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健達ねっと>健康お役立ち記事>高齢者の病気>ロコモティブシンドロームとサルコペニアの原因・症状の違いを説明

ロコモティブシンドロームとサルコペニアの原因・症状の違いを説明

高齢者の健康を考える上で、ロコモティブシンドローム・サルコペニアが注目されています。
ロコモティブシンドロームやサルコペニアとは、一体どのようなものなのでしょうか。
また、ロコモティブシンドロームなどを予防するにはどうしたらよいのでしょうか。
本記事では、ロコモティブシンドロームとサルコペニアについて、以下の点を中心にご紹介します。

  • ロコモティブシンドロームとは
  • サルコペニアとは
  • ロコモティブシンドローム・サルコペニアを予防するには

ロコモティブシンドロームとサルコペニアについて理解するためにもご参考いただけますと幸いです。
ぜひ最後までお読みください。

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ロコモティブシンドロームとサルコペニアの違い


ロコモティブシンドロームとサルコペニアは、自力で歩く・立つなどの動作が困難になる状態です。
ただし、両者では動作が困難になる原因が異なります。

例えば、ロコモティブシンドロームは運動器全般の障害を対象としています。
具体的には、筋力の低下・関節の痛み・骨粗鬆症による骨折などが含まれます。

対してサルコペニアは、基本的に筋力のみを原因とします。

つまりロコモティブシンドロームの中でも、歩行困難の原因を「筋力のみ」に限定しているのがサルコペニアです。
より簡単に言えば、サルコペニアとはロコモティブシンドロームの中の概念の1つです。

ロコモティブシンドロームとは

ロコモティブシンドロームとは、運動器の障害のために移動機能が低下した状態です。

ロコモティブシンドロームは、寝たきりになるリスクが高い状態でもあります。
運動機能が低下すると、身体を動かす機会が減少するためです。
すると身体機能がますます衰えやすくなり、最終的には自力での身動きが難しくなります。

サルコペニアとは

サルコペニアとは、筋肉量・筋力が低下した状態です。
足の筋力低下のために自力で歩くことが難しくなったり、腕の力が落ちて重い物が持てなくなったりするケースが該当します。
サルコペニアでは日常動作が大きく制限されるため、生活の質が落ちやすくなります。

死亡リスクを伴うのもサルコペニアの特徴です。
筋力の低下により、転倒・誤嚥などのリスクが高まるためです。

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ロコモティブシンドロームとサルコペニアになる原因


ロコモティブシンドロームとサルコペニアの原因をそれぞれご紹介します。
予防・対策のためにも、ぜひ参考にしてください。

ロコモティブシンドロームになる原因

ロコモティブシンドロームはさまざまな原因で発生します。
主な原因をご紹介します。

加齢

加齢は、ロコモティブシンドロームのもっとも代表的な原因です。
高齢になるほど、筋力・バランス能力などは自然に低下していきます。

特に筋力が低下しやすいのは下半身です。
具体的には、ふくらはぎなどの筋力が衰えます。

すると立つ・歩くといった動作に支障が出るため、自然に運動量は減少します。
結果、ますます筋力が低下して運動不足に拍車がかかるという悪循環は多々みられます。

運動不足

運動不足になると、筋力やバランス能力が低下しやすくなります。
すると身体機能全体が衰えやすくなるため、身体がますます動かしづらくなります。

高齢者でなくても、運動が極端に不足している場合は、ロコモティブシンドロームになる可能性があります。

例えば、加齢・病気によって寝付いてしまうと、そのぶん筋力は衰えやすくなります。
あるいは肥満、自動車・乗り物の利用なども運動不足の原因となります。

肥満・痩せすぎ

体型の問題も、ロコモティブシンドロームの代表的な原因です。
例えば、肥満の方は体重が重い分、膝・腰などへの負担が大きくなります。
具体的には、腰痛・関節の痛みなどが出やすいのです。

