緑茶は水分補給や食事の際の飲み物として、様々な場面で飲む機会があります。
風邪予防や殺菌目的に緑茶を推奨している介護施設もあります。
しかし、緑茶を飲みすぎると頻尿になるなど体に様々な影響を及ぼす可能性があります。
緑茶にはどのような働きがあり、体にどのような効果を与えるのでしょうか?
本記事では緑茶の効果について以下の点を中心にご紹介します。
- 緑茶の効果
- 緑茶のデメリット
- 緑茶の1日の目安量
緑茶の効果について理解するためにもご参考いただけますと幸いです。
ぜひ最後までお読みください。
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緑茶の健康効果
上述の通り、緑茶には様々な健康効果があります。
緑茶を摂取すると以下の効果が得られます。
ダイエット効果
緑茶はダイエット効果につながる成分を豊富に含んでいます。
具体的な成分と効果は以下の通りです。
- カテキン:先述の通りコレステロールなど脂肪分を減らす働きがある
- カリウム:ナトリウムと一緒に水分を排出しむくみ予防の効果がある
- カフェイン:交感神経に働き、基礎代謝を高める、利尿作用によるむくみ予防
コレステロールの低下
緑茶はカテキンを多く含む飲料水です。
カテキンの内、ガレート型カテキンはコレステロールを低下させる働きがあります。
カテキンは総コレステロール、LDLコレステロールが低下するという報告があります。
また、コレステロール以外に中性脂肪上昇の抑制、体脂肪軽減などの効果があります。
コレステロールや中性脂肪の低下は糖尿病など生活習慣病の予防に役立ちます。
(出典:日本生物工学会「緑茶カテキン(ガレート型カテキン)の機能性研究と特定保健用食品の開発」)
風邪予防
緑茶に含まれるカテキンは抗菌・殺菌作用があります。
カテキンは細菌の細胞膜を破壊し、殺菌する作用があります。
また、毒素を産生する細菌に対し、毒素を無効化する作用があります。
具体的なカテキンの抗菌・殺菌作用は以下の通りです。
- 虫歯予防:細菌の増殖抑制、う蝕の原因となる酸産生活性を抑制する
- 食中毒予防:腸管出血性O157に対し殺菌効果と、産生されるベロ毒素を無毒化する
- 口臭予防:口臭の原因となる細菌性歯垢付着の防止
- 風邪予防:ウイルスの粘膜吸着、増殖、放出を抑制する
(出典:日本カテキン学会「抗菌・殺菌作用」)
(東北大学「緑茶カテキンは口腔レンサ球菌の酸産生を抑制する」)
(歯薬療法「茶カテキンによる口臭および歯垢への影響」)
美肌効果
緑茶に含まれるカテキンは紫外線などの刺激から細胞を守る抗酸化作用があります。
また、緑茶に含まれるビタミンCやビタミンEは同様に抗酸化作用があります。
カテキンやビタミンC、ビタミンEによる抗酸化作用は体内で以下の効果を発揮します。
- 生活習慣病予防:活性酸素を抑え動脈硬化や老化を予防する
- 美肌効果:シミやたるみの原因となるメラニン増加やコラーゲン破壊などを抑える
- 発毛・育毛効果:毛髪の老化を抑制し、発毛・育毛効果を発揮する
(出典:静岡県立大学食品栄養科学部「お茶の効能」)
覚醒作用
緑茶に含まれるカフェインは覚醒を高める作用があります。
体内で産生されるアデノシンは覚醒作用のあるヒスタミンを抑え、眠気を催します。
カフェインはアデノシンの結合を阻害し、ヒスタミンの放出が抑制されなくなります。
結果、眠気を感じにくくなります。
カフェインの血中濃度は摂取後30分~2時間で最大になるとの報告があります。
(出典:国立精神・神経医療研究センター「カフェインと睡眠」)
リラックス効果
緑茶に含まれるテアニンは心身を安定させ、リラックスさせる効果があります。
テアニンは興奮系神経である交感神経の働きを抑制させる効果があります。
結果、副交感神経の働きが促進し、睡眠の質向上につながります。
また、テアニンは脳波に影響を与え、α波を出現させる効果があります。
α波はリラックスした時に出現する脳波です。
テアニンを摂取すると40分~2時間α波が持続するとの報告があります。
(出典:日本農芸化学会誌「L-テアニンのヒトの脳波に及ぼす影響」)
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緑茶の成分一覧
