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健達ねっと>健康お役立ち記事>栄養>健康に必須の「微量元素」摂取量の目安や不足・過剰のリスクについて

健康に必須の「微量元素」摂取量の目安や不足・過剰のリスクについて

食事から摂取できる栄養素には多くの種類があります。
カルシウムなどはよく耳にしますが、微量元素という言葉を知らない方は多いです。

微量元素はどのような種類があり、どのような働きをするのでしょうか?
微量元素を効率よく得るためにはどのような食品を摂取すればよいでしょうか?

本記事では微量元素について以下の点を中心にご紹介します。

  • 微量元素の種類とその働きについて
  • 微量元素の不足、または過剰摂取による影響
  • 微量元素を効率よく摂取できるサプリについて
  • 微量元素の摂取量の現状について

微量元素について理解するためにもご参考いただけますと幸いです。
ぜひ最後までお読みください。

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微量元素とは?

微量元素とは人間を構成する元素のうち、体内において極めて少ない元素をいいます。
有機物に含まれる4元素(炭素、窒素、酸素、水素)以外の元素をミネラルといいます。
人に必要なミネラルは13元素ですが、微量元素は8種類あります。

微量元素は人の体内で作ることはできないため、食事から摂取する必要があります。

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健康維持に必須の微量元素とその働き

微量元素は以下の8種類に分類されます。

亜鉛マンガン
ヨウ素クロムセレンモリブデン

体内における微量元素の働きについて、以下に説明します。

鉄は微量元素のうち最も多く含まれます。
鉄の約6割以上は酸素を運搬するヘモグロビンやミオグロビンを構成する成分となります。
また、鉄の3割は肝臓などに貯蔵され、血液中の鉄分が少なくなると放出されます。

亜鉛

亜鉛は鉄分の次に多い微量元素です。
亜鉛の主な働きは、体内の酵素を活性化し、酵素を構成または維持する役割があります。
具体的には以下の働きがあります。

  • 免疫機構を高める
  • 創傷の修復力を高めたり、活性酸素を抑制する
  • 味覚を感じる味蕾細胞を構成する
  • 胎児・小児の成長を促進する

銅は骨格筋や血液など体中のいたるところに存在する微量元素です。
主な働きはヘモグロビンの合成に不可欠であり、貧血予防に作用します。
その他の働きは以下の通りです。

  • 骨粗しょう症の予防(骨を構成するコラーゲンやエラスチンの生成)
  • 動脈硬化の予防(血管壁の構成に作用)
  • 抗酸化作用のある酵素を構成し、活性酸素を予防する

マンガン

マンガンは肝臓や膵臓、腎臓、血液、毛髪に多く存在する微量元素です。
主な働きは骨の代謝や発育に不可欠であり、骨粗鬆症予防に作用します。
その他の働きは以下の通りです。

  • 消化吸収する酵素を活性化
  • インスリンの合成能力を高める
  • 性ホルモンの合成能力を高める

ヨウ素

ヨウ素は甲状腺に多く存在する微量元素です。

甲状腺ホルモンを構成する重要な成分です。
甲状腺ホルモンの働きは以下の通りです。

  • 新陳代謝を活発にして脂肪や糖分を燃焼させる
  • 交感神経に作用し心拍数など調整する
  • 子供の成長や発達を促す

クロム

クロムは体中の全ての細胞に存在する微量元素です。

主な働きはインスリンの働きを助け、糖代謝の促進に作用します。
また、脂質の代謝にも関与し、脂質異常症の予防にも役立ちます。

セレン

セレンは主に肝臓や腎臓に存在する微量元素です。

主な働きはビタミンEと一緒に体内の抗酸化作用として働きます。
そのため、がんや動脈硬化、血栓症の予防に役立ちます。

モリブデン

モリブデンは肝臓や腎臓、皮膚などに存在する微量元素です。
主な働きは鉄分の代謝を促進させ、造血機能の促進に作用します。

その他の働きは以下の通りです。

  • 糖質、脂質の代謝を促進する
  • プリン体を尿酸に変換する
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微量元素を多く含む食品

