アルギニンは、タンパク質を構成するアミノ酸の一種です。
「アルギニンは、どんな効果が期待できるの?」と疑問を持つことがあると思いますが、実は、アルギニンには成長ホルモンの分泌を促進する効果があります。
本記事では、アルギニンの効果と食べ物について、以下の点を中心にご紹介します。
- アルギニンが含まれている食べ物
- アルギニンにはどのような効果があるのか
- アルギニンを効果的に摂取する方法
また、アルギニンの過剰摂取や栄養不足についても紹介しています。
ぜひ最後までお読みください。
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アルギニンの基本情報
アルギニンは、1886年にマメ科の植物として知られているルピナスの芽から抽出されたアミノ酸です。
また、アルギニンは体内で生成できる非必須アミノ酸の一種です。
アルギニンの摂取により、脳下垂体が刺激され、成長ホルモン分泌が促進されます。
そのため、加齢とともに減少する傾向にある成長ホルモンを補うことが可能です。
また、アルギニンは、成長ホルモンの分泌を促すことにより、筋肉の強化、免疫力の向上にも役立つといわれています。
さらに、アルギニンには、アンモニアの毒素を解毒する作用があります。
そのほか、アルギニンは、高いストレス時の体力消耗や大きなケガをしている場合は、充分に合成できなくなるアミノ酸のため、注意が必要です。
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アルギニンが多く含まれる食べ物
アルギニンは、タンパク質を構成するアミノ酸のため、タンパク質の含有量が多い食品に多く含まれています。
まずは、アルギニンが豊富に含まれている各食品について見ていきましょう。
鶏肉
タンパク質が豊富な食材の肉類ですが、アルギニン摂取にも欠かせません。
可食部100gの鶏肉に含まれているアルギニン量は、下記のとおりです。
鶏肉の部位、メニューの品目 | 可食部100g含有量(㎎) |
[親・主品目]/手羽/皮つき/生 | 1,700 |
[親・主品目]/むね/皮つき/生 | 1,200 |
[親・主品目]/むね/皮なし/生 | 1,500 |
[親・主品目]/もも/皮つき/生 | 1,400 |
[親・主品目]/もも/皮なし/生 | 1,500 |
[親・副品目]/ささみ/生 | 1,600 |
[若どり・主品目]/手羽/皮つき/生 | 1,300 |
[若どり・主品目]/むね/皮つき/生 | 1,300 |
[若どり・主品目]/むね/皮なし/生 | 1,500 |
[若どり・主品目]/もも/皮つき/生 | 1,400 |
[若どり・主品目]/もも/皮つき/焼き | 2,100 |
[若どり・主品目]/もも/皮つき/ゆで | 1,800 |
[若どり・主品目]/もも/皮なし/生 | 1,300 |
[若どり・主品目]/もも/皮なし/焼き | 1,700 |
[若どり・主品目]/もも/皮なし/ゆで | 1,700 |
[若どり・副品目]/ささみ/生 | 1,600 |
[若どり・副品目]/ささみ/焼き | 2,100 |
[若どり・副品目]/ささみ/ゆで | 2,000 |
[若どり・主品目]/手羽さき/皮つき/生 | 1,400 |
[若どり・主品目]/手羽もと/皮つき/生 | 1,300 |
[若どり・主品目]/むね/皮つき/焼き | 2,300 |
[若どり・主品目]/むね/皮なし/焼き | 2,600 |
[若どり・主品目]/もも/皮つき/から揚げ | 1,500 |
[若どり・主品目]/もも/皮なし/から揚げ | 1,500 |
また、上記の数値は、調理方法によって差が出るため注意しましょう。
うなぎ
うなぎなどの魚介類も、豊富にタンパク質が含まれています。
うなぎは、肉類と比べると高い頻度で食べることはできませんが、アルギニンの摂取が可能です。
うなぎ(養殖、生)の可食部100gあたりのアルギニンの含有量は、1,100㎎になります。
にんにく
にんにくは、アルギニンが含まれている食材のひとつです。
りん茎、生のにんにくは、可食部100gあたりで1,000㎎ほどアルギニンが含まれています。
にんにくが入った料理を調理することで、効率的に摂取しやすいでしょう。
大豆
大豆も貴重なタンパク質の源であり、アルギニンが含まれている食品のひとつです。
