高血圧を予防するには、食事・運動・生活習慣を見直すことが大切です。
それでは具体的にどのようなことを心がけると、高血圧の予防に役立つのでしょうか。
本記事では、高血圧の予防について、以下の点を中心にご紹介します。
- 高血圧予防のための食事の見直しポイント
- 運動は高血圧の予防に役立つのか
- 高血圧予防のために気をつけたい生活習慣
高血圧の予防について理解するためにもご参考いただけますと幸いです。
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高血圧とは
高血圧とは、血圧が140mmHg/90mmHgより慢性的に高い状態です。
ちなみに血圧とは、心臓が血液を送り出すときに血管にかかる圧力です。
高血圧は重大な疾患に発展することも少なくありません。
よって、普段から予防を心がけることが大切です。
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高血圧を予防するメリット
高血圧を予防するメリットは、さまざまな身体機能を正常に維持できることです。
具体的には、
- 心臓
- 脳
- 腎臓
- 目
などの重大なトラブルを予防できます。
高血圧がおそれられているのは、動脈硬化を引き起こすためです。
動脈硬化とは、血管が本来の伸縮性を失って、固くなる状態です。
動脈硬化は全身のどの血管にも起こりえます。
硬化した血管は脆いため、ささいなダメージでも破れるおそれがあります。
そして、周囲の器官に重大な損害を与えます。
代表的なのは脳卒中です。
脳卒中とは脳の血管障害の総称です。
たとえば脳出血は、脳の血管が破れることで起こります。
あるいは動脈硬化によって血管が狭くなると、脳血管が詰まる脳梗塞に至ります。
心臓での血管トラブルは、心筋梗塞などの心疾患につながります。
また、動脈硬化が心肥大や心不全を招くことも少なくありません。
その他にも、
- 腎不全
- 網膜の出血
- 糖尿病や肥満などの生活習慣病
なども、動脈硬化によるリスクの1つです。
高血圧は動脈硬化を引き起こすことで、身体のさまざまな器官に不調をもたらします。
つまり高血圧を予防することは、動脈硬化をはじめさまざまな健康被害のリスクの低下につながります。
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高血圧を予防する食事
高血圧予防のための食事のポイントは、以下の3つです。
- 減塩する
- ミネラル類を摂る
- DASH食
それぞれ詳しくご紹介します。
減塩する
高血圧予防のためにまず気をつけるべきは、塩分を控えることです。
塩に含まれるナトリウムには、血圧を上げる作用があるためです。
ヒトの身体には、体内のナトリウム濃度を一定に保つ仕組みが備わっています。
たとえば血液中のナトリウム量が増えると、身体は体内の水分量を増やして濃度を下げようとします。
体内の水分量が増えると、比例して血液の量も増えます。
つまり、心臓は大量の血液を全身に送らなければならなくなります。
結果、心臓から血管にかかる負荷が大きくなるため、血圧は上昇します。
高血圧を予防するには、普段から意識して塩分の摂取量を減らすことが大切です。
厚生労働省の発表によると、健康な成人の1日の塩分摂取目安量は、6.5~7.5g未満です。
なお、すでに高血圧を患っている方は、健康な方よりさらに塩分を控えることを意識してください。
出典:厚生労働省「栄養・食生活と高血圧 | e-ヘルスネット」
ミネラル類を摂る
高血圧を予防するには、ミネラル類を積極的に摂りましょう。
高血圧予防に効果が高いミネラルは、
- カリウム
- マグネシウム
- カルシウム
の3つです。
特にカリウムには、塩分の吸収を抑える作用があります。
また、体内のナトリウムを尿と一緒に排出する作用も期待できます。
カリウムが豊富な食品は、
- 野菜
- 果物
- 海藻
などです。
水に溶けやすい性質があるため、茹でる・煮るなどの調理法はなるべく避けましょう。
マグネシウムには血管を広げることで、血圧を下げる作用があります。
また、カルシウム不足は血管を収縮させるため血圧が上昇しやすくなります。
カルシウムやミネラルは、
- 小魚などの魚介類
- 海藻
- 乳製品
に豊富です。
DASH食
DASH食は、高血圧予防の食事法です。
