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健達ねっと>健康お役立ち記事>高齢者の病気>alsが遺伝する可能性は5%|遺伝の可能性がある親等と治療法

alsが遺伝する可能性は5%|遺伝の可能性がある親等と治療法

alsは一度発症すると完治が期待できない難病です。
alsの原因はハッキリ解明されていませんが、一説では家族内の遺伝が指摘されています。

家族内でのalsの遺伝を警戒すべき方とは、どのような方なのでしょうか。
本記事では、alsの遺伝について、以下の点を中心にご紹介します。

  • 家族内で遺伝するalsの確率
  • alsの遺伝と関係のある遺伝子
  • alsの遺伝の可能性がある親等とは
  • alsの治療方法

alsの遺伝について理解するためにもご参考いただけますと幸いです。
ぜひ最後までお読みください。

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alsとは

手の震え

alsは、運動ニューロンの変性が原因で全身の筋肉が動かしづらくなる病気です。
国の指定難病の1つで、筋萎縮性側索硬化症とも呼ばれています。

運動ニューロンとは、脳から筋肉に運動の指令を伝える神経回路です。
alsでは筋肉自体に問題はないものの、運動ニューロンが障害されるために、身体が少しずつ不自由になります。

alsの初期には、筋力の低下によって手足が動かしづらくなります。
あるいは、口周辺の筋力低下によってろれつが回らなくなることもあります。

筋力低下は次第にのど・肺などにおよび、最終的には自力での嚥下・呼吸などが困難になります。

alsは進行性の病気で、完治はほとんど期待できません。
詳しい病態や発症原因については、現在研究が進められています。

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alsは遺伝子異常と関連性が高い

alsの発症原因は解明されていません。
しかし一説では、遺伝子異常が原因と指摘されています。

ここからは、alsと遺伝の関係についてご紹介します。

alsは家族間での遺伝・発症率は5〜10%

基本的にalsは遺伝はしません。
しかし一部では、家族内でalsが遺伝するケースもみられます。

家族内で遺伝するalsは家族性alsと呼ばれています。
家族性alsは、als全体の約5~10%を占めます。

血のつながった親族にalsの発症者がいる方は、いない方に比べると、alsのリスクは高くなります。
出典:厚生労働省【本邦家族性 ALS の臨床像と遺伝学的背景

家族性ALSの約2割は「SOD1」の遺伝子異常

日本の家族性alsの原因として、SOD1(スーパーオキシド・ジスムターゼ)という遺伝子の異常が指摘されています。

SOD1の遺伝子異常は、日本の家族性alsの約2割を占めます。
SOD1とは、体内の活性酸素を抑制する酵素です。

活性酸素は細胞・血管をサビつかせる物質です。
たとえば、活性酸素は肌のシミ・シワのほか、動脈硬化・ガンの原因としても知られています。

SOD1は、体内の活性酸素を取り除くことで、細胞・血管を保護する作用があります。
ときにSOD1の遺伝子は、何らかの原因によって変異することがあります。

変異したSOD1遺伝子は、かえって運動ニューロンにダメージを与えます。
運動ニューロンが壊死すると脳から筋肉への連絡回路が途絶えるため、alsに至ります。

alsの遺伝の可能性がある親等(しんとう)

家族性alsの遺伝の可能性がある親等は、およそ3親等までと考えられています。
具体的には、両親・祖父母・叔父叔母などが範囲です。

もし両親・祖父母・両親の兄弟にalsの方がいなければ、家族性alsの遺伝の心配はほぼありません。

ただし、alsになりやすい遺伝子を持っていても、発症に至らないことはあります。
また、3親等以内に発症者がいない方でも、潜在的にalsの原因遺伝子を受け継いでいる可能性はゼロではありません。

