冷え性にお悩みの方の中には、低血圧という方も多いのではないでしょうか。
低血圧は冷え性の原因の1つであり、深い関係性があります。
なぜ低血圧と冷え性が関係しているのでしょうか?
そして、低血圧の改善方法はどのようなものでしょうか?
この記事では低血圧について、以下の点を中心にご紹介します。
- そもそも低血圧とはどのような状態か
- 低血圧の改善にはどのような方法があるか
- 低血圧はどのような悪影響を及ぼすのか
低血圧について理解するためにも、ご参考いただけますと幸いです。
ぜひ最後までお読みください。
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低血圧とは
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そもそも「低血圧」とはどのような状態を指しているのでしょうか。
詳しく見ていきましょう。
低血圧とは、身体を巡る動脈の圧力が異常に低い状態のことです。
病気としては、高血圧ほど重要視されておらず、日本では明確な基準を定めていません。
WHOの基準では収縮期血100mmHg以下、拡張期血60mmHg以下を低血圧としています。
しかし、血圧がこの数値以下というだけでは、すぐに問題になることはありません。
たいてい頭痛やめまいなどの症状で悩まされたときに、問題視されることが一般的です。
低血圧は、私たちの生活で身近な身体の症状です。立ちくらみやめまいがあった時、まず低血圧を疑ってしまいます。低血圧の症状や改善方法、基準となる数値はどんなものがあるのでしょうか。本記事では、低血圧について気になる以下の点を[…]
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低血圧を改善するには
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病気の可能性がない低血圧の場合、生活習慣を改善するのが一般的です。
では、低血圧の改善方法をそれぞれ見ていきましょう。
食生活を改善する
まず挙げられるのが、食生活の改善です。
低血圧の改善のために、食事で摂取したい栄養素は以下の5つです。
- 糖質
- タンパク質
- 脂肪
- ビタミン
- ミネラル
バランスの取れた食事を取ることが、血圧の改善につながります。
これらの栄養素の中でも、特に摂取すべきなのが、タンパク質とビタミンEです。
タンパク質
タンパク質は筋肉や血液を作る材料です。
筋肉は血液を運ぶポンプの役割を担っています。
筋肉量が低下すると、血液の巡りが悪くなり、低血圧につながります。
タンパク質は、肉、魚、卵、乳製品、大豆製品から、偏りなく摂取しましょう。
1度の摂取量は限られるので、毎食片手に乗るぐらいの量を目安にしましょう。
ビタミンE
ビタミンEは、血流改善効果や血液をサラサラにする作用があります。
血液がサラサラになると、毛細血管の血行が良くなり、全身に血液が巡りやすくなります。
ビタミンEは、植物油やナッツ類などの食品に多く含まれています。
また、油で調理することで吸収率を高められます。
ビタミンは水に溶けてしまい、摂取しにくいという心配があるかもしれません。
しかし、ビタミンEは脂溶性ビタミンなので、水洗いで失われることはありません。
塩分も血圧コントロールに深く関わっています。
お味噌汁やお漬物などから、意識的に塩分を摂取することで、低血圧の改善が見込めます。
しかし、あまりにも過剰な塩分摂取は、逆に高血圧になる危険性があります。
さらに、腎臓に大きな負荷をかけることもあるので、過剰摂取には注意しましょう。
水分摂取する
摂取する水分量が低下すると、体内の水分量が減少します。
体内の水分量が減ると、血液量も低下するので、自ずと血管内の圧も下がります。
低血圧の対策としては、意識的に水分摂取するようにしましょう。
1日約1.2Lを目安にして、こまめに水分補給すると良いです。
しかし水分を摂りすぎると、腎臓の負担になることもあります。
塩分同様に、水分も過剰摂取には注意しましょう。
出典:厚生労働省【健康のため水を飲もう講座~からだと水の関係~】
運動する
体を動かすことによって、血液の巡りが良くなる効果があります。
運動により筋肉が鍛えられるので、ポンプ作用が向上し、血行が良くなります。
