いびきをかく人は脳卒中になりやすいです。
脳卒中が原因でいびきをかくこともあります。
そもそも脳卒中とはどういう症状なのでしょうか?
脳卒中のいびきとはどういうものなのでしょうか?
本記事では脳卒中のいびきについて以下の点を中心にご紹介します。
- 脳卒中とは
- 脳卒中のいびきの原因
- いびきによる脳卒中とは
脳卒中のいびきについて理解するためにもご参考いただけますと幸いです。
ぜひ最後までお読みください。
脳卒中は日本人の死因の上位に食い込む疾患です。ところで、脳卒中ではどのような症状があらわれるのでしょうか。また、治療・予防にはどのような方法があるのでしょうか。本記事では、脳卒中について、以下の点を中心にご紹介します。 […]
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脳卒中とは
脳卒中とは、脳の血管が詰まる、破れるなどで、脳の神経細胞が障害される病気です。
原因によって以下の3つに分類されます。
- 脳梗塞(脳の血管が詰まる)
- 脳出血(血管が破れる)
- くも膜下出血(動脈瘤が破れる)
後遺症は脳の損傷部位によって、症状が異なります。
脳卒中の中でも脳梗塞は、最初は軽症でも再発を繰り返し後遺症が重くなっていきます。
1度脳梗塞を起こすと、
- ほぼ完治は約20%
- 後遺症が残るのは73%
- 死亡は7%
と言われています。
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脳卒中が原因でいびきがでるのはなぜ?
喉には気道があり、気道が空気の通り道になることで呼吸ができます。
寝ているときは立っているときよりも気道は狭くなります。
いびきは、気道に舌根(ぜっこん)が落ち込むなどで気道が塞がれることでおこります。
呼吸のときに塞がれた部分の周囲が振動する事で音が発生します。
脳卒中がおこると、舌根が落ち込むことがあります。
そのため、呼吸音がいびきと同じような音を発するようになります。
脳梗塞というと、突然倒れて意識を失うイメージを持っている方が多いかもしれません。しかし、それは脳梗塞の症状のほんの一部なのです。脳梗塞の原因や症状についてよく理解することで、もしもの時に適切な対応ができるようにしましょう。また、[…]
脳卒中の前兆かもしれない「いびき」の特徴
脳卒中が疑われるいびきの特徴を紹介します。
突然のいびき・大きないびきは要注意
普段いびきをしないのに、突然大きないびきをする場合には意識があるか確認しましょう。
けいれんなどの症状が無くても、脳卒中により意識を失っている可能性があります。
呼びかけたり体を叩いたりしても起きない場合は、早急に救急車を呼ぶ必要があります。
また、チェーンストークス呼吸と呼ばれる呼吸が生じた場合でも救急車を呼びましょう。
交代性無呼吸とも呼ばれる呼吸で、
- 小さい呼吸から少しずつ呼吸が大きくなる
- 大きい呼吸後に10~20秒程度の呼吸停止
の2つの状態が繰り返される呼吸です。
実際にあった体験談
実際に、倒れるときいびきの症状があったことから救急車を呼び、脳卒中と診断された方の体験談をご紹介します。
Aさん(57歳・女性)の体験談
ある朝、朝食の支度をし、娘に起きるように声をかけた後、トイレに入りました。
トイレから出ようとしたときに、首に水が流れるような感じがして意識を失いました。
物音で家族がトイレにいくと、Aさんがトイレの前で倒れていびきをかいていました。
家族は異常事態だと思い、早急に救急車を呼びました。
Aさんは病院で検査をした結果、くも膜下出血を生じていたことが判明しました。
掲示板に投稿された方の父親の話
「少しフワーっとするから少し休む」と言い、横になりました。
そして、すぐに尋常じゃないほどのいびきをかき、そのまま死んでしまいました。
周りには体育教師や救急隊の人がいたので、いびきをかいた時点で救急車を呼びました。
呼吸停止後は救急車が来るまで人工呼吸と心臓マッサージを繰り返しました。
搬送された病院でMRIを撮っても原因は判明せず、死亡届には原因不明となっています。
掲示板の投稿者の祖母の話
朝の10時頃にイビキをかいて寝ていて、声を掛けても起きないのでそのままにしました。
11時半頃にもう1度声をかけても起きません。
肩を叩いたり揺さぶったりしても反応が無く、異常だと思い救急車を呼びました。
診断書によると「急性肺炎」、「うっ血性心不全」、「脳卒中の疑い」とのことです。
いびき以外の脳卒中の初期症状もチェック!
