ある日突然「キーン」や「ジーン」など、耳鳴りを経験したことはありますか?
誰にでも起こり得る耳鳴りですが、不眠など日常生活に支障を及ぼす場合があります。
耳鳴りにはどのような種類があるのでしょうか?
耳鳴りを治療、また予防するためにはどのようにすればよいでしょうか?
本記事では耳鳴りの種類について以下の点を中心にご紹介します。
- 耳鳴りにはどのような種類があるのか
- 耳鳴りを治療する方法
- 耳鳴りを予防する方法
耳鳴りの種類について理解するためにもご参考いただけますと幸いです。
ぜひ最後までお読みください。
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耳鳴りとは
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耳鳴りとは、周囲の環境音とは異なる雑音や異音が耳の中で聞こえる症状をいいます。
耳鳴りで発生しやすい音はゴーなど低音、キーンなど金属音、ボーなど雑音です。
音の種類や頻度は様々で、一時的な症状から24時間持続して聞こえる場合があります。
耳鳴りが原因で、精神的なストレスや頭痛など自覚症状を伴う場合があります。
結果、日常生活に支障をきたす場合があります。
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耳鳴りの種類
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耳鳴りは発症の原因により3つの種類に分類されます。
具体的には以下の通りです。
自覚的耳鳴り
自覚的耳鳴りは本人のみ聞こえて他人には聞こえない耳鳴りをいいます。
耳鳴りの原因の大半は自覚的耳鳴りです。
原因となる音源が不明です。
自覚性耳鳴りを伴う方の多くは内耳障害や難聴を伴っています。
出典:新潟大学「2)耳鳴りの臨床―中枢性疾患と耳―」
他覚的耳鳴り
他覚的耳鳴りは本人以外に聴診器などを用いることで聞くことができる耳鳴りをいいます。
原因となる音源は主に頭頭部の血管や筋肉です。
以下の対応で耳鳴りの確認や変化が感じられた場合は他覚性耳鳴りの可能性があります。
- 脈のリズムと一致する
- 耳や頸部の血管を圧迫によって停止、又は耳鳴りに変化がある
- 聴診器を当てると血管雑音が聞こえる
出典:新潟大学「2)耳鳴りの臨床―中枢性疾患と耳―」
生理的耳鳴り
生理的耳鳴りは静かな環境で「シーン」という音が聞こえる症状をいいます。
正常な反応であり、誰もが経験することができる音です。
耳鳴りの主な原因
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耳鳴りの原因の大半は聴覚の感音性障害が原因です。
内耳に伝わる音の情報は、電気信号に変換され脳に伝達される感音性の経路があります。
感音系の経路の一部に何らかのトラブルが発生すると耳鳴りの原因になります。
耳鳴りの主な原因は以下の通りです。
外傷
交通事故など外的要因が原因で発生する耳鳴りです。
頭頚部や鼓膜、耳小骨など音の経路が障害されることで耳鳴りが発生します。
また外傷の種類の1つとして、騒音が原因となる場合があります。
爆発音など大きな音を聞いた後に難聴や耳鳴りが発生する場合があります。
中耳炎
中耳炎は鼓膜の内側にある中耳に細菌などが原因で炎症を起こす病気です。
鼓膜に穴があく、中耳に液体が溜まることで耳鳴りが発生します。
加齢性難聴
加齢性難聴(老人性難聴)は加齢が原因で聴力低下が進行する病気です。
感音性の経路(内耳、聴神経など)が老化することで耳鳴りが発生します。
薬剤性難聴
薬剤性難聴は薬の副作用が原因で聴力低下や耳鳴りが発生する病気です。
以下の薬剤が処方されている場合、耳鳴りが発生する可能性があります。
薬剤名 | 製品名 |
アミノグリコシド系抗菌薬 | 硫酸ストレ プトマイシン、カナマイシン、ゲンタマイシン、ハベカシンなど |
白金製剤 | シスプラチン |
サリチル酸剤 | アスピリン |
ループ利尿剤 | フロセミド、トラセミド、ブメタニド、アゾセミド |
出典:厚生労働省「B.医療関係者の皆様へ」
生活習慣病
高血圧や糖尿病など生活習慣病が原因で耳鳴りが発生する場合があります。
特に糖尿病の場合、血流障害が原因で耳鳴りや難聴が発生します。
糖尿病を患うと聴覚障害のリスクが約3倍に増加するとの報告があります。
精神的な負担
ストレスや疲労が原因で難聴や耳鳴りが発生する場合があります。
具体的には以下の病気です。
病名 | 概要 |
突発性難聴 | 突然片耳の聴力低下を引き起こす病気 ストレスが引き金といわれるが原因は不明 |
メニエール病 | 突然起こるめまいや難聴・耳鳴りを繰り返す病気 ストレスや疲労が引き金となり発症する |
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音から判断する耳鳴りの種類と大まかな原因
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耳鳴りの原因を音の種類や高さから大まかに判断することができます。
詳細は以下の通りです。
高い音(ピー、キーン、ポーなど)
高音域の耳鳴りは、主に内耳に関連した耳鳴りです。
