バリン、ロイシン、イソロイシンは分岐鎖アミノ酸(BCAA)と呼ばれます。
分岐鎖アミノ酸は筋肉には欠かせないアミノ酸です。
そもそもアミノ酸とはどういうものなのでしょうか?
バリン、ロイシン、イソロイシンはどのような効果を持つのでしょうか?
本記事では分岐鎖アミノ酸について以下の点を中心にご紹介します。
- 分岐鎖アミノ酸とはなにか
- バリン、ロイシン、イソロイシンの効果とは
- 分岐鎖アミノ酸を効率よく摂取するには
分岐鎖アミノ酸について理解するためにもご参考いただけますと幸いです。
ぜひ最後までお読みください。
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アミノ酸とは
アミノ酸とは、たんぱく質を構成する20種類の物質です。
体内で合成されず、食材から摂取する必要がある9種類を必須アミノ酸と呼びます。
必須アミノ酸の中で、分岐した構造をもつアミノ酸は、分岐鎖アミノ酸と呼ばれています。
分岐鎖アミノ酸には、バリン、ロイシン、イソロイシンの3種類があります。
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分岐鎖アミノ酸(BCAA)とは
分岐鎖アミノ酸は、BCAAとも呼ばれ、分岐する構造を持つアミノ酸です。
そして、筋肉の代謝や合成などに重要であると考えられています。
分岐鎖アミノ酸は肝臓で合成され、主に筋肉で利用されます。
筋肉では、
- 筋肉中のたんぱく質分解を抑える
- 運動時にはエネルギー源として利用
- 筋肉痛を軽減する
などの作用があります。
分岐鎖アミノ酸は筋肉で代謝され、アンモニアを解毒すると肝臓のエネルギーになります。
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バリン、ロイシン、イソロイシンの効果
バリン、ロイシン、イソロイシンのそれぞれの効果は、
- バリン(筋肉を修復、美肌効果)
- ロイシン(筋肉を強化、育毛効果)
- イソロイシン(筋肉を修復、疲労回復、成長促進)
などになります。
分岐鎖アミノ酸は単独で摂取するよりも、3種類同時に摂取する場合が多いです。
それぞれお互いに補いあって、効果があらわれると考えられています。
以下に分岐鎖アミノ酸の効果の内容を詳しく紹介します。
筋肉の分解を抑える
バリン、ロイシン、イソロイシンは筋肉の分解を抑えて、筋肉を維持する作用があります。
筋肉は伸縮するために、ブドウ糖などをエネルギー源として筋肉を動かします。
エネルギー源が少なくなると自らの筋肉を分解し、エネルギー源として利用し始めます。
そして、筋肉の分解が続くことで、筋力の低下につながります。
バリン、ロイシン、イソロイシン自体がエネルギー源となり、筋肉の分解を抑えます。
筋肉を増量する
バリン、ロイシン、イソロイシンは筋肉を増量する効果があります。
分岐鎖アミノ酸は、肝臓でのたんぱく質の合成を促進します。
たんぱく質の合成が促進されると、筋肉の元になるたんぱく質が増加します。
そして、筋肉の元になるたんぱく質が増加することで、筋肉量が増加しやすくなります。
また、筋肉中に存在するBCAAは、筋肉を合成するための材料にもなります。
そのため、バリン、ロイシン、イソロイシンには、筋肉を増量する効果があります。
疲労を軽減する
長時間の運動で血中のバリン、ロイシン、イソロイシンの濃度が低下します。
そして、濃度が低下すると脳内にセロトニンが増加し、疲労を感じるといわれています。
バリン、ロイシン、イソロイシンはセロトニンの脳内での生成を抑制します。
セロトニンの材料であるトリプトファンが脳に輸送されるのを阻害する作用があります。
