現代人の多くはミネラルが不足しがちと指摘されています。
ミネラルが不足すると、身体にさまざまな症状を引き起こします。
ミネラルが不足するとどのような症状があらわれるのでしょうか。
一方で、過剰摂取に気をつけるべきミネラルはあるのでしょうか。
本記事では、ミネラル不足の症状について、以下の点を中心にご紹介します。
- ミネラルの代表的な不足症状とは
- 不足しやすいミネラルとは
- 過剰摂取に気をつけるべきミネラルとは
ミネラル不足の症状について理解するためにもご参考いただけますと幸いです。
ぜひ最後までお読みください。
スポンサーリンク
ミネラルとは
ミネラルは、人体構成に必要な成分のうち、炭素・水素・窒素以外の成分です。
無機質とも呼ばれています。
ミネラルが不足すると、貧血やめまい、脱力感、高血圧、動脈硬化、不整脈といった症状が現われます。
16種類のミネラルの種類によって異なる症状をご確認ください。
カルシウム
カルシウムは体内に最も多く存在するミネラルです。
骨や歯を構成する成分であるほか、筋肉収縮や、神経興奮を抑制する作用などがあります。
カルシウムは小魚や乳製品、大豆製品に多く含まれています。
カルシウムの1日摂取推奨量と耐容上限量は以下の通りです。
男性(μg/日) | 女性(μg/日) | |||
推奨量 | 耐容上限量 | 推奨量 | 耐容上限量 | |
0~5(月) | ー | ー | ー | ー |
6~11(月) | ー | ー | ー | ー |
1~2(歳) | 450 | ー | 400 | ー |
3~5(歳) | 600 | ー | 550 | ー |
6~7(歳) | 600 | ー | 550 | ー |
8~9(歳) | 650 | ー | 750 | ー |
10~11(歳) | 700 | ー | 750 | ー |
12~14(歳) | 1000 | ー | 800 | ー |
15~17(歳) | 800 | ー | 650 | ー |
18~29(歳) | 800 | 2500 | 650 | 2500 |
30~49(歳) | 750 | 2500 | 650 | 2500 |
50~64(歳) | 750 | 2500 | 650 | 2500 |
65~74(歳) | 750 | 2500 | 650 | 2500 |
75以上(歳) | 700 | 2500 | 600 | 2500 |
妊婦(付加量) | ー | ー | +0 | ー |
授乳婦(負荷量) | ー | ー | +0 | ー |
出典:厚生労働省【1―7 ミネラル】
不足すると起こる症状
カルシウムは他の栄養素と比べて、吸収率が比較的低い成分です。
そのため、意識して摂取しなければ不足しやすいため注意が必要です。
カルシウムが不足すると、以下のような症状が起こりやすくなります。
- 骨や歯が弱くなる
- 幼児の骨格発達異常
- 動脈硬化
- 高血圧
- イライラしやすい
- 肩こり・筋肉痛
最も代表的なのは骨・筋肉の異常です。
特に小児のカルシウム不足は、骨格形成に異常が出る恐れがあります。
カルシウムは脳の興奮を鎮める作用もあります。
そのため、不足するとイライラしやすくなるほか、てんかんのリスクが高まります。
リン
リンはカルシウムと同じく、骨・歯を丈夫にするミネラルです。
細胞膜の構成成分として利用されるほか、心臓・腎臓の機能を正常に保つ作用もあります。
リンを含む食品は以下の通りです。
- 魚介類(煮干し、しらす干し)
- 乳製品(チーズ)
- 豆製品(きなこ)肉類(レバー)
- 穀類(玄米)
- 卵
リンは食品添加物に含まれることもあります。
食品添加物の食品を多く摂取する方は、摂りすぎないよう注意が必要です。
リンの推奨量と耐容上限量は以下の通りです。
男性(μg/日) | 女性(μg/日) | |||
推奨量 | 耐容上限量 | 推奨量 | 耐容上限量 | |
0~5(月) | 120 | ー | 120 | ー |
6~11(月) | 260 | ー | 260 | ー |
1~2(歳) | 500 | ー | 500 | ー |
3~5(歳) | 700 | ー | 700 | ー |
6~7(歳) | 900 | ー | 800 | ー |
8~9(歳) | 1000 | ー | 1000 | ー |
10~11(歳) | 1100 | ー | 1000 | ー |
12~14(歳) | 1200 | ー | 1200 | ー |
15~17(歳) | 1200 | ー | 900 | ー |
18~29(歳) | 1000 | 3000 | 800 | 3000 |
30~49(歳) | 1000 | 3000 | 800 | 3000 |
50~64(歳) | 1000 | 3000 | 800 | 3000 |
