より良い治療を受けたいと考えている方は、多いのではないでしょうか。
また、より良い治療を受けるために、セカンドオピニオンを考えている方もいるのではないでしょうか。
しかし、主治医にセカンドオピニオンを希望すると関係が悪くなるとためらいがちです。
では、主治医にどのような言い方で、セカンドオピニオンを希望したら良いのでしょうか?
本記事では、セカンドオピニオンの言い方について以下の点を中心にご紹介します。
- セカンドオピニオンの役割
- セカンドオピニオンの言い方、準備について
- セカンドオピニオンの探し方について
セカンドオピニオンの言い方について理解するためにもご参考いただけますと幸いです。
ぜひ最後までお読みください。
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セカンドオピニオンとは
セカンドオピニオンとは、患者がより良い治療方法を選択できるように、主治医以外の医師から意見を聞くことです。
主治医とは別の医師に、治療方針などの意見について聞くことを「第2の意見」といいます。
セカンドオピニオンをすることで、さまざまな医師の意見を参考に患者自身が治療の理解を深められます。
また、病気や治療方法について知ることで、患者自身に合った治療方法を選べます。
たとえば、主治医から勧められた手術は妥当か、などほかの治療方法について確認できます。
セカンドオピニオンを希望する場合は、主治医に申し出る必要があります。
セカンドオピニオンは、
- 主治医を変える
- 転院する
など病院を渡り歩く「ドクターショッピング」とは異なります。
セカンドオピニオンの目的
セカンドオピニオンは、今後の治療方針を決定する際に役立てるという目的があります。
セカンドオピニオン受けることで、
- ほかの治療方法の可能性がないか確認できる
- 主治医の診断について、ほかの医師の意見を聞ける
- 主治医の説明に納得できない部分がある
- 主治医の説明について、別の角度から検証できる
- 治療方法を選ぶときのアドバイスが聞ける
などの確認ができます。
特に、がんや進行性の難病などは、セカンドオピニオンに適しています。
がんや難病は、治療方法が高度であり、長期化する病気のためです。
セカンドオピニオンを受けることで、患者が良質な治療を受けられます。
また、セカンドオピニオンは、主治医や病院を変えるわけではありません。
セカンドオピニオンは、あくまでほかの医師の意見を聞くということになります。
セカンドオピニオンの権利
日本医師会の「患者の権利に関するリスボン宣言」というものがあります。
患者の権利に関するリスボン宣言には、以下のようなものがあります。
- 良質の医療を受ける権利
- 選択の自由の権利
- 自己決定の権利
- 情報を得る権利
- プライバシーを守られる権利
- 人間としての尊厳を得る権利
【良質の医療を受ける権利】
差別されることなくより良い医療を受ける権利です。
全ての方に医師から医療を受ける権利があり、認可された医療を受ける権利があります。
【選択の自由の権利】
病院や医師などを自由に選び、変更できる権利があります。
主治医以外の医師に相談し、意見を求める権利があります。
【自己決定の権利】
病気について医師から十分な説明を受け、自分で治療方針を決める権利があります。
また、医学研究や教育に利用されることを拒否できます。
自己決定ができない方には、親族など関係機関と相談した上で治療方針を決定します。
【情報を得る権利】
患者が知りたい情報は全て知る権利があります。
【プライバシーを守られる権利】
患者は自分の情報を知ることができる人を選択できる権利があります。
【人間としての尊厳を得る権利】
宗教や、文化などの価値観を尊重する権利があります。
また、苦痛を避ける権利があります。
