近年の研究で、チョコには血圧を下げる効果があることが分かってきました。
では、もともと血圧が低い方がチョコを食べると、どうなるのでしょうか。
また、低血圧の方がチョコを食べたい場合はどのように対策すべきでしょうか。
本記事では、低血圧とチョコの関係について、以下の点を中心にご紹介します。
- なぜチョコが血圧を下げるのか
- 低血圧の方はチョコを食べない方がよいのか
- 低血圧の方がチョコを食べたい場合は
低血圧とチョコの関係について理解するためにもご参考いただけますと幸いです。
ぜひ最後までお読みください。
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低血圧とは
WHOの基準では、最高血圧が100mmHg以下または最低血圧60mmHg以下が低血圧に該当します。
低血圧は、原因などに応じて以下の4タイプに分類できます。
- 本態性低血圧
- 症候性低血圧
- 起立性低血圧
- 食事低血圧
主な症状
低血圧の代表的な症状は以下の通りです。
- 立ちくらみ
- めまい
- 朝起きられない
- 頭痛・頭重感
- 倦怠感・疲れやすい
- 肩こり
低血圧の症状は個人差が大きいのが特徴です。
人によっては、動悸・不眠・食欲不振などの症状があらわれることもあります。
低血圧で不快な症状があらわれるのは、全身が酸素不足になるためです。
そもそも血圧とは、心臓が血液を送り出すときに血管にかかる圧力のことです。
低血圧とは、心臓が血液を送り出す力が弱まっている状態です。
心臓が十分な血液を送り出せなければ、全身の細胞は血液・酸素を受け取れなくなります。
結果、身体は酸欠状態に陥るため、さまざまな症状があらわれやすくなります。
特に心臓・脳に十分な血液が行かなくなると、立ちくらみ・めまいなどが起こりやすくなります。
本態性(一次性)低血圧
本態性低血圧とは、原因疾患などが特定できないタイプの低血圧です。
本態性低血圧は、多くの場合、本人の体質などに起因します。
特に本態性低血圧になりやすいのは、虚弱体質の方です。
たとえば痩せ型・顔面蒼白・冷え性などの方があてはまります。
本態性低血圧は、低血圧全体の9割を占めると指摘されています。
自覚症状がなければ病気とはみなされず、特別な治療も必要ありません。
症候性(二次性)低血圧
症候性低血圧は、なんらかの全身疾患が原因で起こるタイプの低血圧です。
全身疾患とはたとえば、心臓病・ガン・内分泌系の病気などが挙げられます。
症候性低血圧の原因には、ケガによる出血多量・栄養不良なども含まれます。
起立性低血圧
起立性低血圧は、突然立ち上がったときなどに一時的に起こる低血圧です。
いわゆる立ちくらみに該当します。
起立性低血圧が起こるのは、心臓・脳への血流が一瞬だけ停止するためです。
低血圧の方は、血液を全身に循環させる力が弱まっています。
そのため、座った状態から急に立ち上がると、下半身から上半身へ血液がのぼらないことがあります。
すると心臓・脳が一時的に酸欠に陥るため、めまい・ふらつきなどの症状があらわれます。
食事(食事性)低血圧
食後にのみ低血圧になるタイプです。
食事低血圧は、特に高齢者に目立ちます。
食事低血圧が起こるのは、食物を消化しようとして、血液が胃腸に集中するためです。
心臓への血液供給が一時的に減少するため、めまい・眠気・胃もたれなどの症状があらわれやすくなります。
低気圧の症状について、さらに詳しく知りたい方は、こちらの記事も是非ご覧ください。
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チョコレートの降圧効果
チョコには血圧を下げる効果があると指摘されています。
株式会社明治は、347名の被験者に対し、高カカオチョコを1日25g・4週間摂取させる実験を行いました。
結果として、被験者の多くは最高血圧・最低血圧がともに下がりました。
出典:【チョコレートの歴史・食文化と機能性】
チョコレートに含まれるカカオポリフェノール
チョコが血圧を下げる理由は、カカオポリフェノールにあります。
カカオポリフェノールの説明をするまえに、まず血圧が上がる仕組みをご紹介します。
血圧上昇の原因の1つとして、血管の炎症が挙げられます。
炎症が起こった部位は腫れあがるため、血管内部が狭くなります。
血管の内部が狭くなると、血流が滞りやすくなります。
すると心臓は血流を維持するため、より強い力で血液を送り出すようになります。
結果として、血管にかかる圧力が高くなる=高血圧になるというわけです。
チョコに含まれるカカオポリフェノールには、血管の炎症を鎮める作用があります。
炎症が鎮まれば血管の腫れも引くため、血流が促進されます。
血流が促進されると心臓にかかる負荷が減るため、血圧が下がるというわけです。
チョコレートに含まれるGABA
チョコに含まれるGABAという成分も血圧降下と関係があります。
GABAはアミノ酸の1種で、交感神経の興奮を鎮める作用があります。
交感神経は自律神経の1種で、血管を収縮させて血圧を上げる作用があります。
GABAは交感神経の働きを抑制することで、血管の収縮を防いで血流を促進させます。
低血圧の原因について、詳しく知りたい方は、こちらの記事も是非ご覧ください。
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低血圧の人はチョコを食べない方がいい?