65~74(歳) | 1000 | 3000 | 800 | 3000 |
75以上(歳) | 1000 | 3000 | 800 | 3000 |
妊婦(付加量) | ー | ー | 800 | ー |
授乳婦(負荷量) | ー | ー | 800 | ー |
出典:厚生労働省【1―7 ミネラル】
不足すると起こる症状
リンはさまざまな食品に含まれるため、不足することはほとんどありません。
しかし、医薬品との飲み合わせによっては吸収率が下がることがあります。
カリウム
カリウムは体内の水分を調節するミネラルで、血圧を正常に維持する働きがあります。
また、細胞の浸透圧を一定に保つ作用もあります。
カリウムを多く含む食品は、海藻類、野菜、果物、豆類です。
ドライフルーツなどの乾物は水分量が少ないため、効果的にカリウムが摂取できます。
カリウムの1日摂取目安量と耐容上限量は以下の通りです。
男性(mg/日) | 女性(mg/日) | |||
目安量 | 耐容上限量 | 目安量 | 耐容上限量 | |
0~5(月) | 400 | ー | 400 | ー |
6~11(月) | 700 | ー | 700 | ー |
1~2(歳) | 900 | ー | 900 | ー |
3~5(歳) | 1000 | 1400以上 | 1000 | 1400以上 |
6~7(歳) | 1300 | 1800以上 | 1200 | 1800以上 |
8~9(歳) | 1500 | 2000以上 | 1500 | 2000以上 |
10~11(歳) | 1800 | 2200以上 | 1800 | 2000以上 |
12~14(歳) | 2300 | 2400以上 | 1900 | 2400以上 |
15~17(歳) | 2700 | 3000以上 | 2000 | 2600以上 |
18~29(歳) | 2500 | 3000以上 | 2000 | 2600以上 |
30~49(歳) | 2500 | 3000以上 | 2000 | 2600以上 |
50~64(歳) | 2500 | 3000以上 | 2000 | 2600以上 |
65~74(歳) | 2500 | 3000以上 | 2000 | 2600以上 |
75以上(歳) | 2500 | 3000以上 | 2000 | 2600以上 |
妊婦(付加量) | ー | ー | 2000 | 2600以上 |
授乳婦(負荷量) | ー | ー | 2200 | 2600以上 |
出典:厚生労働省【1―7 ミネラル】
不足すると起こる症状
カリウムが不足すると以下のような症状があらわれやすくなります。
- 筋力低下・筋肉の痛みやけいれん
- 高血圧・動脈硬化
- 不整脈
- 疲れやすい・脱力感
カリウムの血中濃度が低くなった状態は、低カリウム血症と呼ばれます。
なお、カリウムはさまざまな食品に含まれます。
そのため一般的な食事であれば、カリウム不足になることはほとんどありません。
硫黄
硫黄は爪・皮膚などを健康に保つ作用があります。
また、ビタミンBと協力して、身体に有害なミネラルが蓄積するのを防ぐ作用もあります。
硫黄が豊富な食品には以下があります。
- 肉類
- 魚類
- 大豆類
- ニンニク
- にら
- 卵
硫黄はタンパク質と結合した形で存在します。
そのため、タンパク質の摂取を心がけると、同時に硫黄も摂取できます。
なお、硫黄の1日の摂取目安量は、とくに決められていません。
不足すると起こる症状
硫黄不足の代表的な症状は以下の通りです。
- ニキビ・肌荒れ
- 爪がもろくなる
- 水虫
- 脱毛・薄毛動脈硬化
- 肝疾患
硫黄は肝臓をサポートして、有害な毒素を体外に排出する作用があります。
硫黄が不足すると肝臓に大きな負担がかかるため、肝疾患のリスクが高まります。
塩素
塩素は胃酸を構成する成分の1つです。
食べ物の消化を促進したり、有害な菌などを殺菌する作用があります。
また、塩素は体液の濃度の調節や脳の神経伝達をサポートする作用もあります。
塩素はさまざまな食品に含まれます。
代表的なのは水道水です。
通常の食事であれば、過不足が起こることはありません。
そのため、意識的に摂取しなくても自然に充足します。
1日の塩素の摂取目安量はとくに決められていません。
ただし、WHOは1日の摂取上限値を5mg/lと発表しています。
5mg/lという数値は、体重60㎏の方が毎日摂取しても健康に影響がないとされる量です。
不足すると起こる症状
塩素が不足すると胃液の酸度が低下するため、食欲低下や消化不良が出現します。
ただ、一般的な日常生活を送っていれば、塩素不足になることはほとんどありません
また、塩素不足が起きるときは、一緒にナトリウム不足が起きている可能性があります。