緑茶には体の働きに作用する様々な成分が含まれています。
具体的には、
- タンニン
- カフェイン
- テアニン
- ビタミン
- ミネラル
が含まれています。
それぞれの成分を詳しく解説します。
タンニン
タンニンとは食部由来成分ポリフェノールの1種で、カテキンやアントシアニンと同様のフラボノイド系に属します。
お茶の苦味や渋味など味に関する重要な役割があります。
タンニンには以下の効果があります。
- 抗酸化作用:脂質の酸化を予防し、動脈硬化など生活習慣病予防につながる
- 止血作用:血栓融解物質であるプラスミンの働きを阻害し、出血を止める
- 下痢止め:腸壁や腸の内容物と結合し、本来の腸の運動に戻りやすくなる
カフェイン
カフェインとは天然由来の有機化合物アルカロイドの1種です。
コーヒーに多く含まれている成分ですが、緑茶にも含まれています。
緑茶の種類別によるカフェイン含有量は以下の通りです。
食品名 | 成分量(100あたりのmg) |
玉露 | 160 |
煎茶 | 20 |
(出典:食品安全委員会【食品中のカフェイン】)
カフェインには以下の効果があります。
- 利尿作用:腎血管の拡張や尿細管の再吸収抑制に働くことで尿量が増加する
- 覚醒を高める:眠気の下となるアデノシンの働きを阻害し、眠気を妨げる
- 脂肪燃焼作用:有酸素運動30分前にカフェインを摂取すると脂肪酸化を増加させる
カフェインについてより詳しく知りたい方は、こちらの記事も合わせてお読みください。
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テアニン
テアニンとはアミノ酸の1種です。
旨味や甘味など味に関する重要な役割があります。
緑茶の中でも玉露や新茶などに多く含まれています。
テアニンには以下の効果があります。
- 睡眠の質改善:自律神経の副交感神経が働き、疲労回復、睡眠時間を延長する
- リラックス効果:脳波のα波を増加させ、ストレスや不安を軽減させる
- 精神安定:統合失調症など精神疾患患者のうつ症状や不安症状を改善させる
- ウイルス予防作用:インフルエンザの予防効果がある
- 記憶力改善:言語記憶や実行機能など認知機能を改善させる
- 血圧上昇抑制:カフェイン等の刺激を抑制し、高血圧を予防する
(出典:岐阜大学「L-テアニンの睡眠改善効果の検討」)
(日本生物的精神医学会誌「1.緑茶成分テアニンの向精神作用について」)
(公益社団法人日本茶業中央会「茶の健康効果20選」)
ビタミン
緑茶にはビタミンB12とビタミンDを除く全ての種類のビタミンが含まれています。
最も多く含まれているビタミンはビタミンCです。
緑茶の種類別によるビタミンC含有量は以下の通りです。
食品名 | 成分量(100あたりのmg) |
玉露 | 19 |
煎茶 | 6 |
釜炒り茶 | 4 |
番茶 | 3 |
(出典: 日本食品標準成分表2015年版(七訂)「16 し好飲料類」)
緑茶に含まれるビタミンの種類と効果は以下の通りです。
- ビタミンC:抗酸化作用や美肌効果がある。お茶のビタミンCは熱に強く壊れにくい
- βカロチン:ビタミンAの前駆体。夜盲症の予防や美肌効果などがある
- ビタミンE:強い抗酸化作用を発揮、老化予防や血流の改善、美肌効果がある
- 葉酸:ビタミンB12と同様に貧血予防の効果がある
通常ビタミンCは、水に溶けやすく熱に弱い性質を持っています。
しかし、お茶に含まれるビタミンCは熱に強く壊れにくい性質を持っています。
製茶過程で、高温の蒸気によって蒸されることで、ビタミンCの酸化酵素を失活させるからです。
また、お茶に含まれるカテキンもビタミンCの失活を防ぐ役割があります。
なお紅茶にビタミンCは含まれません。
ビタミンについてより詳しく知りたい方は、こちらの記事も合わせてお読みください。
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ミネラル
緑茶にはさまざまなミネラルが豊富に含まれています。
最も多く含まれているのはカリウムです。
緑茶の種類別によるカリウム含有量は以下の通りです。