この項目では微量元素を効率よく摂取できる食品を紹介します。
具体的には以下の通りです。

鉄は肉や、魚、貝、大豆、緑黄色野菜、海草など様々な食品から摂取できます。

特にレバーや魚介類は鉄分が多く、吸収も良いです。
その他ひじき、小松菜、豆腐も鉄分を多く含みます。

亜鉛

亜鉛は魚介類、肉類、藻類、野菜類、豆類などの食品から摂取できます。

特に牡蠣や豚レバー、ウナギは亜鉛を大量に摂取できます。
その他小麦胚芽や、するめ、ごま、カシューナッツ、ココアも亜鉛を多く含みます。

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銅は魚介類や肉類、豆類などの食品から摂取できます。

特に牛レバーやいか、たこは亜鉛を大量に摂取できます。
その他シャコや大豆、牡蠣、干しエビも亜鉛を多く含みます。

マンガン

マンガンは香辛料やお茶、藻類などの食品から摂取できます。

特に緑茶や米、あおさはマンガンを大量に摂取できます。
その他栗やライ麦、シナモンも亜鉛を多く含みます。

ヨウ素

ヨウ素は藻類や魚介類などの海産物から摂取できます。

特に昆布やわかめ、いわしはヨウ素を大量に摂取できます。
その他サバやカツオ、海苔もヨウ素を多く含みます。

クロム

クロムは藻類やキノコなどから摂取できます。

特にあおさやきくらげはクロムを大量に摂取できます。
その他レバーや穴子、貝類もクロムを多く含みます。

セレン

セレンは魚介類や肉類などから摂取できます。

特にマグロやイワシ、アンコウの肝はセレンを大量に摂取できます。
その他ウニやたらこ、卵もセレンを多く含みます。

モリブデン

モリブデンは豆類や米から摂取できます。

特に落花生や枝豆はモリブデンを大量に摂取できます。
その他もやしやレバー、白米はモリブデンを多く含みます。

微小元素の不足には和食がおすすめ

偏食さえしなければさまざまな食品に微小元素が含まれているので、不足の心配をする必要はありません。
偏食が気になる方には和食がおすすめです。

和食は主食のお米に亜鉛が豊富です。また、魚や野菜、海藻、大豆製品は微量元素を多く含んでいます。

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微量元素が不足するとどうなる?(欠乏症)

適切な食事摂取をしていないと微量元素が不足することがあります。

不足すると様々な症状が見られます。
具体的には以下の通りです。

微量元素が不足しやすいのはどんな人?

本来微量元素は色々な食品に含まれているため、不足する頻度は少ないです。

しかし、食事回数が少なかったり偏食が見られる方は要注意です。
必要な栄養素が摂取できる微量元素が不足する可能性があります。

また、体の代謝異常も微量元素が不足する原因になります。

内臓疾患や消化管手術により、胃や腸からの吸収が低下している場合もあります。
その結果、微量元素の吸収も阻害され、不足します。

微量元素の欠乏症

微量元素の欠乏症は以下の通りです。

微量元素主な欠乏症
鉄欠乏性貧血、動悸、めまい、息切れなど
亜鉛皮膚炎、低身長、味覚異常など
貧血、白血球異常、血管異常など
マンガン耐糖能低下、成長障害、性滕機能低下など
ヨウ素甲状腺機能低下症、甲状腺腫など
クロム耐糖能低下、糖尿病、成長障害など
セレン不整脈、心肥大、易がん性など
モリブデン息切れ、頻脈、嘔吐など
薬の使い方

微量元素の過剰摂取によるリスク(過剰症)

微量元素を過剰摂取すると様々なリスクが生じます。
具体的には以下の通りです。

微量元素が過剰になりやすいのはどんな人?

