貧血になると、だるさや疲労感などの症状を引き起こします。
貧血とは血中の赤血球やヘモグロビン量が少ない状態で、年齢別に原因の特徴があります。
そもそもどうして貧血になるのでしょう。
貧血を予防するためにはどうすればよいのでしょうか。
本記事では高齢者の貧血の原因について以下の内容を中心にご紹介します。
- 貧血になるとどのような症状があるのか
- 高齢者と若年者による原因の違いとは
- 貧血を予防するためには、なにに注意すればよいのか
高齢者の貧血の原因について理解するためにも、ご参考いただけますと幸いです。
ぜひ最後までお読みください。
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貧血の原因
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貧血とは血液内の赤血球やヘモグロビンの量が減少した状態です。
貧血が起こる理由には、体に取り込む量の減少か、体内で作る量の減少があります。
高齢者と若年者では原因にどのような違いがあるのでしょうか?
高齢者の場合
高齢者では加齢による食の減少や内臓機能の低下が起こります。
赤血球の産生の調整が難しくなったり、必要な栄養素の不足が起こります。
結果、体内で赤血球を作る能力が低下し、貧血の状態になるのです。
また、他の疾患によっても同様の症状が起こることがあります。
体調が悪い時には、体内に栄養が十分にあっても、赤血球などを作ることはできません。
悪性腫瘍や感染症、膠原病などがあるとうまく赤血球を産生できずに、貧血になってしまいます。
若年者の場合
若年者の貧血で最も多いものは「鉄欠乏性貧血」です。
その理由としては、まず偏った食生活が考えられます。
鉄分が少ない食事をとり続けると、徐々に体内の鉄分量が減少していきます。
女性は月経過多などにより出血することでも、体内の鉄分量が失われます。
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高齢者の貧血の原因
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高齢者の貧血は、単純な摂取不足のみではなく、体内の機能の変化が関係しています。
高齢者の男女でも以下のような違いがあります。
高齢男性の場合
高齢男性の貧血の理由は「身体機能の低下」「他疾患による出血」などです。
男性は元々女性よりも1日の座っている時間が長いといわれています。
退職により活動量が減少することに加えて、加齢にともなう体力の減少も危惧されます。
これらは、身体・臓器の活動量を減少させ、赤血球の産生不足に繋がります。
また、男性では50代以降に急激にがんの罹患率が増加します。
胃がんや大腸がん、潰瘍などの出血をともなう病気が原因になることがあります。
出血が続くことで徐々に貧血症状がでることがあるので注意しましょう。
高齢女性の場合
高齢女性でも男性と同様に、体力の低下が原因で体内の赤血球を作る能力が低下します。
退職後の座位時間の話ですが、座っている時間はむしろ女性が長くなるといわれています。
加えて加齢により体力が低下すると、内臓などの機能低下を起こすことが予想されます。
胃腸の役割は赤血球の産生に必要な鉄分やビタミンB12などの吸収です。
また、腎臓にあるエリスロポエチンというホルモンは赤血球の産生を調整しています。
これらの機能が低下すると、体内で作られる赤血球は減少することになります。
また、体力が減ることで同時に活動量の低下も起こってきます。
活動量の低下はさらに食の細さを助長し、体内への栄養素の摂取を不足させます。
がんや感染症、膠原病がある際にも、赤血球を産生することが困難です。
また、骨髄異形成症候群(MDS: myelodysplastic syndromes)は、高齢者に多いとされます。
赤血球は骨髄で作られるので、結果的に貧血になってしまいます。
内服薬によっても出血を引き起こす場合があります。
抗血液凝固薬は血液をサラサラに保つ薬で、効果が強いと出血することもあります。
痛み止めなども服用すると、消化管出血につながる場合もあるので、注意が必要です。