食品名 | 成分量(100あたりのmg) |
玉露 | 340 |
番茶 | 32 |
釜炒り茶 | 29 |
煎茶 | 27 |
(出典: 日本食品標準成分表2015年版(七訂)「16 し好飲料類」)
緑茶に含まれるミネラルの種類と効果は以下の通りです。
- カリウム:塩分を排出し血圧を安定させ、細胞内の浸透圧を安定させる効果がある
- カルシウム:丈夫な骨を作り、筋肉を収縮させる効果がある
- マグネシウム:エネルギー代謝の活性化、便通改善の効果がある
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緑茶の種類
緑茶には様々な種類があり、それぞれに独特の風味と健康効果があります。
その種類には、
- ほうじ茶
- 番茶
- 煎茶
- 抹茶
- 玉露
があり、ここでは日本でよく飲まれる主要な緑茶の種類を解説し、その特徴を表で紹介します。
種類 | 説明 | 主な健康効果 |
ほうじ茶 | 焙煎された緑茶の葉で、香ばしい風味が特徴 カフェイン含有量が低い | ストレス軽減、消化促進 |
番茶 | 成熟した茶葉や茎を用い、苦味が少なくマイルドな味わい カフェインも低め | 消化機能改善、リラクゼーション効果 |
煎茶 | 若葉を蒸して乾燥させた後、巻いて仕上げられる 清涼感のある味わいと豊かな香りが特徴 | 抗酸化作用、抗炎症作用 |
抹茶 | 特別に栽培された茶葉を全て粉末状にしたお茶 深い緑色と独特の甘み、旨味が特徴 | 集中力向上、免疫力強化 |
玉露 | 収穫前に茶畑を遮光して旨味成分を増やす高級緑茶 濃厚な甘みとまろやかな味わいが特徴 | 抗酸化物質豊富、ストレス軽減、心身のリラックス効果 |
この表を参考にし、各種緑茶の特性を理解し、自分に合った緑茶を選んでみてください。
緑茶の飲み過ぎによるデメリット
様々な効用を発揮する緑茶ですが飲みすぎに注意が必要です。
緑茶に含まれるカフェインを過剰摂取すると様々な有害作用が生じる場合があります。
カフェインの過剰摂取
カフェインの過剰摂取による急性作用は以下の通りです。
めまい | 心拍数増加 | 興奮 | 不安 |
震え | 不眠症 | 下痢 | 吐き気 |
また、カフェインの過剰摂取による長期的な影響は以下の通りです。
- 肝機能低下
- 骨粗しょう症
- 高血圧
(出典:食品安全委員会「食品中のカフェイン」)
カフェインによる利尿作用
緑茶には、カフェインが含まれており、カフェインには利尿作用があります。
カフェインは、腎臓の血管を拡張させるため、尿の生成量を増やし、尿の頻度や量が増加します。
暖かい緑茶や紅茶を飲む機会が多い冬に、頻尿に悩まれている方は、緑茶やお茶に気を付けてみましょう。
上記のカフェインの利尿作用に加え、体が冷えると血管が収縮します。
血管に対する血液量の増加に対応するため、体が排尿を指示します。
これによって、冬場に緑茶やお茶を摂取すると、利尿作用が強く働きます。
カフェインを多く含む緑茶やお茶は、水分補給に向かないとよく言われています。
これは、カフェインが脱水症状を引き起こすためです。
しかし、脱水症状を避けるために、水分補給を我慢すると、血液量の減少につながり、最終的に腎臓の機能の一時低下につながる恐れがあります。
利尿作用を抑えるためには、カフェイン量の少ないお茶やノンカフェインである麦茶やルイボスティーに置き換えてみましょう。
また、カフェインは高温のお湯に溶けやすい性質を持ちます。
そのため、お茶を入れる温度を60℃ほどのぬるま湯に変えてみるとよいでしょう。
冷え性の方は、緑茶やお茶の利尿作用に特に気を付ける必要があります。
排尿時に体の熱が奪われるため、お茶を飲むと体が冷えてしまいます。
トイレで夜中に起きてしまう方は、利尿作用のある緑茶などのお茶の就寝前摂取を控えましょう。
カフェインの効果について詳しく知りたい方は、こちらの記事も合わせてお読みください。
緑茶の1日の目安量
緑茶は健康に良いとされる飲み物ですが、適量を守ることが重要です。
緑茶にはカフェインが含まれており、過剰摂取は健康に悪影響を与える可能性があります。
では、具体的にどのくらいの量を飲むのが適切なのでしょうか?
