脳梗塞は生活習慣と関係があるといわれています。
アルコールや喫煙の生活習慣が脳梗塞発症の要因であることは明らかです。
脳梗塞に良くない食べ物には何があるでしょうか?
その他に脳梗塞の危険因子として、なにがあるでしょうか?
本記事では脳梗塞で食べてはいけないものについて以下の点を中心にご紹介します。
- 脳梗塞の危険因子について
- 脳梗塞で食べてはいけないものについて
- 脳梗塞に良い食品について
脳梗塞で食べてはいけないものについて理解するためにもご参考いただけますと幸いです。
ぜひ最後までお読みください。
スポンサーリンク
そもそも脳梗塞とは?
脳梗塞は脳卒中の一つです。
脳梗塞は何らかの原因で脳の血管が詰まって血液が流れなくなるために起こる疾患です。
脳梗塞で酸素不足や栄養不足になった脳はそこから先がだんだんと壊死していきます。
脳梗塞は一刻も早い治療を必要とする病気です。
脳梗塞というと、突然倒れて意識を失うイメージを持っている方が多いかもしれません。しかし、それは脳梗塞の症状のほんの一部なのです。脳梗塞の原因や症状についてよく理解することで、もしもの時に適切な対応ができるようにしましょう。また、[…]
スポンサーリンク
男女共に多い脳血管疾患での死亡者数
厚生労働省の死因別死亡者数の統計があります。
令和2年の死因別の死亡数、死亡率、構成割合の概要を、脳血管疾患に関して以下の表にまとめます。
死亡総数(人) | 死因順位 | 脳血管疾患患者死亡数(人) | 脳血管疾患患者死亡率 | 死亡総数に占める割合(%) | |
男 | 706,834 | 3 | 50,390 | 84.0 | 7.1 |
女 | 665,921 | 4 | 52,588 | 83.0 | 7.9 |
出典:厚生労働省「第6表 性別にみた死因順位(第10位まで)別死亡数・死亡率(人口10万対)・構成割合」
脳血管疾患で亡くなる方は、男女とも死因順位が高く、総数でも4位となっています。
脳血管疾患は軽く考えてはいけない疾患です。
身近で脳梗塞になった方を見かけることがあります。生活習慣病が脳梗塞発症のリスクを高めることもよく聞きます。脳梗塞になりやすい人とはどのような人でしょうか?どのような疾患が脳梗塞の原因となるのでしょうか?脳梗塞の治療法はどのようなも[…]
脳梗塞のリスクがある人はどんな人?
脳梗塞の原因となる危険因子があります。
以下のような生活習慣や病を抱えている方は脳梗塞になりやすい方になります。
高血圧 | 糖尿病 |
脂質異常症 | 不整脈 |
飲酒 | 肥満 |
喫煙 |
それぞれの特徴についてご紹介します。
高血圧
高血圧は脳梗塞の最大の危険因子です。
高血圧は血圧の高い状態(収縮期血圧140mmHg以上、拡張期血圧90mmHg以上)が続く病気です。
高血圧の影響は特に脳や腎臓、心臓などに及びます。
脳梗塞は高血圧の合併症として起こる病気で、血圧が高い人ほど発症率が高くなります。
糖尿病
糖尿病も脳梗塞の危険因子の一つです。
糖尿病は血糖値(血液中の糖分濃度)が高くなる病気です。
空腹時の血糖値が140mg/dLを超える高血糖が続く状態が糖尿病です。
糖尿病の治療効果はHbA1c値(ヘモグロビン値)で調べます。
HbA1cの目標値は7%未満とされています。
日頃の生活習慣の見直しや改善が重要です。
脂質異常症
脂質異常症は動脈硬化を促進し、脳梗塞の危険因子になります。脂質異常症は血清脂質値(血液中の脂肪分濃度)が異常を示す病気です。
血液中の脂肪分は以下のタイプに分けられ正常範囲は以下の通りです。
- LDL(悪玉)コレステロール :140mg/dL未満
- HDL(善玉)コレステロール: 40mg/dL以上
- 中性脂肪 :150mg/dL未満
脂質異常症とは、上記3つの値のうちいずれかが超えた状態をいいます。
不整脈
不整脈の一種に、心房内の脈の乱れによって起こる心房細動があります。
心房細動を起こすと脳梗塞の一つである心原性脳塞栓症を起こすリスクが高くなります。
心房細動は、心房が小刻みにふるえて麻痺した状態になり血液が滞留しがちになります。 その結果、心房内に血栓ができ脳へ飛んで血管が閉塞すると心原性脳塞栓症を起こします。