そのため、疲労対策として、BCAAを運動時に補給することは有効だと考えられています。
実際にBCAAを運動前に摂取することで、疲労感を軽減できたという報告もあります。
さらにBCAAは筋肉修復の材料にも使われ、筋肉痛の筋修復を早めることができます。
筋持久力を高める
運動前にバリン、ロイシン、イソロイシンを摂取することで、筋持久力を高めることができます。
運動前に摂取することで、運動中の筋肉の増進や壊れた筋組織の再生が期待できます。
BCAAはたんぱく質の合成を促進させるため、運動による筋肉の増進も促されます。
また、BCAAはそれ自体がエネルギー源になり、筋肉のエネルギーに使われます。
そのため、運動をしながら消費した分のアミノ酸を補給できるため、疲れにくくなります。
その結果として、筋持久力の増進につながります。
集中力を高める
バリン、ロイシン、イソロイシンを摂取することで、集中力を高めることができます。
BCAAは眠気の原因となる、セロトニンの生成を抑制する効果があります。
BCAAは、トリプトファンなどのアミノ酸が、脳内へ輸送されるのを阻害します。
そして、眠気の原因になるセロトニンの生成を抑制します。
その作用により眠気が出にくく、集中力を維持できるようになると考えられています。
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バリン、ロイシン、イソロイシンで健康体に
バリン、ロイシン、イソロイシンは、健康な体を作るサポートができます。
筋肉の材料になるため、筋肉トレに有用なうえ、ダイエットにも効果があります。
BCAAで筋トレの効果を最大限にする
BCAAが筋トレに効果的な理由は主に以下の2つが挙げられます。
筋トレ中の筋肉には、
- ブドウ糖
- クレアチン
- 脂質
- アミノ酸
などがエネルギー源となります。
エネルギー源が不足すると筋肉を分解して、アミノ酸をエネルギーとして代謝します。
そのため、エネルギーが不足することにより、筋肉が分解されて筋肉量が減少します。
バリン、ロイシン、イソロイシンは、エネルギー源として利用できるアミノ酸です。
筋トレ前にBCAAを体内に取り込んでおくことで、エネルギーとして消費されます。
BCAAがエネルギーとして消費されることで、筋肉が分解されるのを抑制します。
さらに、BCAAは筋肉の合成が起こるときに、筋肉の材料としても使われます。
その結果、BCAAが筋肉の材料になることにより、筋肉の増量を促進させます。
また、筋肉痛が起きているときには筋肉の材料となることで、筋肉の合成が促進されます。
そして、筋肉の合成が促進されるため、筋肉痛からの回復も早くなります。
BCAAで太りにくい体を作る
BCAAで筋肉をつけて基礎代謝を上げることで、太りにくい体質にすることができます。
骨格筋という筋肉は、全身の姿勢を維持する働きがあります。
そして、姿勢を維持するほかに、エネルギーを消費する基礎代謝の役割も持ちます。
BCAAには筋肉増量の作用があり、骨格筋の筋肉を増量させることができます。
骨格筋の筋肉を増量させることにより、基礎代謝が上がり太りにくい体質になります。
運動によって筋肉の組織が破壊され、筋肉痛が起こります。
破壊された筋肉の組織を再生させることで、筋肉はより太く強くなります。
筋肉がより太く強くなる現象は、超回復と呼ばれています。
運動の最中または前後にBCAAを摂取することで、
- 運動中に破壊された筋肉の組織の修復
- 筋肉を増量しやすくする
などの作用が期待されています。
バリン、ロイシン、イソロイシンの摂取のポイント
バリン、ロイシン、イソロイシンを摂取する際のポイントは、
- 1日の必要摂取量以上を摂取
- 運動の前と運動の直後に摂取
になります。
BCAAの摂取量はどれくらい?
