alsは筋肉が次第に動かなくなる難病で、有効な治療法が確立していません。
現在は最新技術を用いたals治療法の研究が進められています。
具体的には、alsの治療ではどのようなことが行われるのでしょうか。
本記事では、alsの治療について、以下の点を中心にご紹介します。
- alsの薬物療法とは
- alsの対症療法とは
- alsの最新の治療法の研究について
- alsの治療費を軽減するには
alsの治療について理解するためにもご参考いただけますと幸いです。
ぜひ最後までお読みください。
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alsとは
als(筋萎縮性側索硬化症)は、運動ニューロンの異常によって全身の筋肉が少しずつ動かなくなる病気です。
運動ニューロンとは、脳から筋肉に「動け」という命令を伝える神経回路です。
alsでは多くの場合、まず手足・口などの筋肉が動かしづらくなります。
筋肉の機能低下は次第に全身に広がり、最終的にはのど・肺・心臓などの生命維持に必要な筋肉が動かなくなります。
alsは進行性の病気であり、発症すると回復することはほぼありません。
発症原因や病態は不明で、国の指定難病に登録されています。
ALS(筋萎縮性側索硬化症)は、運動神経が障害され全身の筋肉が麻痺していく病気です。症状が進行すると、車椅子や寝たきりの生活になる方がほとんどです。しかし、ALSの原因はまだはっきりと解明されていません。また、進行ス[…]
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alsの治療・診断は何科?
alsに対応しているのは脳神経内科です。
もしalsを疑うような症状があらわれた場合は、まず脳神経内科で検査を受けてください。
しかしalsは、初期段階では他の病気と見分けがつかない場合もあります。
そのため、多くの方が最寄りの内科や整形外科などを受診されています。
内科・整形外科の受診後、1ヶ月経っても症状が改善されない場合は、念のため脳神経内科を受診するのがおすすめです。
alsとは、日本語で筋委縮性側索硬化症と呼ばれる疾患です。alsは難病指定疾患であり、今後どうなっていくのか不安になることも多いでしょう。alsの初期症状はどういったものがあるのでしょうか?alsの治療法にはどのよう[…]
alsの治療方法は2つ
alsは発症原因・病態が解明されていない難病です。
したがって、有効な治療法が確立されていません。
現段階では、alsの治療は薬物療法・対症療法によって行われています。
それぞれの治療内容についてご紹介します。
薬物療法
薬物療法の目的は、alsの進行を遅らせることです。
日本でalsの治療薬として認められている医薬品は、リルゾール・エダラボンなどです。
リルゾールは飲み薬で、1日2回50mlを服用します。
エダラボンは点滴注射によって投与されます。
リルゾールはグルタミン酸の興奮毒性を抑えることで、alsの進行を食い止めます。
グルタミン酸毒性とは、グルタミン酸が過剰に興奮した状態です。
グルタミン酸は脳内神経伝達物質の1つで、脳の指令を各器官に伝える作用があります。
何らかの原因によってグルタミン酸に興奮毒性が起こると、運動ニューロンなどの神経細胞がダメージを受けます。
すると運動ニューロンの機能が低下するため、alsに至ります。
認知症の1種であるアルツハイマーも、グルタミン酸毒性と関係があると指摘されています。
リルゾールはグルタミン酸の興奮を抑える効果が高い医薬品です。
平たくいえば、運動ニューロンをグルタミン酸毒性から保護する作用があるため、alsが進行しにくくなります。
対処療法
対症療法とは、alsによるさまざまな苦痛を緩和する治療法です。
たとえば鎮痛剤によって身体の痛みを緩和したり、筋力をなるべく維持したりするようなリハビリが代表的です。
対症療法には、精神的な苦痛の緩和も含まれます。
alsという難病にかかった方は、不安・絶望からうつや不眠を併発することが少なくありません。
精神症状がつらい場合は、抗うつ薬・精神安定薬・不眠薬などの医薬品が用いられることもあります。
alsの末期では、のどの筋肉低下によって、自力での食事・呼吸が難しくなります。
飲み込みやすい食事を用意したり、人工呼吸器の装着・管理を行ったりすることも、alsの対症療法に含まれます。
対症療法は、alsの根本的な治療ではありません。
しかし、できる限り患者の方が快適に過ごせるような対処をすることは、患者の方の予後を大きく左右します。
予後の質が高ければ、患者の方にも生きる希望がわきやすくなります。
生きる希望は治療・リハビリへのモチベーションにつながるため、結果として病状の改善を期待できることもあります。
そのため対症療法は、alsの治療では非常に重要視されています。
alsの根本的な治療法はまだない
alsは進行性の病気であり、根本的な治療法は未だ確立されていません。
alsの治療では、進行を抑制する薬物療法と、生活の質を高く保つための対症療法が併用されています。
対症療法には、リハビリ・理学療法なども含まれます。
リハビリの主な目的は、筋力低下をできる限り防ぐことです。
筋力を維持することで、alsに伴う身体の痛みなどを軽減できる場合もあります。
リハビリとは、たとえば、ロボットを使った歩行訓練などが代表的です。
のどの筋肉を鍛えるために、嚥下訓練などが行われることもあります。
身体の痛みがある場合は、対症療法として、マッサージ・鍼灸などの理学療法が選択されることもあります。
対症療法の具体的な内容は、個人の状態や医師の治療方針などによって異なります。