高齢者の貧血で注意したいこと
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高齢者の貧血の原因を整理したところで、注意すべきポイントについて確認しましょう。
栄養不足
加齢により、活動量の減少や入れ歯の利用などが予測されます。
これらは食品の摂取量を減少させたり、特定のものばかりを食べる偏食を引き起こします。
高齢者では胃腸の吸収能力も落ちているので、栄養不足はさらに問題となります。
骨髄の病気
骨髄は赤血球を始めとして、血液を作ることが仕事です。
高齢者白血病や骨髄異形成症候群は50歳以降の高齢者に多いとされています。
だるさや出血などの貧血を疑うような症状があった場合は、まずは病院を受診するのがよいでしょう。
貧血を伴う病気
鉄分不足に対して内服薬や食材などから、量や質を補うことは大切なことです。
しかし、しっかりと鉄分などの栄養素をとっても改善しない場合もあります。
がんや感染症、胃腸症状などでは持続的に出血するため、鉄分不足を引き起こします。
このような症状の場合は、他疾患の影響もみるためにすぐに受診したほうがよいでしょう。
薬の副作用
鎮痛剤は副作用として消化管出血や胃潰瘍などがあります。
湿布薬などでも腎機能の低下や消化管への潰瘍などの副作用があり、注意が必要です。
最近では胃薬などを併用することで、出血を抑える効果なども認められています。
貧血症状が出にくい
貧血の症状として、だるさや疲れやすさ、ふらつきなどがあります。
高齢者では、元より同様の状態や症状がある方もいるため、鑑別が難しい場合もあります。
胸の痛みや物忘れなどが出た場合は、診断が難しくなります。
認知症や狭心症などの疾患が疑われることもあり、貧血が見逃されるおそれがあります。
輸血が必要な貧血とは
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輸血を必要とする貧血になる病気には以下のものがあります。
血液を作ることが困難・破壊されてしまう状態
白血病などの症状や薬の影響で、自分で血液成分を作れないときは輸血が必要となります。
また、自己免疫や心疾患で血液成分を壊してしまう場合も同様です。
大量に血液を消費してしまった状態
血液は一瞬で大量に作ることはできません。
大量に出血したり、透析のように一気に血液が必要となる場合も輸血が必要です。
血液が機能しない状態
再生不良性貧血や白血病など血液の病気で血小板や赤血球を作れなくなることがあります。
消費分を補うには輸血により血液を補充するしかありません。
高齢者の栄養素摂取状況
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貧血の予防・改善には体内の赤血球やヘモグロビンの量を増やす必要があります。
日本人高齢者における鉄分の推奨摂取量は70歳男性で7.0g、70歳女性で6.0gです。
しかし、鉄分のみの補充では貧血を防ぐことは困難です。
次の表の栄養素をしっかりと摂ることで、貧血を予防しましょう。
【高齢者における貧血にまつわる栄養素の摂取量(平均値)について】
60~69歳 | 70~79歳 | 80歳以上 | |
鉄(mg) | 8.6 | 8.9 | 7.8 |
ビタミンB12(μg) | 7.3 | 8.1 | 6.8 |
ビタミンC(mg) | 111 | 132 | 118 |
葉酸(μg) | 331 | 353 | 321 |
出典:厚生労働省【第1部栄養素等摂取状況調査の結果】
高齢者の貧血に必要な栄養素の働き
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さきほどあげた栄養素は貧血の予防・改善に重要な役割をしています。
実際にどのような働きをしているのでしょう。
鉄
食べ物に含まれる鉄には「ヘム鉄」と「非ヘム鉄」があります。
ヘム鉄はレバー、肉や魚などの動物性食品に多く含まれています。
非ヘム鉄は野菜や大豆などの植物性食品に多いとされています。
ヘム鉄の方が吸収されやすいため、積極的に摂ることが望ましいでしょう。
しかし、実際にはどちらかだけの鉄分を摂るということはありません。