アメリカで考案され、現在では日本でも広く普及しています。
DASH食の基本的な考え方は以下の通りです。
- 塩分・炭水化物の摂取を減らす
- カリウム・マグネシウム・カルシウムを積極的に摂る
- 食物繊維を積極的に摂る
DASH食が目指すのは、まず脂質・糖質を減らすことです。
たとえば脂肪の多い肉や、糖分の多いお菓子・ジュースなどはなるべく控えます。
またDASH食では、ミネラル類と食物繊維を多く摂るよう推奨されています。
ミネラル類や食物繊維には、塩分の吸収を抑えるとともに、塩分を体外に排出する作用があるためです。
ちなみに日本人の高血圧予防には、DASH食と減塩の併用が効果的と指摘されています。
日本人は、塩分過多になりやすい傾向があるためです。
また、高血圧予防のためには、食生活以外の見直しも必要です。
たとえば、
- 適度な運動をする
- 禁酒・禁煙を意識する
- 規則正しい生活を送る
といった生活習慣を心がけましょう。
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高血圧を予防する運動
世間一般では、運動は血圧をあげるというイメージがあります。
しかし、適度な運動は、逆に血圧を下げる効果が期待できます。
高血圧予防になる運動方法は、
- 有酸素運動
- ストレッチ
などが挙げられます。
また、適していない運動についても解説していきます。
有酸素運動
有酸素運動は血圧を下げる効果が期待できます。
厚生労働省も「高血圧症の改善には毎日30分以上の有酸素運動が有効」と発表しています。
運動は一時的に血圧をあげます。
しかし適度な有酸素運動は、一定時間続けることで血圧低下の効果が期待できます。
理由は、有酸素運動中は、全身に血液・酸素を運ぶために血管が拡張されるためです。
ちなみに、有酸素運動とは、息を切らさずに長時間続けられる運動です。
高血圧予防に効果のある有酸素運動とは、
- ウォーキング
- 軽いジョギング
- 水泳・水中を歩く
- 自転車をこぐ
などがあります。
継続して30分以上運動するのが難しい方は、1日10分×3回にわけてもかまいません。
運動が苦手という方は、毎日ではなく週に1回程度から始めるのもおすすめです。
大切なのは、運動を習慣づけることです。
まずは、自分に合ったペースで運動に取り組みましょう。
なお、有酸素運動が有効なのは軽度〜中等度の高血圧症の方です。
重度の高血圧の方や心臓疾患のある方は、かえって健康を損なうことがあります。
重度の高血圧症の方などで運動を希望する場合は、まず医師に相談してください。
出典:厚生労働省「高血圧症を改善するための運動 | e-ヘルスネット」
ストレッチ
ストレッチや軽めの体操は高血圧予防に効果的です。
筋肉が伸びるときに一緒に血管も伸びるため、血流の改善が期待できます。
血流が良くなると血管への負荷が下がるため、血圧は下がります。
ストレッチ・体操は、できれば立っておこなうようなものがおすすめです。
全身を使うことで、血行が改善されやすくなるためです。
立って身体を動かすのが難しいという方には、座ったままできるストレッチもあります。
たとえば、手や足の指を握ったり開いたりする「グーパー運動」がおすすめです。
末端の血行が促進されることで、心臓に血液を送り返す力が強くなります。
とくに足の指は心臓から遠い部位です。
足先の血行を良くすると、つられて全身の血流も改善されやすくなります。
グーパー運動は1セット10回以上を目安に、気づいたときにおこないましょう。
ストレッチが難しい場合はふくらはぎなどをマッサージするだけでも、筋肉が刺激されて血流が良くなります。
適していない運動
高血圧予防に適していないのは激しい運動です。
息が激しく上がるような運動は心臓に負担をかけるため、かえって血圧が上昇しやすくなります。
高血圧予防に向いていない運動とは、たとえば以下があります。
- 腕立て伏せ
- バーベル上げ
- 激しい筋トレ
- スピード重視のマラソン
また、以下のようなタイミングでの運動も血圧上昇につながります。
- 起床直後
- 食後1時間以内
- 夏・気温が高いとき
- 冬・気温が低いとき
いずれも心臓・血管に負担をかけるタイミングですので、運動は避けてください。
なお、冬に限っては、ストレッチや準備体操を入念に行うことで身体への負荷を減らせます。