飲酒
国立がん研究センターは飲酒と脳梗塞発症について研究報告をしています。
報告によれば摂取量が「1日平均1合未満」の人は「時々飲む」人より、約4割脳梗塞にかかりにくいとのことです。
適量の飲酒であれば血液が固まりにくくなることが理由とされています。
しかしながら、過剰飲酒は他の生活習慣病への影響があります。適量を心がけましょう。
出典:国立がん研究センター「飲酒と脳卒中発症との関連について | 多目的コホート研究」
肥満
肥満は脳梗塞の危険因子になります。
肥満は高血圧や糖尿病、脂質異常症の原因となり、結果的に脳梗塞の引き金になります。
肥満の診断基準はBMI値が25以上(体重(kg)÷身長(m))÷身長(m))です。
肥満の予防には以下のことが大切です。
- 食生活の見直し
- 有酸素運動などの適度な運動の習慣化
喫煙
喫煙によって脳梗塞発症のリスクは上昇します。
また、喫煙本数に比例し脳梗塞発症のリスクが高くなります。
喫煙と脳卒中病型別発症との関係についてのレポートがあります。
レポートの結果は以下の通りです。
【喫煙本数とラクナ梗塞の発症との関係(男性)】
- 非喫煙者に対する喫煙者の発症率︓約1.5倍
- 喫煙本数と発症率(対非喫煙者)
- 1-19本/日 ︓1.69倍
- 20-39本/日 ︓1.34倍
- 40本/日 ︓2.19倍
【喫煙本数とくアテローム血栓性脳梗塞の発症との関係(男性)】
- 非喫煙者に対する喫煙者の発症率︓約2.2倍
- 喫煙本数と発症率(対非喫煙者)
- ・1-19本/日 ︓1.35倍
- 20-39本/日 ︓2.61倍
- 40本/日 ︓2.08倍
出典︓国立がん研究センター「男女別、喫煙と脳卒中病型別発症との関係について | 多目的コホート研究 」
脳梗塞について、さらに詳しく知りたい方は、是非こちらの記事もご覧ください。
脳梗塞とは、脳の血管が詰まってしまい脳がダメージを負ってしまうものです。血管が詰まってしまう原因や詰まる血管の太さによって3種類に分類されます。そもそも脳梗塞とは、どのような人が罹りやすい病気なのでしょうか?脳梗塞を予防する[…]
脳梗塞で食べてはいけないもの一覧
脳梗塞の大きな危険因子は高血圧であり、バランスの悪い食事や運動不足、飲酒、喫煙がリスク要因となることが知られています。
特に、食事の中で摂取する塩分や脂質が脳梗塞のリスクを高める要因となります。
脳梗塞で食べてはいけないもの|高脂肪食品
動物性脂肪やトランス脂肪酸は、コレステロール値を上昇させ、動脈硬化を引き起こす可能性があります。
特にファーストフードやスナック菓子、マーガリンにはこれらの脂肪が多く含まれています。
特にトランス脂肪酸の摂りすぎには注意が必要です。
以下の表にトランス脂肪酸を多く含む食品をご紹介します。
【トランス脂肪酸含有量(100g当たりの平均値)】
食品名 | トランス脂肪酸含有量(g) |
マーガリン | 7.0 |
ショートニング | 13.6 |
ビスケット類 | 1.8 |
マヨネーズ類 | 1.24 |
バター | 1.95 |
牛脂 | 1.37 |
出典:食品安全委員会「1 国内に流通している食品のトランス脂肪酸含有量 7」
また、動物性脂肪を多く含む食品は以下のものがあります。
肉類 | ラード |
牛乳 | 乳製品 |
バター | 乳脂肪を使った洋菓子 |
動物性脂肪を抑える工夫
動物性脂肪を抑える工夫として、バターやラードを控え植物性の油を使うことがあります。
農林水産省の資料によると、植物性油の原料には以下のような種類があります。
- 油糧種子(大豆、なたね、ごま、綿実、あまに等)から抽出したもの
- 農産物の副産物(米ぬか、とうもろこし胚芽)から抽出したもの
- 海外から輸入した油(パーム油、オリーブ油、ひまわり油、ひまし油等)
脳梗塞で食べてはいけないもの|高塩分食品
塩分の過剰摂取は高血圧の原因となり、脳卒中のリスクを高める可能性があります。
特に外食や加工食品は塩分が多く、日常的にこれらを摂取すると、推奨される塩分摂取量を超えるリスクが高まります。
塩分の適切な摂取量は?