多くの場合、塩素はナトリウムと結合した食塩として一緒に摂取します。
したがって、塩素とナトリウムは同時に不足しやすい傾向があります。
ナトリウム
ナトリウムは塩の主成分です。
人体においては、血圧調節・心臓の収縮・脳の神経伝達などにかかわります。
ナトリウムが豊富な食品は以下の通りです。
- 食塩
- 調味料(醤油・味噌)
- インスタント食品
厚生労働省は、ナトリウムの1日の摂取量を以下のように定めています。
()は食塩相当量です(g/日)。
男性(mg/日) | 女性(mg/日) | |||
目安量 | 目標量 | 目安量 | 目標量 | |
0~5(月) | 100(0.3) | ー | 100(0.3) | ー |
6~11(月) | 600(1.5) | ー | 600(1.5) | ー |
1~2(歳) | ー | (3.0未満) | ー | (3.0未満) |
3~5(歳) | ー | (3.5未満) | ー | (3.5未満) |
6~7(歳) | ー | (4.5未満) | ー | (4.5未満) |
8~9(歳) | ー | (5.0未満) | ー | (5.0未満) |
10~11(歳) | ー | (6.0未満) | ー | (6.0未満) |
12~14(歳) | ー | (7.0未満) | ー | (6.5未満) |
15~17(歳) | ー | (7.5未満) | ー | (6.5未満) |
18~29(歳) | ー | (7.5未満) | ー | (6.5未満) |
30~49(歳) | ー | (7.5未満) | ー | (6.5未満) |
50~64(歳) | ー | (7.5未満) | ー | (6.5未満) |
65~74(歳) | ー | (7.5未満) | ー | (6.5未満) |
75以上(歳) | ー | (7.5未満) | ー | (6.5未満) |
妊婦(付加量) | ー | ー | ー | (6.5未満) |
授乳婦(負荷量) | ー | ー | ー | (6.5未満) |
出典:厚生労働【日本人の食事摂取基準(2020 年版)】
不足すると起こる症状
ナトリウムが不足すると、吐き気、頭痛、ひどい場合は昏睡状態に陥ることもあります。
汗をかくと、ナトリウムは水分と一緒に体外へ排出されます。
水分を補給したとしても、体内のナトリウムが薄まるため、脱水症状を引き起こします。
とくに夏は水分摂取だけでなく、ナトリウム摂取も意識する必要があります。
マグネシウム
マグネシウムは歯や骨の強化、酵素のサポート、神経興奮抑制の働きがあります。
また、筋肉の収縮や血圧調整にも関与しています。
マグネシウムは、海藻類(乾燥わかめ・ひじき)、ナッツ類、魚類に多く含まれています。
マグネシウムの1日摂取推奨量は以下の通りです。
耐容上限量はとくに決められていません。
男性(mg/日) | 女性(mg/日) | |
推奨量 | 推奨量 | |
0~5(月) | ー | ー |
6~11(月) | ー | ー |
1~2(歳) | 70 | 70 |
3~5(歳) | 100 | 100 |
6~7(歳) | 130 | 130 |
8~9(歳) | 170 | 160 |
10~11(歳) | 210 | 220 |
12~14(歳) | 290 | 290 |
15~17(歳) | 360 | 310 |
18~29(歳) | 340 | 270 |
30~49(歳) | 370 | 290 |
50~64(歳) | 370 | 290 |
65~74(歳) | 350 | 280 |
75以上(歳) | 320 | 260 |
妊婦(付加量) | +40 | |
授乳婦(負荷量) | ー | +0 |
出典:厚生労働【日本人の食事摂取基準(2020 年版)】
不足すると起こる症状
マグネシウムが不足すると、以下の症状があらわれる可能性があります。
- 不整脈
- 虚血性心疾患
- 吐き気
- 精神症状
- テタニー(筋肉のけいれん)
長期的なマグネシウムの不足は、生活習慣病のリスクを高めます。
鉄
鉄は、赤血球に多く含まれ、酸素を運ぶ働きがあります。
鉄は、肉や魚、とくにレバーに多く含まれています。
ほかにもほうれん草や小松菜などの緑黄色野菜も豊富です。
鉄の推奨量と耐容上限量(以下上限量と示す)は以下の通りです。
男性(mg/日) | 女性(mg/日) | ||||
推奨量 | 上限量 | ||||
推奨量 | 上限量 | 月経なし | 月経あり | ||
0~5(月) | ー | ー | ー | ー | ー |
6~11(月) | 5.0 | 4.5 | ー | ー | |
1~2(歳) | 4.5 | 25 | 4.5 | ー | 20 |
3~5(歳) | 5.5 | 25 | 5,5 | ー | 25 |