高血圧を予防するための生活習慣
食事・運動以外の高血圧予防のためのポイントを、以下の3つご紹介します。
- 腹式呼吸を心掛ける
- 十分な睡眠をとる
- 温度変化に気を付ける
それぞれ、解説していきます。
腹式呼吸を心掛ける
呼吸を意識することで、高血圧を予防できます。
具体的には、腹式呼吸を心がけましょう。
深い呼吸により、体内で血圧を下げる成分が生成されるためです。
とくに高血圧の方は、呼吸が浅くなる傾向があります。
日頃から深い呼吸を意識することで、高血圧予防に取り組みましょう。
なお、腹式呼吸のやり方は以下の通りです。
- 背筋を伸ばす
- 鼻からゆっくり息を吸う
- お腹をへこませるように口からゆっくり息を吐く
上記を繰り返します。
息を吐くときは、吸うときの2〜4倍時間をかけるのがポイントです。
十分な睡眠をとる
睡眠時間が短い方には高血圧の傾向がみられます。
高血圧予防のためには、毎日7~8時間の睡眠を得ることが大切です。
睡眠時間だけでなく、睡眠の質にも注意しましょう。
夜中に何度も目が覚めるような浅い眠りは、同じく高血圧のリスクを高めるためです。
質の高い睡眠を得るには、以下のような工夫が有効です。
- 起床したらまず朝陽を浴びる
- 就寝直前の食事・激しい運動は避ける
- 就寝1~2時間前に入浴する
- 寝室を暗くする
- 昼間によく身体を動かしておく
- 睡眠不足のときは、午後3時までに30分以内で昼寝する
スムーズに眠りに入るには、眠る前に心身をリラックスさせることが大切です。
また、適度な昼寝は睡眠不足を補う他、仕事・勉強のパフォーマンス向上にもつながります。
温度変化に気を付ける
急激な温度変化は高血圧のリスクを高めます。
理由は、体温調節のために血管が激しく拡張・収縮するためです。
たとえば気温が高い場所では、体温を下げなければなりません。
身体は血管を開いて血流の表面積を大きくするため、血流は促進されます。
反対に寒い場所では、体温が逃げるのを防ぐ仕組みが作動します。
すなわち、身体は血管を収縮させるため、血流が悪くなります。
温度変化が急激なほど、素早い体温調節が求められます。
結果、血流を調節する心臓や血管に大きな負荷がかかり、血圧が上昇しやすくなります。
寒暖差による重大な血管トラブルとしては、「ヒートショック」が代表的です。
脳卒中や心筋梗塞に発展するケースが多く、命を落とす方も少なくありません。
高血圧による重大トラブルを防ぐには、温度変化に気をつけることが大切です。
たとえば、衣服をこまめに着脱する・冷暖房を活用するなどして、体温の急激な変動を防ぎましょう。
多くの人が塩分を過剰摂取している?
日本人の多くは、塩分を多く摂りすぎていると指摘されています。
ちなみに厚生労働省の調査によると、食塩摂取量は男女とも年々低下しています。
しかし、塩分摂取状況は理想的とはいえません。
塩分摂取量は低下傾向が見られるといっても、目標値以下を達成してはいないためです。
実際に、2019年の男女の平均塩分摂取量は以下の通りです。
平均摂取量 | |
男性 | 10.9g |
女性 | 9.3g |
高血圧予防のためには、塩分摂取量は男女とも1日6g未満が望ましいとされています。
つまり多くの日本人は、まだ塩分を摂りすぎているわけです。
なお、高血圧患者を対象にした尿中の塩分量の調査でも、同じく塩分を摂りすぎている傾向が見られました。
しかし、減塩指導を受けた患者に関しては、尿中の食塩排泄量は低下しました。
つまり塩分の過剰摂取を抑えるには、意識して減塩に取り組む必要があることが分かります。
日本人は、無意識のうちに塩分を摂りすぎています。
高血圧を防ぐためにも、日頃から減塩を意識することが大切です。
出典:厚生労働省「日本における食塩摂取量の現状と減塩推進への課題 ~日本高血圧学会の取り組みを中心に~」
高血圧を予防のまとめ
ここまで高血圧の予防についてお伝えしてきました。
高血圧の予防の要点を以下にまとめます。
- 高血圧を予防するには、減塩の他、ミネラル・食物繊維の積極的な摂取が大切
- 有酸素運動などの適度な運動は血圧を下げる効果がある
- 高血圧予防のためには、呼吸・睡眠・温度変化に注意する
これらの情報が少しでも皆さまのお役に立てば幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。