一般の方における1日の食塩摂取量について以下のような推奨値があります。
- 厚生労働省推奨値
- 男性:7.5g/日
- 女性:6.5g/日
- 高血圧学会推奨値:6.0g/日
- WHO推奨値:5.0g/日
厚生労働省が実施している2019年「国民健康・栄養調査」によると、日本人の食塩摂取量は以下のようになっています。
- 男性食塩摂取量(g/日):10.9
- 女性食塩摂取量(g/日):9.3
出典:厚生労働省「令和元年 国民健康・栄養調査結果の概要」
減塩のための工夫
減塩のための工夫には以下のようなものがあります。
- 調味料は小皿に注いで使う
(かけるよりつける) - 塩の代わりにだし汁のうまみを活かす
- みそ汁は1日1回にする
- レモンや酢の酸味を使う
- 麺類の汁は全部飲まないで残す
- 調味料は減塩タイプを使う
- 加工食品を控える
- 調味料を食卓に置かない
- 味付けは素材のうまみを活かす
脳梗塞で食べてはいけないもの|高糖分食品
糖質の過剰摂取は、高血圧や血糖値の上昇を引き起こすため、脳卒中のリスクを増加させる可能性があります。
特に甘いデザートやジュースなどの加工品は、糖分が多く含まれています。
脳梗塞で食べてはいけないもの|アルコールとカフェイン
アルコールの過剰摂取は血圧を上昇させ、血管にダメージを与える可能性があります。
特に日常的に大量のアルコールを摂取すると、脳卒中のリスクが高まります。
カフェインについても、過剰摂取は血圧の上昇を引き起こす可能性があるため、摂取量に注意が必要です。
脳梗塞になった際の食事について、さらに詳しく知りたい方は、こちらの記事も是非ご覧ください。
脳梗塞を含む脳卒中は日本人の死因の上位にランクインしています。脳梗塞は高齢者だけでなく若年層でも発症します。発症や再発を予防するためには食事療法がとても大切になります。では、脳梗塞の食事療法は具体的にはどうすればよいのでしょ[…]
脳梗塞での水分摂取の注意点
脳梗塞発症の要因の一つに水分不足があります。
脳梗塞予防として水分補給は欠かせません。
ただし以下のような飲み物は水分補給に適していないので注意が必要です。
- 利尿作用があるもの:アルコール、お茶・コーヒー
- 発熱作用があるもの:牛乳
- 血糖値を上昇させるもの:甘いジュース
普段の水分補給には水質に優れ、手軽に飲める水道水で十分です。
脳梗塞の予防に効果的な食品
脳梗塞にならないためには、血液中の脂肪分を減らし、血流を改善することが良いとされています。
脳梗塞に良い食品として以下のような食品があります。
- EPA・DHA
- ナットウキナーゼ
- 硫化アリル
- 食物繊維
それぞれの働きについてご紹介します。
EPA・DHA
EPA・DHAはどちらも不飽和脂肪酸の一種で、コレステロールや中性脂肪を減らす働きがあります。
以下のような青魚に多く含まれています。
アジ | サバ |
サンマ | イワシ |
マグロ | ブリ |
ナットウキナーゼ
納豆にはナットウキナーゼという酵素が含まれています。
ナットウキナーゼは血栓を溶かす働きに優れています。
硫化アリル
硫化アリルは血栓の生成予防、血中コレステロールの増加抑制などに効果があります。
硫化アリルは以下のような食品に多く含まれます。
玉ねぎ | しょうが |
ねぎ | にら |
にんにく | らっきょう |
食物繊維
食物繊維には以下のような働きがあります。
- 余分な脂質や糖分、塩分を吸着して体外へ排出する
- 血糖値の上昇を抑える
- 血中コレステロールを低下させる
- 腸内環境の改善
以下のような食品に食物繊維が多く含まれています。
野菜 | きのこ |
海藻 | こんにゃく |
穀類 |
脳梗塞による嚥下障害での注意点
脳梗塞の後遺症で摂食嚥下に関連する機能の障害が発生することがあります。
嚥下機能に障害が起こると、以下のようなことが起こります。
- 咀嚼ができない
- うまく飲み込めない
- 嚥下反射が間に合わずに誤嚥する
今までと同じ食事ではむせたり、誤嚥し肺炎を起こしたりする可能性があります。
効率良く栄養補給ができる、嚥下困難者用食品等の活用も検討しましょう。
スポンサーリンク
脳梗塞予防のために気を付けるべき食事のポイント
脳梗塞予防のための食事で気を付けるポイントは以下の通りです。
