老人性乾皮症は、誰でも起こりうる症状です。
症状の1つである強い痒みなどの影響で、生活の質が低下する場合もあります。
では、老人性乾皮症とは具体的にどのような症状なのでしょうか?
老人性乾皮症にならないための対策は何なのでしょうか?
本記事では、老人性乾皮症について以下の点を中心にご紹介します。
- 老人性乾皮症の具体的な症状とは
- 老人性乾皮症が起こる原因
- 老人性乾皮症の予防方法
老人性乾皮症を予防するおすすめの保湿剤も紹介しています。
老人性乾皮症について理解するためにも、ご参考いただけますと幸いです。
ぜひ最後までお読みください。
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老人性乾皮症とは
老人性乾皮症とは、加齢に伴い皮膚が乾燥状態に陥っている状態のことです。
皮脂や汗などの分泌量の減少や、肌のうるおいを保つ水分保持機能の低下によりみられます。
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老人性乾皮症になる原因
老人性乾皮症を引き起こす主な原因は、皮脂と皮膚に存在する保湿因子の減少です。
皮膚のうるおいを保つ保湿因子は本来、
- 肌表面
- 角層細胞間
- 角層細胞内
という3つの場所に存在しています。
上記3か所に存在する保湿因子の種類は以下のとおりです。
- スクワランなどの皮脂膜
- セラミドなどの細胞間脂質
- 天然保湿因子(NMF)
通常は保湿因子による水分保持機能が保たれており、なめらかな皮膚の維持が可能です。
しかし、加齢に伴って各箇所の保湿因子が減少し、皮膚のバリア機能も低下します。
その結果、引き起こされるのが老人性乾皮症です。
老人性乾皮症の症状
老人性乾皮症になったときの症状を、段階ごとに解説します。
軽度
軽度の老人性乾皮症では、皮膚表面に白い粉が生じます。
白い粉は鱗屑(りんせつ)と呼ばれ、皮膚の最外層がはがれ落ちたものです。
中度
乾燥が進んで皮膚に浅いひび割れが生じるのが、中度の老人性乾皮症です。
また、皮膚のひびが網目のようになる状態を「尋常性魚鱗癬(ぎょりんせん)」と呼びます。
重度
老人性乾皮症が悪化することで生じるのが「皮脂欠乏性湿疹」です。
皮脂欠乏性湿疹の症状としては、乾燥のほか
- 赤い湿疹
- 小さなぶつぶつ
- グチュグチュとしたただれ
などがあります。
上記の症状により強い痒みによって掻きむしり、更に症状が悪化することも少なくありません。
老人性乾皮症の症状が出やすい部位
老人性乾皮症になった場合に、症状が出やすい部位は主に以下のとおりです。
- 下腿伸側(ふくらはぎの外側)
- 大腿
- 脇腹~腰まわり
- 腕
- 肩 など
かき壊して症状が悪化した場合は、全身に老人性乾皮症の症状が起きる場合もあります。
老人性乾皮症の治療・対処法
続いては、老人性乾皮症の治療方法や対処方法について解説していきます。
痒みがある場合
痒みがある場合は、老人性乾皮症だけでなく他の病気との合併症の可能性もあります。
悪化する前に治療を開始するためにも、まず皮膚科へ相談しましょう。
痒みがない場合
乾燥した部分に痒みがない場合は、乾燥が進まないよう保湿することが大切です。
皮膚の乾燥を防止するための保湿剤は以下のとおりです。
- ワセリン
- ヘパリン類似物質含有製剤
- 尿素製剤
- セラミド
それぞれの特徴や使用方法を解説します。
ワセリン
皮膚を油分でコーティングし、水分の蒸発を防ぐ作用がある保湿剤です。
精製度に応じて、淡い黄色から白色をしています。
ただワセリン自体には、水分を補ったり、肌に浸透したりするような効果はありません。
そのため、水分を補給したうえで塗布することが大切です。
ヘパリン類似物質含有製剤
肝臓で生成される「ヘパリン」に似た構造を持ち、高い保湿効果があります。