チョコには降圧効果があるため、もともと低血圧の方は食べない方がよいのでしょうか。
ここからは、低血圧の方とチョコの関係について解説します。
結論
低血圧の方はチョコを食べない方がよいという医学的根拠はありませんでした。
よって低血圧の方がチョコを食べていいかどうかは、分かりません。
しかしチョコには降圧作用があることから、もともと血圧が低い方は摂取を控えるのが無難と考えられています。
一方で、チョコにはさまざまな健康効果があるため、低血圧の方でも食べてよいという指摘もあります。
それぞれの理由については、次項で解説します。
理由
低血圧の方がチョコを食べてはいけない理由・食べた方がよい理由について解説します。
チョコを食べてはいけない理由
低血圧の方がチョコを食べてはいけない理由は2つあります。
1つめの理由は、チョコには降圧作用があるためです。
チョコに含まれるカカオポリフェノール・GABAは、血管を拡張させて血圧を下げる作用があります。
よって低血圧の方がチョコを食べると、ますます血圧が下がるおそれがあります。
2つめの理由は、チョコには身体を冷やす作用があるためです。
特に糖分の高いチョコほど、身体を冷やしやすい傾向がみられます。
理由は、甘いチョコにはミルク・砂糖・脂質が多く含まれているためです。
ミルク・砂糖・脂質は血行を妨げて体温を下げる作用があります。
低血圧の方は、もともと血行が悪化いため体温が下がりやすくなっています。
よって、低血圧の方が身体を冷やす効果のあるチョコを食べると、体温がさらに下がりやすくなります。
体温が下がると、ますます血行が阻害されて、低血圧症状が悪化する可能性があります。
身体を必要以上に冷やさないためにも、低血圧の方はチョコを控えるのが無難です。
チョコを食べてもよい理由
低血圧の方がチョコを食べてもよいとされる理由は、主に3つあります。
1つめは、チョコに含まれるGABAの降圧作用は、低血圧の方には作用しない可能性があるためです。
GABAに期待できるのは、高めの血圧を下げる効果です。
一方で、正常以下の血圧への降圧作用についてはよく分かっていません。
そのため、チョコに含まれる程度のGABAであれば、低血圧の方が食べても問題は起こりにくいと考えられています。
2つめの理由は、チョコには一時的に血圧を上げる効果があるためです。
血圧が上がるのはチョコを食べた直後のごく短い時間です。
もし低血圧でつらい症状が出ている場合は、チョコを食べて一時的に血圧を上昇させるのも1つの方法です。
なぜチョコが一時的に血圧を上げるのかというと、カカオにはカフェインが含まれるためです。
カフェインは交感神経を刺激する成分です。
交感神経が刺激されると血管が収縮するため、血圧が上がりやすくなります。
低血圧の方がチョコを食べてもよい3つめの理由は、チョコの健康効果と関係があります。
種類にもよりますが、チョコには以下のような健康効果が知られています。
- 動脈硬化予防
- アレルギー症状の緩和
- 肌荒れ防止
- 腸内環境の改善
- 脂肪の蓄積を防ぐ
- リラックス・精神を安定させる
上記のような健康効果を狙いたい場合は、低血圧の方もチョコを食べてもよいでしょう。
ただし、チョコを食べて低血圧が悪化する場合は、そのほかの健康効果がどんなに魅力的でも、チョコの摂取は控えるべきです。
解決策
低血圧の方がチョコを食べたい場合は、どうすべきでしょうか。
答えは、体調と相談して決めるべきです。
もしチョコを食べて低血圧が悪化していると感じる場合は、チョコの摂取は控えましょう。
あるいは、医師にチョコを食べてもよいか相談するのも1つの方法です。
チョコを食べても特に血圧・体調に変化がなければ、さほど厳格にチョコを敬遠する必要はありません。
だからといって、チョコの食べ過ぎには注意しましょう。
たとえ低血圧に影響はなくとも、その他の面で健康を損ねることがあるためです。
低血圧気味の方におすすめなのは高カカオチョコです。
高カカオチョコとは、カカオの含有量が70%以上のものを指します。
高カカオチョコは、その他のチョコに比べると、ミルク・砂糖などの添加物が少なめです。
ミルク・砂糖などは血行を促進させる原因になります。
