白内障の治療には、投薬治療と手術治療があります。
白内障の手術後は、生活上の注意点や術後の後遺症などがあります。
では、白内障の手術後の注意点や後遺症にはどのようなことがあるのでしょうか?
本記事では、白内障の手術後について以下の点を中心にご紹介します。
- 白内障の手術後において、生活上の注意点とは
- 白内障の手術後の後遺症について
- 白内障の手術後の再発リスクについて
白内障の手術後について理解するためにもご参考いただけますと幸いです。
ぜひ最後までお読みください。
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白内障とは
白内障とは、カメラのレンズの役割を果たしている水晶体が濁ってしまう病気です。
水晶体は、外からの光を網膜に焦点を合わせる役割があります。
水晶体が濁る原因は、ほかの病気が原因の場合や、放射線や薬の影響などがあります。
最も多いのが加齢で起こる老人性白内障です。
水晶体は若い頃は透明で柔軟ですが加齢とともに硬くなり、厚みを増して混濁していきます。
また、水晶体は一度濁ってしまうともとの状態には戻りません。
しかし症状が軽いうちは、生活にそれほど支障がないことがほとんどです。
症状が強くなって物が見えにくくなり生活に支障が出る場合は、手術治療をします。
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白内障手術後すぐの安静期間の過ごし方
白内障手術後すぐの安静期間の過ごし方には以下のような注意事項があります。
- 目を触らない、押さえない
- 飲酒や喫煙を控える
- 洗顔や入浴は控える
- 眼帯や保護メガネを外さない
- 化粧は控える
- 運動は控える
【目を触らない、押さえない】
手術後は目の表面に手術の傷口が残った状態です。
傷が癒えるには数日かかるので眼帯の上からでも目を押さえたりする行為は控えましょう。
【飲酒や喫煙を控える】
術後の傷口の炎症を飲酒が悪化させるリスクがあるので術後1週間程度は控えましょう。
喫煙もたばこの煙が目を刺激するので同様に控えた方が良いでしょう。
【洗顔や入浴は控える】
洗顔や入浴で目の傷口に水が入ったり汗が入ることは避ける必要があります。
また入浴で血圧が上昇するのも術後の目に良くありません。
手術当日もしくは翌日から1週間程度は首から下のシャワーを利用するようにしましょう。
【眼帯や保護メガネを外さない】
眼帯や保護メガネには以下のような役割があります。
- 細菌感染から目を守る
- 風やホコリ、紫外線から目を守る
手術当日は寝るときもつけたままにしましょう。
【化粧は控える】
化粧が可能になるのは手術後1週間が目安です。
1週間後も睫毛よりも内側のアイラインを引くなどの化粧は控えましょう。
【運動は控える】
汗をかいたり何らかの影響が目に及ぶような運動は医師と相談しましょう。
例えば運動によっては以下のようなことが懸念される場合があります。
- ジムや筋トレなどでの汗に含まれる細菌の影響
- 運動後のうつ伏せでマッサージによる目への圧迫
- 球技でのボールが目に当たる可能性
それぞれ運動の程度の問題があるので医師と開始可能時期などを相談しましょう。
白内障手術後の生活における注意点
白内障手術後の生活における注意点には
- 運転
- コンタクトレンズ
- 通院
- 仕事
- 入浴
- 飲酒・喫煙
などがあります。
それぞれ見ていきましょう。
白内障手術後の運転
およそ手術後1週間程度で視力が安定します。
視力が0.7以上あれば運転はできます。
しかし、眼内レンズを入れたことで、今までと距離感などが変わって見えることもあります。
無理はせずに見え方に慣れてから運転するようにしましょう。
白内障手術後のコンタクトレンズ
水晶体を取り替えているため、コンタクトレンズやメガネの度数が変わります。
手術前に使用していたコンタクトレンズやメガネは合わなくなります。
目の状態が安定し、傷口の状態が落ち着く3ヶ月以降にコンタクトレンズを作りましょう。
白内障手術後の通院
通院期間は通常、日帰り手術の場合は手術の翌日、1週間後、2週間後、1カ月後と通院します。
また、ほかの病気や合併症がある方、糖尿病などがある方では、通院期間が長くなる場合もあります。
そのほか、手術後は最低でも1~3ヶ月間は点眼薬が必要になります。