微量元素は様々な食品に含まれており、過剰摂取にはなりにくいといわれています。
しかし、微量元素のサプリメントを摂取している場合は過剰摂取になる可能性があります。

摂取する水の成分にも注意が必要です。

海外の硬水はミネラルの成分が高めのため、日常的に硬水を摂取する方は注意が必要です。
また、井戸水の場合汚染されているとマンガンが多量に含まれている場合があります。

微量元素の過剰症

微量元素の過剰症は以下の通りです。

微量元素過剰症の主な症状
肝障害、神経障害など
亜鉛銅欠乏症状(骨粗鬆症など)
肝障害や神経障害
マンガンパーキンソン症状、痙攣など
ヨウ素甲状腺機能低下症
クロム間質性腎炎、横紋筋融解症
セレン爪の変形、脱毛、成長障害
モリブデン銅欠乏症状(貧血など)、高尿酸血症

微量元素の摂取基準量

微量元素にはそれぞれ摂取基準量が設けられています。
性別や年齢等による推奨量や耐用上限量は以下の通りです。

年齢等鉄(mg/日)
男性女性
推奨量耐容上限量月経なし月経あり耐容上限量
推奨量推奨量
0~5(月)
6~11(月)5.04.5
1~2(歳)4.5254.520
3~5(歳)5.5255.525
6~7(歳)6.5306.530
8~9(歳)8.5358.035
10~11(歳)10.0359.513.535
12~14(歳)11.05010.014.045
15~17(歳)9.5457.010.540
18~29(歳)7.0506.010.540
30~49(歳)7.5556.511.040
50~69(歳)7.5506.511.045
70以上(歳)7.0506.040
妊婦(付加量)

 初期

 中期・後期

+2.5+15.0
授乳機+2.5

亜鉛

年齢等亜鉛(mg/日)
男性女性
推奨量耐容上限量推奨量耐容上限量
0~5(月)
6~11(月)
1~2(歳)55
3~5(歳)66
6~7(歳)77
8~9(歳)88
10~11(歳)1010
12~14(歳)119
15~17(歳)13 9
18~29(歳)1040 935
30~49(歳)1245 935
50~69(歳)1245 935
70以上(歳)1140 930
妊婦(付加量)+2
授乳婦(付加量)+3

年齢等銅(mg/日)
男性女性
推奨量耐容上限量推奨量耐容上限量
0~5(月) ―
6~11(月) 
1~2(歳)0.30.3
3~5(歳)0.30.3
6~7(歳)0.40.4
8~9(歳)0.0.5
10~11(歳)0.60.6
12~14(歳)0.80.8
15~17(歳)0.90.7
18~29(歳)0.9100.710
30~49(歳)0.9100.710
50~69(歳)0.9100.710
70以上(歳)0.8100.710
妊婦(付加量)+0.1
授乳婦(付加量)+0.6

マンガン

年齢等マンガン(mg/日)
男性女性
目安量耐容上限量目安量耐容上限量
0~5(月)0.010.01
6~11(月)0.50.5
1~2(歳)1.51.5
3~5(歳)1.51.5
6~7(歳)2.02.0
8~9(歳)2.52.5
10~11(歳)3.03.0
12~14(歳)4.03.5
15~17(歳)4.53.5
18~29(歳)4.0113.511
30~49(歳)4.0113.511
50~69(歳)4.0113.511
70以上(歳)4.0113.511
妊婦3.5
授乳婦3.5

ヨウ素

年齢等ヨウ素(μg/日)
男性女性
推奨量耐容上限量推奨量耐容上限量
0~5(月)250250
6~11(月)250250
1~2(歳)5025050250
3~5(歳)6035060350
6~7(歳)7550075500
8~9(歳)9050090500
10~11(歳)110500110500
12~14(歳)1301.3001301.300
15~17(歳)1402.1001402.100
18~29(歳)1302.2001302.200
30~49(歳)1302.2001302.200
50~69(歳)1302.2001302.200
70以上(歳)1302.2001302.200
妊婦(付加量)+110
授乳婦(付加量)+140

クロム

年齢等クロム(μg/日)
男性女性
推奨量推奨量
0~5(月)
6~11(月)
1~2(歳)
3~5(歳)
6~7(歳)
8~9(歳)
10~11(歳)
12~14(歳)
15~17(歳)
18~29(歳)4030
30~49(歳)4030
50~69(歳)4030
70以上(歳)3525
妊婦
授乳婦

