不整脈は突然死することもあるため、普段から予防を心がけることが大切です。
そもそも、不整脈はなぜ起こるのでしょうか。
不整脈を予防するには、どのようなことに取り組めばよいのでしょうか。
本記事では、不整脈の予防について、以下の点を中心にご紹介します。
- 不整脈の主な原因
- 不整脈の予防法
- 不整脈では運動してもよいのか
- 不整脈の検査方法とは
不整脈の原因について理解するためにもご参考いただけますと幸いです。
ぜひ最後までお読みください。
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不整脈とは
不整脈とは、何らかの原因によって、心拍のリズムが異常になることです。
不整脈は大きく分けて、以下の3タイプに分類できます。
- 頻脈
- 徐脈
- 期外収縮
不整脈ではさまざまな症状があらわれます。
代表的なのは動悸・息切れ・めまいなどの症状です。
また、不整脈は心不全や脳梗塞を引き起こすこともあります。
重症化・突然死を避けるためにも、不整脈は予防・改善に努めることが大切です。
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不整脈の主な原因
不整脈にはさまざまな原因があります。
主な原因をご紹介します。
加齢
不整脈の代表的な原因が加齢です。
歳を重ねると、心機能が徐々に低下するため、不整脈が起こりやすくなります。
不整脈のリスクが高まるのは、30歳以降の方です。
自律神経の乱れ
不整脈は自律神経の乱れによって引き起こされることが多いです。
自律神経は、心拍や血圧を調節する神経系であるためです。
自律神経が乱れる原因としては、ストレス・睡眠不足・偏った食生活が代表的です。
また、喫煙・大量飲酒も自律神経を乱すため、不整脈のリスクを高めます。
ストレスなどが原因で自律神経失調症が起こります。自律神経失調症は、不眠や頭痛、だるさ、イライラなど症状は多岐にわたります。自律神経失調症の症状の中に不整脈があることはご存じですか?本記事では、自律神経失調症と不整脈につい[…]
肥満
肥満が不整脈を招くのは、高血圧と関係があります。
肥満の方は体が大きいぶん、心臓はより多くの血液を送り出さなくてはなりません。
つまり、心臓と血管には大きな圧力がかかるため、血圧が高くなります。
血圧が高くなると、心臓には大きな負担がかかります。
結果、心拍が乱れやすくなり、不整脈が起こりやすくなります。
病気
不整脈は、心臓や全身の疾患で引き起こされることも多いです。
不整脈の原因となる疾患には、たとえば以下があります。
- 心筋梗塞・狭心症などの心疾患
- バセドウ病などの甲状腺の異常
- 慢性栓塞性肺疾患などの肺の病気
薬の副作用
持病の治療薬などの副作用によって、不整脈が生じることがあります。
不整脈の原因となる薬剤には、たとえば以下があります。
- 抗不整脈薬
- 降圧剤
- 抗うつ剤
- 風邪薬
不整脈の予防法
不整脈は生活習慣に起因して起こることが多いです。
不整脈を予防するには、まず生活習慣を見直すことが大切です。
ここからは、不整脈の予防法についてみていきます。
ぜひ参考にしてください。
ストレスを溜めない
ストレスは、不整脈の代表的な原因の1つです。
不整脈を予防するには、ストレスを解消することが大切です。
ストレスが不整脈を引き起こすのは、自律神経を乱すためです。
ストレスは、自律神経のうち交感神経という神経系を刺激します。
交感神経は脈拍・血圧を上げる働きがあります。
ストレスによって交感神経が刺激されると、脈拍・血圧が上がるため、心臓には大きな負担がかかります。
結果、心拍が乱れやすくなり、不整脈に至るというわけです。
不整脈を予防するためにも、ストレスはなるべく溜めないようにしてください。
たとえば仕事でのストレスが大きい場合は、配置換えを検討したり、仕事量を見直したりしましょう。
あわせて、溜まったストレスを解消することも大切です。
おすすめなのは、ゆっくり休養することです。
心身をゆっくり休めると、ストレスは自然と解消されることが多いです。
あるいは、趣味に打ち込んだり、自分が好きなことをしたりするのもよいでしょう。
代表的なストレス解消法には、スポーツ・買い物・旅行などがあります。
十分な睡眠をとる
睡眠不足は自律神経の乱れを招きます。
日頃、睡眠が足りていないという方は、まず十分な睡眠を取りましょう。
睡眠不足が不整脈を引き起こす理由は、自律神経を乱すためです。
具体的には、交感神経が活性化しやすくなるため、脈拍・血圧が高くなって不整脈に至ります。
1日の睡眠時間は、7~8時間が理想的です。