身体が痛むと、運動の機会は減少しやすくなります。
そのまま身体機能が衰えて、歩行が困難になるケースは少なくありません。

また、痩せすぎもロコモティブシンドロームを引き起こします。
痩せすぎの方は栄養不足になりやすいためです。

一般的に、痩せすぎの方は小食の傾向があります。
食事量が少ないと、身体に必要な栄養を摂取できません。
つまり、筋力が落ちたり、骨が脆くなったりしやすいのです。

若い方でも、痩せすぎると、ロコモティブシンドロームになるおそれがあります。

関節痛

関節痛が起こりやすいのは高齢者・肥満傾向の方です。
関節の軟骨がすり減ることで、痛みが発生しやすくなります。

関節痛では、運動が難しくなるだけでなく、運動への意欲自体が低下しやすくなります。
運動の機会が減ってしまうため、身体機能が衰えやすくなります。

骨粗鬆症

骨粗鬆症とは、骨密度が下がる状態です。
簡単にいえば、骨の中がスカスカになる状態が骨粗鬆症と呼ばれます。

骨が脆くなると、歩行時の転倒が増えやすくなります。
さらに、軽い転倒で骨にヒビが入ったり、骨折したりするケースも少なくありません。


結果、寝付く時間が長くなってしまうため、その間に筋力低下などが進みやすくなります。
骨折によって寝付き、そのまま寝たきりに移行するケースはよくみられます。

変形性関節症

変形関節症とは、関節の軟骨がすり減って炎症を起こすことです。
いわゆる関節の痛みを指します。

変形関節症が起こりやすいのは膝です。
膝の変形関節症は特に高齢者・肥満者に目立ちます。

立ち上がりや歩行のときに、膝に強い痛みが生じるため、身体を動かしづらくなります。
あるいは、痛みによって運動への意欲自体が失われることも少なくありません。

結果、運動量が減少してしまい、筋力の低下が起こりやすくなります。
なお、変形関節症は激しい運動をしている方や、昔スポーツをしていた方にもリスクが高い病気です。

また、女性は男性より発症しやすい傾向がみられます。
女性はもともと、男性よりも軟骨や靱帯が弱いためです。

変形性脊椎症

変形脊椎症は、背骨が変形することです。
例えば、背骨が曲がったり、骨と骨の間の感覚が狭くなって神経が飛び出したりします。

変形性脊椎症では、背骨周辺の神経が圧迫されることがあります。
具体的な症状は、全身の痛み・しびれや、身体の動きが不自由になることです。

変形性脊椎症は高齢になるほどリスクが高くなります。
若い方でも、肥満・運動不足・肉体的重労働によって発症することがあります。

サルコペニアになる原因

サルコペニアの原因は一次性と二次性に分けられます。
それぞれの具体的な内容をみていきましょう。

加齢

加齢はサルコペニアの代表的な原因です。
加齢によるサルコペニアは「一次性サルコペニア」と呼ばれます。

年齢を重ねると、運動量の低下により筋肉量・筋力は自然に低下していきます。
また、食が細くなることも、筋肉の減少と関係があります。

食事は、筋肉の合成量と消失量のバランスをとるために重要だからです。
加齢によって食事量が減ると、筋肉の合成に必要なタンパク質の摂取量も自然に少なくなります。
結果、十分な筋肉を作れなくなるのです。