6~7(歳) | 5.5 | 30 | 5.5 | ー | 30 |
8~9(歳) | 7.0 | 35 | 7.5 | ー | 35 |
10~11(歳) | 8.5 | 35 | 8.5 | 12.0 | 35 |
12~14(歳) | 10.0 | 40 | 8.5 | 12.0 | 40 |
15~17(歳) | 10.0 | 50 | 7.0 | 10.5 | 40 |
18~29(歳) | 7.5 | 50 | 6.5 | 10.5 | 40 |
30~49(歳) | 7.5 | 50 | 6.5 | 10.5 | 40 |
50~64(歳) | 7.5 | 50 | 6.5 | 11.0 | 40 |
65~74(歳) | 7.5 | 50 | 7.0 | ー | 40 |
75以上(歳) | 7.0 | 50 | 7.0 | ー | 40 |
妊婦初期/中期・後期 | ー | ー | +2.5/+9.5 | ー | ー |
授乳婦(負荷量) | ー | ー | +2.5 | ー | ー |
出典:厚生労働【日本人の食事摂取基準(2020 年版)】
不足すると起こる症状
鉄が不足すると、貧血が起こり、めまいや頭痛、集中力の低下を引き起こします。
ほかにも、動悸や息切れ、氷を食べたくなる異食症も見られます。
重度の貧血は治療が必要なこともあります。
とくに月経中の女性や妊娠中・授乳中の女性は不足しやすいため、注意が必要です。
銅
銅は、体内で酸素の運搬や、造血する役割を担っています。
また、老化の原因である「活性酸素」を除去する作用もあります。
銅は魚介類(ホタルイカ・カキ)や豆製品(きなこ)、ナッツ類に多く含まれています。
銅の1日摂取推奨量と耐容上限量は以下の通りです。
男性(mg/日) | 女性(mg/日) | |||
推奨量 | 耐容上限量 | 推奨量 | 耐容上限量 | |
0~5(月) | ー | ー | ー | ー |
6~11(月) | ー | ー | ー | ー |
1~2(歳) | 0.3 | ー | 0.3 | ー |
3~5(歳) | 0.4 | ー | 0.3 | ー |
6~7(歳) | 0.4 | ー | 0.4 | ー |
8~9(歳) | 0.5 | ー | 0.5 | ー |
10~11(歳) | 0.6 | ー | 0.6 | ー |
12~14(歳) | 0.8 | ー | 0.8 | ー |
15~17(歳) | 0.9 | ー | 0.7 | ー |
18~29(歳) | 0.9 | 7 | 0.7 | 7 |
30~49(歳) | 0.9 | 7 | 0.7 | 7 |
50~64(歳) | 0.9 | 7 | 0.7 | 7 |
65~74(歳) | 0.9 | 7 | 0.7 | 7 |
75以上(歳) | 0.8 | 7 | 0.7 | 7 |
妊婦(付加量) | ー | ー | +0.1 | ー |
授乳婦(負荷量) | ー | ー | +0.6 | ー |
出典:厚生労働【日本人の食事摂取基準(2020 年版)】
不足すると起こる症状
銅は多くの食品に含まれるため、不足することは稀です。
万が一不足した場合は、銅欠乏性の貧血が起こります。
そのほかの不足症状は以下の通りです。
- 骨粗しょう症
- 抜け毛・薄毛
- 手足の感覚異常
- 抑うつ
- イライラ・怒りっぽい
亜鉛
亜鉛は、消化、代謝、生殖などに関わるさまざまな酵素の原料です。
ほかにもタンパク質の合成に関与しています。
亜鉛を多く含む食品は「カキ」です。
ほかにも、肉類やナッツ類、海藻類などに多く含まれています。
亜鉛の1日推奨量と耐容上限量は以下の通りです。
男性(mg/日) | 女性(mg/日) | |||
推奨量 | 耐容上限量 | 推奨量 | 耐容上限量 | |
0~5(月) | ー | ー | ー | ー |
6~11(月) | ー | ー | ー | ー |
1~2(歳) | 3 | ー | 3 | ー |
3~5(歳) | 4 | ー | 3 | ー |
6~7(歳) | 5 | ー | 4 | ー |
8~9(歳) | 6 | ー | 5 | ー |
10~11(歳) | 7 | ー | 6 | ー |
12~14(歳) | 10 | ー | 8 | ー |
15~17(歳) | 12 | ー | 8 | ー |
18~29(歳) | 11 | 40 | 8 | 35 |
30~49(歳) | 11 | 45 | 8 | 35 |
50~64(歳) | 11 | 45 | 8 | 35 |
65~74(歳) | 11 | 40 | 8 | 35 |
75以上(歳) | 10 | 40 | 8 | 30 |
妊婦(付加量) | ー | ー | +2 | ー |
授乳婦(負荷量) | ー | ー | +4 | ー |