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最新のalsの治療法
現在はals治療法の確立を目指し、ips細胞を用いた治験が行われています。
ips細胞とは、培養次第でさまざまな器官の細胞に生まれ変わる細胞です。
治験では、まずals患者の方からips細胞を採取して運動ニューロンに分化させます。
続いて運動ニューロンに分化したips細胞に、すでに他の疾患の治療に用いられている医薬品・成分を与えました。
結果、ボスチニブという成分が運動ニューロンの壊死を抑制することが分かりました。
ボスチニブは白血病の治療薬に用いられている成分です。
治験の結果は、今後のalsの最新の治療法研究に役立てられます。
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alsを早期発見する方法
alsを早期発見するには、早めに脳神経内科を受診することが大切です。
一般内科で行われるような血液検査・MRIなどでは、alsを発見・診断できないためです。
alsの診断は、脳神経内科でしか確定されていません。
もし疑わしい症状があらわれた場合は、すぐに脳神経内科を受診しましょう。
特にalsは発症後急激に進行しやすい病気です。
重症化を防ぐには、「早めに」検査を受けることがなによりも重要です。
具体的には、以下のような症状があらわれた場合は、脳神経内科を受診してください。
- 手足だけが不自然に細くなった
- 急激な体重の減少
- 筋肉がぴくぴく痙攣する
- ものが飲み込みづらくなり、誤嚥が増えた
- 感情の起伏が激しくなった
- ろれつが回らなくなった
難病として知られているalsですが、どのような病気なのか、一般の方々には浸透しているとはいえないのが現状です。alsは何が原因で発症し、どういった経過をたどるのでしょうか。そして現在の医療による治療法にはどのようなものがある[…]
alsの治療に関する助成金
alsをはじめ難病の治療に関しては、国から治療費の助成金を受け取れます。
難病の治療費用は一般的に高額です。
経済的な負担を減らすためにも、ぜひ助成金を活用してください。
alsの治療で利用できる助成制度の例は以下の通りです。
- 難病医療費助成制度
- 高額療養費の還付制度
- 障害者医療費助成制度
- 介護保険制度
- 障害年金
難病医療費助成制度は、alsの場合重症度2以上で利用できます。
具体的な自己負担額の例は以下の通りです。
自己負担上限額(円/患者負担割合:2割、外来+入院) | ||||
原則 | ||||
階層区分 | 階層区分の基準 | 一般 | 高額かつ長期 | 人工呼吸器等装着者 |
生活保護 | - | 0 | 0 | 0 |
低所得Ⅰ | 市町村民税非課税(世帯)/本人年収80万円以下 | 2,500 | 2,500 | 1,000 |
低所得Ⅱ | 市町村民税非課税(世帯)/本人収入80万円以上 | 5,000 | 5,000 | |
一般所得Ⅰ | 市町村民税課税以上7.1万円未満(約160万円~約370万円) | 1万 | 5,000 | |
一般所得Ⅱ | 市町村民税7.1万円以上25.1万円未満(約370万円~約810万円) | 2万 | 1万 | |
上位所得 | 市町村民税25.1万円以上 (約810万円~) | 3万 | 2万 | |
入院時の食費 | 全額自己負担 |
介護保険制度は原則として65歳以上の方が利用できますが、als患者の方は64歳以下でも利用できます。
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als患者の大半が経験する痛みの要因
alsの発症者の方の40~73%は、身体の痛みを経験すると指摘されています。
alsで痛みが出る原因としては、以下が指摘されています。
- 有痛性筋痙攣(こむら返り)
- 痙縮(筋肉のつっぱり)
- 拘縮(関節が固まる)
- 不動・圧迫
- 精神的な要因
alsでは運動ニューロンの障害によって、筋肉が自由に動かしづらくなります。
本人の意志に反して筋肉が攣ったり痙攣したりしやすくなるため、手足などに痛みが出ることがあります。
痛みの原因の1つとして、関節の硬直も挙げられます。
alsは進行するにつれ、自力で歩行・運動が難しくなります。
簡単にいえば寝たきり状態になるため、関節が固まりやすくなり、伴って痛みを感じることがあります。
同じ体位が続くことも苦痛の原因の1つです。
いつも身体の同じ部位が圧迫されると、痛み・苦痛・圧迫感を感じやすくなります。
精神的な不安から物理的な痛みを感じるケースも非常に多くみられます。
痛みの原因が精神状態にある場合は、抗うつ薬や精神安定薬などが有効です。
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alsの治療のまとめ
ここまで、alsの治療についてお伝えしてきました。
alsの治療の要点を以下にまとめます。
- alsの薬物療法では、進行を抑制する効果のあるリルゾールが用いられる
- 対症療法はalsの治療の中でも重要しされており、リハビリ・マッサージなどの理学療法・精神的なケアなどが行われる
- 現在はips細胞を用いて、alsの最新の治療法の研究が進められている
- alsの治療費を軽減するには、難病医療費助成制度などの公的な医療費助成制度を用いるとよい
これらの情報が少しでも皆さまのお役に立てば幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。