夏バテに効く薬について
梅雨の後半に差し掛かると、蒸し暑さで夏バテが起きやすくなります。
夏バテに効く薬があれば、多少過ごしやすくなると感じる方も多いでしょう。
では、そもそも夏バテの原因とは何なのでしょうか?
夏バテに効く薬はあるのでしょうか?
本記事では、夏バテに効く薬について以下の点を中心にご紹介します。
- 夏バテが起こる原因
- 夏バテに効く薬とは
- 夏バテを解消する方法
夏バテに効く薬について理解するためにもご参考いただけますと幸いです。
ぜひ最後までお読みください。
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夏バテとは
夏バテとは、身体に必要なミネラルが汗とともに排出されることで起きる体の不調です。
夏バテの症状としては主に
- 倦怠感
- 食欲不振
- 頭痛
- 吐き気
などがみられます。
吐き気などにより十分な栄養が摂れない場合は、脱水症状を引き起こし体調が悪化します。
年々猛暑日が増える日本の夏は、体調を崩しやすい季節といえます。身体がだるく食欲が出ないなどの症状は、誰もが経験したことがあるのではないでしょうか。では、夏バテ症状とは上記のほかにどのようなものがあるのでしょうか?夏バテを予防するための方法[…]
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夏バテの原因
夏バテになる原因は、主に以下のとおりです。
- 水分不足
- 自律神経失調
- 胃腸機能低下
それぞれ順番に解説していきます。
水分不足
夏バテの原因の1つは、体内の水分不足です。
体内の水分が減少する理由として
- 排尿
- 排泄
- 発汗
が考えられます。
上記のような生理現象によって体外に排出される水分は、1日2.5Lに達します。
特に夏場は、発汗による水分の排出が顕著です。
そのため、より多くの水分が身体から失われるのです。
体内の水分不足が進行することによって、
- 体温調節機能がうまく働かなくなる
- 血液がドロドロになる
などの現象がみられるようになります。
その結果として起こるのが、脳や胃腸など水分を必要とする臓器の働きの悪化です。
めまいや頭痛、食欲不振、倦怠感などが症状としてあらわれます。
自律神経失調
夏バテの原因2つ目は、自律神経の乱れです。
自律神経とは、呼吸や体温の調整などを行う体中に張りめぐらされた末梢神経の1つです。
身体を活発にする交感神経と、リラックスするときに優位になる副交感神経があります。
自律神経が乱れる原因としては、
- 屋外や室内の温度差
- 睡眠不足
- 冷えた飲食物の多量摂取
などが影響していると考えられています。
自律神経が乱れたときに生じる症状は。主に以下のとおりです。
- 頭痛やめまい
- 食欲不振
- 下痢・嘔吐などの消化器症状
- 仕事や勉強に集中できない
- 憂鬱な気分になる など
交感神経と副交感神経の切り替えがスムーズに行えない場合に夏バテが起きやすくなります。
自律神経を整えるには、冷房温度が27~28℃、湿度40~50%が望ましいでしょう。
胃腸機能低下
夏バテの原因3つ目は胃腸機能低下です。
胃腸機能の低下は主に、
- 体調不良などによる消化不良
- 冷えたもの(アイス・ジュース・アルコールなど)の過剰摂取
などによって引き起こされます。
水分補給を冷えたものばかりで行うことで、胃腸の働きが鈍化するのです。
胃腸機能の低下が持続すると、腹痛や嘔吐などの原因となるため注意しましょう。
年々猛暑日が増える日本の夏は、体調を崩しやすい季節といえます。身体がだるく食欲が出ないなどの症状は、誰もが経験したことがあるのではないでしょうか。では、夏バテ症状とは上記のほかにどのようなものがあるのでしょうか?夏バテを予防するための方法[…]
年々猛暑日が増える日本の夏は、体調を崩しやすい季節といえます。身体がだるく食欲が出ないなどの症状は、誰もが経験したことがあるのではないでしょうか。では、夏バテ症状とは上記のほかにどのようなものがあるのでしょうか?夏バテを予防するための方法[…]
夏バテに効く薬について
続いては、夏バテに効く薬について、
- 漢方薬
- 市販薬
- サプリメント・飲料水
に分類してそれぞれ解説していきます。
漢方薬
夏バテに効く漢方薬は以下のとおりです。
- 清暑益気湯(せいしょえっきとう)
- 補中益気湯(ほちゅうえっきとう)
- 六君子湯(りっくんしとう)
- 十全大補湯(じゅうぜんたいほとう)
- 人参養栄湯(にんじんようえいとう)
- 五苓散(ごれいさん)
- 半夏瀉心湯(はんげしゃしんとう)
- 苓桂朮甘湯(りょうけいじゅつかんとう)