下記の表は、たんぱく質必要量に対する分岐鎖アミノ酸の1日の必要量を示しています。
年齢(歳) | バリン(mg/体重kg/日) | ロイシン(mg/体重kg/日) | イソロイシン(mg/体重kg/日) | 合計(mg/体重kg/日) |
0〜1 | 48 | 73 | 36 | 157 |
1〜2 | 36 | 54 | 27 | 117 |
3〜14 | 29 | 44 | 22 | 95 |
15〜17 | 28 | 42 | 21 | 91 |
18〜 | 26 | 39 | 20 | 85 |
出典:厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020 年版)」
数値は、たんぱく質の1日の必要量に対する割合です。
そのため、たんぱく質全体の必要量が足りていないとあまり効果がありません。
食事によるたんぱく質の摂取でも不足する場合もあります。
たんぱく質が不足をすると、筋肉量を維持することが難しくなります。
不足した分のたんぱく質は、サプリやプロテインなどで補うことが大切です。
効率よい摂取のタイミング
バリン、ロイシン、イソロイシンが効率よく作用するための摂取タイミングは、
- 運動の前
- 運動の後
筋肉の肥大の効果は、運動の後が効果的だといわれています。
運動前
運動前にBCAAを摂取することで、
- 筋肉の分解を抑制
- 筋持久力を向上
- 筋肉合成の促進
これらの効果があります。
BCAAは運動中に筋肉のエネルギーとして代謝されます。
そして、エネルギーとして代謝されることで
- 筋肉の活動限界が伸びる
- エネルギー不足による筋肉の分解を抑制
などの効果により、トレーニングパフォーマンスを向上させることができます。
また、筋肉中のBCAAには筋肉の合成による筋肉の増量にも作用します。
筋肉中のBCAAは、筋肉が合成されるときの材料としても使われます。
運動直後に炭水化物と合わせて摂る
運動直後には、BCAAと炭水化物を合わせて摂ることが効果的です。
運動直後に炭水化物を摂ることは、エネルギー不足によるBCAAの消費を防ぐためです。
そして、BCAAの代わりにブドウ糖が、筋肉の分解を防ぐために作用します。
BCAAは破壊された筋肉の組織を修復する作用があります。
そのため、筋肉痛からの回復期間も短くなります。
BCAAが筋肉の修復に作用するよう、炭水化物によるブドウ糖を補給する必要があります。
バリン、ロイシン、イソロイシンが多い食品
バリン、ロイシン、イソロイシンが多い食品を紹介します。
たんぱく質は基本的に熱を通すと変質し、吸収されやすくなります。
赤身魚:まぐろ、かつお、アジ
赤身魚は、生でも加熱調理でもたんぱく質の量はあまり変化はありません。
しかし、熱を通すことでたんぱく質が変質し、吸収が速くなるといわれています。
まぐろも刺身やツナ缶など、好みの調理方法で問題はないようです。
そのため、調理の手間が必要ない、ツナ缶の備蓄を推奨しているところもあります。
また、かつおの刺身などは薬味や酸味料を使うことで、減塩を意識することも大切です。
青魚:サンマ
サンマはバリン、ロイシン、イソロイシンのほかのアミノ酸も豊富に含まれています。
サンマ1匹で分岐鎖アミノ酸は合計2000㎎以上と、豊富に含まれています。
脂質も豊富に含まれているため、運動後のたんぱく質補給に優れた食品です。
しかし、ダイエットには脂質のカロリーが高いため、気を付ける必要があります。
牛肉
牛肉の赤身はたんぱく質の含有量がトップクラスの食材です。
そして、赤身牛肉には脂質が少なくカロリーの過剰摂取を防ぐこともできます。
筋トレに向いている部位は
- 牛タン
- 肩ロース
- ランプ
- 外もも肉(煮込みなど)
- 牛スジ
減量、ダイエットに向いている部位は
- 内もも肉
- 牛ミノ
- 牛肩肉(煮込みなど)
- 牛ハツ
- ヒレ肉
また、牛肉にはたんぱく質だけではなく、
- ミネラル分
- ビタミン類(ビタミンB群)
- 微量元素
が豊富に含まれています。
鶏肉
鶏肉は筋トレで推奨される食材の1つです。
スーパーなどで購入可能で、牛肉に比べるとコスパが良いということが挙げられます。
鶏肉の中でも、皮を取り除いた鶏胸肉やささみが推奨されます。
良質なたんぱく質をカロリーを抑えながら摂取することができます。
調理方法としては、
- 蒸す
- 茹でる
- 焼く
などの調理方法が摂取効率が良いといわれています。
卵
卵は、たんぱく質が不足しやすい場合などに補助的に摂取することが推奨されています。
食べ方は自分が食べやすい方法で問題はありません。
そして、卵は加熱すると消化・吸収率がさらによくなります。