つまり添加物の少ない高カカオチョコは、その他のチョコに比べると血行に悪影響をもたらしにくいのです。
高カカオチョコはカフェイン含有量が多い点も、低血圧の方に適している理由の1つです。
カフェインには交感神経を刺激して血圧を上昇させる効果が期待できます。
ストレスをチョコで軽減についての記事に興味がある方は、こちらの記事も是非ご覧ください。
ストレスの軽減にはチョコが良いということは広く知られています。チョコに含まれるカカオポリフェノールは、様々な健康効果が期待できる栄養素です。では、チョコの具体的な効果はどのようなものでしょうか?どのような種類のチョコを選ぶと[…]
チョコの食べ過ぎで起こる不調
チョコはさまざまな健康効果を期待できる食品です。
一方、食べ過ぎるとかえって健康を損なうこともあります。
チョコの食べ過ぎによる不調には、たとえば以下があります。
- 肥満
- 糖尿病
- 中性脂肪・コレステロールの増加
- 動脈硬化
- 肌荒れ
- 消化不良
「チョコの食べ過ぎ」でよく聞く噂
世間一般では、チョコを食べ過ぎると鼻血が出たり、ニキビが出たりするといわれています。
本当にチョコを食べ過ぎると、鼻血やニキビなどが出るのでしょうか。
ここからは、チョコにまつわる噂と信憑性について解説していきます。
チョコを食べ過ぎたら鼻血がでる
チョコを食べ過ぎたら鼻血が出るという噂は、現代では迷信と位置づけられています。
実際に、鼻血とチョコの関連性について医学的な根拠は発見されていません。
一方で、チョコの食べ過ぎが鼻血を引き起こす可能性も否定できません。
なぜかというと、チョコには血流を促進する効果があるためです。
チョコによって血行がよくなり過ぎた結果、鼻血が出ることはあり得ます。
鼻血を防ぐには、チョコはほどほどの量を食べることが大切です。
糖尿病の人はチョコを食べたらだめ
糖尿病の方は、チョコを食べてはいけないというイメージがあります。
しかし実は、糖尿病の方でもチョコを食べてもよい場合もあります。
そもそも糖尿病の方が甘い物を禁じられているのは、血糖値の上昇を防ぐためです。
糖尿病の方が甘い物を食べると、血糖値が高い状態で維持されやすくなります。
すると合併症のリスクが高くなり、最悪の場合は死に至ることもあります。
糖尿病の方の血糖値をなるべく低い状態を保つためには、甘いものは控えるのがベターです。
反対にいえば、血糖値を上げないチョコならば食べてもよいことになります。
血糖値を上げにくいチョコとは、たとえば高カカオチョコが代表的です。
高カカオチョコは、むしろ血糖値を下げる効果があることが分かっています。
そのため糖尿病の方でも、高カカオのチョコならば日常的に摂取してもよい場合があります。
糖尿病の方がチョコを食べてよいかどうかは、病態などによって個人差があります。
糖尿病でもチョコが食べたいという場合は、まずかかりつけ医に相談することが望ましいでしょう。
チョコを食べるとニキビができる
チョコとニキビの関係性について、医学的な根拠は示されていません。
つまり、チョコを食べるとニキビが出るという噂は迷信です。
一方で、チョコとニキビはまったくの無関係でもありません。
チョコは脂質・糖質が多い食べ物であるためです。
脂質の過剰摂取は、皮脂の分泌を促すため、ニキビを引き起こすことがあります。
チョコに含まれる砂糖(糖質)も、皮脂分泌を促進させる要因です。
チョコの食べ過ぎで脂質・糖質を過剰に摂取すると、ニキビのリスクが高まるのは事実なのです。
チョコを食べたらめまいがした
チョコを食べると、めまいが起こることがあります。
めまいの理由は、チョコを食べることで血糖値・自律神経・血圧のリズムが乱れるためです。
まず変動するのは血糖値です。
特に糖質が多いチョコほど、食後の血糖値が急激に上昇しやすくなります。
血糖値が急激に上昇すると、血糖値を下げようとする仕組みが働きます。
具体的には、血糖値を下げるホルモン「インシュリン」が大量に分泌されます。
インシュリンが大量に放出されると、今度は血糖値が急激に低くなります。
血糖値の急激な上昇・下降は、次に自律神経のリズムに悪影響をもたらします。
自律神経は血圧・心拍・内臓の働きなどをコントロールする神経系です。
自律神経が乱れると血圧の制御がうまくいかなくなります。
