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健達ねっと>健康お役立ち記事>高齢者の病気>気管切開をするデメリットとは?手術するメリットも紹介

気管切開をするデメリットとは?手術するメリットも紹介

みなさんは”気管切開”と聞くとどのような印象がありますか?
気管切開を行うことで呼吸が楽になります。
しかし、声が出にくくなったり、介護者の負担が増加するデメリットもあります。

そもそも、気管切開とはどういうものなのでしょうか?
具体的な介護・ケアの内容とはどのようなものなのでしょうか?

今回の記事では、気管切開とそのデメリットについて以下の内容を中心にお伝えします。

  • 気管切開のデメリットとは
  • 気管切開のメリットとは
  • 施術後のケア内容は何をすればいいのか


気管切開後の詳しいケア方法や、気管吸引の方法についても紹介しています。
ぜひ最後までお読みください。

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気管切開とは


呼吸を楽にするために気管に孔をあけることを「気管切開」といいます。

本来、口から吸った空気は気管を通り肺まで送られます。

病気などにより、自力で息を吸うことが難しく、空気がうまく気管を通ることができない。
また、痰などの分泌物を出すことができない。

このような場合に行うのが気管切開です。

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気管切開をするデメリット


気管切開をすると呼吸が楽になるだけではなく、デメリットもあります。
ここでは気管切開によるデメリットについて紹介していきます。

声が出せない

気管にカニューレを入れることで、基本的には声が出せなくなります。
わたしたちは声を出す際に常に息を吐き出します。
そのため、カニューレにより声帯に空気が流れなくなると、発声が難しくなります。

感染症などのリスクがある

気管切開によるデメリットとして、感染症やその他の病気になるリスクがあります。
気管切開には外科的な手術が必要です。

術後の創部のケアを行わないと出血したり、感染症をおこす可能性があります。
また、気管切開によってあいた孔から細菌が入ると肺炎になるおそれもあります。
そのため、術後の創部周囲の管理が非常に重要です。

術後ケアが必要

気管切開後は痰の吸引や創部周囲のガーゼの交換などの看護が継続して必要になります。
痰がカニューレについたり気管を塞ぐと呼吸ができないため、随時痰の吸引は必要です。
また、感染を防ぐためにも創部周囲のガーゼ交換は毎日おこないます。

外見上の違い

気管切開後は挿入するカニューレに加えて保湿の為に「人口鼻」という装置をつけます。
少し目立つため、このような外見上の変化もデメリットのひとつになります。

そのため、ご本人はもちろんご家族の方も最初は戸惑うこともあるかもしれません。
とくにご本人にとっては精神的なストレスにもなるため、周りの援助やケアが必要です。

慣れるまでは違和感がある

カニューレ挿入により、違和感を訴える方もいます。
また、気管切開後には分泌物や血液が気管内に流れる場合があります。
多くはまず、異物の侵入を防ぐためにカフつきのカニューレを使用します。
カフ圧は気管に密着するように適度な圧を欠ける必要があるので、慣れるまで苦しさを感じる場合もあるかもしれません。

気管切開をするメリット


気管切開は先程紹介したようなデメリットだけではありません。
気管切開のメリットについても同時に確認していきましょう。

呼吸が楽になる

気管切開による一番のメリットは呼吸が楽になることです。
カニューレの挿入により、安定して気道を確保することができるので呼吸が楽に行えます。

チューブが邪魔にならない

呼吸を確保する目的として口や鼻からチューブを挿入する「気管内挿管」があります。
気管内挿管は顔や体の周りにあるチューブを抜去する恐れがあります。
そのため、生活の幅や運動などを制限されます。
また、口腔内の環境などもわるくなるため、不潔にもなりやすいです。

気管切開では以上のデメリットを解消することができます。

食事をとることができる

呼吸が困難な場合に加えて、飲み込みが困難な場合も気管切開はメリットがあります。
カフ付き気管カニューレにより、下気道への食べ物の流入を防止することができます。
嚥下機能の問題がなければ、誤嚥を防ぎつつ食事をとることも可能です。

介護者が痰や口腔内の管理をおこないやすい

通常気管切開を行う必要がある方は自分で痰をだすことができません。
そのような場合には口もしくは鼻から吸引チューブを挿入に吸引する必要があります。

しかし、咽頭から気管支分岐部までは10〜12㎝、鼻腔から気管支分岐部までは15〜20㎝と言われており、吸引技術を必要とします。
また、吸引時間の短縮にもつながるので合併症の予防にもなります。