脂質を減らしたい場合は、
- ゆで卵
- テフロン加工の調理器具を使う
など、油を控えた調理方法をすることが効果的です。
大豆製品:納豆、豆腐
納豆はごはんと相性が良く、それぞれの足りないアミノ酸をそれぞれが補います。
豆腐でたんぱく質が多く含まれているのは、
- 高野豆腐
- 木綿豆腐
- 絹ごし豆腐
の順になります。
乳製品:牛乳、ヨーグルト、チーズ
ヨーグルトは、
- 運動前は加糖でも良い
- 運動後は無糖が良い
とされ、運動後に炭水化物のオートミールを加えても効率的です。
牛乳は特に運動後に摂取することが推奨されています。
- チョコレートミルク
- きな粉牛乳
- プロテインを牛乳で割る
- オートミールを加える
など、さまざまな飲み方があります。
チーズは卵と同じく、補助的に摂ることが推奨されています。
ホエイプロテイン
ホエイとは、牛乳から乳脂肪分と固形たんぱく質を取り除いたものです。
- カゼイン
- 大豆たんぱく質
- 卵たんぱく質
以上のたんぱく質よりも、バリン、ロイシン、イソロイシンの含有量が多いです。
体への吸収が早いので、筋トレ後のたんぱく質補給に適しています。
プロテインは水や牛乳などに記載されている割合で溶かして飲むことが効果的です。
プロテインは、BCAAが含有されているタイプが効率的にBCAAを摂取できます。
プロテインを飲みやすく溶かすには、シェーカーの使用が推奨されます。
シェーカーを使用する場合は、水分を入れてから粉を入れると溶かしやすいです。
プロテインを入れてから水分を入れると、塊(ダマ)ができやすくなります。
BCAA含有サプリメント
運動前と運動後には、BCAA含有サプリメントの摂取が効果的です。
バリン、ロイシン、イソロイシンはたんぱく質を構成するアミノ酸です。
プロテインにはたんぱく質が含まれ、その中にBCAAも含まれます。
しかし、たんぱく質の場合は、消化により全てのアミノ酸に分解する必要があります。
そのため、サプリメントの方が吸収速度が速く、運動後の摂取に向いています。
必須アミノ酸9種類を全て含んだEAAというサプリメントも存在します。
ただ、BCAAの濃度では、BCAAサプリメントの方が濃度が高く効果的に摂取できます。
BCAAはホエイプロテインと組み合わせることで、たんぱく質も効率的に摂取できます。
BCAAを効率良く利用する習慣5選
運動直後にBCAAを補給する
運動後にBCAAを補給することで、筋肉の増強につながります。
運動をすることで筋肉に刺激を与え、BCAAを代謝しやすくなります。
運動の直後から1時間程度までに補給することで、効率的に吸収されます。
ホエイプロテインを選ぶ
ホエイプロテインを選ぶと効率的に筋肉の維持・増強につながります。
ホエイプロテインはカゼインプロテインに比べて、BCAAの含有量が多いです。
そのため、ホエイプロテインの方がコストパフォーマンスに優れているといえます。
バランスの良い食事をとる
バランスの良い食事を摂ることも筋肉の維持・増強につながります。
高齢者の筋力の低下に対する運動療法でも、栄養療法との併用が有用といわれています。
運動で筋肉を鍛える以外にも、栄養バランスを整えることでさらに効率が上がります。
週に2~3回筋トレをする
週に2〜3回の筋トレも筋力と健康の維持につながります。
高齢者を対象にした実験で、
- 週2回(女性のみ)
- 週3回
の運動をおこなった場合に、両方ともに筋肉の増強が認められました。
ただし、両試験ともサプリメントによる栄養補給があります。
栄養補給だけの単独実験では、筋力の増加効果はなかったと報告されています。
睡眠で筋肉合成ホルモンを分泌させる
良質な睡眠で筋肉合成ホルモンを分泌させることも大切です。
筋肉合成ホルモンは、
- たんぱく質同化ホルモン
- アナボリックホルモン
と呼ばれています。
アナボリックホルモンが分泌されると、筋肉の合成が促進されます。
筋肉量を増やすためには、ホルモンを分泌させる良質な睡眠が重要になります。
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バリン、ロイシン、イソロイシンまとめ
ここまでバリン、ロイシン、イソロイシンについてお伝えしてきました。
バリン、ロイシン、イソロイシンの要点をまとめると以下の通りです。
- 必須アミノ酸の中で分岐する構造を持つアミノ酸
- バリン、ロイシン、イソロイシンの効果は、主に筋肉の維持・増強
- 分岐鎖アミノ酸を効率よく摂取するには運動後に摂取
これらの情報が少しでも皆さまのお役に立てば幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。