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健達ねっと>健康お役立ち記事>脳卒中>くも膜下出血の原因とリスクを上げる習慣|主な症状と後遺症を説明

くも膜下出血の原因とリスクを上げる習慣|主な症状と後遺症を説明

みなさんはくも膜下出血についてどのくらいご存知でしょうか?
くも膜下出血は脳を包むくも膜という膜の下に出血が起こった状態をいいます。
くも膜下出血を発症すると、およそ半数は死亡する恐ろしい病気です。

ではどのような方が、くも膜下出血を発症しやすいのでしょうか?
今回の記事ではくも膜下出血の原因について以下の点を中心にご紹介します。

  • くも膜下出血になるとどうなるのか
  • くも膜下出血の原因やリスク因子とは
  • くも膜下出血の後遺症とは

くも膜下出血の原因やリスク因子を理解するためにも参考にしていただけますと幸いです。
ぜひ最後までお読みください。

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くも膜下出血とは

脳は軟膜・くも膜・硬膜という3つの膜に覆われています。

くも膜と軟膜の間を「くも膜下腔」といい、脳脊髄液という液体で満たされています。
この空間で出血するのが「くも膜下出血」です。

下の表を見てみると、くも膜下出血による死亡者は1960年ごろでは年間3600人程です。
しかし、1985年には1万人を超えて、現在でも毎年1万人以上の方が亡くなっています。

【くも膜下出血による年間死亡者数】

2019年2015年2010年2005年2000年1985年1960年
総数(人)1万17311万24761万35911万48831万48151万2573634
男性(人)4319464352585689554441331824
女性(人)7412783383339194927161241810

出典:e-Stat【人口動態調査 人口動態統計 確定数 死亡

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くも膜下出血になりやすい人

どのような方がくも膜下出血になりやすいのでしょうか?
過去に報告された厚労省や日本脳卒中データバンクの解析をもとにみていきましょう。

男女比では男性:女性=1:1.88と女性に多い傾向にあります。
加えて、40歳から50歳までは男女の罹患数に大きな差はありませんが、60歳以降は女性が約2~5倍と増加しています。
また、年齢別の罹患数は男女ともに50歳から60歳までの年齢で最多です。

遺伝的要因も注目されており、家族性動脈瘤の存在などが原因として指摘されています。
遺伝子レベルで複数の因子が血管機能に関与することがわかっています。

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くも膜下出血の原因の9割は脳動脈瘤の破裂

くも膜下出血は、「脳動脈瘤」という血管にできたこぶが破裂して起こることが多いです。

脳動脈瘤の破裂

くも膜下出血の原因として脳動脈瘤の破裂が最も多く、全体の8〜9割を占めます。
動脈瘤は血管が分岐しているような、構造的に弱い部分にできやすいです。

動脈瘤の壁は薄く、血圧などの上昇などにより負担がかかると破裂することもあります。

脳動静脈奇形からの出血

脳動静脈奇形もくも膜下出血の原因として知られています。
これは先天的なものですが、遺伝性はなく発症の確率もかなり低いです。

ナイダスと呼ばれる血管のかたまりに血液が流れ込むことで、血管から出血します。

頭部の損傷

頭部に外力が加わったことが原因で発症するものを「外傷性くも膜下出血」といいます。

外傷性くも膜下出血の場合、主症状は頭痛がメインとなることが多いです。
しかし、急性硬膜下血腫がある場合には歩行障害や認知機能の低下なども起こってくる可能性があるので注意しましょう。

くも膜下出血のリスクを上げる習慣

くも膜下出血の原因には高血圧など多くの環境因子が関与することが知られています。
どのような因子が悪いのか確認してみましょう。

高血圧

血圧の数値が高くなるほど、脳卒中の発症リスクも高くなることはガイドラインでも示されています。
血圧の増加は血管の壁に負担をかけるため、動脈瘤の破裂につながる大きな危険因子です。