出典:厚生労働省【日本人の食事摂取基準(2020 年版)】
不足すると起こる症状
偏った食事や極端なダイエットにより、亜鉛不足に陥ることがあります。
亜鉛が不足すると、以下の症状があらわれる可能性があります。
- 味覚障害
- 皮膚炎
- 舌痛症
- 脱毛症
- 食欲不振
マンガン
マンガンは成長・生殖にかかわるミネラルです。
具体的には骨の形成・生殖機能の維持などをサポートします。
そのほか、血液の生成や消化を促進する作用もあります。
マンガンは、緑茶、栗、玄米、シナモンなどに多く含まれています。
1日の摂取量目安と耐容上限量は以下の通りです。
男性(mg/日) | 女性(mg/日) | |||
目安量 | 耐容上限量 | 目安量 | 耐容上限量 | |
0~5(月) | 0.01 | ー | 0.01 | ー |
6~11(月) | 0.5 | ー | 0.5 | ー |
1~2(歳) | 1.5 | ー | 1.5 | ー |
3~5(歳) | 1.5 | ー | 1.5 | ー |
6~7(歳) | 2.0 | ー | 2.0 | ー |
8~9(歳) | 2.5 | ー | 2.5 | ー |
10~11(歳) | 3.0 | ー | 3.0 | ー |
12~14(歳) | 4.0 | ー | 4.0 | ー |
15~17(歳) | 4.5 | ー | 3.5 | ー |
18~29(歳) | 4.0 | 11 | 3.5 | 11 |
30~49(歳) | 4.0 | 11 | 3.5 | 11 |
50~64(歳) | 4.0 | 11 | 3.5 | 11 |
65~74(歳) | 4.0 | 11 | 3.5 | 11 |
75以上(歳) | 4.0 | 11 | 3.5 | 11 |
妊婦(付加量) | ー | ー | 3.5 | ー |
授乳婦(負荷量) | ー | ー | 3.5 | ー |
出典:厚生労働省【日本人の食事摂取基準(2020 年版)】
不足すると起こる症状
マンガン不足による症状は、はっきり分かっていません。
マンガンはさまざまな食品に含まれています。
そのため、一般的な生活を送っていれば、健康被害に陥る欠乏症はほとんど起こりません。
出典:厚生労働省【マンガン】
クロム
クロムは血糖値・コレステロール値を下げる作用があります。
血圧調節にも関わっています。
クロムを多く含む食品は以下の通りです。
- 肉類
- 魚介類(小魚・かき・ひじき)
- 大豆製品
- 乳製品
- ココア
クロムの摂取量の目安と耐容上限量は以下の通りです。
男性(mg/日) | 女性(mg/日) | |||
目安量 | 耐容上限量 | 目安量 | 耐容上限量 | |
0~5(月) | 0.8 | ー | 0.8 | ー |
6~11(月) | 1.0 | ー | 1.0 | ー |
1~2(歳) | ー | ー | ー | ー |
3~5(歳) | ー | ー | ー | ー |
6~7(歳) | ー | ー | ー | ー |
8~9(歳) | ー | ー | ー | ー |
10~11(歳) | ー | ー | ー | ー |
12~14(歳) | ー | ー | ー | ー |
15~17(歳) | ー | ー | ー | ー |
18~29(歳) | 10 | 500 | 10 | 500 |
30~49(歳) | 10 | 500 | 10 | 500 |
50~64(歳) | 10 | 500 | 10 | 500 |
65~74(歳) | 10 | 500 | 10 | 500 |
75以上(歳) | 10 | 500 | 10 | ー |
妊婦(付加量) | ー | ー | 10 | ー |
授乳婦(負荷量) | ー | ー | 10 | ー |
出典:厚生労働省【日本人の食事摂取基準(2020 年版)】
不足すると起こる症状
クロムは幅広い食品に含まれるため、欠乏症が起こることは稀です。
ただし不足した場合は、以下のような症状があらわれやすくなります。
- 糖尿病
- 疲れやすい
- 体重減少
- 動脈硬化
- コレステロール値の上昇
クロムは血糖値の調節にかかわります。
そのため不足すると、血糖値が上昇しやすくなります。
ヨウ素
ヨウ素は主に甲状腺に分泌するミネラルです。
主に、新陳代謝をサポートする働きをします。
つまり、栄養素がエネルギーに変換されるのを手助けしています。
また、乳幼児の骨・脳の形成に欠かせないミネラルでもあります。
ヨウ素は海産物に豊富に含まれます。
代表的なのは、海藻類(ひじき・わかめ・のり)や魚(さば、たら)です。
ヨウ素の1日の目安量と耐容上限量は以下の通りです。
男性(mg/日) | 女性(mg/日) | |||
目安量 | 耐容上限量 | 目安量 | ||
