不飽和脂肪酸は脂質を構成する脂肪酸の中の1つです。
摂取することで、悪玉コレステロールの減少や血圧を下げてくれるうれしい効果があります。
では、不飽和脂肪酸が含まれた食品は何を摂ればよいのでしょうか?
また、不飽和脂肪酸の摂取量や注意点はあるのでしょうか?
本記事では、不飽和脂肪酸について以下の点を中心にご紹介します。
- 不飽和脂肪酸とは
- 不飽和脂肪酸の種類や多く含む食品とは
- 不飽和脂肪酸の上手な摂り方
不飽和脂肪酸について理解するためにもご参考いただけますと幸いです。
ぜひ最後までお読みください。
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不飽和脂肪酸とは
脂質を構成する成分の一つに脂肪酸があります。
脂肪酸は、飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸の2つに分かれています。
不飽和脂肪酸は、主に魚や植物に多く含まれています。
体内で生成できないため食事から摂取する必要があります。
また、不飽和脂肪酸には血圧やコレステロールを下げる効果もあります。
つまり、不飽和脂肪酸は健康的な生活を送る上で欠かせない成分となっています。
他にも不飽和脂肪酸は、一部の炭素同士が結合した二重結合を持っていることが特徴です。
炭素同士で結合した不飽和脂肪酸には水素が不足しているため、化学的に不安定な性質です。
そのため、空気や熱に触れると酸化しやすくなるので、ドレッシングなど加熱しない状態で摂取するのがよいでしょう。
この記事の監修・取材協力さわだクリニック 院長澤田 樹佳 先生2002年に金沢大学医学部を卒業後、様々な病院への勤務を経て2018年にさわだクリニックを開院。内科疾患治療、泌尿器科疾患治療、AGA治療まで幅広い診療を[…]
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不飽和脂肪酸の種類
不飽和脂肪酸は二重結合の数によって、一価不飽和脂肪酸と多価不飽和脂肪酸に分けられています。
それぞれどんな違いがあるのか確認してみましょう。
一価不飽和脂肪酸
不飽和脂肪酸の中でも炭素の二重結合が1個つしかないのが、一価不飽和脂肪酸です。
一価不飽和脂肪酸には、ミリストオレイン酸、パルミトオレイン酸、オレイン酸、エルカ酸など様々な成分があります。
中でも、オレイン酸は日本人が摂取する一価不飽和脂肪酸の88%を占めています。
オレイン酸が多く含まれた食材には、オリーブオイルがあげられます。
一価不飽和脂肪酸を摂取することで、動脈硬化や脳梗塞を引き起こすLDLコレステロールを下げる効果があります。
多価不飽和脂肪酸
不飽和脂肪酸の中でも、炭素の二重結合が2個以上あるのが多価不飽和脂肪酸です。
さらに、多価不飽和脂肪酸は、n-3系脂肪酸とn-6系脂肪酸の2つに分けられています。
それぞれに特徴があるので1つずつ紹介します。
n-3系脂肪酸
まずは、n-3系脂肪酸です。
n-3系脂肪酸は、α-リノレン酸や魚介を由来としたEPA、DPA、DHAがあります。
- α-リノシン酸
- EPA(エイコサペンタエン酸)
- DPA(ドコサペンタエン酸)
- DHA(ドコサヘキサエン酸)
中でもα-リノレン酸は、総n-3系脂肪酸の摂取量のうち59%を占めています。
n-3系脂肪酸には体の機能を健康に保つ上で欠かせない成分であり、以下の効果が期待できます。
- 血液中の中性脂肪値低下
- 不整脈の防止
- 血管内皮細胞の機能改善
- 血栓の生成防止
血栓は日常生活でも気づきにくい症状のため、日頃からの予防が重要です。
n-3系脂肪酸をとることで、心筋梗塞や脳梗塞などのリスクを少しでも減らすことにつながります。
n-6系脂肪酸
次に紹介するのが、n-6系脂肪酸です。
n-6系脂肪酸は、リノール酸 γ-リノレン酸、アラキドン酸があります。
中でもリノール酸は代表的な成分で、日本人が摂取しているn-6系脂肪酸の98%を占めています。
リノール酸はコーン油や大豆油、紅花から抽出されるサフラワー油で摂取することが可能です。
それぞれの特徴を紹介しましたが、n-3系脂肪酸とn-6系脂肪酸には他にも体の炎症を抑える効果があります。
