仕事や育児などで忙しく、ストレスを感じている方も多いのではないでしょうか。
ストレスは、体調を崩す原因となり、喉の不調もみられます。
では、ストレスによる喉の不調にはどのようなことがあるのでしょうか?
本記事では、ストレスによる喉の不調について以下の点を中心にご紹介します。
- 咽喉頭異常感症とは
- 咽喉頭異常感症の症状について
- 咽喉頭異常感症の原因
ストレスによる喉の不調について理解するためにもご参考いただけますと幸いです。
ぜひ最後までお読みください。
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ストレスによる喉の不調「咽喉頭異常感症」とは?
※画像はイメージです
ストレスによる喉の不調「咽喉頭異常感症」には、
- ヒステリー球(真性咽喉頭異常感症)
- 症候性咽喉頭異常感症
があります。
それぞれを具体的にご紹介します。
ヒステリー球(真性咽喉頭異常感症)
ヒステリー球(真性咽喉頭異常感症)とは、さまざまな検査をしても原因がはっきりしない病気のことをいいます。
ストレスや自律神経などのこころが主な原因となります。
こころが主な原因のため、
- ストレスをため込みやすい真面目な方
- 責任感が強い方
- 我慢強い方
などが発症しやすいといわれています。
からだに症状がある場合、体に原因があると考える方は多いのではないでしょうか。
しかし、ストレスなどの影響で自律神経の乱れが原因で、からだに症状があらわれることはよくあることです。
自律神経失調症や更年期障害、うつ病などの症状としてヒステリー球があらわれることもあります。
症候性咽喉頭異常感症
症候性咽喉頭異常感症は、からだの病気や異変が原因で起きる病気のことをいいます。
からだに起こる症状には、以下の表のようなことがあります。
喉に腫瘍(できもの)がある | 喉に傷や異変がある |
喉が乾燥している | 胃酸が逆流して食道や喉が荒れている |
何か異物が引っかかっている | 喉に炎症がある |
胃に不調がある | 喉の両横にある甲状腺が腫れている |
また、貧血や糖尿病など全身の病気が原因で、喉に違和感を感じることもあります。
そのほか、喉の違和感から病院へ受診する方のうち、4~5割程度の割合で原因が不明とされています。
原因不明の症状の中には、ヒステリー球の方もいると考えられています。
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気になる「咽喉頭異常感症」の症状とは?
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咽喉頭異常感症の最も多い症状は、喉の違和感です。
喉の症状として
- ものがつかえた感じ
- ものが飲み込みにくい
- 喉に固まりがある感じ
- 喉に痰が絡む
などの症状を訴える方がいます。
また、唾液を飲み込もうとしても飲み込みにくく感じることもあります。
しかし、飲食をしているときは、症状を感じにくいという特徴があります。
そのほか、
- 咳、痰
- 喉の痛み
- 喉の圧迫感
- 吐き気
- 不安感
- 胸やけ
- 腹部膨満感(お腹が張ったような感覚)
などの症状がみられる場合もあります。
また、症状があらわれる時間には個人差があり、夜間に多くなったり、昼間に多くなったりします。
特定の状況下になったときに症状がひどくなることもあります。
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「咽喉頭異常感症」の原因は?
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咽喉頭異常感症には主に
- 月経や妊娠・出産・閉経期でホルモンバランスが乱れやすい女性
- 心配性な方や生真面目な方
- 我慢強い方
- 責任感の強い方
などが発症しやすいとされています。
ストレスを強く受けている方や、緊張や不安を強く感じている方が発症しやすくなります。
不安や緊張を強く感じると、ストレスとしてからだに負担をかけてしまいます。
ストレスを感じると、自律神経が乱れて交感神経が優位になります。
交感神経が優位な状態では、食道近くの筋肉が過剰に収縮することで、食道が締め付けられてしまいます。
食道が締め付けられることで、喉の違和感や圧迫感、飲み込むときの不快感を感じると考えられています。
喉の疾患がないのに喉に違和感がある場合は、ストレスを感じていないか疲れがたまっていないか確認しましょう。
また、大きなストレスを受けているときは、ヒステリー球である可能性があります。
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ストレスで喉が不調な場合、受診するのは何科?
