グリシンとは、非必須アミノ酸の1つになります。
非必須アミノ酸とは、体内で合成できるアミノ酸のことをいいます。
では、グリシンにはどのような効果があるのでしょうか?
本記事では、グリシンについて以下の点を中心にご紹介します。
- グリシンとは
- グリシンの3つの効果
- グリシンが豊富に含まれる食品
グリシンについて理解するためにもご参考いただけますと幸いです。
ぜひ最後までお読みください。
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グリシンとは
グリシンの基本情報について
- グリシンとは
- グリシンの働き
それぞれ説明します。
グリシンとは
グリシンとは、体内で合成できる非必須アミノ酸の1つになります。
アミノ酸には、
- 必須アミノ酸
- 非必須アミノ酸
の2種類があります。
必須アミノ酸は9種類あり、体内で作ることができないため、食事などからとる必要があります。
非必須アミノ酸は11種類あり、体内で作ることができます。
グリシンはアミノ酸の中で最も小さく、単純な構造を持っています。
グリシンは1日に数十グラム体内で作られ、さまざまな働きを担っています。
また、DNAやRNAなどの核酸の合成にも必要な成分です。
例えば、全身に酸素を運ぶヘモグロビンや、筋肉の収縮のためのエネルギー源として使用されます。
そのほか、皮膚のタンパク質であるコラーゲンを構成するアミノ酸のおよそ3分の1はグリシンで構成されています。
また、神経伝達物質としても働き、運動、感覚、呼吸といった機能にも関わっています。
グリシンの働き
グリシンは、脳幹や脊椎に多く存在しており、中枢神経で抑制系の神経伝達物質として働いています。
また、前述した通り、グリシンはコラーゲンの中でおよそ約3分の1を占めています。
そのため、美肌を保つだけでなく、コラーゲンが存在する関節にも重要な働きをしています。
また、生活習慣病や老化の原因となる活性酸素を抑える抗酸化作用があります。
そのほか、グリシンはコレステロール値を下げる効果もあります。
そのため、高血圧や脳卒中などの生活習慣病の予防につながります。
さらに、皮膚炎、湿疹、口内炎の改善に使用される医薬品の材料としても活用されており、さまざまな働きがあります。
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グリシンの3つの効果
グリシンには
- 睡眠の質を高める
- 抗うつ効果
- 美肌効果
の3つの効果があります。
それぞれ見ていきましょう。
睡眠の質を高める
グリシンはスムーズに睡眠に入りやすくし、睡眠の質を高める効果があります。
グリシンは、血管を拡張させて表面の体温の上昇を促し、体内の熱を放出します。
体内の熱を放出することで、深部体温の温度を下げることができます。
人間の体は眠りに入るとき、自然と体内の温度を下げます。
そのため、グリシンを摂取すると自然な睡眠につながります。
普段、睡眠不足の方を対象に就寝前にグリシンを含む食事とグリシンを含まない食事を摂取した調査があります。
調査の結果、グリシンを含む食事を摂取した方は、翌朝の疲労感や眠気が減り、仕事の効率が良くなる結果となりました。
また、グリシンを摂取することで、質の良い眠りに重要なノンレム睡眠の時間も増加しました。
以上のことから、グリシンを摂取することで、良質な睡眠が得られます。
また、睡眠中に作られる身長の成長や筋肉の形成に重要な成長ホルモンの分泌を促進する効果もあります。
抗うつ効果
グリシンには、脳内の神経伝達物質であるセロトニンを増加させる効果があります。
セロトニンは不足するとうつ症状を引き起こしてしまいます。
そのため、セロトニンを増加させることで、抗うつ効果があるとされています。
また、グリシンは神経の高まりを抑えて、不安な気持ちを抑制する働きがあります。
グリシンは、中枢神経系に存在するNMDA受容体に結合することで、抑制性神経伝達を調整します。
グリシンを摂取することで、不安感や恐怖などの感情を抑え、精神を安定させます。
美肌効果
グリシンは、皮膚のコラーゲンを構成するアミノ酸のうちおよそ3分の1を占めています。
肌は表面から
- 厚さ約0.01mmの角質層
- 厚さ約0.1mmの表皮層
- 厚さ2~3mmの真皮層
に分かれています。
コラーゲンは肌の真皮層の大部分を占めており、肌の弾力を維持する大切な成分です。
グリシンは、コラーゲンを生成しているため、肌のハリや弾力を維持するのに重要な成分です。
また、角質層の細胞はケラチン繊維と線維間物質から構成されています。
線維間物質には、肌のうるおいを保つ天然保湿成分が存在します。
アミノ酸の1つであるグリシンは、天然保湿成分の約40%を占めています。
グリシンを摂取することで、角質層に含まれるアミノ酸が保たれ美肌につながります。
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グリシンが多く含まれる食品
グリシンが多く含まれる食品には
- 牛スジ
- 鶏軟骨
- 豚足
- エビ
- カニ
などがあります。
それぞれ説明します。
牛スジ
牛スジ100gあたりのグリシンの含有量は1200mgです。
グリシンは、牛などの肉類から摂取しやすくなっています。
牛スジ以外にも牛もも肉などにも豊富に含まれています。
また、アミノ酸の代謝を促すビタミンB2は牛肉に多く含まれているため、グリシンを効率よく摂れます。
鶏軟骨
鶏軟骨100gあたりのグリシンの含有量は3900mgです。
グリシンは、鶏のもも肉や手羽先などに多く含まれています。
豚足
豚足100gあたりグリシンの含有量は3900mgです。
グリシンは、豚の軟骨やゼラチンに豊富に含まれています。
豚肉に含まれるビタミンB2は、アミノ酸の代謝を促すため、効率よくグリシンを摂取できます。
エビ
エビ100gあたりのグリシンの含有量は2600mgです。
魚介類の中では、エビのほかにほたて、するめ、タラ、サバなどに多く含まれています。
ゼラチンや軟骨は、多量に摂ることが難しいため、魚介類をメインに摂取すると良いでしょう。
カニ
カニ100gあたりのグリシンの含有量は3400mgです。
カニは、多量に摂ることが難しいでしょう。
そのため、魚介類や肉類を中心に摂取することがおすすめです。
また、グリシンはパルメザン、チェダーチーズなどのナチュラルチーズにも豊富に含まれています。
アミノ酸が摂れる食品により興味のある方は、こちらの記事も合わせてお読みください。
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グリシンは体に悪い?不足するとどうなるの?