特にふくらはぎの筋肉は、足の血液を心臓へと送り返す働きがあります。
ふくらはぎの筋肉が鍛えられることで、足の血液が滞留せずにしっかり心臓へと戻ります。
ふくらはぎの運動は、ランニングやウォーキングなどが効果的です。
足の血液が循環すると、低血圧だけではなく、むくみの改善にもつながります。
ストレスを発散させる
血圧の管理には、全身の機能を調節する神経である自律神経の働きが深く関わっています。
自律神経は、緊張とリラックスをコントロールしています。
全身の臓器は、自律神経のしくみにより支配されています。
ところが、ストレスが溜まると、自律神経が乱れてしまうことがあります。
自律神経の乱れは、全身の機能の調整に大きく影響します。
そして、影響が血圧に及ぶと、低血圧が引き起こされる場合があります。
ストレスによる自律神経の乱れを防ぐには、ストレス自体を発散させることが大切です。
趣味や好きなことをする時間を増やし、笑っている時間を多くしましょう。
高齢者の低血圧の改善・治療・対処法
低血圧は、原因がはっきりしない症状の一つです。
高齢者では、よく起こりやすい症状のため注意が必要になります。
高齢者で起こる低血圧の種類と症状、危険性について紹介していきます。
また、改善点に関する内容も記載しているので参考にしてください。
起立性低血圧
起立性低血圧は、急に立ち上がった際に血圧低下がみられる症状になります。
高血圧の方でも起こるため、転倒や転落へ注意が必要です。
主な症状は、めまいや立ちくらみがみられます。
症状が頻繁に起こるようであれば、医療機関へ受診しましょう。
食後性低血圧
食後低血圧は、食後に低血圧症状がみられます。
高齢者の方は、3人に1人にみられる症状なので注意が必要です。
症状としては、倦怠感や吐き気がみられます。
酷くなると立ちくらみや失神があるため、注意が必要です。
症状がいつのタイミングで出るか分かりません。
医療機関への受診をおすすめします。
低血圧による影響
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低血圧の状態は、身体に負担がかかり、悪影響を及ぼします。
低血圧は身体にどのような影響を及ぼすのか、ご紹介します。
低血圧による主な症状
低血圧による主な症状には次のようなものがあります。
- 冷え性
- めまい
- 頭痛
- 全身倦怠感
影響と仕組み
これらの症状は低血圧により、全身の血行が悪化することに起因しています。
血行が悪化することによって、血流が滞ります。
血行が滞ることで、身体の末梢の温度が下がり、冷え性につながります。
特に脳は、血流量低下の影響を最も受けやすい臓器です。
低血圧で少し血液の巡りが悪くなっただけでも、めまいなどの症状があらわれます。
低血圧の種類
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低血圧は、慢性的なものと急性的(一時的)なものに大きく分けられます。
以下で詳しく分類していきます。
本態性低血圧
本態性低血圧は、慢性低血圧の多くを占めています。
特定の原因疾患がないにもかかわらず、常に低血圧を呈している状態です。
本態性低血圧の多くは、体質として判断されます。
症状がない限り薬による治療は行わず、生活習慣を改善しながら、経過を観察します。
起立性低血圧
起立性低血圧では、座ったり、横になったりしているときの血圧は正常です。
しかし、その体勢から立ち上がったときに、低血圧を引き起こします。
症状としては、立ちくらみが多く見られます。
起立性低血圧は、血流量の低下や自律神経の乱れが原因とされています。
起立性低血圧は、特発性起立性低血圧と二次性起立性低血圧の2つに分けられます。
以下で説明していくので参考にしてください。
特発性起立性低血圧
はっきりした原因疾患がなく、神経系の調整機能が問題で低血圧症状が起こります。
何らかの集会等で倒れるのが、突発性低血圧とされています。
二次性起立性低血圧
原因疾患がはっきりしている低血圧です。
主に糖尿病などの内分泌疾患や心臓弁膜症、心筋症がみられます。
二次性低血圧
二次性低血圧は症候性低血圧ともいいます。
本態性低血圧とは違い、疾患などが原因になり、低血圧の状態を呈しています。