人間らしく終末期ケアを受ける権利があります。
上記のように患者には、良質な医療を受けるためのさまざまな権利があります。
自分の健康、命を守るのは患者自身です。
治療について分からないことや、不安に思っていることは、遠慮せずに医師へ確認しましょう。
また、治療方法について納得できない場合は、セカンドオピニオンを希望することが重要です。
出典:世界医師会【患者の権利に関するWMAリスボン宣言】
セカンドオピニオンの流れ
実際に、セカンドオピニオンを受けるときの流れについて確認しましょう。
主に以下のような流れになります。
- セカンドオピニオンを受ける医療機関を決める
- 主治医にセカンドオピニオンを受けることを伝え、紹介状、検査結果のデータを用意してもらう
- セカンドオピニオンを受ける
- 主治医にセカンドオピニオンを受けた医師から受け取った書類を渡し、結果を伝えて相談する
- 治療する医療機関や治療方法を決め、主治医に自分が希望する治療方法を伝える
まずは、セカンドオピニオンができる医療機関を決めましょう。
医療機関を決める際は、主治医に相談したり、インターネットで調べたりする方法があります。
また、総合病院に通院している場合は、ほかの診療科の医師に依頼できることもあります。
セカンドオピニオンを受ける医療機関が決まったら、主治医に紹介状と検査結果を用意してもらいます。
「セカンドオピニオンを受けたい」と主治医に伝えて、必要書類を準備してもらいます。
セカンドオピニオンを受けたら、主治医に結果を伝えて相談します。
主治医とよく相談したうえで、主治医の治療を受けるのか、セカンドオピニオンの医師の治療に変更するか決めます。
セカンドオピニオンにおける主治医の役割
セカンドオピニオンにおける主治医の役割は、以下のようなものがあります。
- 患者の目的を理解する
- 目的に合った病院や医師を紹介する
たとえば、
- 「病理診断について、ほかの医師の意見を聞きたい」
- 「ほかの治療方法について検討したい」
など、患者がセカンドオピニオンをする目的を確認して、理解することが大切です。
患者の目的を理解したうえで、目的に合った病院や医師を紹介します。
基本的に主治医は、自分が働いている病院よりも質の良い病院や医師を紹介します。
また、放射線治療や化学療法を希望する場合は、がん専門病院などの専門医のいる病院を紹介します。
セカンドオピニオンを担当する医師の役割
セカンドオピニオンを担当する医師の役割には、以下のようなものがあります。
- 相談内容を早く理解する
- 主治医の治療方法を尊重したうえで、患者の質問に答える
- 主治医が患者に伝えにくいことを伝えることもある
- セカンドオピニオンの内容を文書にする
セカンドオピニオンを担当する医師は、患者がセカンドオピニオンを希望した目的を理解することが大切です。
患者のセカンドオピニオンの目的を理解したうえで、医師は患者の質問に答えていきます。
患者の質問に答えるときは、主治医の提案を尊重したうえで、答えていきます。
また、患者と主治医の間に誤解が生じていれば、誤解を解くための説明をします。
誤解を解いたあとは、現状での標準的な治療方法について説明をします。
患者が最も有効な治療を希望している場合は、複数の治療方法をあげて提示します。
複数の治療方法の中から、1つの治療方法に絞って提案します。
主治医の提案と同じであれば、元の病院での治療を継続することになります。
しかし、別の治療方法であった場合は、主治医と相談して転院を検討します。
そのほか、治癒の可能性や平均余命など主治医が伝えにくいことを伝える可能性もあります。
セカンドオピニオンの内容を文書にし、主治医と患者に渡します。
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セカンドオピニオンは言いにくい?