軟膏やクリーム、乳液タイプ、泡タイプなど様々な形状がある保湿剤です。
ただ、ヘパリンには、血行促進や抗炎症作用に加え血が固まりにくくなる作用があります。
類似物質もヘパリンと似たような性質があるため、使用する際には事前に相談しましょう。
尿素製剤
天然保湿因子(NMF)の1つである尿素を含んだ保湿剤です。
尿素にはうるおいの保持や、肌のタンパク質を分解し角質を柔らかくする作用があります。
セラミド
細胞間脂質であるセラミドは、加齢に伴い減少します。
セラミド入りの保湿剤のほか、飲んで補給するタイプのセラミドもあります。
老人性乾皮症の予防策
老人性乾皮症の予防には、以下のような対策が効果的です。
- 室内湿度を約50~60%に保つ
- 刺激の少ない界面活性剤を使用する
- お湯の温度・長湯に気をつける
- 水分補給と食事に気をつける
- 衣類の素材に気をつける
順番に解説していきます。
室内湿度を約50~60%に保つ
室内の空気が乾燥していると、肌の乾燥も進み老人性乾皮症が生じやすくなります。
そのため、湿度を50~60%ほどに保つことを心がけましょう。
特に暖房を使用する冬期は、空気の乾燥が顕著になります。
加湿器などを有効利用し、湿度を保つことが大切です。
刺激の少ない界面活性剤を使用する
ボディソープや石鹸、洗顔料などは、低刺激で弱酸性のものを使用しましょう。
角質を傷つけないよう、優しく泡立ててから肌につけるのもポイントです。
お湯の温度・長湯に気をつける
熱すぎるお湯でのシャワーや長湯は、皮脂が落ちすぎてしまう場合があります。
乾燥が進む原因ともなるため、お湯の温度や長湯には注意が必要です。
水分補給と食事に気をつける
老人性乾皮症を予防するには、身体の内側から乾燥を防ぐことも大切です。
こまめな水分補給を心がけ、肌の乾燥を防ぐ栄養素を食事に取り入れましょう。
例えば、海藻類や卵に多く含まれるビタミンAには皮膚粘膜を正常にする働きがあります。
鶏肉や魚介類に含まれるビタミンB6は、皮膚の保護に役立つ栄養素です。
様々な栄養素をバランスよく摂取し、乾燥に負けない身体を作りましょう。
衣服の素材に気をつける
静電気の起きやすい化学繊維の素材や、チクチクした素材は控えましょう。
乾燥した肌に刺激を与える原因となる場合があります。
特に下着など、肌に直接触れる部分の服には、綿やシルクなどの自然素材を選ぶとよいでしょう。
高齢者の7割以上は皮膚が乾燥している
日本皮膚科学会は、高齢者の方の7割以上に皮膚の乾燥がみられるという報告を公表しました。
高齢者の方の老人性乾皮症を含む皮脂欠乏症は、乾燥などの生理的要因に加え
- 糖尿病
- 慢性腎不全
- 抗がん剤の投与
などに起因している場合もあるとしています。
高齢化が進み、糖尿病や慢性腎不全、がんなどになる方が増加しています。
そのため、老人性乾皮症をはじめとした皮脂欠乏症の患者は、今後ますます増えていくでしょう。
老人性乾皮症を予防するには、糖尿病などの生活習慣病の予防も大切です。
適度な運動やバランスのとれた食生活といった、身近なところから取り組んでいきましょう。
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老人性乾皮症のまとめ
ここまで、老人性乾皮症についてお伝えしてきました。
老人性乾皮症の要点をまとめると以下のとおりです。
- 老人性乾皮症の症状は、皮膚の乾燥や痒み、粉ふきやひび割れなど
- 老人性乾皮症が起こる原因は、皮脂や角質にある保湿因子の減少
- 老人性乾皮症の予防方法は、湿度の維持や石鹸、食事、衣服の素材に気をつける
これらの情報が少しでも皆さまのお役に立てば幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。