- 適性のエネルギーを摂取する
- 1日3食、腹八分目の食事を心がける
- バランスの良い食事を摂る
- 塩分を控える(調味料を減塩タイプに変えるなど)
- アルコールを控える
- 野菜や果物を摂る
- こまめに水分補給する
スポンサーリンク
脳梗塞での食べ物と薬の相互作用について
脳梗塞などの脳血管疾患(危険因子を含む)の薬には相互作用があります。
ここでの相互作用とは、「同時に摂取することで身体に悪影響があること」です。
以下の4つについてご紹介します。
- 納豆・クロレラ・青汁
- グレープフルーツ・スウィーティー・ブンタン
- アルコール
- サプリメント
納豆・クロレラ・青汁
納豆・クロレラ・青汁などは、ビタミンKを多く含んでいます。
ワルファリンはビタミンKを含む食べ物と一緒に服用すると効果を弱めます。
ワルファリンは以下のような病気に使用される薬です。
- 脳卒中
- 一過性脳虚血発作
- 心筋梗塞
- 不整脈
- エコノミークラス症候群
グレープフルーツ・スウィーティー・ブンタン
グレープフルーツやスウィーティー、ブンタンは、以下の薬と相互作用があります。
- カルシウム拮抗薬
- 高脂血症治療薬
- 催眠鎮静剤
- 精神神経薬
- カルシウム拮抗薬など
の薬剤の一部は肝臓にある酵素で代謝されます。
ところがグレープフルーツなどに含まれる成分は代謝を阻害する作用を引き起こします。
そのため、薬が長く体内に留まり必要以上に薬が効いてしまう危険があるのです。
アルコール
アルコールと相互作用に関わる主な薬剤には以下のようなものがあります。
- 精神神経薬
- 糖尿病用剤
- 解熱鎮痛剤
一緒に摂らないようにしましょう。
アルコールは多くの薬に影響を与えます。
血中濃度を大きく変動させるのでアルコールでの服薬は避けなければいけません。
サプリメント
サプリメントなどの健康食品の成分も、薬との相互作用があらわれます。
以下のようなものです。
セントジョーンズワート | トウキ |
ニンニク | ビンロウジ |
イチョウ | 朝鮮人参 |
カバ | ピペリン |
タンジン | マリアアザミ |
ノコギリヤシ |
医師と相談するとよいでしょう。
出典:公益財団法人長寿科学振興財団「健康長寿ネット|薬と食べ物の相互作用」
スポンサーリンク
脳梗塞で食べてはいけないもの一覧についてよくあるQ&A
脳梗塞の予防のために、毎日の食事で特に避けるべき食品は何ですか?
脳梗塞のリスクを高める食品として、高脂肪食品(特に動物性脂肪やトランス脂肪酸が多いもの)、高塩分食品、高糖分食品、そして過剰なアルコールやカフェインを含む飲み物を避けることが推奨されます。
ファーストフードやスナック菓子は脳梗塞のリスクを高めるのでしょうか?
はい、ファーストフードやスナック菓子は動物性脂肪やトランス脂肪酸が多く含まれていることが多いため、過度な摂取は脳梗塞のリスクを高める可能性があります。
塩分の摂取量にはどのような基準がありますか?
塩分の過剰摂取は高血圧の原因となるため、1日の塩分摂取量は6g未満に抑えることが推奨されています。
特に外食や加工食品は塩分が多いので、注意が必要です。
甘いデザートやジュースは脳梗塞のリスクを高めるのでしょうか?
甘いデザートやジュースなどの加工品は糖分が多く含まれているため、過剰摂取は高血圧や血糖値の上昇を引き起こし、脳卒中のリスクを増加させる可能性があります。
アルコールの摂取はどの程度までなら安全ですか?
適量のアルコール摂取は問題ありませんが、過剰摂取は血圧を上昇させ、血管にダメージを与える可能性があります。
週1~2回の休肝日を設け、飲酒量を控えることが推奨されます。
脳梗塞で食べてはいけないもの一覧のまとめ
ここまで脳梗塞で食べてはいけないものについてお伝えしてきました。
脳梗塞で食べてはいけないものの要点を以下にまとめます。
- 脳梗塞の予防には、塩分を控えることとトランス脂肪酸を摂りすぎないことが大切
- 脳梗塞の危険因子は、糖尿病、脂質異常症、不整脈や飲酒などの生活習慣がある
- 脳梗塞に良い食品は血流をよくする食品(EPA・DHA、納豆、硫化アリル、食物繊維など)を摂ること
これらの情報が少しでも皆さまのお役に立てば幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。