alsの治療方法

alsは発症原因・病態が解明されていないため、現段階では有効な治療法がありません。
alsの治療は、いまのところ薬物療法・対症療法で行われています。

薬物療法

現段階では、alsを根本的に治療する医薬品は開発されていません。
薬物療法の目的は、あくまでalsの進行スピードを遅らせることです。

日本の代表的なals治療薬はリルゾールです。
リルゾールは飲み薬で、原則1日2回服用します。

リルゾールがなぜalsの進行を抑制するのかというと、グルタミン酸の興奮毒性を抑える作用があるためです。

グルタミン酸毒性は、alsの原因の1つと考えられています。
具体的には、グルタミン酸が興奮して毒素化した状態を指します。

本来、グルタミン酸は脳の指令を各器官に伝える役割を果たします。
ときに、何らかの原因でグルタミン酸に興奮毒性が起こることがあります。

グルタミン酸の興奮毒性は、運動ニューロンにダメージを与えます。
簡単にいえば、脳から筋肉への命令系統を壊してしまうのです。

すると脳から筋肉へ「動け」という命令が伝わらなくなるため、alsに至ります。
リルゾールはグルタミン酸の興奮毒性を抑制することで、運動ニューロンの壊死を防ぎます。

対症療法

対症療法は、alsの症状を緩和するための治療法です。
代表的なのはリハビリ・理学療法です。

リハビリとは、たとえば歩行訓練や嚥下訓練が代表的です。
alsでは全身の筋力が低下するため、自力での歩行・食事が難しくなります。

そこで、足の筋肉量を増やすために、歩行訓練などのリハビリが行われます。
自力での食事が難しい方に対しては、のどの筋肉を鍛える嚥下訓練などが実施されます。

また、飲み下しやすいようなとろみ食・ペースト食の提供も行われます。
理学療法としては、マッサージ・鍼灸治療・温熱治療などが代表的です。

たとえばマッサージ・温熱療法は、筋肉の突っ張り・痛みがある場合に有効です。
症状が激しい場合は、鎮痛剤などが利用されることもあります。

alsの対症療法には精神面のケアも含まれます。
不安・うつ症状がみられる場合は、カウンセリングや精神安定薬などが用いられます。

不眠がある場合は、睡眠導入剤が処方されることもあります。
alsの対症療法は、個人の状態・症状に応じて柔軟に調整されます。

いずれも目的は、alsによる苦痛を取り除くと共に、患者の方の予後の向上を目指すことです。

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alsは死亡リスクのある病

alsは最終的に死に至る病です。
進行性の病気のため、一度発症すると完治は期待できません。

alsの平均寿命は3~5年です。
死因はさまざまですが、代表としては、のど・肺の筋力低下による呼吸器不全・誤嚥性肺炎などが挙げられます。

しかし最近は医療技術の進歩により、alsの平均寿命が延びつつあります。
呼吸器・胃ろうなどを適切に管理すれば、発症から10年以上命をつなぎ続けることも不可能ではなくなっています。

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als患者の大半が経験する痛みの要因

日本の家族性alsの原因としては、SOD1の遺伝子異常が指摘されています。
しかし家族性alsは、SOD1以外の遺伝子異常によって起こることもあります。

家族性alsと関連がある遺伝子は、たとえば以下が指摘されています。

  • FUS
  • TARDBP
  • VCP
  • OPTN

家族性alsの原因遺伝子は、国・人種によっても差があります。
たとえば欧米の家族性alsでは、C9ORF72という遺伝子の異常が多く発見されています。

家族性alsは、als全体の約5~10%です。
alsの多くは、何らかの原因で突如発症する「孤発性」と考えられています。

出典:日本神経学会【1.疫学,亜型,経過・予後,病因・病態

alsの遺伝のまとめ

ここまで、alsの遺伝についてお伝えしてきました。
alsの遺伝の要点を以下にまとめます。

  • 家族内で遺伝する家族性alsは、als全体の約5~10%
  • alsの遺伝と関係のある遺伝子として、SOD1が指摘されている
  • alsが遺伝する可能性があるのは、3親等以内にals患者がいる場合
  • alsの根本的な治療方法はなく、薬物療法・対症療法で対処される

これらの情報が少しでも皆さまのお役に立てば幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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監修者 メディカル・ケア・サービス

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  • 設立: 1999年11月24日
  • 代表取締役社長: 山本 教雄
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