しかし、その反面欠乏すると皮膚炎を発症しやすくなるため、日々の摂取を心がけましょう。
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不飽和脂肪酸の効果
不飽和脂肪酸は、摂取すると健康によい効果がたくさんあります。
気になる効果は以下の通りです。
- 美肌効果がある
- 血圧を下げる
- 中性脂肪が減少する
- 悪玉LDLコレステロール減らす
- 鼻炎などのアレルギー症状を抑制する
- 動脈硬化を抑制する
- 便秘を解消する
不飽和脂肪酸は、皮膚の炎症を抑えます。
そのため、不飽和脂肪酸には美肌効果があります。
さらに、鼻炎などのアレルギーにも効果があります。
また、不飽和脂肪酸は悪玉と呼ばれるLDLコレステロールを減らします。
つまり、生活習慣病や脳卒中の予防にもなるため積極的な摂取が必要です。
この記事の監修・取材協力さわだクリニック 院長澤田 樹佳 先生2002年に金沢大学医学部を卒業後、様々な病院への勤務を経て2018年にさわだクリニックを開院。内科疾患治療、泌尿器科疾患治療、AGA治療まで幅広い診療を[…]
飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸の違い
飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸は、含まれる食品によって違います。
まず、飽和脂肪酸の場合は、肉や牛乳など動物油に多く含まれているのが特徴です。
飽和脂肪酸は熱や空気に触れても酸化しにくいため、揚げ物や炒め物の調理がおすすめです。
ただし、飽和脂肪酸は摂りすぎるとLDLコレステロールの濃度が上がりやすくなります。
LDLコレステロールが多くなると、冠動脈疾患のリスクが高まるため、バランスのよい食事を心がけましょう。
一方、不飽和脂肪酸の場合は、オリーブオイルなどの植物油に多く含まれています。
不飽和脂肪酸は酸化しやすいため、炒めずにサラダやスープにそのままかけて使うのがおすすめです。
しかし、不飽和脂肪酸を摂りすぎてしまうと摂取カロリーが増え、肥満につながるため適度に摂取しましょう。
食事や料理をする際は、動物性や植物性に注目しながらそれぞれに合う調理方法を試してみてください。
不飽和脂肪酸が多く含まれる食品一覧
不飽和脂肪酸は様々な食べ物に多く含まれています。
さっそく、どんな食品があるのか見ていきましょう。
食べ物
不飽和脂肪酸は以下の食品に多く含まれています。
- アーモンド
- ピーナッツ
- ピスタチオ
- アボカド
- 青魚
ナッツ類は、おやつや間食に摂取ができるためとても便利です。
また、青魚が苦手な人もナッツで手軽に不飽和脂肪酸を摂取できるのがいいですよね。
他にも、サラダにアボカドやナッツを入れ、オリーブオイルのドレッシングを使えば一品でしっかり不飽和脂肪酸を摂取できます。
もし、普段から肉料理が多い人は焼き魚や煮魚をメインにするのもおすすめです。
食の好みに合わせて、手軽に不飽和脂肪酸を摂取しましょう。
代表的な油脂
油脂の中でも、不飽和脂肪酸が豊富に含まれているのは以下があります。
- オリーブオイル
- ココナッツオイル
- パーム油
- 大豆油
- ナタネ油
調理や好みによって油を使い分けて、普段の生活から不飽和脂肪酸を取るよう心がけましょう。
他にも油脂では、バターやマーガリンを使いがちですが、健康面を考えると摂取は控えた方がよいでしょう。
バターやマーガリンは酸化を防いだり一定の温度でとけるよう水素添加の加工がされた際に、トランス脂肪酸が含まれます。
トランス脂肪酸を多く摂取する国の研究によると、過剰摂取により心筋梗塞などの冠動脈疾患が増えるリスクが報告されています。
日本ではトランス脂肪酸の摂取が世界水準よりも低くなっていますが、健康的な生活を送るためにも、なるべくトランス脂肪酸の摂取を減らしましょう。
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不飽和脂肪酸の上手な摂り方
健康によい影響のある不飽和脂肪酸ですが、摂りすぎると肥満のリスクがあります。
そこで、不飽和脂肪酸を上手に摂るためにすべきことや、過剰摂取で起こるリスクについて紹介します。
不飽和脂肪酸の適正な一日の摂取量は?