神経や心臓・血管、内分泌の疾患、場合によっては薬の服用が原因になります。
食後低血圧
食後低血圧は、文字通り食後に急に低血圧になる状態で、特に高齢者に多く見られます。
食後は消化と吸収のために、消化管の付近に多くの血液が集まります。
通常であれば自律神経の働きで、心拍数が上がり、血圧を上げます。
血圧が上がることで、消化管以外の臓器への血液供給が滞らないように調節されます。
しかし、加齢と共に自律神経の働きが鈍ると、この調節が上手くできなくなります。
結果として、血液が十分に供給できず、低血圧につながることがあります。
低血圧の薬物療法
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低血圧を治療する際は、基本的に薬物療法を中心に行います。
薬によって作用機序、副作用が違うため使用する際は注意が必要です。
また薬の飲み合わせが重要で、薬によっては副作用が強くみられます。
場合によっては、重篤な症状が出る場合もあるため注意が必要です。
また、間接的に低血圧症状もあるため、一度確認してみましょう。
以下に薬の名称や効果、副作用を紹介しますので参考にしてください。
名称 | 効果 | 副作用 |
ミドドリン | 交感神経のα受容体を刺激します。抹消の血管を収縮して、血圧をあげる作用があります。 | 吐き気や頭痛、腹痛、発疹などがあると言われています。 |
アメジニウム | ノルアドレナリンを増やしながら交感神経を亢進させる作用があります。交感神経を刺激することで、抹消の血管を収縮させます。 | 動機や頭痛、顔のほてりに加え、高血圧や吐き気、腹痛があります。 |
エチレフリン塩酸塩 | 交感神経のα・β受容体へ刺激しながら、血管へ収縮を促す作用があります。 | 悪心・嘔吐、動機、息切れがあります。 |
昇圧剤 | 交感神経のα・β受容体を刺激することで、抹消血管の収縮を促したり、心拍出量を増加させることが目的です。 | 頻脈や不整脈、不安や興奮状態を引き起こすとされています。 |
メシル酸ジヒドロエルゴタミン | 静脈系の血管の収縮を促す作用があります。 | 悪心・嘔吐や不眠、発疹、口の乾きが挙げられます。 |
抗不安薬 | 自律神経の緊張を緩和させて、精神状態を安定させる作用があります。 | 妄想や不眠、不安、幻覚が見えるなどの症状があります。 |
低血圧と冷え性の関係性
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低血圧を持っている方は、同時に冷え性で悩んでいる場合が多く見られます。
低血圧と冷え性の関係性を、詳しく解説します。
冷え性とは
冷え性にはっきりした定義はなく、大枠としては「冷えやすい体質」とされています。
また、手足の冷えの他、食欲不振や倦怠感など様々な症状があらわれることもあります。
冷え性は医学的に、「末梢の血管の血行障害」によるものだといわれています。
末梢の血管障害の原因としては、低血圧、筋肉減少、自律神経の乱れなどが挙げられます。
冷え性と感じる男女の割合
現代では冷え性を感じている方が、増加傾向にあります。
男性では4割、女性では7割もの方が、冷え性を自覚しているとの調査結果もあります。
低血圧改善による冷え性への影響
ここまで説明したように、低血圧による血流の悪化が冷え性に結びつくこともあります。
そのため、低血圧の改善によって血流が良くなると、冷え性の改善も期待できます。
めまい・倦怠感などが続く場合に疑われるのは、貧血や低血圧です。どちらも女性・小児に多い病気で、併発することも少なくありません。ところで、貧血と低血圧の違いはどこにあるのでしょうか。本記事では、貧血と低血圧について、以下の[…]
低血圧の改善まとめ
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ここまで低血圧についてお伝えしてきました。
低血圧の改善について、以下にまとめます。
- 低血圧とは、身体を巡る動脈の圧力が異常に低い状態
- 低血圧の改善には、食生活の改善、水分摂取、運動やストレスの発散が重要
- 低血圧による影響には、冷え性、頭痛、全身倦怠感、めまいなどが挙げられる
これらの情報が皆様のお役に立てば幸いです。
最後までお読みいただいてありがとうございました。