植物性のタンパク質、アミノ酸になります。
大豆の可食部100gあたりのアルギニン含有量は、2,700㎎です。
肉類を中心とする食事では、脂質・コレステロールの過剰摂取になりがちです。
そのため、植物性の摂取とバランスをとることで、アルギニンを効率よく摂取できます。
納豆(ひきわり)
同じく、大豆製品の納豆もタンパク質の源であり、アルギニンの摂取がしやすい食品です。
可食部100gあたりの、含有量は1,000㎎になります。
納豆も、脂質・コレステロールを抑えながら摂取することが可能です。
高野豆腐
大豆製品のなかで、最もアルギニンが多く含まれているのが高野豆腐です。
どれくらい多いのかについては、その他の大豆製品を下記表で、比較するとわかります。
大豆製品 | 可食部100g含有量(㎎) |
豆腐 | 600 |
豆乳 | 300 |
油揚げ | 2,000 |
淡色辛みそ | 930 |
これらの数値と比べて高野豆腐は、4,100㎎と圧倒的に高い数値のため、アルギニン摂取にうってつけの食材といえるでしょう。
えび
前述したとおりで、魚介類もアルギニンを摂取しやすい食べ物です。
えびは生で摂取した場合、可食部100gあたり含有量1,800㎎になります。
ごま
ごまは100gで3,000㎎のアルギニンの摂取が可能です。
主食にはなりませんが、おかずの1品として、アルギニンを補充することに優れています。
ナッツ類
おつまみとしてよく食べられるナッツ類ですが、アルギニンの補充もできます。
カシューナッツの場合は、可食部100gあたりで2,400㎎の摂取が可能です。
その他のナッツ類については、下記のとおりになります。
ナッツの種類 | 可食部100g含有量(㎎) |
マカダミアナッツ/いり/味付け | 1,200 |
らっかせい/大粒種/乾 | 3,300 |
らっかせい/大粒種/いり | 3,200 |
らっかせい/バターピーナッツ | 3,000 |
らっかせい/ピーナッツバター | 2,700 |
ヘーゼルナッツ/いり | 1,700 |
牛乳
牛乳にも、100g中に110㎎のアルギニンが含まれています。
朝食時にパンなどと一緒に食べると、効率的にアルギニンが摂れます。
ゼラチン
ゼラチンは、動物の骨・皮などに含まれるコラーゲンというタンパク質からできています。
アルギニンも含まれているので、デザートにより効率的に摂取できるでしょう。
デザートの種類 | 可食部100g含有量(㎎) |
デザート菓子類/ゼリー/オレンジ | 190 |
デザート菓子類/ゼリー/コーヒー | 130 |
デザート菓子類/ゼリー/ミルク | 250 |
デザート菓子類/ゼリー/ワイン | 160 |
出典:文部科学省「日本食品標準成分表2020年版(八訂)」
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アルギニンの目安摂取量
厚生労働省の食事摂取基準等では、正確な食べ物の摂取量は決められておりません。
しかし、効果を発揮する摂取量は1日に2,000〜4,000㎎以上といわれています。
アルギニンを約1,000㎎摂取できる代表的な食べ物の例は、下記のとおりです。
- 豚肉(ロース)薄切り4枚
- マグロなら刺身7切れ
- 卵2〜3個分
- 牛肉(ひき肉)ハンバーグ1個分
ただし、食べ物のみで毎回の摂取が難しい場合は、サプリメントでカバーすると良いでしょう。
アルギニンの効率を上げる摂取タイミング
効率を上げるためには、食べ物以外に、アルギニンを摂取するタイミングも重要です。
まずは、下記のタイミングで、アルギニンを摂るように意識しましょう。
- 運動の前後
- 就寝前
運動の前後
アルギニンは、運動前後に摂ることで、効果を発揮します。
血中のアンモニア濃度の増加を抑えることが出来るため、疲労回復にも効果的です。
他に、運動後に得られる効果については、代謝を良くして脂肪燃焼も期待できます。
このように、運動とアルギニンは相乗効果が生み出せるため、うまく活用しましょう。
また、運動時には、サプリメントを使うことで効率的に摂取ができるでしょう。
就寝前
就寝前のアルギニン摂取も、成長ホルモンの分泌を促進できるため効果的です。
ホルモン分泌は、加齢とともに減少し、特に40代以降は減少する傾向にあるため、意識して摂取すると良いでしょう。
