誤嚥とは、飲み込んだ食べ物や飲み物が、誤って気管へ入ってしまうことです。
誤嚥をすると、肺で炎症を起こし誤嚥性肺炎を引き起こす可能性があります。
誤嚥を予防するにはどのようなことがあるのでしょうか?
本記事では、誤嚥の予防について以下の点を中心にご紹介します。
- 誤嚥すると危険な理由とは
- 誤嚥の原因について
- 誤嚥を予防する食事法
誤嚥の予防のためにもご参考いただけますと幸いです。
ぜひ最後までお読みください。
誤嚥とは
誤嚥とは、飲み込んだ食べ物が、食道ではなく気管へ入ってしまう状態をいいます。
食べ物や雑菌が誤って気管から肺に入ってしまうと、誤嚥性肺炎を起こす可能性があります。
肺炎は、症状の長期化や、その後何度も肺炎を繰り返すこともあり重篤になる場合もあります。
誤嚥の原因となる嚥下障害は、高齢者に多いといわれています。
しかし、50歳前後から飲み込む力が少しずつ弱くなるため、中高年の方も注意が必要です。
誤嚥とは、食べ物などが何らかの理由で、誤って咽頭と気管に入ってしまう状態です。誤嚥が原因で誤嚥性肺炎という重篤な病気に罹ってしまうこともあります。そもそも誤嚥を起こす原因とはどのようなことなのでしょうか?本記事では、誤嚥につ[…]
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誤嚥すると危険な3つの理由
誤嚥すると危険な理由には、以下の3つがあります。
- 誤嚥性肺炎を発症する
- 窒息して呼吸困難になる
- 口腔内の衛生状態が悪くなる
それぞれ具体的にご紹介いたします。
誤嚥性肺炎を発症する
誤嚥性肺炎とは、口腔内の細菌が食べ物などに付着し、誤嚥して肺や気管支に入り肺炎になることをいいます。
細菌などが肺で炎症を起こすと、肺炎を発症してしまう恐れがあるので注意が必要です。
また、食事のときに食べ物や飲み物をこぼしやすい方や、飲み込みにくい方は嚥下障害の可能性があります。
嚥下障害の症状に気付いたら、早めに検査を受けたり、予防策をとったりすることが大切です。
窒息して呼吸困難になる
誤嚥したものを吐き出せずにむせてしまうと、窒息して呼吸困難になる危険性があります。
窒息している状態をそのまま放置しておくと、命にかかわるためすぐに対処してください。
対処法としては、詰まったものを引っ張りだしたり、背中を叩いたりなどがあります。
しかし、症状が強く出ているときはすぐに救急車を呼びましょう。
口腔内の衛生状態が悪くなる
嚥下障害のある方は、食べ物が口腔内に残りやすくなります。
そのため、口腔内を清潔にしないと細菌が増殖してしまい、衛生状態が悪くなります。
細菌が増殖すると、誤嚥性肺炎のリスクが高くなるので、口腔ケアが重要です。
適切な口腔ケアをすることで、誤嚥性肺炎を予防できます。
私たちは、食事をするとき、無意識に咀嚼しています。咀嚼には、食べ物をかみ砕くこと以外にも、私たちの健康を守るためのさまざまな役割があります。咀嚼の役割や重要性は、どのようなものなのでしょうか。本記事では咀嚼について以下の[…]
誤嚥の原因と対象者別の誤嚥予防法
誤嚥の原因と対象者別の誤嚥予防法にはどのようなことがあるのでしょうか?