それぞれの特徴をみていきます。
清暑益気湯
夏の暑さにより弱った胃腸を丈夫にし、体力の回復を促す漢方薬です。
食欲不振や下痢、倦怠感の改善にも効果があります。
補中益気湯
胃腸の中でも、主に小腸に作用する漢方薬です。
夏バテによる食欲不振の改善に効果があります。
また、補中益気湯は気力・体力が落ちているときや風邪の治療にも有効です。
六君子湯
胃腸の働きを良くし、水分の停滞を改善する漢方薬です。
食欲不振や吐き気、みぞおちのつかえ、消化不良などに効果があります。
貧血性の冷え性にも有効です。
十全大補湯
疲労倦怠感や皮膚の乾燥、貧血を伴う症状を改善する漢方薬です。
病後や手術後の体力低下の回復も期待できます。
人参養栄湯
消化機能の低下や疲労感、だるさ、貧血などの症状を改善する漢方薬です。
めまいや手足の震えにも効果があります。
五苓散
身体にとって余計な水分を排出する効果がある漢方薬です。
むくみや水溶性の下痢、めまい、二日酔いなどの症状を改善します。
半夏瀉心湯
胸につかえた感じや、口内炎、胸やけなどに有効な漢方薬です。
ストレスが原因である胃腸の不調にも効果があります。
苓桂朮甘湯
立ちくらみやめまい、ふらつき、頭痛に有効な漢方薬です。
朝起きにくく、だるさが残る場合にも効果があります。
市販薬
続いては、夏バテに効く市販薬の紹介です。
- 胃腸薬
- 整腸薬
- 頭痛薬
- ビタミン薬
順番にみていきます。
胃腸薬
夏バテになると、胃の動きが悪くなります。
その結果、食欲不振や消化不良といった症状が起きるのです。
胃腸薬は胃腸の働きを助け、胃腸の不快感を改善します。
夏バテには、生薬である「ケイヒ」「チョウジ」が入った胃腸薬が特に効果的です。
整腸薬
夏バテによる水分不足や消化不良には、腸を整える整腸薬も有効です。
下痢などによって脱水症状が起きると、夏バテが悪化するため注意しましょう。
頭痛薬
夏バテによる頭痛の原因として、脱水や熱中症が隠れていることがあります。
その場合、まずは脱水や熱中症の症状を緩和させるための処置が必要です。
涼しい場所に移動し、水分や塩分の補給を行いましょう。
ただ、気をつけるべきポイントは頭痛薬の服用量です。
頭痛薬をはじめとした鎮痛薬の飲みすぎは、腎臓に負担がかかります。
用法用量をしっかりと守りましょう。
ビタミン薬
夏バテの緩和には、ビタミン薬も効果があります。
ビタミンの中でもビタミンB群、特にビタミンB1が夏バテ対策に有効です。
ビタミンB1は、炭水化物が持つ糖質をエネルギーに変える酵素をサポートします。
エネルギーがスムーズに作られることで、疲労回復や精神安定に繋がるのです。
生薬である「トウキ」や「エゾウコギ」が含まれたビタミン剤を選ぶといいでしょう。
サプリメント・飲料水
サプリメントや飲料水は薬ではありませんが、不足しがちな栄養素を補うのに効果的です。
そのなかでも、ビタミンB群やミネラルを補給することで夏バテの改善に役立ちます。
栄養素の特徴は以下のとおりです。
ビタミンB群
先述のとおり、ビタミンB1はエネルギーを作り出す酵素のサポートをする栄養素です。
また、ビタミン12と葉酸は、赤血球の形成を助けます。
赤血球が正常に作られることで、身体中に酸素が行きわたり酸欠状態を予防するのです。
酸欠状態を防ぐことで
- 動悸
- 吐き気
- 頭痛
- めまい
などの夏バテ症状を軽減することができます。
ミネラル
汗をかくことで失いやすいミネラルを補給し、夏バテを改善します。
ミネラルの中でも
- 亜鉛
- カルシウム
- 鉄
- 銅
- マグネシウム
を補うことで、身体に様々な効果をもたらします。
具体的なミネラルの効果は以下のとおりです。
- 皮膚や粘膜の健康維持
- 赤血球の形成
- 血液循環をスムーズにする など
経口補水液
経口補水液は身体に必要な電解質が含まれているため、夏バテにも効果的です。
「飲む点滴」と呼ばれる経口補水液は、普通のイオン飲料より塩分が多く含まれています。
経口補水液を通常時の給水目的で飲むことは、塩分過多に繋がるため控えましょう。
経口補水液を飲む目安は、大量に汗をかいて脱水症状に陥る恐れがあるときです。
夏バテのような症状が2週間以上続く場合、別の病気である可能性もあります。
その場合はできるだけ早く病院を受診しましょう。
夏バテ解消法
夏バテに負けない身体を作るためには、
- 規則正しい生活
- 質の良い睡眠
が大切です。
具体的にはどのようにすればいいのか、順番に解説します。
規則正しい生活をするには
規則正しい生活をするといっても、難しいことはありません。
- 比較的涼しい時間帯にウォーキングをする
- ストレッチを行う
など、身体を動かす習慣を身につけることで、夏バテに負けない身体を作ります。
