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健達ねっと>健康お役立ち記事>高齢者の病気>喀血の原因とは?大量喀血はすぐに治療を!

喀血の原因とは?大量喀血はすぐに治療を!

喀血が起こると「重い病気かもしれない」と不安に思う方も多いでしょう。
喀血は、具体的にどのような病気によって引き起こされるのでしょうか。
また、喀血が起こった場合はどのように対処したら良いのでしょうか。

本記事では、喀血の原因について、以下の点を中心にご紹介します。

  • 喀血を引き起こす主な病気
  • その他の喀血の原因
  • 小児の喀血の原因
  • 喀血が起こった場合の対処法

喀血の原因について理解するためにもご参考いただけますと幸いです。
ぜひ最後までお読みください。

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喀血とは

喀血とは咳とともに泡混じりの血を吐く現象です。
原因は、気道や肺からの出血です。

喀血によって吐き出される血の量は個人差があります。
たとえば痰にわずかな血が混じる程度の場合もあれば、咳なしで大量の血を吐くケースもみられます。

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喀血の原因|最多疾患

喀血の原因としては、呼吸器系の疾患が代表的です。
気道や肺が炎症を起こすと、毛細血管が破れて出血しやすくなるためです。

毛細血管からの出血は、咳や呼気とともに、気道から口へ運ばれます。
咳などと一緒に口から血液が吐き出されると、「喀血」が起こります。

喀血の原因となりやすい呼吸器系の疾患には、たとえば以下があります。

  • 気管支拡張症
  • 気管支炎
  • 肺炎

一説では、気管支拡張症・気管支炎・肺炎は、成人の喀血の原因の7割を占めるとも指摘されています。

その他の喀血の原因としては以下が代表的です。

  • 非結核性抗酸菌症
  • 特発性喀血症
  • 肺アスペルギルス症
  • 肺結核後遺症
  • 肺がん

喀血の原因|主な疾患

喀血の主な原因疾患をご紹介します。
ぜひ参考にしてください。

気管支炎

気管支炎とは、気管や気管支の粘膜が細菌などに感染して炎症を起こした状態です。
気管支炎を引き起こす細菌・ウイルスには、たとえば以下があります。

  • インフルエンザウイルス
  • マイコプラズマ
  • RSウイルス

上記のようなウイルス感染によって急激に発症する気管支炎は、「急性気管支炎」と呼ばれます。

一方、原因不明の症状が3ヶ月以上持続する状態が2年以上続く場合は、「慢性気管支炎」と診断されます。

気管支炎の主な症状は咳・痰・発熱などです。
咳などによって気道の血管が傷つくと喀血に至ります。

気管支拡張症

気管支拡張症とは、なんらかの原因で気管支が拡張したまま戻らなくなる状態です。
拡張した部分は細菌感染による炎症が起こりやすくなります。

炎症を起こした部位が出血を起こすと、喀血に至ります。

特に炎症部位は血管の数が多くなるため、出血のリスクも高くなります。

気管支拡張症は、気管支炎や肺炎に発展することもあります。

壊死性肺炎

壊死性肺炎とは、肺の組織が破壊される肺炎です。
壊死性肺炎として代表的なのは、肺膿瘍(はいのうよう)です。

肺膿瘍は、細菌感染によって肺組織が壊死して空洞化する状態です。
空洞化した部分に細菌が繁殖すると、膿がたまりやすくなります。

肺膿瘍の代表的な症状は発熱・咳・痰・胸痛です。
症状が進行すると、肺組織から出血が起こり、咳や痰に血が混じります。

肺結核

肺結核は、結核菌に感染して起こります。
結核は昔の病気というイメージがありますが、現在でも罹患者の多い疾患です。

実際に、厚生労働省は2020年の新登録結核患者数は1万2739人と発表しています。
結核の主な症状は咳・痰・発熱・疲労感などです。

特に咳が3週間以上続く場合は、結核が強く疑われます。
咳によって気道の血管などに傷が入ると、喀血が起こりやすくなります。
出典:厚生労働省【2020年 結核登録者情報調査年報集計結果について

喀血の原因|ストレス

ストレスによって血を吐くことがあります。
なぜかというと、ストレスは呼吸器系疾患のリスクを高めることがあるためです。

呼吸器系疾患が重症化すると、気道の炎症が激しくなります。
つまり気道からの出血が起こりやすくなるため、伴って喀血も起こりやすくなるのです。

呼吸器系疾患とは、たとえば気管支炎や肺炎が代表的です。
では、なぜストレスは気管支炎などのリスクを高めるのでしょうか。

答えは、ストレスは身体の免疫力を低下させるためです。
免疫力とは、体内に侵入したウイルスなどの異物を排除する仕組みのことです。

ストレスが多い方は免疫機能が低下しやすくなっています。
つまりウイルスの排除能力が低いため、気管支炎などの感染症にかかりやすいのです。

ちなみに、なぜストレスが免疫力を下げるのかというと、自律神経と関係があります。
自律神経とは、内臓の働き・ホルモン分泌・免疫機能をコントロールする神経系です。

ストレスがかかると自律神経がリズムを乱すため、免疫機能も低下しやすくなります。
自律神経の乱れは免疫機能だけでなく、その他の臓器・器官の働きにも悪影響を及ぼします。