手術後の目の状態に合わせて、点眼薬を変えることもあります。
自己判断で通院をやめずに、医師の指示に従うことが大切です。
白内障手術後の運動
普段の家事や軽いウォーキング程度の運動は、手術の翌日より可能です。
しかし汗には細菌が含まれているため、汗をかくような激しい運動は、手術後1週間ほど控えましょう。
通常の運動は、1ヶ月後より可能です。
しかし、砂ぼこりで目が汚れる運動や目を打撲する可能性がある運動は、最低1ヶ月控えてください。
水泳は汚染されたプールの水が目に入る可能性があるため、1ヶ月は控えるようにしましょう。
また、水泳はゴーグルを使用して、目に水が入るのを予防することが大切です。
白内障手術後の仕事
デスクワークなどの室内での仕事は、適度に休憩を取りながら、手術の翌日から可能です。
しかし、重いものをもつなどの活動量の高い仕事は、手術後最低1週間は控えましょう。
白内障手術後の入浴
手術後の感染症を予防するため、手術後1週間は洗髪・洗顔は控えましょう。
しっかり絞ったタオルで拭くのは、手術当日から可能です。
1週間経過した後は医師から線画の許可がでたら、眼球を圧迫しないように洗顔しましょう。
洗髪も洗顔と同様に手術後1週間から可能です。
しかし、シャンプーなどが目に入らないように注意しましょう。
また、シャワーを浴びるのは差支えありませんが、顔に水がかからないようにしましょう。
浴槽につかるのは、1週間は避けるのが無難です。
白内障手術後の飲酒・喫煙
飲酒は炎症を悪化させる可能性があるため、手術後最低1週間は控えましょう。
喫煙は煙が目に刺激となるため、飲酒と同じく1週間は避けることが望ましいです。
白内障の治療には、投薬治療と手術治療があります。白内障の手術後は、生活上の注意点や術後の後遺症などがあります。では、白内障の手術後の注意点や後遺症にはどのようなことがあるのでしょうか?本記事では、白内障の手術後について以[…]
白内障患者の手術後の視界の様子
通常白内障以外に目の異常がなければ、手術して1日でよく見えるようになります。
しかし、糖尿病などが原因で網膜に疾患がある場合は、視力の回復が思わしくないこともあります。
手術時間が長かった場合は、手術後に角膜にむくみがでることでしばらく見えにくいことがあります。
また、眼内レンズの見え方に慣れていないため、見えにくい可能性があります。
ほかにも水晶体の濁りがとれて、青色の光が入りやすくなります。
青色の光が入りやすいため、少し青みがかって見えることがあります。
片目のみ手術した場合は、とくに見られる症状です。
多くの場合、時間の経過とともに気にならなくなります。
白内障の治療には、目薬、手術などがあります。また、白内障の初期の段階では、目薬による治療を行います。では、白内障の目薬にはどのようなものがあるのでしょうか?本記事では、白内障の目薬について以下の点を中心にご紹介します。[…]
白内障手術後の後遺症
術後の後遺症について
- 術後感染症
- まぶしい
- 目の見え方(視力)
- 視界がぼやける
- 飛蚊症
- 違和感(ドライアイ)
などがあります。
それぞれ見ていきましょう。
術後感染症
白内障の手術は、眼球を切開して外科手術します。
そのため、術後の細菌感染が起こり、炎症が生じる可能性があります。
傷口が完全に閉じるまでは細菌感染に注意が必要です。
とくに手術後1週間は、強く目をつぶったり、こすったりしないようにしましょう。
目に刺激を与えると、傷口が開いて雑菌が入ってしまう可能性があります。
就寝中も無意識に目に触れないように、保護メガネを使用します。
また手をきれいに洗い清潔にすることが大切です。
前髪が目にかかる方は、手術前に切っておくとよいでしょう。
傷が開いてしまうと、目の中の房水が流れ出て温かい涙が出ているように感じます。
傷口が開いて、房水が流れ出ている状態はとても危険です。
すぐに抗菌剤の目薬を使用し、病院へ受診してください。
まぶしい
白内障の手術後は眼内レンズが入るため、見やすくなります。
見やすくなるため、光をまぶしすぎるように感じることがあります。
通常は時間の経過とともに少しずつ安定してきます。
しかし長期間まぶしさを強く感じる場合は、医師に相談しましょう。
まぶしさを軽減するメガネを使用することで、目の負担を軽くします。