また、平日と休日を区別せずに早寝早起きをするのもいいでしょう。
生活のリズムを崩さない工夫を、取り組める範囲で行うことが重要です。
質の良い睡眠をとるには
質の良い睡眠をとるためには、以下のようなことを意識しましょう。
- 入浴は就寝の1時間前には済ます(体温が上昇したままでは、寝つきが悪くなる)
- ぬるめのお湯につかる
- シャワーだけで済ませない
- ベッドに入ったら、スマホなどの明るい画面は見ない
- エアコンは付けたまま寝る など
エアコンのタイマー機能は、電源が切れた際に寝苦しくて起きてしまう可能性があります。
その結果、夜中に何度も起きてしまい睡眠の質の低下を招くのです。
質の良い睡眠のためには、エアコンをつけたまま寝るのも1つの方法といえるでしょう。
だるさや疲労感には
エネルギーを生み出すサポート役として働くビタミンB1は、だるさや疲労感を緩和します。
ビタミンB1を多く含む食材は、主に以下のとおりです。
- 豚肉
- 玄米
- 大豆
- うなぎ など
ビタミンB1の働きをさらに高める効果を持つのが、アリシンという成分です。
アリシンは玉ねぎやニンニクに多く含まれています。
夏バテの治し方は夏バテの予防にもなります。夏バテの治し方にはいくつかの方法があります。そもそも夏バテとはなんでしょうか。夏バテの治し方とはどのような方法なのでしょうか。本記事では夏バテの治し方について以下の点を中心に[…]
紫外線から体を守る方法
夏バテと同様に、夏は体に有害な紫外線が多い季節です。
紫外線による刺激を身体の外側から守るためには、
- 日傘や帽子の利用
- UVクリーム(日焼け止め)の使用
- 炎天下にいる時間を短くする
などの対策が大切です。
また、抗酸化作用のある食べ物を摂取することで、体内から紫外線対策を行いましょう。
抗酸化ビタミンと呼ばれるβ-カロテンやビタミンC、Eを含む食材がおすすめです。
抗酸化作用を持つ食材を、分類ごとにまとめました。
【野菜類】
トマト | ほうれん草 | ピーマン |
パプリカ | じゃがいも | じゃがいも |
【果物類】
キウイ | いちご | 柿 |
みかん | もも | さくらんぼ |
【肉・魚介・その他】
鶏むね肉 | アーモンド | ゴマ |
うなぎ | 桜えび | うるめいわし |
身体の内外から紫外線対策を行い、健康な体を守りましょう。
熱中症による死亡数
熱中症による死亡者数の年次推移を、厚生労働省が公表しています。
直近2年間の統計を、以下の表にまとめました。
年齢(歳) | 令和2年(2020年) | 令和元年(2019年) |
0~4 | 2 | 3 |
5~9 | 1 | - |
10~14 | - | - |
15~19 | - | 1 |
20~24 | - | 1 |
25~29 | 2 | 3 |
30~34 | 5 | 5 |
35~39 | 3 | 9 |
40~44 | 17 | 9 |
45~49 | 29 | 37 |
50~54 | 48 | 44 |
55~59 | 49 | 47 |
60~64 | 55 | 63 |
65~69 | 134 | 93 |
70~74 | 211 | 148 |
75~79 | 220 | 155 |
80~84 | 266 | 212 |
85~89 | 268 | 216 |
90~94 | 160 | 139 |
95~99 | 49 | 30 |
100 以上 | 8 | 7 |
不詳 | 1 | 2 |
総数 | 1528 | 1224 |
出典:厚生労働省【年齢別にみた熱中症による死亡数の年次推移】
どちらの年も、65歳以上を境に熱中症による死亡数が急激に増加しています。
地球温暖化により、我慢で乗り切れるような夏ではなくなってきているのが現状です。
命を守るためにも適切に冷房を使用し、規則正しい生活を心がけましょう。
夏場に気温や湿度が高くなり、室内でも熱中症にかかる方が多くいらっしゃいます。特に高齢者や小さなお子さんは自律神経がうまく働かず、熱中症になりやすいので注意が必要です。熱中症の後遺症と自律神経にどのような関わりがあるのでしょうか?[…]
夏バテに効果のある薬膳
夏バテや熱中症を予防するために、薬膳の知識を取り入れて予防や対策を取るのも効果的です。
薬膳と聞くと、難しそうだったり特別な食材が必要だったりするイメージを持っているかもしれませんが、実際は日常の食材を活用して簡単に取り入れることができます。
例えば、寒い冬には生姜を使った飲み物を摂ることも薬膳の一つです。
以下では夏バテに効果的な薬膳についてご紹介します。
薬膳とは?なぜ夏バテに効果があるのか?