より多くの栄養素を摂り、吸収を助ける栄養素と一緒に摂るようにすれば大丈夫です。
出典:貧血の予防には、まずは普段の食生活を見直そう
貧血予防のために必要な栄養素と食べ方の工夫 2018.06.08 fri
ビタミンB12
ビタミンB12は赤血球の産生に関与しています。
他の栄養素を摂っていても、ビタミンB12が不足すると正常な赤血球が産生されません。
ビタミンB12はレバーや魚、チーズなどの動物性食品に多いとされます。
出典:貧血の予防には、まずは普段の食生活を見直そう
ビタミンC
ビタミンCは非ヘム鉄の吸収を補助してくれます。
非ヘム鉄を含む油揚げや枝豆などの大豆製品などはビタミンCと一緒に摂ると効果的です。
ビタミンCは緑黄色野菜やくだものに多く含まれます。
鉄分を摂る際には一緒に摂るように意識しましょう。
出典:貧血の予防には、まずは普段の食生活を見直そう
葉酸
葉酸もビタミンB12と同じく、赤血球の産生に関係します。
ビタミンB12と合わせて摂るようにしましょう。
枝豆やブロッコリーなどに含まれており、主に野菜から摂れます。
貧血患者の看護について
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観察項目
貧血には種類があり、それぞれの陥る原因についてお話しました。
貧血がある方を診るうえで以下の項目はチェックしておきましょう。
貧血の種類 | 特徴的な症状 |
鉄欠乏性貧血 | 嚥下障害、口角炎、舌炎、匙状爪(スプーンネイル)、氷食症 |
再生不良性貧血 | 出血傾向、感染に伴う発熱 |
溶血性貧血 | 黄疸、胆石、脾腫、褐色尿 |
悪性貧血 | 末梢神経障害、味覚障害、意識障害、食欲低下 |
貧血の種類に応じて特徴的な症状を確認するようにしましょう。
バイタルサインももちろん確認します。
出血傾向や黄疸など症状の増悪や貧血自体に影響するものは特に注意してチェックしておきます。
貧血の看護|症状・観察項目・看護計画など | ナース専科
貧血の種類と原因 | 看護roo![カンゴルー]
看護計画
貧血の方の症状は、足りない栄養素の補充や、血液の成分を改善することで治療できます。
貧血症状としての倦怠感や疲労感、原因によっては同時に苦痛をともなうこともあります。
看護計画では症状・苦痛の軽減を図っていくことが重要です。
整容 | 入浴が困難な場合は、清拭をおこない体を綺麗に保てるようにしましょう。 |
口腔ケア | 口腔内環境が劣悪になると感染や肺炎の原因にもなります。意識障害や認知症がある場合は看護師の処置が必要です。 |
食事 | 貧血に必要な鉄分、ビタミン、タンパク質が豊富な食品を提供します。食材でいうとレバー、肉や魚、野菜や果物などがそれにあたります。 |
注射や内服 | 医師の指示に合わせて、決まった時間と分量でおこないましょう。 |
マッサージ | マッサージにより、痛みがある部分の症状の軽減を図ります。 |
全身状態の確認 | 現在の症状やその他の身体状況と合わせて確認します。二次的な発症や身体機能の低下が起こらないように注意して観察しましょう。 |
患者教育 | 貧血になる要因を特定したら、その原因の治療に患者自身が取り組めるようにしておきましょう。 |
口腔ケアの看護手順とケアのポイント | ナースのヒント
貧血症状を訴える患者の観察項目と看護計画・ケアのポイント
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高齢者の貧血の原因まとめ
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ここまで高齢者の貧血の原因についてお伝えしてきました。
高齢者の貧血の原因について要点を以下にまとめます。
- 貧血になると、だるさや疲労感、息切れ、めまい、頭痛など様々な症状がでる
- 高齢者の貧血は、必要な栄養素の不足にくわえて、体力の衰えなども原因になる
- 貧血の予防には、タンパク質、ビタミン、鉄分をしっかりと摂ることが大切
これらの情報が少しでも皆さまのお役に立てれば幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。