気管切開に必要なケア


気管切開後は合併症を防ぐためにも継続したケアが必要となります。
家族が実施する場合もあるため、確認しておきましょう。

ガーゼの交換

気管切開の創部周囲が不衛生だと感染症の原因となります。
そのため、ガーゼ交換は必ず毎日おこなうようにしましょう。

口腔ケア

痰の吸引が必要な方や、食べ物や飲み物を口からとれない方は唾液の分泌量が減少します。
唾液の分泌量が減少することにより、口腔内の環境は悪化し常在菌が増加します。
増加した常在菌が口腔内の細菌が気管支へ下行すると、感染症を引き起こすため注意が必要です。
1日1回は必ず口腔内の掃除をして、口腔内を清潔に保ちましょう。

加湿管理

気管切開をすることにより口や鼻を空気が通過しないため、乾燥しやすくなります。

気道粘膜は適度に保湿されていることで、繊毛運動により痰の排出を行うことができます。
そのため、気管切開の場合は人工鼻を使用して加湿するのが一般的です。

また、過剰に加湿すると吸引時に水分のみを吸い上げてしまい、痰を吸引できません。
加湿不足では、気道粘膜や痰の乾燥を招くため、保湿のバランスには注意しましょう。

痰の吸引

気管切開後は、痰の吸引が必要になります。

気管カニューレの挿入後はまず、カフ付きカニューレを使用し下気道への痰や唾液の流入を防ぐのが一般的です。
カフ付きカニューレではカフ周囲を空気が通り抜けません。
チューブ内に痰が貯留すると窒息の原因になるため、必ず痰を吸引する必要があります。

頻度としては、1日に少なくても2回以上は吸引するようにしましょう。
またバイタルサインや表情などから呼吸状態を確認し、随時おこなうようにしましょう。

気管カニューレの交換

気管カニューレにこびりついた痰による窒息を防ぐために、カニューレの交換が必要です。
カニューレは2〜3週程度での交換が目安になります。

基本的には医師や看護師が行いますが、カニューレの事故抜去時などの緊急の場合は、家族がすることもあるため、事前に相談や練習が必要です。

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気管カニューレは将来的に取り外せる?


条件によっては将来的に気管カニューレを取り外すこともできます。
主に①唾液や口から取り込んだものによる誤嚥がないこと、②カニューレなしで安定した呼吸ができることの2点です。

カニューレ挿入当初は、ほとんどの場合でカフ付きカニューレを選択することが多いです。
状態が改善すれば、スピーチカニューレやカフなしカニューレにすることもできます。
カフなしのカニューレでは誤嚥しやすいというデメリットがあるため、注意が必要です。

また高齢者の場合はカニューレの取り外しが困難なことが多いです。
疾患に加えて、加齢による呼吸能力の低下、認知症などがある場合もあります。
これらは嚥下障害の要因にもなり、カニューレの離脱を妨げます。
6ヵ月後のリハビリテーションでもカニューレ抜去できたのは約1割との報告もあり、状態にもよりますが、高齢者のカニューレ抜去は困難な場合が多いでしょう。

薬の使い方

気管切開を必要とする人は?


気管切開の適応となるのはどのような方なのでしょうか?
以下に該当する方は気管切開を検討する必要があります。

気管内挿管が難しい患者

気管内挿管は鼻や口からチューブを入れるため、不快感や違和感が強いです。
そのため、患者さんが自己抜去してしまうことも珍しくありません。
とくに認知症の方などは抜去することを制止するのが難しいため、注意が必要です。
自己抜去は命にかかわるため、このような場合は気管切開を選択します。

痰が多い患者

COPD(慢性閉塞性肺疾患)のような呼吸器疾患の場合、炎症により分泌される痰が多かったり気管支も狭くなっている場合があります。
このような状態では、痰がすぐに気道を塞いでしまうため呼吸状態の悪化を招きます。

人工呼吸器が必要な患者

2週間を超えて長期的な人工呼吸器管理が必要な場合や人工呼吸器からの離脱が困難な場合に、気管切開を行います。
気管切開を行うことで、呼吸の際の負担を軽減させることができます。

