の代謝を下げて脂肪を減らさないようにします。
本来コルチゾールは免疫力上昇の作用があります。
しかし、過剰に分泌されると白血球の働きが鈍り免疫力が低下してしまいます。
脳萎縮以外の悪影響は、コルチゾールが減ることで回復は見込めます。
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ストレスを受け続けたときに起こる症状
ストレスを受けたときには精神的・肉体的にさまざまな症状があらわれます。
通常はストレスが無くなれば状態は回復します。
しかし、長期にわたるストレスが積み重なることで脳に悪影響を与えることがわかっています。
自律神経の働き
コルチゾールが分泌されると同時に副腎皮質内でアドレナリンも分泌されます。
コルチゾールもアドレナリンも交感神経を刺激させる作用があります。
慢性的に分泌することで交感神経が優位になり副交感神経が働かなくなります。
自律神経は交感神経・副交感神経の2つに分けられ、このバランスを取りながら働いています。
交感神経と副交感神経のバランスが乱れることで自律神経の乱れが生じます。
うつ病やPTSDの要因に
前頭前野の樹状突起はストレスにより萎縮します。
樹状突起とは神経細胞の部位の一部で神経伝達の情報を受け取る部位です。
前頭前野の樹状突起は理性・判断・記憶・計算などの情報伝達をするために働きます。
樹状突起が萎縮することで
- 理性が維持できなくなる
- 判断ができなくなる
- 記憶できなくなる
- 計算できなくなる
という症状があらわれます。
通常であればストレスが無くなれば樹状突起は回復します。
しかし、非常に強いストレスの場合は樹状突起の回復能力が失われてしまいます。
そして、以後のストレスに対してさらに脆弱になり、うつ病やPTSDや依存症になりやすくなります。
出典:厚生労働省【ストレスって何?】
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脳萎縮を回復させるには
今まではストレスで起こる脳萎縮は自然回復以上の回復はしないといわれてきました。
しかし、近年では脳内神経回路の修復を制御するメカニズムが解明されました。
そのメカニズムを応用することで脳萎縮の回復に期待ができるかもしれません。
脳細胞は再生する
脳細胞は再生します。
そして脳内の神経回路の修復には
- 神経軸索を再伸長
- 神経突起の骨鞘の再建
が必要になります。
神経回路の神経軸索を伸ばす為には血管を構成する細胞から分泌される分子が必要になります。
伸びた神経突起の周囲の骨鞘(ミエリン)は脳内にあるオリゴデンドロサイトという細胞によって形成されています。
血液中にオリゴデンドロサイトに作用して骨鞘の修復を促す作用を持つ因子が含まれることがわかりました。
この脳内神経回路の修復を制御するメカニズムが突き止められたことで人為的に神経回路を修復できるかもしれないのです。
生活習慣
脳萎縮を回復させるためには普段の生活習慣にも気をつけましょう。
脳萎縮を回復させる生活習慣で気を付けることは
- 十分な睡眠
- 朝の日光浴
- ゆっくり入浴
- 栄養バランス
が大切です。
十分な睡眠をとることで心身の疲労が回復します。
たとえ眠れなくても目を閉じて横になるだけでも脳と体の回復が見込めます。
朝に日光を十分に浴びることでセロトニンが分泌されストレス耐性が強くなります。
日光浴は15分で効果がありますし、日光浴ができないときはビタミンDを摂取しましょう。
ゆっくりと入浴により副交感神経を刺激するとストレスが減少します。
時間に余裕があれば約40度の湯温で30分ほどの半身浴が効果的です。
ストレスに対してだけではなく肉体の回復にも繋がるので意識して入るようにしましょう。
食事は栄養バランスを意識して毎日しっかり食べましょう。
そして、ミネラルやビタミンの不足と甘いものや脂肪の摂り過ぎでストレス耐性を弱めないようにもしましょう。
運動
有酸素運動で全身の血液の循環がよくなることで脳の老廃物を排出し頭がスッキリする効果もあります。
ウォーキングやジョギングなどの同じリズムを繰り返す運動は脳内のセロトニンの分泌を促進します。
外に出られないときはストレッチやヨガなども効果的です。
ただし、夕方以降の激しい運動は寝つきを悪くするおそれがあります。
食の欧米化など、生活スタイルの変化に伴い、日本でも生活習慣病が問題になっています。生活習慣病は、誰しもがなってしまう病気であるため、正しい知識を身につけ予防していくことが大切です。生活習慣病とは、どのような病気なのでしょうか?[…]
深呼吸することで脳はよろこぶ
深呼吸は道具もお金もかからないセルフコントロール術です。
深呼吸は胸をふくらませる胸式呼吸や、お腹をふくらませる腹式呼吸などいろいろな方法があります。
深呼吸により横隔膜を刺激することで幸せホルモンと呼ばれるセロトニンの分泌が促されます。
そして、副交感神経が刺激されることによって自律神経が整えられます。
自律神経が整えられる他にも深呼吸をすることで様々な効果が得られます。
- 脳の神経細胞に酸素を届ける
- 肺胞の機能を活性化する
- 血圧が抑えられる
- 内臓が刺激され血液の循環が良くなる
- 体幹の筋肉を使うので姿勢が良くなる
ポイントとしては
- まずは、しっかり吐くことを意識する
- 吸うときは鼻から吸う
- ゆっくり吐けば筋トレになる
- 吸うときに胸を広げることで吸いやすくなる
- 吐くときは逆に体を小さく曲げる
- おすすめの時間は朝
- 何歳でもできる
以上になります。
ストレスによる脳萎縮の回復のまとめ
ここまでストレスによる脳萎縮についてお伝えしてきました。
ストレスによる脳萎縮の要件をまとめると以下の通りです。
- ストレスによる脳萎縮は長期間ストレスを受けることによる脳細胞の破壊のこと
- 長期間ストレスを受けることでうつ病やPTSDが発症しやすくなる
- 神経細胞の修復メカニズムが脳萎縮を回復させる
これらの情報が少しでも皆さまのお役に立てば幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。