薬膳とは、体質や体調、季節や気候などの内外の要因に応じて食材の選び方や調理方法を変え、食事を通じて健康を維持する方法です。
東洋医学では、夏は陽気(自然界のエネルギー)が活発になり、それによって体内も熱くなると考えられています。
体温を下げるためには適度に運動して汗をかく必要がありますが、冷房の効いた部屋で過ごしていると上手に体温を下げることができず、体内に熱がこもってしまいます。
その結果、イライラしたり不眠症になったり、胸が苦しくなることもあります。
また、夏は「心」の機能が活発になる一方で、弱りやすくなります。血液の循環が悪くなるため、めまいや動悸、熱中症にも注意が必要です。
夏の薬膳のポイントは、適度に汗をかき、発汗によって失われる気(エネルギー)、血液、水分を補うことです。
薬膳では、汗は血液から作られると考えられており、汗をかいた後は血液を補う食材を摂取します。また、体温を冷ます効果のある食材も重要です。
夏バテに効果的な薬膳とは?
薬膳と聞いても具体的に思いつかない人も多いと思います。
以下では、夏バテに効果的な薬膳におすすめな食材や薬膳のアイデアについてご紹介します。
夏バテに効果的な薬膳に使われる食材
夏の薬膳食材としては、利尿作用のあるウリ科の食材や苦味のある食材、そして「赤色」の食材がおすすめです。
また、甘いものは水分代謝を妨げるため、塩辛いものと一緒に摂ることがポイントです。
夏の果物であるスイカやメロン、パイナップル、夏みかんなども体内の熱を冷ましてくれます。
ただし、高齢者や胃が弱い人は、体を冷やしすぎないように摂り過ぎには注意が必要です。
夏バテに効く薬膳アイデア
お手軽な薬膳のアイデアも紹介します。
- コンビニでの薬膳:赤飯おにぎり、鮭おにぎり、とろろ蕎麦、春雨スープ、トマトとキュウリのサラダ、カットフルーツ(スイカやパイナップル)、緑茶など
- 外食での薬膳:食材を丸ごと摂る(エビの殻や小魚の骨など)、玄米や雑穀ご飯を選ぶ、旬の食材を使ったお店を選ぶなど
- 家庭での薬膳:旬の食材を使う、食材を丸ごと調理する(皮や骨を残す)、薬膳茶を作ってみるなど
薬膳茶の作り方も紹介します。
- ゴーヤ緑茶:緑茶にゴーヤの薄切りを1枚入れる。
- はとむぎウーロン茶:ウーロン茶とはとむぎ茶をブレンドする。
皆様も実際に薬膳を生活に取り入れてみてください。
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夏バテに効く薬のまとめ
ここまで、夏バテに効く薬について解説してきました。
夏バテに効く薬についてのまとめは以下のとおりです。
- 夏バテが起こる原因は、水分不足・自律神経失調・胃腸機能の低下
- 夏バテに効く薬とは、漢方薬や市販の胃腸薬や整腸薬など
- 夏バテを解消する方法は、規則正しい生活を送り、質の良い睡眠をとること
これらの情報が少しでも皆さまのお役に立てば幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。