目の見え方(視力)
手術後ほとんどの場合、白内障の手術前に使用していたメガネは合わなくなります。
単焦点レンズの場合、ピントが合わない場所を見るためのメガネが必要です。
また、裸眼視力が安定するまでには、手術後1~2ヶ月ほどかかります。
生活に支障が出る方は、医師に相談し今の視力に合ったメガネを作成できます。
視力が安定する2~3カ月後に再度メガネを作り直しましょう。
視界がぼやける
手術後、次第に視界がぼやけたり、目のかすみなどを感じたりすることがあります。
眼内レンズと水晶体後嚢の間に濁りが発生することで起こります。
レーザー治療により日帰りで治療が可能です。
レーザー治療後は、再びクリアな視界が得られます。
飛蚊症
飛蚊症とは、視界に黒い虫のようなものが飛んでいるように見える症状です。
視線を動かすと追いかけてくるような動きをします。
また、細かく揺れるため、蚊が飛んでいるように感じます。
黒い異物の形はさまざまで、白いものや空を見上げたときに気付くことが多いです。
飛蚊症の原因は、目の中にある硝子体の濁りです。
白内障の手術で濁りをとることで、硝子体の濁りを感じやすくなるために起こります。
ほとんどの場合、2~3ヶ月ほどで気にならなくなります。
しかし、まれに網膜剥離という病気の可能性もあるので、飛蚊症の症状を感じたら、病院へ受診しましょう。
違和感(ドライアイ)
白内障手術後に、目の違和感やドライアイなどの角膜上皮障害が起こることがあります。
通常は、点眼薬の使用で改善します。
はっきりとした原因はわかっていません。
しかし、手術中に用いる眼潅流液や生理食塩水などが原因と考えられています。
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白内障手術後の再発リスクは?
白内障の手術後に数か月から数年して、目がかすむなどの症状があらわれ再び視力が低下することがあります。
手術後に白内障の症状があらわれることを「後発白内障」といいます。
後発白内障は、手術で残した水晶体が濁りはじめることで起こります。
後発白内障は、レーザー治療により濁りを取り除くことで視力が回復します。
レーザー治療は日帰りでできるため、入院の必要はありません。
白内障には「後発白内障」発生のリスクがあるので手術後の定期的な検診が必要です。
手術後の定期検診は、手術翌日、1週間後、1ヵ月後、3ヵ月後、6ヵ月後に行います。
術後の経過観察で、何らかの異常や見え方の回復具合などを診るためです。
処方の点眼薬は術後の経過の状態に応じて変更されることがあります。
6ヵ月間の定期検診を欠かさないようにしましょう。
その後も目に異常を感じることがあったときはすぐに医療機関を受診しましょう。
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白内障の手術前に知っておいた方がいいこと
白内障の手術を受けた後に不満に感じたり後悔をする方がいます。
術後の後悔を減らし、納得するために、術前に知っておいた方が良い点をまとめます。
術後に不満や後悔をする内容には
- 手術前より視力は上がったが日常生活に不便がある
- 術後のゴロゴロした症状の不快感
- 今まで見えていなかったものが見える(飛蚊症の自覚)
- 光のすじや影みたいなものが見える(異常光視症)
などがあります。
白内障手術の必要性の是非で、視力について知っておいた方が良いことがあります。
視力はメガネをかけて0.5~0.6位あれば日常生活に不便を感じない方もいます。
遠方の視力が上がることと生活の利便性の向上は必ずしも一緒ではありません。
術後のゴロゴロするなど目の不快感は避けられないことも知っておくことの1つです。
不快感はあっても数週間~1ヵ月程度でほとんどの場合は落ち着く症状です。
術後に飛蚊症を自覚することがあります。
術後の飛蚊症の自覚は元々あったものが白内障手術で見えるようになったものです。
白内障手術で濁った視界が改善して見えるようになるということです。
異常光視症は白内障手術後に稀に起きる合併症です。
一時的な症状として起きることがほとんどで時間が経過すれば落ち着く症状です。
それぞれ術後に起きる症状として事前に理解しておけば後悔することのない事象です。
手術の是非も含めて事前のカウンセリングがしっかりした病院を選ぶことが大切です。