不整脈を防ぐには、睡眠時間を増やすだけでなく、睡眠の質を上げることも大切です。
どんなに長く眠っても、眠りの質が悪ければやはり自律神経は乱れやすくなるためです。
睡眠の質を上げる方法には、たとえば以下があります。
- 就寝1時間前のブルーライトの使用は控える
- 食事・入浴・運動は就寝の2~3時間前までに済ませる
- 就寝1時間前くらいから、部屋の照明を暗めにする
- 夕方以降のカフェイン・アルコールの摂取は控える
禁煙をする
喫煙は不整脈のリスクを高めます。
不整脈を予防するには、タバコはやめるのがベストです。
不整脈が起こる原因は、タバコの煙に含まれるニコチンにあります。
ニコチンは血管を収縮させて血圧を上昇させます。
すると心臓に負荷がかかるため、不整脈が誘発されるというわけです。
タバコと関係が深いのは、不整脈の中でも「心房細動」です。
心房細動は心臓の上部(心房)が細かく振動する状態で、突然死を招くこともあります。
喫煙習慣がある方は心房細動のリスクが1.5倍高いと指摘されています。
不整脈による突然死を避けるためにも、禁煙しましょう。
いきなり禁煙するのが難しい場合は、1日の本数を徐々に減らしていく方法が有効です。
飲酒を控える
不整脈を予防するには、飲酒はほどほどにしましょう。
大量のアルコールは心拍や血圧を上昇させるためです。
ちなみに、少量の飲酒は心臓の調子を整える作用があるともいわれています。
だからといって、飲酒が推奨されているわけではありません。
飲酒は特に心房細動のリスクを高めるため、できれば禁酒するのがベストです。
どうしても飲酒する場合でも、ほどほどの量を守りましょう。
では、ほどほどの飲酒量とは、具体的にどのくらいなのでしょうか。
厚生労働省の基準では、1日のアルコール摂取目安量は2ドリンクです。
純アルコール量に換算すると、1日20gが目安です。
主なアルコール飲料と、純アルコール量・ドリンク数を以下の表にまとめました。
種類 | 量(ml) | 純アルコール換算(g) | ドリンク数 |
ビール | 350 | 14 | 1.4 |
日本酒 | 180 | 22 | 2.2 |
焼酎(20%) | 180 | 29 | 2.9 |
ワイン(12%) | 375 | 36 | 3.6 |
ウイスキー(40%) | 30 | 10 | 1.0 |
女性や高齢者はアルコールの分解能力が低いため、1日のアルコール摂取量は10g以下が理想的です。
出典:厚生労働省【飲酒量の単位 | e-ヘルスネット(厚生労働省)】
出典:厚生労働省【飲酒のガイドライン | e-ヘルスネット(厚生労働省)】
食事バランスに気を付ける
不整脈を予防するには、栄養バランスのよい食事を心がけましょう。
特に、塩分・脂質・糖質の摂りすぎには注意してください。
塩分の過剰摂取は高血圧の原因となります。
脂質・糖質の摂りすぎは肥満を招くほか、脂質異常症や糖尿病を引き起こします。
高血圧・脂質異常症・糖尿病などは、血管の動脈硬化に発展しやすいです。
動脈硬化が起こると全身の血行が悪化するため、心臓に負担がかかって、不整脈が起こりやすくなります。
不整脈予防のために積極的に摂取したい栄養素・食品は以下の通りです。
栄養素 | 主な効果 | 食品例 |
ビタミンB群 | 自律神経を安定させる | 豚肉・レバー類・大豆製品 |
ビタミンC | ストレスを和らげる | 緑黄色野菜・果物 |
ビタミンE | 自律神経を整える | 緑黄色野菜・うなぎ・ナッツ |
カルシウム | 脳の興奮を鎮めて自律神経を安定させる | 乳製品・緑黄色野菜・小魚 |
マグネシウム | 神経の興奮を鎮めて自律神経を安定させる | 大豆製品・ナッツ類・海藻類 |
不飽和脂肪酸 | 血液をサラサラにして動脈硬化を防ぐ | 青魚・魚 |
カリウム | 体内の余分な塩分を排出する | 野菜・果物 |
ビタミン・ミネラルは日々消費されるため、こまめに補給することが大切です。
ただし、1つの栄養素を過剰に摂取すると、かえって健康を損なうこともあります。
特に気をつけたいのが、カリウムの過剰摂取です。
カリウムには血圧を下げる効果がありますが、摂りすぎるとかえって心臓に負担をかけることもあります。
不整脈を予防し、健康を維持するには、さまざまな栄養素・食品をバランスよく摂ることが大切です。
脈が乱れたり心臓がドキドキする場合、不整脈が起こっている可能性があります。不整脈は心臓病だけでなく、ストレスなどによっても引き起こされます。そもそも不整脈とはどのようなものでしょうか?なぜストレスが不整脈の原因となるのでしょ[…]
不整脈でも運動をして大丈夫?
