骨粗鬆症は、とくに女性の閉経期に多い傾向にあります。
骨粗鬆症の治療は、薬を使用して治療します。
骨粗鬆症の薬にはどのようなものがあるのでしょうか?
本記事では、骨粗鬆症の薬について以下の点を中心にご紹介します。
- 骨粗鬆症に使用する薬とは
- 骨粗鬆症の薬の服用期間について
- 骨粗鬆症の薬以外の治療法とは
骨粗鬆症の薬について理解するためにもご参考いただけますと幸いです。
ぜひ最後までお読みください。
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骨粗鬆症とは
骨粗鬆症とは、骨がもろくなり、つまづくなどちょっとしたことで骨折しやすくなる病気です。
骨粗鬆症は、骨強度の低下が特徴で、骨折のリスクが高くなる骨格疾患と定義されています。
日本では、およそ1,280万人の方が骨粗鬆症にかかっていると推定されています。
骨折すると骨格が変形し、円背、身長の低下など、容姿に悪影響を及ぼします。
また、寝たきりや要介護の原因にもなります。
骨粗鬆症は、とくに女性がかかりやすい病気です。
しかし、男女とも骨の健康を維持する必要性があり、すべての年齢の方に骨粗鬆症を予防することが大切です。
カルシウムは骨を作るための代表的な栄養素です。しかし、実は日本人は慢性的にカルシウムが不足しがちであることをご存知でしょうか?カルシウム不足の原因は何でしょうか?また、カルシウムが不足するとどのような症状が出るのでしょうか?[…]
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骨粗鬆症に用いられる薬
骨粗鬆症に用いられる薬には
- 骨の吸収をを抑える薬
- 骨の形成を促進させる薬
- 骨の作り替えのバランスを整える薬
などがあります。
以下でそれぞれ具体的にご紹介します。
骨の吸収を抑える薬
骨の吸収を抑える薬には
- ビスホスホネート
- 選択的エストロゲン受容体作働薬(SERM)
- 抗RANKL抗体
があります。
【ビスホスホネート】
骨吸収を抑えることで、骨密度を増やす効果があります。
ビスホスホネートにはいくつか種類があります。
背骨や脚のつけ根の骨折が発生する割合を抑制する効果が認められている薬もあります。
ビスホスホネートには、飲み薬と注射薬があります。
飲み薬と注射する間隔は、薬の種類によって異なります。
飲み薬は、1日1回、1週間に1回、4週間に1回、月1回のタイプがあります。
注射薬には、4週に1回、月1回、年1回のタイプがあり、医療機関で注射をします。
【選択的エストロゲン受容体作働薬(SERM)】
破骨細胞の働きを抑制する女性ホルモンのエストロゲンと同じ働きがあり、骨密度を増やす効果があります。
薬の種類は飲み薬のみになります。
閉経によりエストロゲンの分泌が減少することで起こる骨粗鬆症の方に使用します。
【抗RANKL抗体】
RANKLとは、破骨細胞の形成や活性化などを促すタンパク質です。
抗RANKL抗体は、RANKLに作用し、骨吸収を抑えます。
骨密度を増やす働きがあり、背骨、足のつけ根が骨折する割合を抑制する効果もあります。
薬の種類は注射薬になり、注射の間隔は6ヶ月に1回になります。
骨の形成を促進させる薬
骨芽細胞を増やし、骨の形成を促進させる薬です。
骨芽細胞を活性化させて骨形成を促し、骨密度を増やします。
また、背骨が骨折する割合を減らします。
薬の種類は注射薬で、
- 1日1回患者が注射
- 週に2回患者が注射
- 医療機関で週に1回注射
があります。
骨密度が非常に低く骨折の危険性が高い患者、すでに骨折している患者などに使用します。
薬による治療は最大2年までと決められています。
骨の作り替えのバランスを整える薬
骨形成を抑制し骨吸収を促す糖タンパク質(スクレロスチン)の働きを抑制する薬です。
スクレロスチンとは、骨の細胞からでる物質で、骨形成を阻害する働きをします。
抗スクレロスチン抗体は、スクレロスチンの働きを抑制し、骨形成を促しながら骨密度を増やします。
薬の種類は注射薬で、医療機関で月1回の注射を12カ月間続けます。
骨密度が非常に低下していて骨折の危険性がある方や、すでに骨折している方などに使用します。
骨粗鬆症の薬による副作用
ビスホスホネートの一部では、吐き気や胃痛などの消化器症状などの副作用がみられます。
また、SERMでは更年期障害の悪化がみられる可能性があります。
しかし、ビタミンD3製剤では重大な副作用は少ないという特徴があります。
また、骨を壊す働きを抑制するビスホスホネートやデノスマブの副作用には、まれに顎の骨が壊死することがあります。
そのため、抜歯などの歯科治療を受けるときは、骨粗鬆症の治療薬を服用していることを伝えましょう。
骨粗鬆症の薬の服用期間