いびきだけでは脳卒中の判断ができない場合もあります。
いびき以外の脳卒中の初期症状として、以下の症状がないか確認することも大切です。
- 頭痛(頭が割れるように痛む)
- 麻痺(左右の片側に出る)
- 感覚障害(左右の片側に出る)
- 言語障害(失語症・構音障害)
- 視野障害
- めまい
そのほか、脳卒中のチェック方法にFASTという方法があります。
- 顔(Face)(顔の片側にゆがみがある)
- 腕(Arm)(片腕が上がらない)
- 言葉(Speech)(ろれつが回らない)
などに気づいたら発症時刻(Time)を確認し、早急(Fast)に救急車を呼びましょう。
脳卒中を疑う症状がでたときの対処法
脳卒中を疑う症状がでたとき、確認すべきことは以下のことです。
- 意識があるかどうか
- 規則的な呼吸をしているかどうか
上記の症状により、応急処置の方法が変わります。
意識がある場合の応急処置の流れ
脳卒中の症状があり、意識がある場合の処置になります。
安全の確保と救急要請のあとは、それぞれ症状に合わせた対処が必要です。
(1)すぐに救急車を呼ぶ
脳卒中の症状がある場合は、とにかく救急車を呼ぶことが重要です。
軽症でも悪化する可能性を考えると、病院へ連れて行くより救急車が良いです。
明確に脳卒中の症状がある場合は、迷わず早急に救急車を呼ぶことが大切です。
脳卒中は早く治療を始めるほど効果が高く、後遺症もより少なくなります。
(2)安全な場所に移動させる
脳卒中が発生した場合は、頭を低くして、静かに安全な場所に移動させます。
移動のとき、頭が動かないように首に手を当て、頭を固定しながら移動します。
以前は、脳卒中が起きた場所に寝かせて動かしてはいけないといわれていました。
現在のガイドラインでは、安全確保のため安全な場所に移動させることになっています。
(3)衣服をゆるめる
ネクタイやベルト、腕時計など、体を締め付けているものをはずし、首元やウエストをゆるめます。
このときに眼鏡や入れ歯などもはずしておくことが大切です。
(4)必要に応じて気道を確保する
いびきのような呼吸をしている場合、舌根が気道を塞いでいると考えられます。
- あごが落ちないように肩の下に小さなまくらを入れる
- 横向きにして首を少し後ろに反らせる
など、早急に気道を確保をします。
吐瀉物が口腔内にある場合は、ハンカチなどを指に巻き、口からかき出す必要もあります。
(5)水平に寝かせて、毛布などで温める
頭を水平にして、頭を固定した状態で寝かせ、毛布などで保温をすることが重要です。
頭を上げると脳への血流が悪くなり、症状が悪化するため注意が必要です。
そして、麻痺があるなら麻痺側を上にして、体を横に向ける必要があります。
また、吐き気がある場合も横向きにしないといけません。
(6)症状をメモしておく
起きた症状と症状の起きた時刻をメモしておくことも大切です。
そして、応急処置や処置の時刻などもメモしておくと、状態の説明がしやすくなります。
救急車の到着後に、要領よく説明できれば、素早く適切な処置が行えます。
意識がない場合の応急処置の流れ
肩などをたたいて大きな声で呼びかけても、反応が無い場合の処置です。
意識の確認の際は、頭を決して揺さぶってはいけません。
(1)大声で周囲に助けを求める
大声を出して周囲に助けを求めることが重要です。
1人では応急処置や救急要請など、全てをこなすことは難しいです。
他の人が来てくれたら、以下のことを手分けして行います。
- 応急処置をする
- 救急要請(119番)をする
- AED(自動体外式除細動器)を持ってくる
(2)救急車を呼ぶ
誰も来なければ、自分で119番通報してください。
おちついて、はっきりと通報することが大切です。
- 「火事ですか?救急ですか?」と聞かれたら、「救急です」と答える
- 住所、目印を告げる
- 傷病者の状態を説明
- 通報者の氏名、電話番号を告げる
救急車が到着したら、
- 行った応急処置
- 状態の変化
などを報告すると、処置の引継ぎがスムーズに行われます。
(3)呼吸を確認する
呼吸を常に確認し、呼吸が正常に続いていれば、そのまま救急車を待ちます。
- いびきのような呼吸
- 止まりそうな呼吸
- 呼吸が停止