不整脈をはじめ心臓病の方は、運動を制限されるというイメージがあります。
しかし実は心臓病の方は、軽い運動をすることが推奨されています。
理由は、適度な運動は全身の血行を促進し、血圧を下げる効果があるためです。
心臓病の方は血圧が高い傾向があるため、運動して血圧を下げることが大切です。
運動には筋肉の緊張をほぐして自律神経を整える効果もあります。
自律神経が整うと心機能も安定しやすくなるため、心臓病の方は無理のない範囲で運動に取り組みましょう。
おすすめなのは有酸素運動です。
有酸素運動とは、たとえばウォーキング・水泳・サイクリングなどがあります。
運動時間は、1日30~60分程度・週3回以上が理想的です。
ただし、心臓の状態などによっては運動しないほうがよい場合もあります。
たとえば運動中に動悸・息切れ・失神などが起こる場合、無理に運動すると突然死につながりかねません。
不整脈の方ができる運動の種類・程度には個人差があります。
突然死を防ぐためにも、不整脈の方が運動する場合は、まずかかりつけ医に相談するのがおすすめです。
不整脈の種類
不整脈は心脈パターンに応じて、3タイプに分類できます。
それぞれの特徴をみていきましょう。
頻脈性不整脈
脈が速くなるタイプの不整脈です。
具体的には、1分間の脈拍が100回以上の方が該当します。
頻脈性不整脈には、以下のような種類があります。
- 心房頻拍
- 心房細動(粗動)
- 発作性上室(心房)性頻拍
- 心室頻拍
- 心室細動
- WPW症候群
頻脈性不整脈の症状としては、心拍増加に伴う動悸・息切れ・めまいなどが代表的です。
失神・突然死などが起こることもあります。
突然死のリスクが高いのは、頻脈の中でも心房細動・心室細動・心室頻拍などです。
徐脈性不整脈
脈が遅くなるタイプの不整脈です。
1分間の脈拍が50回以下の方が該当します。
徐脈性不整脈の主な症状は、異常な疲れ・動悸・息切れなどです。
軽い運動で疲労・息切れなどが起こる場合、徐脈性不整脈が疑われます。
期外収縮不整脈
正常な心拍のなかに、1拍速い脈が混じることです。
期外収縮が起こると、「ドキドキ」「ドクン」とした動悸を感じやすくなります。
期外収縮の原因としては、ストレス・疲労・睡眠不足などが代表的です。
また、期外収縮は加齢でも起こりやすくなります。
不整脈の検査方法
不整脈がある場合は、念のため病院で検査を受けるのがおすすめです。
不整脈の検査方法をご紹介します。
主な検査方法
不整脈の主な検査方法は以下の通りです。
心電図検査 | 心拍のリズムを調べる |
24時間ホルター心電計 | 24時間の心拍のリズムを調べる |
心エコー検査 | 超音波を使って、心臓の運動の様子を画像で確認する |
胸部X線検査 | レントゲンを使って、心臓の器質的異常を確認する |
セルフチェックのやり方
不整脈は自分では気づかないことも少なくありません。
不整脈の早期発見・治療につなげるためには、日頃からセルフチェックを行うことが大切です。
不整脈のセルフチェック項目は以下の通りです。
当てはまる項目が多い場合、不整脈の可能性があります。
- 安静時に胸がドキドキする
- 脈の乱れを感じる
- 階段の上り下りなどの軽い運動で息切れする
- 体が疲れやすい・だるいと感じる
- めまい・息切れ・動悸などがする
不整脈は、自分の脈を測ることでもチェックできます。
【脈の測り方】
- 手の人差し指・中指・薬指をそろえる
- 2の指の腹で、反対の手の親指側の手首を優しく押さえる
- 10秒ほど脈を測る
脈拍が130回以上/分、または40回以下/分の場合、不整脈が疑われます。
不整脈の可能性がある場合は、病院で詳しい検査を受けましょう。
不整脈を疑うタイミング
不整脈を疑うタイミングは、以下のような症状がある場合です。
- 脈拍が異常に速い・遅い
- めまい
- 動悸
- 息切れ
- 失神
不整脈自体はさほど珍しいものではありません。
たとえ心臓に異常がない方でも、加齢・ストレス・疲労などによって、不整脈が起こることはよくあります。
1拍脈が飛ぶ・抜けるといった単発不整脈の場合は、しばらく様子をみましょう。
ただし、脈の乱れ方などに不安を感じる場合は、念のため病院を受診してください。
