脳出血の多くは、何らかの後遺症を身体に残します。
脳出血を未然に防ぐことは、健康的な生活を送る上でとても大切です。
そもそも脳出血とは、どのような原因で起こるのでしょうか?
脳出血を防ぐには、どういった方法があるのでしょうか?
本記事では、脳出血の予防について以下の点を中心にご紹介します。
- 脳出血の原因とは
- 脳出血を予防するには
- 脳出血を起こさないために注意すること
脳出血の予防に対するコーヒーの有効性も解説しています。
脳出血の予防について理解するためにも、ご参考いただけますと幸いです。
ぜひ最後までお読みください。
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脳出血とは
脳出血とは、何らかの原因で脳内を走る血管が破れて血液があふれる病気です。
あふれた血液は固まって「血腫」となり、周囲を圧迫します。
血腫は脳細胞を破壊し、突然の頭痛や手足のしびれなど様々な症状を引き起こすのです。
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脳出血の原因
脳出血の原因は主に
- 高血圧による血管の破裂
- 動脈硬化による血管の破裂
の2つに大別されます。
それぞれ解説します。
高血圧による血管の破裂
脳内にある細い動脈の血管に、高い圧がかかり続けることにより血管が破裂します。
脳出血の原因として、実に半数以上を占めているのが高血圧です。
動脈硬化による血管の破裂
持続的な高血圧は、血管の壁にダメージを負わせ動脈硬化を引き起こします。
動脈硬化が起きたもろい血管に、さらに高い血圧がかかることで血管が破裂するのです。
脳梗塞というと、突然倒れて意識を失うイメージを持っている方が多いかもしれません。しかし、それは脳梗塞の症状のほんの一部なのです。脳梗塞の原因や症状についてよく理解することで、もしもの時に適切な対応ができるようにしましょう。また、[…]
脳出血の予防法
脳出血の予防方法は、主に以下のとおりです。
- 食生活の改善
- 禁煙
- 飲酒を控える
- 運動する
順番に解説していきます。
食生活の改善
脳出血を引き起こす最大の原因は高血圧です。
特に塩分の過剰摂取は、体内のナトリウム濃度が上がり高血圧になるリスクが高まります。
野菜や果物には、
- 塩分を体外に排出する
- 血圧を下げる
などの働きのあるカリウムが豊富に含まれています。
厚生労働省が推奨する塩分摂取量は、成人男性7.5g未満、成人女性6.5g未満です。
塩分自体の摂取を控えめにし、野菜や果物を積極的に摂取することを心がけましょう。
出典:厚生労働省【日本人の食事摂取基準(2020年版)】
禁煙
喫煙は、脳出血の原因となる動脈硬化を進行させます。
喫煙者本人だけでなく、受動喫煙も脳血管疾患のリスクを高めるため注意が必要です。
飲酒を控える
アルコールの過剰摂取は脳出血の発症リスクが上がります。
飲酒には血圧を一時的に下げる効果もあるため、飲酒自体が悪ではありません。
ただ、だらだら飲みや飲酒量が多い場合は、動脈硬化を引き起こす原因となります。
飲酒量はほどほどにし、節度ある飲酒量を心がけましょう。
運動する
毎日の適度な運動は、脳出血の予防に効果的です。
座ったまま足を曲げ伸ばししたり、腕を上げ下げしたりして筋肉をつけましょう。
また、週に1回程度、30分ほどの息が弾むウォーキングも効果があります。
無理をせず、自分に合った方法を継続することが大切です。
日常生活における注意点
脳出血を予防するために、日常生活で気をつけることには
- トイレで力まない
- 急激な温度差に気をつける
があります。
注意点をそれぞれ解説します。
トイレで力まない
トイレでの力みは、血圧が上昇する原因です。
力みで急激に血圧が上昇し、血管に負担がかかって破裂する恐れがあります。
重いものを持ち上げる際も同様に注意が必要です。
急激な温度差に気を付ける
季節の変わり目や、朝と日中の急激な気温差がある場合、脳出血に注意しましょう。
また、冬季の暖房の効いた部屋から冷えた脱衣所などに移動する際も同様です。
上着などでの調節や、部屋ごとの温度差をなくす工夫をしましょう。
脳出血に予防薬はあるの?