以下でそれぞれみていきましょう。
高齢者の誤嚥は嚥下機能の低下が原因
加齢に伴って口腔内の筋力が低下することで嚥下障害となり、誤嚥を引き起こしてしまいます。
高齢者では喉を動かす力が弱くなってしまいます。
そのため、食べ物を飲み込むときに喉の途中で詰まりやすくなり、誤嚥が発生します。
筋力の低下は医師の治療では改善しにくいため、体操などを行い筋力をつけることが大切です。
看護の一環として口腔内ケアを行う
嚥下障害があると、食べ物をきちんと飲み込めないため、口腔内に食べ物が残りやすくなります。
食べ物を口腔内に放置すると、口腔内の細菌が増殖し歯周病を発症したり、細菌が肺に入り肺炎を起こす可能性があります。
そのため、食後は丁寧に歯磨きをして、常に口腔内を清潔に保つことが大切です。
誤嚥予防のための体操をする
筋力が衰えている場合、誤嚥予防のために体操することがおすすめです。
1日1回でもよいので、無理のない範囲で筋肉を活性化させる体操を行いましょう。
誤嚥予防のための体操には以下のようなものがあります。
①舌を動かす体操
- 1 舌を上と下に交互に出したり、引っ込めたりする
- 2 舌を下に出し、口角に触れるようにゆっくり左右に動かす
- 3 1と2をそれぞれ5回ほど行う
②肩と首を動かす体操
- 1 両手を上げたり下げたりする
- 2 首をゆっくり左右に曲げたり、1周回したりする
- 3 1と2のあと、つばを飲んで喉を動かす
咳が増える副作用を持つ薬を飲む
降圧剤であるACE阻害薬は、酵素の働きを弱めて、血圧を下げる効果があります。
しかし、ACE阻害薬には体質により空咳の副作用が報告されています。
ACE阻害薬の空咳の副作用により、誤嚥性肺炎を予防できるとされています。
子どもの誤嚥は食べながら動き回ることが原因
子どもの誤嚥による窒息事故は、0~3歳の小さな子どもに多いです。
子どもは生後5~6ヶ月頃から、手につかんだものを口に運ぶようになります。
また、食べながら動き回ることが原因で誤嚥となることもあります。
子どもは喉が狭いため、飲み込んだり吐き出したりする力が弱いです。
その結果、食べ物を喉に詰まらせてしまい、誤嚥や窒息を起こしてしまいます。
誤嚥しづらい食品を食べさせる
3歳以下は奥歯が生えそろっていないため、うまくかみ砕けない場合があります。
そのため、子どもは窒息や誤嚥しやすくなるので、誤嚥しづらい食品を食べさせましょう。
以下に誤嚥しやすい食べ物をご紹介いたします。
①丸くつるつるした食品
- ピーナッツ
- 枝豆
- キャンディーなど
②かみ砕きにくい食べ物
- グミ
- こんにゃくゼリー
- 餅
- 団子など
上記の食品を避けることで、誤嚥の予防につながります。
食事に集中させる
子どもが食事に集中しないときは、お腹が空いていなかったり、食べること以外に興味があったりなどが考えられます。
食事のときは、おもちゃを片づけテレビを消すなど、食べる時間と遊ぶ時間を区別することが大切です。
また、大人が忙しく動いていると子どもも落ち着かないため、食事のときは子どもと一緒に食べるようにしましょう。
若者でも嚥下障害を発症する?加齢以外の原因
加齢以外の原因には、口や喉、食道などの疾患が考えられます。
そのほかの原因には、脳梗塞・脳出血などの脳血管障害、神経障害や筋疾患などがあります。
また、ストレスなどの精神的な原因も関係している可能性があります。
中でも注目されているのが、脳梗塞・脳出血による嚥下障害です。
食事は食べ物が喉に送られると、反射的に脳から筋肉を動かす指令が出されて、飲み込むという動作が成り立ちます。
この時に、脳に異常があると、脳からの信号伝達が上手くいかず、飲み込む動きが遅れることがあります。
その結果、うまく飲み込めずに気管に入ってむせるなどの嚥下障害が生じます。
また、脳卒中で倒れるほどの重症でなくても、中高年の脳では軽い脳梗塞・脳出血がみられます。
嚥下障害の症状がみられたら、脳卒中の検査を受けるようにすることが大切です。
誤嚥を予防する食事の調理方法と食べ方
誤嚥を予防する食事の調理方法と食べ方にはどのようなことがあるのでしょうか?