骨粗鬆症の治療目的である骨折予防効果を発揮できるまでの服用期間は、1年~数年です。
しかし、一定の骨密度以上に達した方で骨折リスクが低い方は、薬の服用を中止できることもあります。
骨折のリスクは1人1人異なるため、はっきりとした服用期間の決まりはありません。
骨粗鬆症の方は骨折しやすくなるため、治療の目的は骨折を予防することになります。
過去に骨折したことがある方、家族で大腿骨近位の骨折をしたことがある方、骨密度が低い方は骨折リスクが高くなります。
また、自己判断で骨粗鬆症の薬の服用をやめてしまうと、薬の効果が期待できなくなってしまいます。
その結果、骨折予防効果を得ることができず、逆に骨折を起こしてしまう可能性があります。
できる限り治療を継続できるように、医師に相談して服用薬を選択してもらいましょう。
骨粗鬆症の薬を飲む際の注意点
骨粗鬆症の薬であるビスホスホネート製剤は、朝起床してすぐに服用します。
胃に水以外の飲み物や食べ物があると薬の吸収を妨げてしまうため、胃がからっぽのときに飲みます。
薬を飲むときはコップ1杯の水かぬるま湯で飲みましょう。
お茶やジュース、牛乳では飲まないようにします。
ミネラルウォーターで飲むときは、硬度300mg/L以下のものを選びましょう。
硬度が高くマグネシウムなどが多いミネラルウォーターは、薬の成分がミネラルと一緒に尿として体外に出てしまいます。
薬を飲んだ後は30~60分間は、水以外の飲み物、食べ物、ほかの薬は飲まずに横にならないようにします。
横になると、胃の中のものが食道に逆流し、食道の粘膜を刺激する恐れがあります。
また、前かがみの姿勢でも逆流する可能性があるので、注意が必要です。
薬を飲み忘れたり、間違えて飲んでしまったりしたときは落ち着いて対応しましょう。
自己判断で2回分をまとめて飲んだりなどはしてはいけません。
ビスホスホネート製剤の服用方法が、1日1回、1週間に1回、4週間に1回タイプかにより対応が変わります。
事前に飲み忘れたときの対応を医師、薬剤師に確認しましょう。
骨粗鬆症の薬以外の治療法
骨粗鬆症の薬以外の治療法には
- 食事療法
- 運動療法
などがあります。
それぞれ具体的にご紹介します。
食事療法
骨粗鬆症の食事療法と聞くと、カルシウムを多めに摂る必要があると思う方もいるかもしれません。
しかし、カルシウムを過剰に摂る必要はありません。
食事では、ビタミンDやビタミンK、タンパク質をカルシウムと一緒に必要な量を摂ることが大切です。
食品はできるだけ偏らないように注意し、さまざまな栄養素をバランスよく摂るようにしましょう。
栄養素は基本的に食事から摂ることが望ましいとされています。
しかし、食が細い方は十分な栄養を摂れないことも考えられます。
そのため、医師に相談した上で、サプリメントなどを利用しましょう。
コーヒーや紅茶などのカフェインや飲酒の過剰摂取は控えましょう。
運動療法
骨は負荷がかかると強くなる性質があります。
そのため、運動することで骨密度を上げられる可能性があります。
運動療法は筋力やバランス感覚の維持や向上にもつながり、骨折の原因となる転倒の予防にもなります。
ウォーキングや階段の上り下りなど、日常生活に運動する習慣を取り入れましょう。
運動は、自分の体にあわせて無理なく継続することが大切です。
骨粗鬆症の治療中や膝に痛みがある方は、運動をする前に医師に相談しましょう。
骨粗鬆症の薬を正しく服用出来る人は約50%
治療に対して意欲がなかったり、ほかに服用中の薬があったりして正しく骨粗鬆症の薬を服用できていない方が多くいます。
骨粗鬆症の薬の治療をはじめて1年後、45.2%の方が医師の指示通りに飲めていないとされています。
薬物治療が続かない原因には、治療への理解が乏しい、服用方法が面倒などがあります。
しかし、骨粗鬆症の薬物治療は長期的に服用することで効果が期待できます。
そのため、薬物治療をすることでよくなっていることを確認することが大切です。
漫然と薬物治療をするのではなく、定期的に骨密度を調べることで治療目標に近づいているか確認することが大切です。
また、患者に骨粗鬆症の治療について理解してもらい、治療の必要性を認識してもらうことも重要です。
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骨粗鬆症の薬のまとめ
ここまで、骨粗鬆症の薬の情報を中心にお伝えしました。
要点を以下にまとめます。
- 骨粗鬆症に使用する薬には、骨吸収を抑える薬、骨形成を促進させる薬などがある
- 骨粗鬆症の薬の服用期間は、骨折予防効果を発揮できるまでは1年~数年ほど
- 骨粗鬆症の薬以外の治療法は、ウォーキングなどの運動療法、バランスのよい食事を摂るなど
これらの情報が少しでも皆様のお役に立てば幸いです。
最後までお読みいただきありがとうございました。