セレン

年齢等セレン(μg/日)
男性女性
推奨量耐容上限量推奨量耐容上限量
0~5(月)
6~11(月)
1~2(歳)10501050
3~5(歳)1570 1570
6~7(歳)1510015100
8~9(歳)2012020120
10~11(歳)2516020150
12~14(歳)3021025200
15~17(歳)3526025220
18~29(歳)3028025220
30~49(歳)3030025230
50~69(歳)3028025230
70以上(歳)3026025210
妊婦(付加量)+5
授乳婦(付加量)+20

モリブデン

年齢等モリブデン(μg/日)
男性女性
推奨量耐容上限量推奨量耐容上限量
0~5(月)
6~11(月)
1~2(歳)
3~5(歳)
6~7(歳)
8~9(歳)
10~11(歳)
12~14(歳)
15~17(歳)
18~29(歳)2555020450
30~49(歳)3060025500
50~69(歳)2560025500
70以上(歳)2555020450
妊婦(付加量)
授乳婦(付加量)+3

出典:厚生労働省【鉄の食事摂取基準(mg/日)1

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微量元素の摂取量の現状

現状として微量元素の摂取量が不足している結果が出ています。
具体的には以下の通りです。

一日一人当たりの微量元素摂取量

平成5年、鳥取大学の調査で1日1人当たりの微量元素摂取量について報告しています。
詳細は以下の表の通りです。

微量元素平均摂取量

(平均値±SD)

摂取推奨量微量元素平均摂取量

(平均値±SD)

摂取推奨量
亜鉛(mg)9.03±3.238~11セレン(μg) 154.7±81.725~30
銅(mg)1.42±0.480.7~0.9モリブデン(μg)298.9±87.725~30
マンガン(mg)3.97±1.573.5~4.0クロム(μg)116.5±34.910
アルミニウム(mg)4.63±3.90コバルト(μg)3.29±3.60

出典:日本公衆衛生学会【栄養調査データによる一般住民の微量元素摂取量の 推定と所要量

平均値で示すとセレン、モリブデン、クロムは摂取推奨量を上回る結果になっています。
しかし、亜鉛や銅、マンガンは平均値と摂取推奨量がほとんど変わりません。
そのため、不足している方もいることが予測されます。

鉄は女性に不足しがち

女性の1人1日あたりの鉄分摂取量は全年齢で7.3mgとやや低い値となっています。

特に初潮の始まる10代前後では6.3mgで摂取推奨量の10.0gに届いていません。
20歳〜59歳は6.2〜7.2mgで月経時摂取推奨量の10.5gに届いていません。

上記より女性において鉄は不足しがちになっています。
適切に鉄分補給できるよう食事やサプリメントの摂取に心がけましょう。

出典:厚生労働省【令和元年 国民健康・栄養調査結果の概要

亜鉛・銅の不足にも注意しよう

上記より1日1人当たりの亜鉛や銅の摂取量平均値は摂取推奨量とほとんど変わりません。
亜鉛、銅とも約7割の方が摂取推奨量に届いていない結果となっています。

慢性的な亜鉛や銅の不足が味覚障害や低身長につながる可能性があります。
偏食せず亜鉛や銅を含む魚介類などを中心に規則正しい食生活を心がけましょう。

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微量元素まとめ

ここまで微量元素についてお伝えしてきました。
微量元素の要点をまとめると以下の通りです。

  • 微量元素は8種類あり、免疫機能や骨を作るなど様々な作用がある
  • 微量元素が不足、過剰摂取すると味覚障害や低身長など様々な症状が生じてしまう
  • 女性は鉄分、また共通し亜鉛や銅が不足しやすい

これらの情報が少しでも皆さまのお役に立てば幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。

監修者 メディカル・ケア・サービス

  • 認知症高齢者対応のグループホーム運営
  • 自立支援ケア
  • 学研グループと融合したメディア
  • 出版事業
  • 社名: メディカル・ケア・サービス株式会社
  • 設立: 1999年11月24日
  • 代表取締役社長: 山本 教雄
  • 本社: 〒330-6029埼玉県さいたま市中央区新都心11-2ランド·アクシス·タワー29F
  • グループホーム展開
  • 介護付有料老人ホーム展開
  • 小規模多機能型居宅介護
  • その他介護事業所運営
  • 食事管理
  • 栄養提供
  • 福祉用具販売
  • 障がい者雇用

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