喫煙

タバコはニコチンにより血管を収縮させます。
血圧同様に、ガイドラインにより危険因子とされています。

喫煙により発症率は2~3倍になるため、十分注意する必要があります。

過度な飲酒

飲酒も交感神経を刺激し、血圧の増加に関わります。
また、脳出血の場合は死亡リスク因子になります

ストレス

ストレスの増加も交感神経やホルモンを刺激し、血圧を上昇させるためケアが必要になります。

食生活

適切な栄養バランスは体の調子を整えます。
過食や塩分の摂取量には注意するようにしましょう。

睡眠

日々の疲れをとるうえでも睡眠は非常に大切です。

飲酒により睡眠時間が短くなったりするのは厳禁です。
飲酒と睡眠不足が重なると、発症リスクは高くなります

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くも膜下出血発症による症状

くも膜下出血の発症時には特徴的な症状があります。
主な症状には以下の3つがあります。

激しい頭痛

発症時には、突然バッドで思い切り殴られたような痛みを後頭部に感じます。

意識障害

出血量が多いと意識障害や昏睡が起こります
出血量が多すぎる場合、死に至ることもあります。

嘔吐

くも膜下出血により、くも膜下腔に血液が流れます。
くも膜下腔に血液が流れることで頭蓋内圧が亢進し、吐き気や眩暈が起こります

薬の使い方

くも膜下出血の前兆症状

基本的にくも膜下出血を発症するのに前兆はなく、殆どの場合で急に症状があらわれます
無症候性動脈瘤の方もいるように、痛みなどの症状もあまりでません。

そのようななかでも、「警告頭痛」と「目の症状」については確認しておきましょう。

警告頭痛は、くも膜下腔に少量の血液が流れることで疼痛が出現します。
普段の頭痛と少し違う感覚であれば、早めに受診して原因を調べるようにしましょう。

首を通る内頚動脈に動脈瘤ができると傍を走行する動眼神経を圧迫することがあります。
症状としては「ものが二重に見える」「瞼が下がる」などです。

この部位の動脈瘤はとても破裂しやすく、すぐに病院にいく必要があります。

その他、血圧の変動が大きいなど、いつもと違う症状がある場合は病院にいきましょう。

くも膜下出血による後遺症

くも膜下出血による後遺症には、以下のようなものがあります。

運動障害損傷を受けた脳の部位に応じて、一側の上下肢が動かしづらくなります。
嚥下障害食べたり飲んだりが難しくなります。
言語障害呂律が回らず、コミュニケーションが取りづらくなります。
高次脳機能障害脳の損傷により、動作や道具の使用などができなくなります。
失語症言葉が出にくくなる「運動性失語」と言葉を理解できない「感覚性失語」とがあります。
半側空間無視主に右側の脳にダメージを受けることで左側の空間やものを認識しづらくなります。
記憶障害道を覚えられない道順障害や見当識障害があります。
注意障害ひとつ or 複数のことに続けて注意を払ったり、注意の切り替えが上手くできません。
自発性障害自らで動き始めることができないため、運動を行う中で計画立てて動作を行えなくなります。

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くも膜下出血による死亡・重篤な後遺症は4割

くも膜下出血では30%が後遺症などもなく制限なく社会復帰できるといわれています。
しかし、発症した患者のうち4割が死亡または重篤な後遺症が残ります。

くも膜下出血後4日から14日目の間に「脳血管攣縮」が起こります。
この脳血管攣縮は、脳の血管が細くなり、脳への血流量が減少した状態です。

脳血管攣縮により、脳への血流量が減少すると、脳梗塞と同様の状態になります。
これも死亡例や後遺症例が増えるひとつの原因になります。

出典:厚生労働省 脳・心臓疾患の認定基準に関する専門検討会報告書54P

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くも膜下出血が女性に多い原因は?

くも膜下出血は、日本では女性の発症率が高くなっています。
男性に比べると女性の発症率は約1.5~2.2倍と高くなってなっています。
とくに、50~70歳の女性に多く発症しており、ピークは70歳後半となっています。

 なぜ女性は男性よりもくも膜下出血の発症率が高くなるのでしょう。
それには女性ホルモンであるエストロゲンが深く関与しているといわれています。

 女性ホルモンであるエストロゲンには「抗動脈硬化作用」があるということです。
閉経前の50歳以前では、心血管疾患にかかる割合は男性に比べて女性は低くなっています。
しかし、閉経後の50歳以降になると、エストロゲンが極端に減少してしまいます。 

抗動脈硬化作用が失われてしまうことにより、未破裂動脈瘤などが多くなります。
実際、くも膜下出血の80~85%は脳動脈瘤破裂といわれています。
また閉経後にホルモン補充療法を受けた女性は、くも膜下出血のリスクが減ったという報告もあります。 

エストロゲンは、血管壁にある受容体を通して血管の炎症を抑制しています。
しかし、閉経後は抗炎症作用が弱まり、動脈瘤の形成が進みます。
さらに動脈瘤の内部壁の炎症も強まることから、動脈瘤破裂によるくも膜下出血が起こります。

 70歳を過ぎた女性は、未破裂動脈瘤の有無を検査するため病院の受診をおすすめします。

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くも膜下出血の原因のまとめ

ここまでくも膜下出血の原因についてお伝えしてきました。
くも膜下出血とその原因の要点をまとめると以下の通りです。

  • くも膜下出血になると30%は後遺症もないが、30~40%は死亡又は後遺症が残る。
  • 原因の多くは脳動脈瘤の破裂だが、バランスよく食事や飲酒・睡眠などを意識する。
  • 発症後は脳のダメージに応じて運動・感覚障害や高次脳機能障害が出現する。

これらの情報が少しでも皆さまのお役に立てば幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。

監修者 メディカル・ケア・サービス

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