ただし、胃に負担がかかるため、プロテインが強化されたドリンクやアルギニン含有量の多いヨーグルトなどの軽いものから摂ることをおすすめします。
アルギニンはクエン酸と摂取すると良い
アルギニンは、アンモニアの代謝や尿素の合成に係わる尿素回路の中間体です。
尿素回路とは、アミノ酸の分解により、作られたアンモニアを解毒した尿素へと変える代謝サイクルのことを指します。
アルギニンは、その解毒を行う代謝のサイクルを助ける役割が期待できます。
アルギニンなどの非必須アミノ酸は、クエン酸回路の両性代謝中間体から合成されます。
しかし、体内で生成できる量では十分ではありません。
そのため、アルギニンはクエン酸と一緒に摂取すると良いといわれています。
アルギニンの6つの効果
アルギニンを含む食べ物を摂取することで、さまざまな効果が得られます。
アルギニンの効果として、主に以下の6つが挙げられます。
- 成長ホルモンの分泌促進
- アンモニアの解毒
- 免疫力の向上
- 疲労回復
- 血流の改善
- 美容効果
それでは、それぞれの特徴を見ていきましょう。
成長ホルモンの分泌促進
成長ホルモンは、脳下垂体から分泌される構造になっています。
アルギニンの効果により、分泌を促進させて、病気への免疫力・体の治癒能力を向上させることが可能です。
ほかにも、筋肉の増強や脂肪の代謝が良くなるなど、恩恵は計り知れません。
アンモニアの解毒
肝臓では、オルニチン回路がアンモニアを解毒しますが、アルギニンにも同じ作用が発見されました。
オルニチン回路は、クエン酸回路とともに肝臓をクリーンにします。
同様に、アルギニンにも、アンモニア濃度を下げる作用が発見されています。
そのため、肝臓を正常に維持する助けになるでしょう。
免疫力の向上
アルギニンには、マクロファージという免疫細胞を活発にさせる作用があります。
マクロファージとは、細菌・ウィルスなどと戦う白血球のことです。
マクロファージを活発にさせることが、アルギニンが免疫力の向上につながる理由になります。
さらに、アルギニンには体組織を修復するポリアミンを合成することにも関わりがあるため、人の体にとっては非常にありがたい成分です。
疲労回復
疲労回復にも、アルギニンは効果が期待できます。
血中アンモニア濃度が高まると、運動時に疲労の原因になるのですが、濃度を下げて疲労感を低減させることも可能です。
血流の改善
アルギニンは、体内で一酸化炭素をつくり体循環や血圧の調整を行います。
一酸化炭素は、血管を拡張し、血液の流れをスムーズにすることが可能です。
つまり、アルギニンを摂取することで血流が安定するため、生活習慣病のリスクが低減できます。
美容効果
アルギニンは、美容面にもメリットがあるといわれています。
肌は、角質層、表皮層、真皮層の各層に分けられており、乾燥肌は角質層の水分が不足していることを示しています。
アルギニンは、天然保湿成分によって角質層の保湿が可能です。
また、ある研究では、アルギニンを含有したクリームを21日間塗布したところ、肌荒れの改善があったことも判明しています。
アルギニンが過剰・不足するとどうなる?
アルギニンを含む食べ物の摂取に、効果があるといっても適切な量を守ることも大切です。
最後に、過剰摂取と過不足した際に、身体に起こる変化について説明していきます。
過剰摂取した場合
アルギニンは、アルカリ性という性質上、弱酸性の消化器官に影響が及びます。
胃腸が弱っている場合、下痢を引き起こす可能性があるため注意しましょう。
不足している場合
一方で、アルギニンが不足すると、体の成長が阻害されたり、動脈硬化などの生活習慣病のリスクが高まったりするため、適切な量を守りましょう。
前半で、解説したアルギニンを含む食べ物が参考になります。
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アルギニンの食べ物のまとめ
今回は、アルギニンの効果と食べ物についてご紹介しました。
アルギニンの効果と食べ物についての要点を以下にまとめます。
- アルギニンは、「豚肉、牛肉、卵、マグロ」などの代表的な食べ物から摂取可能
- アルギニンは、脳下垂体を刺激し成長ホルモンを分泌させる効果がある
- 基本は、食べ物での摂取を心掛けて、不足時はサプリメントを摂ることがおすすめ
これらの情報が少しでも皆さまのお役に立てば幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。