内耳系統の神経や細胞が障害を受けることで脳に伝わる音の情報が減少します。
音の情報を補うため脳が別の音を鳴らしてしまい、結果として耳鳴りの原因となります。
高い音の原因となる病気は以下の通りです。
病名 | メカニズム |
老人性難聴 | 加齢による聴覚に関する神経細胞の減少 |
騒音性難聴 | 長期間の騒音が原因で内耳の感覚細胞や蝸牛神経が障害 |
低い音(ザー、ゴー、ジーなど)
低音域の耳鳴りは、主に中耳に関連した耳鳴りです。
鼓膜周囲のトラブルが原因で中耳腔の圧が安定せず、低音域の耳鳴りが発生します。
低い音の原因となる病気は以下の通りです。
病名 | メカニズム |
急性中耳炎 | 鼓膜の炎症と中耳腔に膿が溜まる |
滲出性中耳炎 | 中耳腔に液体がたまることで鼓膜の振動を妨げる |
耳硬化症 | 耳小骨の1つであるあぶみ骨が固定され振動しなくなる |
耳鳴りの症状
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耳鳴りの症状が見られるとき、他の症状を伴っている場合があります。
具体的な症状は以下の通りです。
めまい・吐き気
内耳にある三半規管は身体の平衡感覚を感じる働きがあります。
メニエール病が原因で内耳のリンパ液が増えると三半規管を圧迫します。
結果、体を平衡に保てなくなり回転性のめまいが生じます。
また自律神経の乱れが原因でめまいや吐き気があらわれる場合があります。
頭痛
ストレスなどが原因で自律神経が乱れると頭痛を伴う場合があります。
自律神経失調症は耳鳴りや頭痛以外に体全体に様々な症状があらわれます。
また更年期障害になると耳鳴りと頭痛を伴う場合があります。
ホルモンバランスが乱れることで脳に負担が生じることが原因です。
最近耳鳴りが多いと感じる場合は、ストレスが原因の可能性が高いです。ストレスによる耳鳴りは一過性かと思いきや、放置すると難聴に移行することがあります。ストレス性の耳鳴りは、症状に気づいた時点で早めに病院を受診することが大切です。そ[…]
耳鳴りの治療方法
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耳鳴りの治療は、原因疾患に対する治療以外に耳鳴り自体を軽減させる方法があります。
一般的な治療方法は以下の通りです。
TRT療法
TRT(Tinnitus Retraining Therapy)は耳鳴りに順応することを目標とした治療方法です。
補聴器に似た形のTCI(tinnitus control instrument;耳鳴り制御機器)を使用します。
まず耳鳴りに関するメカニズムを説明し理解を深めた後、TCIを装着します。
耳鳴りに順応するため耳鳴りが少し聞こえるくらいの大きさに調整します。
毎日決まった時間に装着することで、徐々に耳鳴りに順応することができます。
出典:旭川医科大学病院「TRT(tinnitus retraining therapy)療法」
ブロック療法
ブロック療法は興奮した神経に対し局所麻酔薬を注射することで興奮が緩和する治療です。
頸部周囲の筋肉が緊張し内耳への血流障害が原因の耳鳴りに一定の効果があります。
一般的には、首の前を通る交感神経にある星状神経節をブロックします。
星状神経節ブロックの結果、約7割の耳鳴りが改善したとの報告があります。
出典:関西医大誌「耳鼻咽喉科疾患に対する星状神経節プロックの効果」
薬物療法
耳鳴りの原因に応じて薬物療法を行います。
具体的な薬物療法は以下の通りです。
目的 | 薬剤名(製品名) | 効用 |
内耳機能の改善 | メコバラミン製剤(メチコバール) | 内耳に関する末梢神経障害の改善 |
ATP製剤(アデホス) | 血管拡張作用にてメニエール病などめまいが原因の耳鳴りを改善 | |
プレドニゾロン(プレドニン) | 突発性難聴やメニエール病など急性の難聴や耳鳴りを治療 | |
ニコチン酸アミド・パパベリン(ストミンA) | 内耳の血流量を増加し、耳鳴りを緩和 | |
精神安定の促進 | エチゾラム(デパス) | 抗不安薬 |
アルプラゾラム(ソラナックス) | 抗不安薬、パニック障害に有効 | |
ロフラゼプ酸エチル(メイラックス) | 半減期が長く、持続性心身安定剤として使用 | |
パロキセチン塩酸塩(パキシル)、塩酸セルトラリン(ジェイゾロフト) | 抗うつ薬 | |
耳鳴り関連因子の改善 | ブロチゾラム(ブロチゾラム)など | 睡眠導入剤、耳鳴りが原因の不眠を改善 |
エペゾリン塩酸塩(ミオナール)、チサニジン塩酸炎(テルネリン)など | 肩こりなど頸部周囲にある筋肉の緊張が原因の耳鳴りを改善 |
カウンセリング
耳鳴り治療にカウンセリングは重要です。
耳鳴りの仕組みを正しく理解することで病状が明確になりストレスの緩和につながります。
前述のTRT療法を行う際にカウンセリングは欠かせません。
耳鳴りの仕組みやTRT療法を正しく理解することで治療効果を高めます。
自分でできる耳鳴りの軽減方法
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耳鳴りの軽減を目的に、自分でできる治療法があります。
具体的には以下の通りです。
音響療法
自分でできる音響療法として、音楽やラジオなど積極的に音を聞く方法があります。