不整脈の治療方法
不整脈の治療方法は、薬物療法と手術療法の2種類です。
薬物療法の場合は、不整脈を起こりにくくする「抗不整脈薬」が使用されることが一般的です。
抗不整脈には次のような種類があります。
分類 | 特徴 | 商品名 |
Ⅰ群薬(a・b・c) | 心臓のナトリウムチャネルを遮断して異常な電気信号を防ぐ | キニジン・アミサリン・リスモダン・シベノール・キシロカイン・メキシチール・アスペノン・タンボコール・プロノン・サンリズム |
Ⅱ群薬 | 交感神経β受容体の働きを抑制して心拍の増加を抑える | インデラル・ナディック・メインテート |
Ⅲ群薬 | 心臓のカリウムチャネルを遮断して異常な電気信号を防ぐ | アンカロン・ソタコール・シンピット |
Ⅳ群薬 | カルシウムチャネルを遮断して血管の収縮を防ぐ | ワソラン・ベプリコール・ヘルベッサー |
不整脈の主な手術療法は次の通りです。
カテーテルアブレーション | 足の付け根から心臓にカテーテルを通し、不整脈を引き起こしている心筋の一部を焼き切る |
ペースメーカー | 徐脈の方に対し、心臓の働きを助ける機械を鎖骨下に埋め込み、心拍のリズムを整える |
ICD(植え込み型除細動器) | 頻脈の方に対し、心拍のリズムを整える機械を鎖骨下に植え込む |
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不整脈に効果のあるツボとは?
全身には、不整脈に効果のあるツボが存在します。
小海 | 肘の凹んだ部分の親指側 |
神門 | 手の甲側で、手首の付け根にある骨の凹んだ部分 |
内関 | 手の平側で、手首から指3本下あたりの部分(2本の腱の間) |
膻中 | 左右の乳首を結んだ線の中心部分 |
ツボは、朝晩の2回押すのがおすすめです。
不整脈があらわれたときも、ツボをゆっくり押してみましょう。
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普段の生活から感じるストレス指数
平成22年の厚生労働省の調査では、日本人の46.5%がストレスを感じているという結果になりました。
性別でみると、ストレスを感じているのは男性が42.4%、女性が50.3%です。
年代別では男女ともに40~49歳がもっともストレスを感じており、特に女性は60%を超えました。
40~49歳は、男女ともに飲酒率がもっとも高い年代でもあります。
飲酒の理由はさまざまですが、ストレス解消としてお酒を飲む方は少なくありません。
なお、ストレスの原因としては、睡眠不足などが指摘されています。
株式会社フジ医療器の調査では、「睡眠に不満がある」と答えた方は94.8%にのぼります。
睡眠不足はストレスにつながり、ストレスが飲酒量を増加させるパターンはよくみられます。
あるいは飲酒によって睡眠不足になり、結果ストレスが溜まるというケースもあります。
つまり、ストレス・睡眠・飲酒は相関関係にあるのです。
ストレス・飲酒・睡眠不足は、不整脈の原因でもあります。
不整脈を予防するには、ほどほどの飲酒・十分な睡眠などを心がけ、日頃からストレスを溜めないことが大切です。
出典:厚生労働省【平成 22年国民生活基礎調査の概況 > 3 悩みやストレスの状況】
出典:厚生労働省【飲酒習慣の状況(性、年齢階級別)】
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不整脈の原因まとめ
ここまで、不整脈の予防についてお伝えしてきました。
不整脈の原因の要点を以下にまとめます。
- 不整脈の主な原因は、加齢・ストレス・睡眠不足・栄養バランスの悪い食事
- 不整脈を予防するには、生活習慣を見直したりストレスを解消したりして、自律神経を整えることが大切
- 不整脈では原則として適度な運動をしてもよいが、まずはかかりつけ医に相談する
- 不整脈の検査方法は、心電図・24時間ホルター心電計・心エコー検査など
これらの情報が少しでも皆さまのお役に立てば幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。