緑茶の1日の適量
緑茶の適量については、1日に3〜4杯が目安とされています。
これは、緑茶に含まれるカフェインの量を考慮したものです。1杯の緑茶(約200ml)にはおよそ20mgのカフェインが含まれています。
一般的に、1日に摂取しても問題ないカフェインの量は400mgとされていますので、3〜4杯であればこの範囲内に収まります。
また、カテキンの効果を最大限に享受するためには、1日に200〜400mgのカテキンを摂取することが推奨されています。
緑茶1杯に含まれるカテキン量は約100mgですので、3〜4杯で十分な量が摂取できます。
緑茶を飲むタイミング
緑茶を効果的に摂取するためには、飲むタイミングが重要です。
朝に飲むことで、カフェインの覚醒作用を利用して目覚めを良くすることができます。
また、緑茶に含まれるカテキンは脂肪の吸収を抑える効果があるとされ、食後に飲むことも効果的です。
ただし、夕方以降に飲むとカフェインの影響で眠れなくなる可能性があるため、夕食後は避けるのが賢明です。
さらに、運動前に飲むことで、脂肪燃焼効果を高めることができます。
これらのタイミングを意識することで、緑茶の健康効果を最大限に引き出すことができます。
ペットボトルの緑茶でも効果は期待できる?
近年、緑茶を携行用としてペットボトルから摂取する方が多いです。
茶系飲料の内、緑茶は年間約300万kl消費され、茶系飲料全体の約47%を占めます。
ペットボトルの緑茶は茶葉の抽出液(茶葉抽出液)と比較し栄養成分の量が異なります。
具体的には以下の通りです。
成分 | 茶葉抽出液に対するペットボトルの緑茶の割合(倍) |
テアニン | 0.34 |
タンニン | 0.45 |
カフェイン | 0.41 |
ビタミンC | 2.7 |
(出典:京都光華女子大学短期大学部研究紀要「ペットボトル緑茶のカテキン、カフェイン、テアニ ン含量」)
ペットボトルの緑茶は茶葉抽出液と比較し、テアニンやタンニンが少ないです。
結果、旨味や渋味成分、健康的な栄養成分が少なくなります。
一方、ビタミンCはペットボトルの緑茶に多い結果となります。
理由としてお茶に酸化防止剤(L-アスコルビン酸カルシウム)が混入されているためです。
L-アスコルビン酸カルシウムは添加物として安全性が保障されたビタミンCです。
また、ペットボトル緑茶は茶葉抽出液と比較し、カフェインの量が少ないです。
結果、ペットボトルの緑茶はカフェインの過剰摂取のリスクが少ないことが考えられます。
(出典:厚生労働省「添加物評価書L-アスコルビン酸カルシウム」)
緑茶の効果まとめ
ここまで緑茶の効果についてお伝えしてきました。
緑茶の効果の要点をまとめると以下の通りです。
- 緑茶の健康効果は風邪予防やダイエット効果、美肌効果などがある
- 緑茶の飲みすぎはカフェイン過剰摂取による不眠や心拍数増加、長期的には肝機能低下や高血圧を引き起こす恐れがあり、カフェインの利尿作用により頻尿や脱水症状を招く可能性がある
- 緑茶の1日の適量は3〜4杯(約600〜800ml)であり、これは、カフェイン摂取量が1日400mg以内、カテキン摂取量が200〜400mgに収まるように考慮されている
これらの情報が少しでも皆さまのお役に立てば幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。