音の聞き流しを実践することで他の音に意識が向き、耳鳴りを感じにくくなります。
音響療法のポイントとして、以下の点に気を付けましょう。
- 静かな環境は耳鳴りを増長する可能性があるためつくらない
- 耳鳴りに慣れるため、単一ではなく多くの音に囲まれる環境を作る
生活習慣の改善
生活習慣の乱れや糖尿病が原因で耳鳴りが生じる場合があります。
生活習慣が乱れると精神的なストレスがたまり、自律神経が乱れる原因になります。
また、身体的な影響として血流障害が発生し、耳鳴りや頭痛などの原因になります。
血流改善のために、バランスのよい食事や適度な運動を心がけましょう。
また、適度な睡眠や普段からリラックスする時間を設け、自律神経を安定させましょう。
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耳鳴りに悩む人の割合
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一般的に耳鳴りを自覚している方は少なくありません。
片耳又は両耳に耳鳴りを自覚している方は約30%います。
また、常時耳鳴りを自覚している方の割合は約5%います。
耳鳴りを自覚する頻度により、治療経験に差が生じます。
常時耳鳴りを自覚している方の内、約27%の方は治療経験があるにすぎません。
70%以上の方は耳鳴りがあっても受診に行っていません。
耳鳴りに対する治療の重要性が理解できていない方が多いことがわかります。
ときどき耳鳴りを自覚している方は、約4%しか治療経験がありません。
耳鳴りに関連した病気に対するリスクそのものが理解できていない可能性があります。
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耳鳴りから生じる危険性
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耳鳴りは原因不明な場合が多いですが、大病につながる可能性があります。
聴神経腫瘍は耳鳴りが原因で早期に発見されることがあります。
血流障害が原因の耳鳴りの場合、放置すると血管が破裂する場合があります。
また、脳梗塞や脳出血の前触れで耳鳴りが発生する場合があります。
耳鳴りは初期症状であらわれることがあります。
耳鳴りを放置した結果、難聴や血管障害のリスクが高まります。
耳鳴りが続く場合は早期発見のために病院に相談し受診しましょう。
出典:中国労働衛生協会「耳のトラブル~耳鳴り~」
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耳鳴りの種類に関するよくある質問|Q&A
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耳鳴りの一般的な種類には何がありますか?
一般的に耳鳴りは以下の2種類に大別されます。
「主観的耳鳴り」は患者自身のみが聞くことができ、通常は耳や聴覚神経に関連する問題によって引き起こされます。
一方、「客観的耳鳴り」は医師などの第三者も聴取でき、体内の血流音や筋肉の振動などが原因となることが多いです。
主観的耳鳴りと客観的耳鳴りの違いは何ですか?
主観的耳鳴りは、その音を患者自身だけが感じるもので、外部にはその音は存在しません。
一方、客観的耳鳴りは、医師が特別な装置を使ってその音を確認することが可能な耳鳴りです。
例えば血管の異常な音や筋肉の微細な振動などが原因となります。
耳鳴りの音の種類にはどのようなものがありますか?
耳鳴りの音には様々な種類があり、人によってその経験は異なります。
中にはブザーのような連続音を聞く人、鳥のさえずりや風鈴のような音を聞く人もいます。
また、一部の人々は高い音、低い音、または複数の音を同時に聞くこともあります。
耳鳴りの音はなぜ人によって異なるのですか?
耳鳴りの音は個々の状態や原因により異なります。
たとえば、音が高いか低いか、音が連続するか断続するかは、内耳の損傷の程度、聴覚神経の問題、または関連する脳の領域の変化による可能性があります。
また、ストレスや不安などの心理的な要素も、耳鳴りの音の体験に影響を及ぼす可能性があります。
どのような病気が耳鳴りの原因となるのですか?
耳鳴りの原因は多岐にわたり、高血圧、動脈硬化、メニエール病、耳鼻咽喉疾患、聴神経腫瘍、頚椎症などが考えられます。
また、耳への騒音暴露や老化による聴力低下、特定の薬剤の使用も耳鳴りを引き起こす可能性があります。
詳しい診断と治療のためには医療機関での評価が必要です。
耳鳴りの種類まとめ
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ここまで耳鳴りの種類についてお伝えしてきました。
耳鳴りの種類の要点をまとめると以下の通りです。
- 耳鳴りの種類は自分のみ聞こえる自覚的耳鳴りや他覚的耳鳴りなどがある
- 音から判断する大まかな原因は高い音は内耳、低い音は中耳に関する耳鳴りである
- 耳鳴りの治療方法は耳鳴りに順応するTRT療法や薬物療法などがある
- 自分でできる耳鳴りの軽減方法は音響療法や生活習慣の見直しである
これらの情報が少しでも皆さまのお役に立てば幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。