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ストレスで喉が不調な場合も、まずは耳鼻咽喉科または内科へ受診しましょう。
喉に違和感があるときは、からだの病気によって起こっていないか確認するため検査をする必要があります。
検査では、咽頭ファイバーで喉の異常がないか、頸部を触って腫れがないか触診します。
そのほか、エックス線検査、CT検査、MRI検査などの画像検査を使い、腫瘍がないか確認します。
小さな病変を見逃さないように慎重に検査をします。
検査した上で、病気が見当たらなかった場合に咽喉頭異常症と診断されます。
喉の違和感はあるものの生活に支障を感じていないのなら無理に治療を受ける必要はないでしょう。
しかし、喉の違和感が原因でストレスになっていることもあります。
喉の症状が気になり、生活が妨げられて、心身に苦痛を感じることでストレスがより大きくなります。
咽喉頭異常症は、適切な治療を受けることで多くの方が症状を緩和できる病気です。
辛いときは無理に我慢せず、精神科や心療内科へ受診しましょう。
心療内科では、心理テストなどで精神的な原因を探します。
咽喉頭異常症の原因となるこころの問題を軽くする方法を考えていきます。
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ストレスが原因の「咽喉頭異常感症」の治療方法は?
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咽喉頭異常感症の治療方法は、症状に合わせた薬物治療を行います。
そのほか、ストレスの緩和や、生活習慣の改善などを目指していきます。
こころとからだにアプローチして、自律神経の乱れを治し、からだを整えることが大切です。
咽喉頭異常感症の症状が続くと、不眠、不安などからうつ症状がみられることがあります。
薬物治療で心身の苦痛を和らげ、症状がひどいときは抗うつ薬を使用します。
薬物治療では症状に合わせて
- 抗うつ剤
- 抗不安薬(精神安定剤)
- 睡眠薬
などが使用されます。
また、症状が軽いときは漢方薬が使用されることもあります。
そのほか、患者の状態に合わせて抗精神病薬、気分安定薬などが使用されます。
咽喉頭異常感症の治療では、薬物だけでなく原因となっているストレスを改善することが大切です。
ストレスを軽くするための日常生活の改善として
- 適度な運動
- 睡眠
- 十分な休息
- 自分に合った気分転換をする
などがあります。
悩みや不安に思っていることや、喉の不調などを忘れる時間を長くとることが大切です。
不安や悩む時間を減らすことで、自律神経のバランスが整えられて交感神経が優位になる状態を抑えられます。
自律神経が整えられることで、喉の違和感などの症状が軽くなることがあります。
漢方薬は「半夏厚朴湯」が使われる
咽喉頭異常感症の治療では、漢方薬の「半夏厚朴湯(はんげこうぼくとう)」が使用されることがあります。
半夏厚朴湯は、昔から「梅核気(ばいかくき)」の治療に使われてきました。
梅核気とは、梅の種が喉にあるような違和感、飲み込むことも難しいことに例えて梅核気と呼ばれています。
半夏厚朴湯には気分をリラックスさせて、咳や吐き気を抑える効果があります。
しかし、漢方薬は体質によっては効果があまり得られないこともあります。
また、漢方薬にも副作用があらわれることがあります。
主な副作用は、胃の不快感などがあらわれる場合があります。
咽喉頭異常感症になりやすい傾向は?
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11年間にわたり、近畿大学耳鼻咽喉科の咽喉頭異常感外来を受診した患者を経過観察した症例があります。
全症例1,386例のうち男女比率は、男性630例、女性756例で女性の方が少し多い傾向にあります。
また、年代でみると男性は40歳代がピークになり、女性は30~40歳代が多い結果となりました。
以上の結果から、比較的女性に多くみられます。
しかし、性別に関わらず、生活習慣が乱れたり、心身ともにストレスが強くかかったりすると発症しやすい傾向があります。
咽喉頭異常感症の症状があらわれた場合は、我慢せずに病院へ受診することが大切です。
出典:厚生労働省【咽喉頭異常感における臨床統計的観察】
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ストレスで喉が不調になるまとめ
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今回は、ストレスによる喉の不調の情報を中心にお伝えしました。
要点を以下にまとめます。
- 咽喉頭異常感症とは、原因によってヒステリー球と症候性咽喉頭異常感症がある
- 咽喉頭異常感症の症状について、ものがつかえた感じ、ものが飲み込みにくいなどがある
- 咽喉頭異常感症の原因には、心配性な方や生真面目な方、我慢強い方などがある
これらの情報が少しでも皆さまのお役に立てば幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。