脂質および飽和脂肪酸や不飽和脂肪酸は、健康的な生活を送る上で適切な摂取が必要です。
それぞれの上限や目安量を紹介します。
性別 | 男性 | 女性 | ||||||||
年齢 | 18~29 | 30~49 | 50~64 | 65~74 | 75以上 | 18~29 | 30~49 | 50~64 | 65~74 | 75以上 |
脂質エネルギー比率(%) | 20%以上30%未満 | 20%以上30%未満 | ||||||||
飽和脂肪酸エネルギー比率(%) | 7%以下 | 7%以下 | ||||||||
n-3系脂肪酸(g/日) | 2.0g | 2.2g | 2.1g | 1.6g | 1.9g | 2.0g | 1.8g | |||
n-6系脂肪酸(g/日) | 11g | 10g | 9g | 8g | 8g | 7g |
出典:厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2025年版)」
脂質と飽和脂肪酸は、1日の総エネルギーに対して摂取すべき目標の量です。
脂質は体内で生成ができないため、体の機能を維持するエネルギーとして最低限摂取が必要です。
しかし飽和脂肪酸については、摂りすぎると脂質異常や脳梗塞などのリスクが上がるため、目標量よりも少ない範囲で摂取することが理想とされています。
7%以下を守って摂取を心がけましょう。
一方で、n-3系脂肪酸やn-6系脂肪酸については、目標ではなく目安量としています。
これは必要な量を出せる研究結果がないため、日本人が現在摂取している中央値を目安としているからです。
n-3系脂肪酸やn-6系脂肪酸は欠乏すると、皮膚炎になりやすいため目安量を守ってしっかり摂取しましょう。
不飽和脂肪酸を摂りすぎるとどうなる?
不飽和脂肪酸は摂取量の上限が設定されていません。
しかし、脂質は1gあたり9kcalと、たんぱく質や糖質よりも2倍以上のカロリーがあります。
摂りすぎると、肥満や生活習慣病のリスクが高まるため注意が必要です。
食事で不飽和脂肪酸をとる場合は、過剰摂取にならないよう1日の目安量を参考にしましょう。
また、飽和脂肪酸の摂取が多い場合は、肉を魚に替えるなど工夫して脂質を飽和脂肪酸から不飽和脂肪酸に置き換えることも大切です。
日々の食事に気をつかい、不飽和脂肪酸を適切に取り入れた生活を送りましょう。
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不飽和脂肪酸のまとめ
ここまで不飽和脂肪酸の種類や摂取方法などを中心にお伝えしてきました。
不飽和脂肪酸の要点を以下にまとめます。
- 不飽和脂肪酸とは植物や魚の油に多く含まれる脂肪酸のこと
- 不飽和脂肪酸には一価不飽和脂肪酸と多価不飽和脂肪酸があり、ナッツ類、青魚に含まれる
- 不飽和脂肪酸には摂取上限がないが、摂りすぎると肥満になるため目安量を守って摂取することが望ましい
これらの情報が少しでも皆さまのお役に立てば幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。