などがあれば胸骨圧迫(心臓マッサージ)を行います。
圧迫する位置は胸の中央(みぞおち)で胸骨(胸の真ん中の骨)の下半分です。
気を付ける点は以下になります。
- 深さ5cm以上圧迫する
- 1分間に100回以上の速さで行う
- 毎回胸を圧迫後は元の高さまで戻す
(4)AEDを使用する
AEDが入手できたら、電源ボタンを押してください。
電源が入れば、AEDの音声ガイドが処置の方法を指示するため、指示に従います。
AEDが入手できない場合、患者の反応があるまで交代で胸骨圧迫をする必要があります。
睡眠時無呼吸症候群(SAS)と脳卒中
睡眠時無呼吸症候群は、寝ている間に脳卒中を発症するリスクがあります。
医学的には睡眠中に、
- 呼吸が10秒間以上止まる
- 無呼吸または低呼吸が1時間あたり5回以上ある
上記の2つを満たした場合は睡眠時無呼吸症候群と診断されます。
睡眠時無呼吸症候群は危険ないびき
- 高血圧
- 脳卒中
- 糖尿病
- 高脂血症
- 心筋梗塞
などの病気の発生リスクを増加させ、合併症により突然死する場合もあります。
症状が重くなると、明らかに寿命が短くなると言われています。
脳卒中などの発症リスクを高める
睡眠時無呼吸症候群の症状に比例して、脳卒中の発症リスクも高くなります。
一時的に睡眠中に呼吸が止まることで、体内の酸素が不足します。
酸素を供給するために心拍数が上昇して、それに伴い血圧も上昇します。
急激に血圧が高くなることで、脳卒中などの発症リスクを高めます。
自分の睡眠をチェックしてみよう!
自分の睡眠をチェックして、睡眠時無呼吸症候群かどうかを確認することも大切です。
自分自身でチェックをする方法なども紹介します。
睡眠時無呼吸症候群の人は意外と多い
睡眠時無呼吸症候群の男女の割合は以下の通りです。
- 男性の約9%
- 女性の約3%
上記の数は少ないとは言えず、日中の眠気がおこる代表的な睡眠障害と考えられています。
閉塞性睡眠時無呼吸症候群の年代別の割合は以下の通りです。
- 小児の 1~2%
- 中年の 2~15%
- 老年の 20%以上
老年では5人に1人以上が閉塞性睡眠時無呼吸症候群を発症しています。
睡眠時無呼吸の重症度は、日常の運動時間が短いほど高くなります。
良質な睡眠のためには、運動を定期的に行うことが効果的であると言えます。
飲酒は、飲酒量に比例して、睡眠時無呼吸症候群を悪化させます。
喫煙は、睡眠時無呼吸症候群を発症するほか、循環器疾患などのリスクも高めます 。
肥満は、首回りの脂肪によって気道が狭くなることで発症しやすくなります。
出典:厚生労働省「睡眠障害について」
自分の睡眠をチェックする方法
自分の睡眠を確認する方法として、一緒に寝ている人がいれば特徴を聞くことができます。
しかし、確認が難しい場合は以下の方法が挙げられます。
- ネットなどの睡眠時無呼吸症候群のセルフチェックを試す
- 寝息をボイスレコーダーなどで録音する
- いびきを測定するアプリを利用する
セルフチェックは実際の寝息が聞けないので、目安として考えると良いです。
睡眠時無呼吸症候群の可能性がある人は
睡眠時無呼吸症候群の可能性がある場合は、早めに診療を受けることが大切です。
医療機関では、CPAP、ナステント、マウスピース、投薬などの治療法になります。
バランスの良い食事や適度な運動など、生活習慣を整えることも大切です。
改善することで、日中の眠気や寝ても疲れが取れない状態の頻度も減少します。
そのため、今よりも元気な毎日を送ることができます。
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脳卒中が原因のいびきまとめ
ここまで脳卒中のいびきについてお伝えしてきました。
脳卒中のいびきの要点をまとめると以下の通りです。
- 脳卒中とは脳の血管が破れたり詰まったりして脳に障害がおこる
- 脳卒中のいびきは、舌根が気道を塞ぐことでおこる
- いびきや無呼吸などで低酸素状態になると、血圧が上昇し脳卒中がおこりやすい
これらの情報が少しでも皆さまのお役に立てば幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。