以下で具体的にご紹介いたします。
食材を小さく刻む
食材を小さく刻むことで飲み込みやすくなり、誤嚥を予防できます。
きざみ食、ソフト食、ミキサー食などの咀嚼力、嚥下力に合わせてアレンジした食事形態もあります。
きざみ食でむせてしまうときは、ミキサー食にして食材をペースト状にします。
ペースト状にすることで、誤嚥を予防できます。
嚥下機能は個人差があるため、その方に合わせた食事形態にしましょう。
適度なとろみをつける
嚥下障害のある方は、料理や飲み物にとろみやゼリーにすることで飲み込みやすくなります。片栗粉、ゼラチン、寒天などは買いやすいため取り入れやすい素材です。
また、医療機関や介護施設などで使われている専用のとろみ剤やゲル化材などもおすすめです。
飲み物にもとろみをつける
飲み物にとろみをつける場合は、同じコップ、スプーンを使うことで毎回同じとろみをつけられます。
とろみ材を混ぜるときは、ぐるぐると混ぜるだけでなく、上下にも動かすと均等にまざります。
しかし、とろみをつけ過ぎると喉に張りつきやすくなり、逆に飲み込みにくくなることもあるので注意しましょう。
付着性が低い食品を選ぶ
口や喉に張りつきにくい付着性が低い食品を選びましょう。
以下を参考に、飲み込みやすい形に変えると誤嚥予防につながります。
- 海苔は、板海苔ではなく佃煮に変更する
- 薄切りキュウリやレタスなどは、千切りや少し厚めに切る
- お餅・お団子などは、とうふ白玉に変更する、または小さくちぎる
お餅はとくに喉に張りつきやすいため、お餅を食べるときは誰かに見守ってもらいましょう。
まとまりのよい食品を選ぶ
粘度が低いと詰まりやすくなります。
ある程度の粘度があるとまとまりやすくなります。
口の中でまとめるには、市販のとろみ材や片栗粉で適度にとろみをつけましょう。
飲み込みやすい食品には以下のようなものがあります。
- 茶碗蒸し
- シチュー
- とろろ汁
- 煮込みうどん
- 牛乳ゼリー
- つみれ
飲み込みやすい食品を取り入れることで、誤嚥予防につながります。
温かい料理は温かく、冷たい料理は冷たく提供する
料理は、温かい料理は温かく、冷たい料理は冷たく食べることで食事を美味しく食べられます。
食事の温度は、体温と20度違う温度帯が最適といわれています。
体温との温度差が大きいほど、その分だけ刺激が強くなり、嚥下反応がよくなることもあります。
食事の際の姿勢を整える
食事のときの姿勢に気を付けることで、誤嚥予防になります。
テーブルや車いすで食事をするときは、軽く前かがみになり、少し顎を引いた姿勢をとりましょう。
膝は90度に曲がるいすを選び、床に足をつけるようにします。
体や顔が傾いてしまう場合は、タオルやクッションを使い支えましょう。
誤嚥が多いと感じたら!嚥下障害セルフチェック
嚥下障害の判断をするために以下のチェック項目を確認してみましょう。
肺炎と診断されたことがある | 最近やせてきた | 物が飲みにくいと感じる | 食事中にむせることがある | お茶を飲むときにむせることがある |
喉がゴロゴロ(たんが絡んだ感じ)することがある | 喉に食べ物が残る感じがある | 食べるのが遅くなった | 硬いものが食べにくい | 口から食べ物がこぼれることがある |
口の中に食べ物が残ることがある | 食物や酸っぱい液が胃から戻ってくることがある | 胸に食べ物が残ったり、つまった感じがある | 夜、咳で眠れなかったり目覚めることがある | 声がかすれてきた |
チェック項目に1つでも当てはまるものがあれば、嚥下障害の可能性があります。
また、嚥下障害に限らずほかの疾患でも嚥下障害の症状がみられることがあります。
気になる症状があれば、受診して医師に相談しましょう。
誤嚥の予防まとめ
ここまで、誤嚥の予防の情報を中心にお伝えしました。
要点を以下にまとめます。
- 誤嚥すると危険な理由には、誤嚥性肺炎を発症、窒息して呼吸困難などがある
- 誤嚥の原因には、高齢者では加齢による嚥下障害、子どもは食べながら動くことがある
- 誤嚥を予防する食事法は、食材を小さく刻む、飲み物や食べ物に適度なとろみをつけるなどがある
これらの情報が少しでも皆様のお役に立てば幸いです。
最後までお読みいただきありがとうございました。