0~5(月) | 100 | 250 | 100 | 250 |
6~11(月) | 130 | 250 | 130 | 250 |
1~2(歳) | ー | 300 | ー | 300 |
3~5(歳) | ー | 400 | ー | 400 |
6~7(歳) | ー | 550 | ー | 550 |
8~9(歳) | ー | 700 | ー | 700 |
10~11(歳) | ー | 900 | ー | 900 |
12~14(歳) | ー | 2,000 | ー | 2,000 |
15~17(歳) | ー | 3,000 | ー | 3,000 |
18~29(歳) | ー | 3,000 | ー | 3,000 |
30~49(歳) | ー | 3,000 | ー | 3,000 |
50~64(歳) | ー | 3,000 | ー | 3,000 |
65~74(歳) | ー | 3,000 | ー | 3,000 |
75以上(歳) | ー | 3,000 | ー | 3,000 |
妊婦(付加量) | ー | ー | ー | ー |
授乳婦(負荷量) | ー | ー | ー | ー |
※妊婦及び授乳婦の耐容上限量は2,000μg/日とした。
出典:厚生労働省【日本人の食事摂取基準(2020 年版)】
不足すると起こる症状
ヨウ素を多く含む食べ物は、海産物です。
日本は島国であるため、日本人は高い頻度で海産物を口にします。
そのため、日本人がヨウ素不足になることはほとんどありません。
なお、不足症状としては以下が代表的です。
- 甲状腺腫
- (授乳婦の場合)乳幼児の身体的・精神的な発達不全
- 思考力の低下
セレン
セレンは高い抗酸化作用で知られています。
抗酸化作用とは、活性酸素を取り除く仕組みのことです。
より具体的にいえば、老化予防やがん予防に役立ちます。
とくに海産物(うに・いわし・マグロ・カキ・わかさぎ)や長ネギに多く含まれます。
1日の摂取量の推奨量と耐容上限量は以下の通りです。
男性(mg/日) | 女性(mg/日) | |||
推奨量 | 耐容上限量 | 推奨量 | 耐容上限量 | |
0~5(月) | ー | ー | ー | ー |
6~11(月) | ー | ー | ー | ー |
1~2(歳) | 10 | 100 | 10 | 100 |
3~5(歳) | 15 | 100 | 10 | 100 |
6~7(歳) | 15 | 150 | 15 | 150 |
8~9(歳) | 20 | 200 | 20 | 200 |
10~11(歳) | 25 | 250 | 25 | 250 |
12~14(歳) | 30 | 350 | 30 | 300 |
15~17(歳) | 35 | 400 | 25 | 350 |
18~29(歳) | 30 | 450 | 25 | 350 |
30~49(歳) | 30 | 450 | 25 | 350 |
50~64(歳) | 30 | 450 | 25 | 350 |
65~74(歳) | 30 | 450 | 25 | 350 |
75以上(歳) | 30 | 400 | 25 | 350 |
妊婦(付加量) | ー | ー | +5 | ー |
授乳婦(負荷量) | ー | ー | +20 | ー |
出典:厚生労働省【日本人の食事摂取基準(2020 年版)】
不足すると起こる症状
セレンの吸収率は約50%です。
比較的吸収されやすい栄養素であるため、不足することは稀です。
なお、慢性的に不足すると以下のような症状があらわれやすくなります。
- 心筋障害・心不全
- 筋肉痛
- 筋力の低下
- 爪の白色化
モリブデン
モリデブンは鉄分の働きをサポートするミネラルです。
血液の生成にかかわることから、血のミネラルと呼ばれることもあります。
また、モリデブンには身体に有害なミネラルを体外に排出する作用もあります。
モリデブンが豊富なのは以下のような食品です。
- レバー類
- 乳製品
- 豆類
- 穀類(玄米・ライ麦)
1日の摂取量の推奨量と耐容上限量は以下の通りです。
男性(μg/日) | 女性(μg/日) | |||
推奨量 | 耐容上限量 | 推奨量 | 耐容上限量 | |
0~5(月) | ー | ー | ー | ー |
6~11(月) | ー | ー | ー | ー |
1~2(歳) | 10 | ー | 10 | ー |
3~5(歳) | 10 | ー | 10 | ー |
6~7(歳) | 15 | ー | 15 | ー |
8~9(歳) | 20 | ー | 15 | ー |
10~11(歳) | 20 | ー | 20 | ー |
12~14(歳) | 25 | ー | 25 | ー |
15~17(歳) | 30 | ー | 25 | ー |