グリシンについて
- 過剰摂取した場合
- 不足している場合
それぞれ説明します。
過剰摂取した場合
グリシンは、食品に多く含まれていますが、普通の食事だけでは過剰摂取にはならないと考えられています。
そのため、過剰摂取による副作用の問題はありません。
しかし、グリシンを大量に投与した動物実験では、呼吸筋にマヒが起こる可能性があることが報告されています。
サプリメントや健康食品を利用してグリシンを摂る場合は、1日の摂取用量を守りましょう。
不足している場合
グリシンが不足すると、細胞分裂に支障が出てしまいます。
グリシンの不足は、老化の要因となり、健康面での不安や美容の悩みが発生する可能性があります。
また、睡眠の質にも影響する可能性があるため、不足しないように意識的に摂ることが大切です。
グリシンは体内で作られる成分のため、基本的な食事を摂っていればグリシンが不足することはないとされています。
しかし、ダイエット中で食事制限をしている方や偏った食生活をしている方は注意が必要です。
食事制限や偏った食生活では、グリシンが不足している可能性があります。
グリシンが不足していると、睡眠障害や肌荒れや老化の促進につながってしまいます。
グリシンの目安摂取量
グリシンには、1日あたりの目安摂取量は定められていません。
サプリメントの場合は、製品にもよりますが1日あたり3000mgの目安摂取量が推奨されています。
グリシンのサプリメントでの目安摂取量は、男女差はありません。
そのため、成人男性、成人女性ともに目安摂取量は3000mgとなります。
グリシンを多く含む食品を意識して摂り、不足分をサプリメントで補うと良いでしょう。
グリシンの効率を上げる摂取タイミング
グリシンは、基本は食事で摂りつつ、不足分をサプリメントや健康食品で補いましょう。
グリシンの効率を上げるサプリメントの摂取タイミングは、就寝の30分~1時間前に服用しましょう。
食事でグリシンを摂るときは、魚介類や肉類などを食べるのが基本となります。
しかし、食事だけではグリシンを摂取するのが難しいため、サプリメントや健康食品で摂ると効率的です。
また、就寝前はカフェインが入っているお茶やコーヒーの摂取を控えるようにしましょう。
カフェインやアルコールは、睡眠を妨げる原因となります。
そのほか、アミノ酸代謝を促すビタミンB2やビタミンB6が豊富な食品も一緒に摂りましょう。
ビタミンB2やビタミンB6を摂ることで、グリシンを効率よく摂取できます。
サプリメントについて詳しく知りたい方は、こちらの記事も合わせてお読みください。
グリシンは調味料として添加されている
グルタミルバリルグリシンは、「グルタミン酸、バリン、グリシン」が結合した物質のことをいいます。
主にホタテ貝や魚醬などに含まれています。
グルタミルバリルグリシンは、厚生労働省の食品添加物認可を取得しています。
グルタミルバリルグリシン自体には味はなく、調理で加えたときに糖分や油分と結びつける働きがあります。
糖分や油分と結びつくことでコクを生み出します。
グルタミルバリルグリシンを少量加えることで、食品にコクを生み、食品の品質改善につながります。
また、減脂肪食品などにコクを付与することで、おいしさを生み出すことができます。
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グリシンのまとめ
今回は、グリシンの情報を中心にお伝えしました。
要点を以下にまとめます。
- グリシンは、非必須アミノの1つでコレステロール値を下げ、抗酸化作用の役割がある
- グリシンは、睡眠の質を高め、抗うつ効果、美肌効果がある
- グリシンが豊富に含まれる食品には、牛スジ、鶏軟骨、豚足、エビ、カニがある
これらの情報が少しでも皆様のお役に立てば幸いです。
最後までお読みいただきありがとうございました。