筋肉量・筋力の低下がはじまるのは40歳頃で、60歳を過ぎると筋肉の低下に拍車がかかります。

生活活動量の低下

生活活動量の低下によるサルコペニアは、「二次性サルコペニア」と呼ばれます。
生活活動量の低下とは、簡単に言えば、身体を動かす機会が減少することです。

代表的なのはケガ・病気・体調不良による寝たきり状態です。
また、身体を動かすことが億劫になり、家事や外出しなくなるのも二次性サルコペニアの原因です。

病気

病気も二次性サルコペニアの代表的な原因です。
寝付く時間が長くなると、そのぶん身体を動かす機会も減少します。

身体を動かさなくなると、筋力はみるみるうちに低下します。
結果、短期間の療養の予定だったのに、そのまま寝たきり状態になることは少なくありません。

なお、二次性サルコペニアの原因となりやすい疾患は以下の通りです。

  • がん
  • 心疾患
  • 脳卒中
  • 腎不全
  • 肝機能障害
  • 内分泌系疾患

不摂生による栄養不足

二次性サルコペニアの原因の1つが栄養不足です。
消化機能の低下が代表的です。

胃腸の働きが悪くなると栄養の吸収率が落ちてしまいます。
すると、しっかり食べているつもりでも栄養不足を起こしやすくなります。

あるいは、持病の治療薬などの影響で、食欲が落ちることもあります。
サルコペニアと特に関わりがあるのは、タンパク質不足です。

タンパク質は筋肉の原料となります。
そのためタンパク質の摂取量・吸収量が減ると、筋肉が衰えやすくなります。

ロコモティブシンドロームとサルコペニアの症状


ロコモティブシンドロームとサルコペニアの症状をご紹介します。
あてはまる症状がないか、ぜひチェックしてみてください。

ロコモティブシンドロームの症状

ロコモティブシンドロームの主な症状をご紹介します。
多くの場合、ロコモティブシンドロームの症状は以下の順番で進行していきます。

①筋力の低下

代表的な症状が、筋力の低下です。
特に下半身の筋力の低下が目立ちます。

下半身の筋力が低下すると、ふらつき・転倒などのリスクが高まります。
歩くことが億劫になるケースも少なくありません。

運動量が自然と減りやすくなるため、筋力の低下はますます進行していきます。

②バランスが取れない・関節痛

筋力が低下すると、身体のバランスを保ちにくくなります。
簡単にいえば、姿勢をまっすぐ保つのが難しくなります。

あるいは、関節に痛みが生じることも少なくありません。
低下した筋力にかわって、関節の力で身体を支えようとするためです。

バランス能力の低下・関節痛は、歩行時のふらつき・転倒のリスクを高めます。
さらに歩行・運動への意欲が失われやすくなるため、座りっぱなし・寝たきりになることも少なくありません。

③歩行しづらくなる

筋力やバランス能力の低下・関節痛などによって運動量が減ると、身体機能はますます衰えやすくなります。

具体的には、自力で立ったり、歩いたりすることが困難になります。
転倒などの頻度も高くなるため、自宅・自室でも歩くことを控えがちになります。

④寝たきりになる

歩く機会が減ると、身体機能はますます低下します。
最終的には、自力で立ち上がれなくなります。

自力での立ち上がりが困難になると、ベッドの上から動けなくなります。
日常生活全般において誰かのサポートが必要になります。

サルコペニアの症状

サルコペニアでは、筋肉量の減少・筋力の低下が起こります。
それに伴って、心身にはさまざまな不調があらわれやすくなります。

具体的な症状をみていきましょう。

筋肉量の減少による症状

筋肉量が減ると、以下のような症状があらわれやすくなります。
理由とあわせてご覧ください。

症状理由
体重の減少筋肉の減少に伴って体重も減る
冷え性筋肉には熱を蓄える作用があるため、減少すると身体が冷えやすくなる
熱中症筋肉には水分が多いため、減少すると脱水による熱中症リスクが高まる
脱水筋肉の75%は水分であるため、減少すると脱水が起こりやすい
骨粗鬆症筋肉の減少に伴って骨密度も低下しやすい
糖尿病筋肉の減少に伴ってインスリンの働きが低下する

筋力の低下による症状

筋力低下による主な症状は以下の通りです。
具体例もご紹介します。

症状具体例
立ち上がるのが困難になるベッドから降りられない・椅子などにつかまらないと立てない
力を入れる作業ができないペットボトルのふたが開けられない・買い物の荷物が持てない
疲れやすいささいな運動・家事で疲れる
転びやすいなにもない所でつまずく・足が上がらない・片足立ちできない

身体機能の低下による症状

身体機能が低下すると、以下のような症状があらわれやすくなります。

  • 信号で横断歩道を渡れなくなる
  • 階段の上り下りが難しい
  • 外出が億劫になり、自宅・自室に閉じこもりがちになる

ロコモティブシンドロームとサルコペニアの予防


ロコモティブシンドロームとサルコペニアの予防法をご紹介します。
予防方法は共通です。

運動習慣

身体機能の低下を防ぐには、日頃から身体を動かして、筋肉などを鍛えることが大切です。
ロコモティブシンドローム・サルコペニア運動の予防には、レジスタンス運動と有酸素運動が効果的です。