一般的には、セカンドオピニオンは伝えにくいと思っている方が多くいます。
厚生労働省の調査では、セカンドオピニオンを受けなかった理由には、以下のようなものがあります。
- 「受けたほうがいいのか判断できない」
- 「どうすれば受けられるのかわからない」
- 「主治医に受けたいと言いづらい」
セカンドオピニオンを受けることは、患者の権利であり、納得したうえで治療することが大切です。
主治医にセカンドオピニオンを希望することを伝えても、信頼関係が壊れることはありません。
治療を受けるのは、患者自身です。
そのため、治療方法について十分理解し、納得して治療を受けることが重要です。
また、主治医に伝えにくいという理由から、主治医に内緒でセカンドオピニオンを受ける方もいるかもしれません。
しかし、主治医に内緒でセカンドオピニオンを受けることは、信頼関係が崩れてしまいます。
セカンドオピニオンを希望する場合は、きちんと主治医に伝えることが大切です。
出典:厚生労働省【平成 23 年受療行動調査(確定数)の概況】
セカンドオピニオンの上手な伝え方、準備
セカンドオピニオンの上手な伝え方や準備は、以下の通りです。
- セカンドオピニオンの目的を明確にする
- 主治医の診断を尊重した上で相談をする
- 質問項目を事前にまとめておく
- 自分の気持ちを率直に伝える
それぞれ具体的にご紹介します。
セカンドオピニオンの目的を明確にする
セカンドオピニオンの準備には、目的を明確にすることが大切です。
主治医からの病状や治療方針の説明を受けて、しっかり理解しておくようにしましょう。
主治医から聞いた説明をもとに書籍やインターネットなどで調べるのも大切です。
書籍やインターネットで調べたうえで、セカンドオピニオンが必要かどうか確認しましょう。
また、1人で考えると偏った解釈になる可能性もあります。
そのため、家族や友人などの信頼できる方に相談してみるのも良いでしょう。
主治医の診断を尊重した上で相談をする
主治医にセカンドオピニオンを伝える際は、主治医の診断を尊重したうえで相談しましょう。
尊重した態度で主治医と話すことで、良好な関係を維持できます。
たとえば、主治医は手術を勧めるけど、自分で調べてみるとほかの治療法もあると悩む場合もあるでしょう。
「先生の治療法も理解しているが、ほかの先生の意見も聞きたい」という言い方で伝えましょう。
主治医の診断を尊重したうえで、しっかりと希望を伝えることが大切です。
質問項目を事前にまとめておく
主治医に相談する内容や、質問項目を事前にまとめておくようにしましょう。
たとえば、
- 薬の数を減らしたい
- ほかの治療法を検討したい
など箇条書きで書くようにしましょう。
また、1枚のメモに書くよりもノートやお薬手帳などに時系列で記録できるものがおすすめです。
お薬手帳に記録すると、薬剤師に見てもらえるので、薬剤師からアドバイスがもらえる可能性もあります。
事前に伝えたいことをメモしておくことで、主治医に上手に伝えることができます。
自分の気持ちを率直に伝える
主治医にセカンドオピニオンについて伝える際は、自分の気持ちを率直に伝えることが重要です。
納得したうえで治療を受けたいなど、自分の気持ちを率直に伝えることで、主治医との信頼関係が構築できます。
また、「主治医と相性が合わない」、「病院の設備が気になる」などという希望も多いと思います。
主治医や病院を変更したい場合は、セカンドオピニオンではなく転院になります。
転院にしても、セカンドオピニオンにしても、主治医に率直な気持ちを伝えることが大切です。
主治医を尊重した言い方で、自分の気持ちを伝えましょう。
セカンドオピニオンの探し方
セカンドオピニオンの探し方には、以下のような方法があります。
- 主治医からの紹介
- インターネット、書籍から自分で探す
- 医療保険や民間の医療関連情報サービスを利用する
主治医にセカンドオピニオンの相談をすると、専門の医師を紹介してもらえます。
また、セカンドオピニオンを受ける際は、主治医に紹介状などの書類を作成してもらいます。
そのため、主治医から医師を紹介してもらうと、話がスムーズに進みます。
そのほか、インターネットや書籍から自分で探す方法もあります。
自分で医療機関や医師について調べて、主治医に相談することも1つの方法です。
さらに、現在はインターネットでさまざまな情報が公開されています。
たとえば、がんの治療なら、「がん診療連携拠点病院」を調べると、専門の医療機関が見られます。
また、知人にセカンドオピニオンを利用したことがある方がいる場合は、相談してみるのも良いでしょう。
医療保険や民間の医療関連情報サービスを利用する方法もあります。
民間の医療保険には、セカンドオピニオン手配サービスなどが付帯されている場合があります。
また、医師や看護師などへ相談できたり、相談内容に応じて医療機関の紹介などを行っているサービスもあります。