簡単にいえば、血圧が乱高下しやすくなるのです。
特に急激に血圧が低くなると、全身の血行が阻害されるため、心臓・脳に血流が届きにくくなります。
結果、心臓・脳が酸欠に陥るため、めまい・頭痛などの症状が起こりやすくなります。
つまりチョコでめまいが起こる理由は、身体のさまざまな部分に悪影響が及んだ結果なのです。
チョコによって起こるめまいは「全身性めまい」に分類されます。
全身性めまいは、身体のさまざまな問題が重なって引き起こされるめまい全般を指します。
低血圧予防のために日常生活で気をつけること
低血圧は、生活習慣を工夫すると予防・改善できることがあります。
低血圧予防・改善のためのポイントをご紹介します。
規則正しい生活
低血圧を予防するには、規則正しい生活を意識しましょう。
具体的には、起床・就寝・食事の時間を毎日一定に保つことが大切です。
昼夜逆転しやすい方や、休みの日は遅い時間まで寝ているという方は、起床・就寝時刻を一定に保つように心がけてください。
整った食生活
栄養バランスの整った食事を意識すると、低血圧も自然と改善されることがあります。
特に意識して摂取したいのは、以下のような栄養素です。
期待できる効果 | 代表的な食品 | |
タンパク質 | 血液を作り出す・筋肉が増強されて血行が促進される | 肉類・卵類・大豆製品・乳製品 |
ビタミン | 血行を促進する・血管を強化する | 野菜・果物 |
ミネラル | 血液を作る・血行を促進する | 野菜・果物・肉類・魚類・海藻類 |
低血圧の方は朝起きるのがつらいため、朝食を抜くというケースが多くみられます。
しかし、どんなに朝がつらくても朝食を抜くのはNGです。
朝食を抜くと栄養不良によって血行が悪くなるため、低血圧も悪化しやすくなります。
低血圧改善のためには、朝食はしっかり摂ることが大切です。
朝食を食べることは自律神経を整えるうえでも有効です。
自律神経のリズムが整うと、血圧も安定しやすくなります。
朝食の献立は、タンパク質・ビタミン・ミネラルなどの栄養素をバランスよく摂れるように工夫しましょう。
どうしても食事だけで十分な栄養を摂取するのが難しい場合は、サプリを利用するのも1つの方法です。
適度な運動
適度な運動は全身の血行を促進するため、血圧が安定しやすくなります。
低血圧改善におすすめなのは、有酸素運動です。
有酸素運動とは、息切れしない程度に一定時間続けられる運動を指します。
たとえばウォーキング・軽いジョギング・水泳・サイクリング・踏み台昇降などが該当します。
低血圧の方に特におすすめなのは、ウォーキング・踏み台昇降です。
より具体的には、ふくらはぎが刺激されるような運動が適しています。
ふくらはぎの筋肉は、下半身から上半身に血流を送り返す働きを担います。
低血圧の方は手足などの末端から心臓に血液が戻る力が弱まっています。
そのため、ふくらはぎを鍛えて下半身から上半身への血行を強化することが大切です。
ただし、低血圧の方が無理に運動すると、めまい・たちくらみなどの症状が悪化することがあります。
もし運動中に不快な症状が出る場合は、ただちに運動を中止して医師に相談してください。
低気圧の改善方法について、さらに詳しく知りたい方は、こちらの記事も是非ご覧ください。
冷え性にお悩みの方の中には、低血圧という方も多いのではないでしょうか。低血圧は冷え性の原因の1つであり、深い関係性があります。なぜ低血圧と冷え性が関係しているのでしょうか?そして、低血圧の改善方法はどのようなものでしょうか?[…]
低血圧とチョコの関係についてまとめ
ここまで、低血圧とチョコの関係についてお伝えしてきました。
低血圧とチョコの関係の要点を以下にまとめます。
- チョコが血圧を下げる理由は、チョコに含まれるポリフェノールなどが、血管を拡張させて血行を促進するため
- チョコには降圧作用があるため、低血圧の方はできればチョコを食べない方がよい
- 低血圧の方がチョコを食べたい場合は、体調と相談したり、チョコの種類を選んだりすることが大切
これらの情報が少しでも皆さまのお役に立てば幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。