レジスタンス運動とは、いわゆる筋力トレーニングです。
スクワット・腕立て伏せなどが代表的です。

有酸素運動は、息切れせずに続けられる運動です。
たとえばウォーキング・水泳・サイクリングなどがあります。

ロコモティブシンドロームなどを予防するには、継続的な運動が大切です。
週に4日などのルールを設け、定期的に運動に取り組みましょう。

なお、運動の内容・程度は、個人の身体能力などに応じて異なります。
特に高齢者の場合は、激しい運動をするとかえって健康を損ねることがあります。

運動は無理のない範囲で行いましょう。

栄養バランスのよい食事

ロコモティブシンドロームなどの予防には、栄養バランスのよい食事も大切です。
特に摂取を意識したいのは、タンパク質です。

タンパク質は筋肉の合成に欠かせない栄養素であるためです。
また、骨粗鬆症を防ぐにはカルシウムなどのミネラルなども必要です。

なお、ミネラル・タンパク質の吸収・効果を高めるのはビタミンです。
つまり食生活においては、さまざまな栄養をまんべんなく摂取することが大切です。

あわせてカロリーにも注意しましょう。
高齢の方は食事量が少ない分、カロリー不足になりやすいです。

カロリーの摂りすぎは肥満の元ですが、少なすぎると活動エネルギーが湧かなくなります。
くれぐれもカロリー不足には注意してください。

健達ねっとECサイト

ロコモティブシンドロームとサルコペニアに​​似ている病気


ロコモティブシンドロームとサルコペニアに似た病気に、廃用症候群とフレイルがあります。

それぞれの内容をみていきましょう。

廃用症候群

廃用症候群は、過度な安静によって身体機能が低下した状態です。
たとえば病気・ケガなどの療養のために寝付いたところ、そのまま寝たきり状態に移行するケースが代表的です。

廃用症候群は、1度発症すると回復が難しいです。
また、身体的な症状だけでなく、精神的な症状も含まれる点が、ロコモティブシンドロームやサルコペニアと異なる点です。

廃用症候群の主な症状は以下の通りです。

  • 運動機能の低下
  • 心機能の低下
  • 呼吸器機能の低下
  • 排尿障害
  • 消化器官の低下
  • 抑うつ症状

フレイル

フレイルとは、要介護状態の前段階です。
より分かりやすくいえば、加齢によって衰弱する現象をフレイルと呼びます。

最大の特徴は、身体的側面だけでなく、精神心理的側面・社会的側面がある点です。

  • 身体的側面:筋力の低下・関節の痛み・転倒の増加
  • 精神心理的側面:認知機能の低下・抑うつ・判断力の低下
  • 社会的側面:他人との交流の減少・孤立・孤独


フレイルの身体的側面は、ロコモティブシンドロームやサルコペニアから影響を受けることもあります。
なお、フレイルは発症後に適切なケアを受ければ、健康な状態への回復が可能です。

薬の使い方

サルコペニアを含むロコモティブシンドロームの患者数


生活習慣病予防協会の発表によると、サルコペニアを含むロコモティブシンドロームの国内患者数は推計で4,700人です。

また、65歳以上の方のうち11.3%はフレイルに該当します。
フレイルの次の段階として「要支援」があります。

要支援は要介護度の最初のステップです。
具体的には、基本的に自立した一人暮らしが可能であるものの、誰かのサポートがあるとよりよいという状態が要支援に該当します。

健康な方が要支援に進むキッカケになりやすいのが、関節の衰弱です。
また、高齢による衰弱・骨折・転倒なども要支援に移行する上位の原因です。
出典:生活習慣病予防協会【ロコモティブシンドローム/サルコペニア/フレイル | 生活習慣病の調査・統計

ロコモティブシンドロームとサルコペニアのまとめ


ここまで、ロコモティブシンドロームとサルコペニアについてお伝えしてきました。
ロコモティブシンドロームとサルコペニアの要点を以下にまとめます。

  • ロコモティブシンドロームとは、筋力低下・関節の痛みなどによって歩行などが困難になること
  • サルコペニアはロコモティブシンドロームの1種で、筋力の低下によって歩行などが困難になること
  • ロコモティブシンドローム・サルコペニアを予防するには、定期的な運動と栄養バランスのよい食事が大切

これらの情報が少しでも皆様のお役に立てば幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。

 

監修者 メディカル・ケア・サービス

  • 認知症高齢者対応のグループホーム運営
  • 自立支援ケア
  • 学研グループと融合したメディア
  • 出版事業
  • 社名: メディカル・ケア・サービス株式会社
  • 設立: 1999年11月24日
  • 代表取締役社長: 山本 教雄
  • 本社: 〒330-6029埼玉県さいたま市中央区新都心11-2ランド·アクシス·タワー29F
  • グループホーム展開
  • 介護付有料老人ホーム展開
  • 小規模多機能型居宅介護
  • その他介護事業所運営
  • 食事管理
  • 栄養提供
  • 福祉用具販売
  • 障がい者雇用

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