18~29(歳) | 30 | 600 | 25 | 500 |
30~49(歳) | 30 | 600 | 25 | 500 |
50~64(歳) | 30 | 600 | 25 | 500 |
65~74(歳) | 30 | 600 | 25 | 500 |
75以上(歳) | 25 | 600 | 25 | 500 |
妊婦(付加量) | ー | ー | +0 | ー |
授乳婦(負荷量) | ー | ー | +3 | ー |
出典:厚生労働省【日本人の食事摂取基準(2020 年版)】
不足すると起こる症状
モリデブンは、一般的な食生活で不足することはないといわれています。
ただ、不足した場合、呼吸・脈が速くなる、夜盲症、食道がんなどの可能性があります。
コバルト
コバルトはビタミンB12を構成するミネラルです。
単体で働くことはなく、ビタミンや他の補酵素をサポートします。
主な作用は、血液中のヘモグロビンの生成です。
神経を正常に保つ作用もあります。
コバルトが豊富なのは、ビタミンB12が豊富な食品です。
具体的には以下があります。
- レバー類
- 肉類
- 魚介類(かき、はまぐり、うなぎ)
- 乳製品
- 大豆製品(納豆)
コバルトの1日摂取量は公的に推奨されていませんが、5〜45μgといわれています。
ただ、コバルトはビタミンB12の主成分です。そのため、ビタミンB12の摂取量=コバルトの摂取量と置き換えられます。
成人の場合、ビタミンB12の1日の摂取推奨量は2.4μgです。
つまりビタミンB12を1日2.4μg摂取できれば、コバルトの摂取量は十分と考えられます。
出典:厚生労働省【日本人の食事摂取基準(2020 年版)】
不足すると起こる症状
コバルトは動物性食品に広く含まれます。
そのため、一般的な食事で欠乏症が起こることはほとんどありません。
ただし、動物性食品を制限している方は不足することがあります。
とくに厳格な菜食主義者の方が該当します。
コバルトが不足すると、以下のような症状があらわれやすくなります。
- 貧血
- 食欲不振
- 消化不良
- 手足のしびれ
スポンサーリンク
ミネラルを効率よく摂取する方法
ミネラルは、不足しやすい栄養素です。
多くのミネラルは、食品含有量が低い、または吸収しにくい性質です。
したがって、ミネラル不足を起こさないために、意識して摂取量を増やすことが大切です。
まずは食品からミネラルを摂取することを意識しましょう。
食品からの摂取が十分でないときは、サプリメントで補充するのがおすすめです。
サプリメントを摂取するときは、タイミングを考えることも大切です。
一般的にミネラルは他の栄養素と一緒に摂ると、吸収率が高まります。
そのため、食後にサプリメントを摂ると、効率的な摂取が期待できます。
ただし、カルシウム・マグネシウムを摂取するときは、食後を避けましょう。
カルシウム・マグネシウムには胃酸を中和する働きがあるためです。
消化不良や胃もたれを引き起こす可能性があるので、注意が必要です。
一方、食べ合わせによっては、ミネラルの吸収率アップが期待できることがあります。
おすすめの組み合わせの例は以下の通りです。
- カルシウム×ビタミンD
- カルシウム・カリウム・鉄・亜鉛・セレン×クエン酸
- ビタミンB1×硫黄
- カルシウム×マグネシウム・カリウム
- 鉄×銅
タンパク質について筋肉づくりや維持の為に、タンパク質を凝縮したプロテインを摂取する方も多いでしょう。しかし、タンパク質の特徴や過不足などを知らないと、健康のためのタンパク質摂取が逆効果になってしまうことがあることをご存じでしょうか。[…]
ミネラルの吸収を阻害する成分
ミネラルと他の栄養素を一緒に摂取すると、ミネラルの吸収率が下がることがあります。
注意したい組み合わせをご紹介します。
ナトリウム
ナトリウムの吸収を阻害する食品・栄養素はとくに報告されていません。
マグネシウム
マグネシウムは、カルシウムとリンの過剰摂取により、吸収を阻害されます。
同様に、アルコールの摂取も体外への排出を促すため、注意が必要です。
リン
カルシウムを摂りすぎると、リンの吸収を阻害します。
硫黄
硫黄の吸収を阻害する食品・栄養素はとくに報告されていません。
塩素
塩素の吸収を阻害する食品・栄養素はとくに報告されていません。
カリウム
カリウムは、コーヒーや糖分の多いものにより、吸収を阻害されます。
なお、カリウムは水に溶けやすく、熱に弱いという性質です。
そのため、長く茹でたり、煮込んだりすると、カリウムが失われます。
また、ストレスもカリウムの吸収率を下げると指摘されています。
カルシウム
カルシウムの吸収を阻害する食品・栄養素は以下の通りです。
- シュウ酸
- 脂肪
- 過剰なアルコール
- 過剰なリン・ナトリウム
- 過剰なタンパク質
- 過剰な食物