痰吸引のやり方

  1. ①両手を洗い、手袋をする
  2. ②吸引カテーテルを取り出し、吸引器に接続する
     カテーテルは周囲に当たらないようにし、清潔を保つ
  3. ③吸引器の電源を入れる
  4. ④吸引器の吸引圧が20~26kPa(キロパスカル)になるように調節する
  5. ⑤患者さんに吸引する旨を声掛けする
     吸引カテーテルの先端10㎝は周囲に当てないようにして、無菌を保つ
  6. ⑥気管カニューレ内にカテーテルを挿入する
     低侵襲型人工呼吸器を使用している場合は、カテーテル挿入前にフレキシブル
  7. ⑦チューブのコネクターをカニューレから外す

痰吸引における注意点は以下の通りです。

  • 吸引カテーテルの根元を折って、陰圧がかからないように奥まで入れて吸引する
     最初から陰圧をかけて、引き抜きながら吸引する
     どちらかの方法で吸引を行う
  • 1回の吸引は15秒程度で長くならないように、効率よく吸引する
     この際、奥まで入れすぎないように十分注意する
  • 吸引カテーテルと接続管の内腔を水で洗い流す
     低侵襲型人工呼吸器を使用している場合は、フレキシブルチューブのコネクターをカニューレに装着する
     吸引カテーテルは1回ごとに廃棄することが推奨されている

複数回使用する場合は、しっかりと消毒しましょう。

  • サイドチューブがある場合は、こちらも吸引する
  • 吸引器の電源を切る
  • 次回、すぐに吸引ができるように片づけをする

吸引した分泌物の廃棄や洗浄用の水の交換を行います。
また、吸引時の水滴などでベッド周辺が汚染されている場合はふき取りましょう。
引用:厚生労働省【気管カニューレ内部吸引手順】

カフ付きとカフなしカニューレの違い


カフ付きカニューレはカフと気管支を密着させて気管支の気密性を高めます。
これにより、呼吸が漏れや分泌物などが気管内に流れ込むのを防ぎます。

一方で、カフなしカニューレは人工呼吸器からの離脱を進める際などに使用します。
カフ付きカニューレに比べて、上軌道からの分泌物や唾液の流入が増えるため、注意が必要です。

小児の場合に主に選択されるのはカフなしカニューレです。
小児の気道で最も狭い部分は輪状軟骨部と呼ばれます。
そのため、カフ付きカニューレを使用せずに、気管の密閉性を保つことが可能です。

逆にカフ付きでは、カフの圧迫により浮腫や粘膜障害を起こすといわれていましたが、最近では合併症は否定されています。

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気管切開の症例数


小児の気管切開の症例数は年々増加傾向にあります。
ある病院での症例数は2010年時点で年間30例に達し、年齢は約半数が1歳未満と報告されています。

気管切開の原因疾患は、筋緊張性ジストロフィーなどの神経・筋疾患が最も多いです。
ついで気管支軟化症や胸郭 低形成などの肺・胸郭・気管疾患があり、上気道狭窄疾患が続きます。
Fallot4徴などの心疾患やPierre-Robin症候群などの小顎症、その他感染症などがあります。

生まれながらにして病気を抱え、周りとのハンデを背負う子供たち。
今後の社会には、子供たちやその介護者をサポートしていく役目が求められるでしょう。

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気管切開のデメリットまとめ


ここまで気管切開のデメリットなどについてお伝えしてきました。
気管切開の要点を以下にまとめます。

  • 気管切開には呼吸を助けたり、誤嚥の防止や食事を可能にするメリットがある
  • デメリットとしては声が出せなくなったり、継続的にケアが必要になるなどがある
  • 感染症の予防としてガーゼ交換や口腔内環境のケアなどは毎日行う
  • 医療スタッフと連携して痰の吸引やカニューレの交換なども家族が行う必要がある

これらの情報が少しでも皆さまのお役に立てれば幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。

監修者 メディカル・ケア・サービス

  • 認知症高齢者対応のグループホーム運営
  • 自立支援ケア
  • 学研グループと融合したメディア
  • 出版事業
  • 社名: メディカル・ケア・サービス株式会社
  • 設立: 1999年11月24日
  • 代表取締役社長: 山本 教雄
  • 本社: 〒330-6029埼玉県さいたま市中央区新都心11-2ランド·アクシス·タワー29F
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  • 介護付有料老人ホーム展開
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