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白内障の治療
白内障の治療には
- 投薬治療
- 手術治療
があります。
それぞれ具体的にご紹介します。
投薬治療
白内障の症状が初期の段階で生活に支障がない場合は、点眼薬や内服薬による投薬治療が基本です。
しかし、投薬治療は水晶体がもとに戻るわけではありません。
あくまで白内障の進行を遅らせることが目的になります。
白内障の初期に使用される目薬は
- ピレノキシン製剤
- グルタチオン製剤
があります。
ピレノキシン製剤
ピレノキシン製剤は、白内障の原因となるキノイド物質の成長を抑制します。
キノイド物質の成長を抑えることで、水晶体が混濁するのを予防します。
白内障の進行を遅らせることを目的としています。
白内障は、水晶体の中のタンパク質が変性を起こし発症します。
そのため、ピレノキシン製剤が有効とされています。
グルタチオン製剤
グルタチオン製剤は、白内障の進行とともに減少するグルタチオンの量の不足分を補います。
抗酸化効果があり、水晶体の透明性を維持する働きがあります。
また、水晶体の濁りの原因である不溶性タンパク質の増加を抑制します。
水晶体の透明性を維持することで、白内障の進行を抑える効果が期待できます。
手術治療
白内障が進行して生活に支障がある場合は、手術治療が行われます。
手術は「超音波水晶帯乳化吸引術」が一般的です。
超音波水晶体乳化吸引術は、超音波で濁った水晶体を粉砕して取り除きます。
濁った水晶体を取り除いた後は、人工水晶体である眼内レンズを入れます。
眼内レンズには
- 単焦点眼内レンズ
- 多焦点眼内レンズ
の2種類があります。
単焦点眼内レンズ
最も見たい距離にピントを合わせるレンズです。
ピントを合わせた距離の範囲であればクリアな視界になります。
しかし、ピントが合わない距離にも対応するためには手術後もメガネが必要になる可能性があります。
多焦点眼内レンズ
遠方から中間、近方の範囲まで広い範囲にピントが合わせられるレンズです。
ピントが合う範囲は広くなりますが、単焦点と同じくピント調節機能はありません。
そのため、手術後もメガネによる視力矯正が必要な場合もあります。
入院期間は、通常片目で1泊2日です。
健康な方で、通院のときに家族などの協力が得られる場合は日帰り手術も可能です。
また両目とも手術する方は、一度に両目の手術はできません。
そのため、7~30日間ほどあけて片目ずつ手術します。
回復の早い方は手術の翌日から視力の改善が見られます。
しかし、回復には個人差があり、目の状態が安定するまでは安静にすることが大切です。
そのほか、手術は局所麻酔で行います。
麻酔がしっかりと効いていれば強い痛みを感じることはありません。
しかし、痛みを感じる場合は、麻酔を追加して麻酔が効いた状態で手術するので安心です。
無理に痛みを我慢すると本人が苦痛を感じ、無意識に目が動いてしまい手術の妨げになることもあります。
心配な方は、主治医とよく相談しましょう。
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白内障の年間手術件数と年代別手術数
白内障の年間手術数は、平成29年の時点で102万4,631件でした。
また、白内障の患者数は男女どちらも60代から増加しています。
70代男性では20万3,518人、女性では25万3,749人の方が白内障の手術をしています。
以上のことから、白内障の手術数件数はとても多く、白内障の手術はとても身近な手術です。
ですので白内障の手術の情報を知っておくことは、自分の健康維持のためにも重要です。
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白内障の手術後のまとめ
今回は、白内障の手術後の情報を中心にお伝えしました。
要点を以下にまとめます。
白内障の手術後において生活上の注意点は、運転、運動、仕事、入浴などがある
- 白内障の手術後の後遺症には、術後感染症、まぶしい、飛蚊症などがある
- 白内障の手術後の再発リスクは数か月から数年して、後発白内障が発症することがある
これらの情報が少しでも皆様のお役に立てば幸いです。
最後までお読みいただきありがとうございました。