リンとの組み合わせにも注意する必要があります。
カルシウムとリンは1:1〜2の割合での摂取が理想的です。
1:1〜2のバランスが崩れると、カルシウムの吸収率が落ちることがあります。
クロム
クロムの吸収を阻害する食品・栄養素はとくに報告されていません。
ただし、カルシウム・亜鉛が不足すると、クロムの吸収率も下がる恐れがあります。
マンガン
マンガンの吸収を阻害する食品・栄養素はとくに報告されていません。
鉄
鉄分の吸収を阻害する食品・栄養素は以下の通りです。
- タンニン・シュウ酸
- フィチン酸
- 過剰な食物繊維
- 過剰なリン・カルシウム
- 炭酸
コバルト
カリウムやビタミンCの過剰摂取は、コバルトの吸収阻害因子です。
また、アルコールやたばこなどの生活習慣の乱れも、コバルトの吸収に影響します。
てんかん治療薬・睡眠導入薬などの一部の医薬品も、注意する必要があります。
銅
過剰なモリブデンの摂取は、銅の吸収を妨げる恐れがあります。
また、ストレスも銅の吸収に影響を与える要因の1つです。
亜鉛
亜鉛を以下の栄養素と同時に摂取すると、体外への排出量が増える恐れがあります。
- タンニン・シュウ酸
- フィチン酸
- 過剰な食物繊維
- 過剰なカルシウム
- アルコール
セレン
セレンは、亜鉛不足や水銀の影響を受けると吸収が阻害されます。
モリブデン
モリデブンの吸収を阻害する食品・栄養素は特に報告されていません。
ヨウ素
ヨウ素は、一部の食品によって甲状腺への蓄積を阻害されることがあります。
キャベツ、トウモロコシ、タケノコ、ケール、大豆などが挙げられます。
ミネラルが不足すると、身体にさまざまな不調があらわれます。
一方で、過剰摂取しても健康被害を引き起こす可能性があります。
したがって、ミネラルは過不足なく適度に摂取することが大切です。
不足しがちなミネラル
不足しがちなミネラルは以下の通りです。
- カリウム
- カルシウム
- 鉄
- 亜鉛
上記4種は体内の吸収率が低いミネラルです。
そのため、意識して摂取しなければ慢性的に不足する恐れがあります。
いずれも血圧調節や筋肉の収縮、脳の神経伝達をサポートするミネラルです。
不足すると、心臓・脳・筋肉を中心にさまざまな不調があらわれます。
過剰摂取に注意が必要なミネラル
ミネラルの中には、過剰摂取すると危険なものもあります。
具体的には以下の4種です。
- ナトリウム
- マグネシウム
- リン
- セレン
リン・マグネシウムの摂りすぎは、カルシウムなどの働きを弱めます。
ナトリウムの摂りすぎは高血圧・動脈硬化を引き起こします。
セレンは人体に欠かせないミネラルですが、毒性もあります。
摂りすぎると、爪や髪の健康が損なわれることがあります。
なお、上記4種は幅広い食品に含まれます。
そのため、一般的な食生活であれば不足することはほぼありません。
摂取の過不足の心配が少ないミネラル
摂取の過不足が起こりにくいミネラルは以下の5種です。
- 銅
- クロム
- マンガン
- モリデブン
- ヨウ素
いずれも幅広い食品に含まれるため、不足することはほとんどありません。
過剰摂取した場合は尿として排出されるため、体内に過剰に蓄積されることは稀です。
ミネラルを正しく摂取すれば生活習慣病予防になる
ミネラルは生活習慣病と深い関わりがあります。
たとえば、以下のような例があります。
不足した場合 | 過剰摂取した場合 | |
ナトリウム | 頭痛・めまい・筋力低下 | 高血圧・動脈硬化 |
カルシウム | 骨粗しょう症・動脈硬化 | 便秘・高カルシウム血症 |
カリウム | 高カリウム血症・腎機能の低下 | 高血圧・不整脈・動脈硬化 |
代表的なのはナトリウムの過剰摂取です。
ナトリウム=塩分を取り過ぎると、高血圧や動脈硬化を招きます。
高血圧や動脈硬化は、心疾患や脳卒中などに発展する場合も少なくありません。
つまり1つの生活習慣病が、ほかの生活習慣病を連鎖的に引き起こす可能性があります。
そのほかのミネラルについても同様です。
過剰摂取・不足どちらが起こっても、なんらかの生活習慣病のリスクが高まります。
生活習慣病を予防するには、適切な量のミネラルを摂取することが大切です。
出典:厚生労働省【1―7 ミネラル】
ミネラル不足の症状のまとめ
ここまでミネラル不足の症状についてお伝えしてきました。
ミネラル不足の症状の要点を以下にまとめます。
- ミネラル不足の症状は、貧血・冷え性・免疫力の低下・集中力の低下など
- 不足しやすいミネラルは、カリウム・カルシウム・鉄・亜鉛
- 過剰摂取に気をつけるべきミネラルは、ナトリウム・マグネシウム・リン・セレン
これらの情報が少しでも皆さまのお役に立てば幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。