脳出血の原因の多くは高血圧であるため、脳出血を予防するには降圧剤が効果的です。
血圧を下げることによって、脳出血を予防できる場合があります。
ただ、降圧剤により血管への圧が低下し、血管が詰まる可能性もゼロではありません。
その結果、虚血性の脳梗塞を引き起こす可能性もあるため注意が必要です。
薬に頼るだけではなく、
- 生活習慣の改善
- 適度な運動
をきちんと行い、血圧をコントロールすることが大切です。
脳卒中の前兆症状
脳出血をはじめとする脳卒中の前兆症状として、
- 突然の激しい頭痛
- 片目が見えなくなる、視野が狭くなる
- ろれつが回らない
- 自分の話したいことが離せない
- うまく歩けない
などがあります。
脳出血の主な症状
脳出血の症状は出血箇所によって異なりますが、主に
- 片麻痺
- 四肢麻痺
- 顔面神経麻痺
- ふらつき
- 意識障害
などが起こります。
前兆が見られる場合の対応
上記の症状があらわれたときには、すでに脳出血が起きていると考えられます。
そのため、早急に救急車を呼んで病院へ向かうことが大切です。
早期発見による脳出血対策
脳出血は、何の前触れもなく突然発症することが少なくありません。
定期的な健康診断で、脳出血の危険因子である高血圧などを早期発見することが大切です。
血圧のコントロールを適切に行うことで、脳出血のリスクを減らせます。
前兆が出てからではなく、発症を未然に防ぐための行動をしていきましょう。
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脳出血とくも膜下出血の違い
くも膜下出血は、脳出血と同じ出血性の脳血管疾患です。
脳出血とくも膜下出血は、血管が破裂する場所が異なります。
脳出血は、脳内の細い血管が破裂し、あふれた血液が血腫となり脳に障害が起きます。
対してくも膜下出血は、主に脳の表面と中間層(くも膜)との間に出血が起こる病気です。
くも膜下出血が起こる原因としては、動脈瘤(動脈のコブ)の破裂が挙げられます。
出血が広範囲にわたることで重い後遺症が残ることが多いのも、くも膜下出血の特徴です。
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脳出血と脳卒中の違い
脳卒中とは脳血管疾患の総称です。
脳卒中という症状の1つという位置づけで、脳出血が存在します。
脳血管疾患である脳卒中には
- 虚血性
- 出血性
の2種類があります。
虚血性の脳血管疾患は脳梗塞です。
一方、出血性の脳血管疾患は、出血箇所によって脳出血とくも膜下出血に分けられます。
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脳梗塞を予防するには
虚血性の脳血管疾患である脳梗塞の予防は、基本的には脳出血の予防方法と変わりません。
脳出血の危険因子である高血圧は、脳梗塞のリスクも上昇させます。
高血圧を予防する生活習慣の見直し方法として、
- コレステロールの過剰摂取を控えた食生活
- こまめな水分補給
- 禁煙・節度ある飲酒
などを意識しながら生活することが大切です。
コーヒーは脳梗塞を予防する?
コーヒーの適度な摂取により、心疾患や脳梗塞などの発症リスクが低下することが分かりました。
「1日1~3杯のコーヒーが、心疾患や脳卒中のリスクを低下させる」というものです。
米国の心臓病学会が発表しました。
コーヒー豆に含まれる成分が、心疾患や脳血管疾患の発症予防に効果があるとされています。
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脳卒中になるとどうなるの?
平成16~17年に脳卒中を発症した方の予後を、厚生労働省が統計調査し公表しています。
データでは、脳卒中を発症した方のうち死亡者数を除くと約23%が中等度~重度の後遺症が残っていました。
後遺症が強く残っている場合は、介護などを受けながら生活することになります。
出典:厚生労働省【図表1-2-6 脳卒中患者(18-65歳)の予後】
厚生労働省は、介護が必要となった原因の構成割合も調査しています。
介護が必要になった原因が脳卒中だった方の割合は、全体の2割ほどです。
以下の表は、要介護度別の割合を抜粋したものです。
要支援1 | 要支援2 | 要介護1 | 要介護2 | 要介護3 | 要介護4 | 要介護5 | |
脳卒中 | 11.1% | 18.4% | 16.5% | 22.4% | 26.4% | 30.3% | 33.8% |
認知症 | 4.1% | 3.4% | 22.0% | 19.0% | 22.5% | 19.3% | 18.7% |
がん | 2.5% | 2.2% | 2.9% | 1.3% | 2.8% | 2.6% | 1.2% |
出典:厚生労働省【表24 要介護別に見た介護が必要となった主な原因の構成割合】
ほぼすべての要介護度で、脳卒中の割合が最多となっています。
脳卒中を発症する前後では、後遺症の程度などで生活が一変します。
自力で健康的な生活をするためには、発症を未然に防ぐことが大切だといえるでしょう。
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脳出血の予防まとめ
ここまで、脳出血の予防について解説してきました。
脳出血の予防についての要点を以下にまとめます。
- 脳出血の原因は主に高血圧
- 脳出血を予防するためには、生活習慣の見直しや禁煙、適度な飲酒、運動
- 脳出血を起こさないために、トイレでの力みや急激な温度差に注意
これらの情報が少しでも皆さまのお役に立てば幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。