1度、自分が入っている医療保険について、どのようなサービスがあるか確認してみましょう。
精神科でのセカンドオピニオン
精神科でのセカンドオピニオンについて、以下の通り紹介します。
- セカンドオピニオンの方法
- 精神科での相談のタイミング
セカンドオピニオンの方法
精神科でセカンドオピニオンを行う方法は、ほかの科と基本的に同じです。
精神科での治療が必要な症状には、たとえば「うつ病」があります。
うつ病は、「1度回復すると2度と再発しない」と思っている方も多いのではないでしょうか。
しかし、うつ病は再発率が高いと言われています。
そのため、うつ病の方は治療の期間が長くなる傾向にあります。
病気の種類や治療法によっては、苦痛を感じストレスを受けてしまうこともあります。
自分で納得できる治療を受けるためにも、数多くある精神科や診療内科の中から選択することが大切です。
精神科での相談のタイミング
精神科でのセカンドオピニオンを検討するタイミングは、基本的にはほかの科と同じです。
しかし、精神科では6ヶ月は通院する必要があります。
主治医との相性や治療自体がストレスでなければ、6ヶ月は通院を続ける必要があります。
精神科や心療内科では、主治医とじっくりと対話することが重要になります。
通院して間もないと、十分に話し合えていないこともあります。
また、主治医が患者の状態を把握できていないため、症状評価をするのが難しいこともあります。
6ヶ月通院して、セカンドオピニオンを希望する場合は、主治医に率直に伝えましょう。
主治医にしっかりと自分の考えを伝えることは、主治医との信頼関係を良くすることにつながります。
患者からの話をきっかけに治療が進むこともあります。
歯医者でのセカンドオピニオン
歯医者でのセカンドオピニオンについて、以下の通り紹介します。
- セカンドオピニオンの方法
- 歯医者での相談のタイミング
セカンドオピニオンの方法
歯医者でセカンドオピニオンを希望する場合は、事前に主治医に対して伝えます。
主治医に伝えたうえで、紹介状やレントゲンなどを受け取り、別の歯科医院へ受診します。
また、紹介状がなかったとしてもセカンドオピニオンを受けることはできます。
しかし、紹介状がない場合、
- 治療内容
- 症状
- 経過
などが伝わらなくなってしまいます。
歯医者での相談のタイミング
セカンドオピニオンを相談するタイミングには、以下のようなものがあります。
- 抜歯が必要と言われた場合
- 自分の望む治療が受けられないと診断された場合
- インプラント、矯正、保険外の入れ歯などの高額な自由診療の場合
自分が希望している治療と、歯科医師から提示された治療方針が大きく異なるときにセカンドオピニオンを行います。
また、自分が希望している治療を受けられる専門的な歯科医師に診てもらうことが大切です。
症状に合わせた専門的な意見が聞ける専門医のいる歯科医院を探しましょう。
セカンドオピニオンは嫌がられる?
「医師が患者からセカンドオピニオンを求められたときにどう思うか」というアンケートがあります。
アンケートの結果、8割以上の医師は「不快に感じていない」との結果になりました。
また、セカンドオピニオンは患者の権利と考える方が多いという結果になりました。
セカンドオピニオンは、主治医にとってもほかの医師から有意義な意見が聞ける可能性があります。
主治医にとっても今後の診療するうえでのメリットがあるため、遠慮せずに主治医に伝えましょう。
出典:プレリリース【医師アンケート調査】
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セカンドオピニオンの満足度は?
厚生労働省が行ったセカンドオピニオンの満足度についての調査があります。
調査の結果、セカンドオピニオンは3割程度の方が経験しています。
3割のセカンドオピニオンを行った方のうち、約8割の方が満足している結果になりました。
セカンドオピニオンの方法や主治医に対しての言い方などを確認し、自分で納得した治療をすることが大切です。
出典:厚生労働省【平成 23 年受療行動調査(確定数)の概況】
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セカンドオピニオンの言い方のまとめ
今回は、セカンドオピニオンの言い方の情報を中心にお伝えしました。
セカンドオピニオンの伝え方の要点を以下にまとめます。
- セカンドオピニオンは、今後の治療方針を決定する際に役立てるという役割がある
- セカンドオピニオンの準備には、セカンドオピニオンの目的を明確にし、率直に伝えるなど
- セカンドオピニオンの探し方は、主治医に紹介してもらう、インターネットから自分で探すなど
これらの情報が少しでも皆様のお役に立てば幸いです。
最後までお読みいただきありがとうございました。