たとえばストレスによって喘息症状が悪化するのも、自律神経の乱れが原因と指摘されています。

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喀血の原因|その他の疾患

喀血の代表的な原因は、気道からの出血や肺の病気です。
あるいは、その他の疾患が喀血を引き起こすこともあります。

喀血の主な原因疾患は、具体的に次の通りです。

気道からの出血急性・慢性気管支炎/気管支腫瘍(カルチノイド)/気管支原性がん/気道異物
肺の疾患肺がん/肺炎/非結核性抗酸菌症/肺アスペルギルス症/肺化膿症/二次性肺胞出血/肺感染性嚢胞/特発性肺ヘモジデローシス/特発性肺胞出血/肺塞栓症/グッドパスチャー症候群/肺濃瘍/ループス肺炎/多発血管炎性肉芽腫症
血管の疾患肺高血圧症/肺塞栓症/動静脈奇形/血管炎症候群/うっ血性心不全/大動脈乖離/肺動脈破裂/肺胞出血/僧帽弁狭窄
その他の疾患肺分画症/胸部外傷/血液疾患/肝硬変/月経関連(胚子内膜症)/薬物/ストレス

 

薬の使い方

喀血の原因|不明

喀血は原因が特定できない場合もあります。
原因不明の結核は「特発性喀血症」と呼ばれています。

特発性喀血は喀血全体の約2割を占めます。
また、特発性喀血は、喀血の原因の第3位とも指摘されています。

特発性喀血では、多くの場合、喀血以外の症状はみられません。
その他のタイプの喀血と比べると、発症後の経過は比較的順調です。

特発性喀血の症状は、発症から6ヶ月内に治まることが一般的です。

喀血の原因|小児

産後の時期はあっという間

喀血は小児にも起こることがあります。
小児の喀血の原因としては以下が代表的です。

下気道感染症

下気道感染症とは、気管・気管支・肺が細菌などに感染して起こる病気です。
具体的には、次のような疾患を指します。

  • 急性気管・気管支炎
  • 慢性下気道感染症
  • 肺炎

下気道感染症の主な症状は咳・鼻水・痰・発熱などです。
気道や肺の血管が炎症を起こして出血すると、喀血することがあります。

異物誤嚥

異物誤嚥とは、食べ物以外のものを誤って飲み込んでしまうことです。
異物によって気道などに傷が入ると、喀血することがあります。

異物誤嚥のその他の症状としては、咳・声のかすれ・喘鳴などが挙げられます。
タバコなどの誤嚥の場合、中毒症状があらわれることもあります。

異物誤嚥は、最悪の場合、異物が気道を塞いで窒息することもあります。
異物を飲み込んだ場合は、喀血の有無に関わらずすぐに吐かせましょう。

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喀血の検査方法

大量に喀血した場合は、溢れ出した血で気道が塞がれて窒息するおそれがあります。
喀血が止まらない場合は、すぐに救急車を呼んで医療機関に搬送してください。

医療機関では、まず検査が行われることが一般的です。
検査の目的は、喀血の原因・出血部位を調べることです。

喀血の主な検査方法は以下の通りです。

血液検査貧血・炎症・腫瘍マーカーの有無を確認
体内酸素濃度測定体内の酸素濃度を測ることで貧血の可能性を調べる
胸部X線出血部位を調べる
胸部CT出血部位を調べる
気管支鏡検査小さなカメラを気管に入れて出血部位を調べる

 

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喀血の治療方法

治療法は喀血の程度に応じて異なります。
代表的な喀血の治療方法をご紹介します。

大量喀血の場合

大量喀血では、まず出血を止めるために止血剤が投与されることが一般的です。
喀血による貧血がみられる場合は、輸血や鉄剤を投与して血液を補うこともあります。

喀血によって窒息・呼吸困難がある場合は、人工呼吸器などを用いて酸素吸入を行います。
あるいは、気管挿管が行われることもあります。

気管挿管とは、気管に細い管を通して気道を確保する方法です。
溢れ出した血液が気道を塞いでいる場合に有効です。

緊急度が高い喀血の場合は、外科手術が選択されることもあります。
代表的なのは「気管支動脈栓塞術」という血管内治療です。

気管支動脈栓塞術は、出血が起こっている血管の手前に詰め物をする方法です。
詰め物をする際は、足下から胸部に細い管(カテーテル)を通します。

血管に詰め物をすると、出血部位への血流が遮断されます。
血流が遮断されると出血が起こらなくなるため、喀血も治まるというわけです。

気管支動脈栓塞術以外の外科治療としては、気管支鏡を用いた止血が代表的です。

少量喀血の場合

少量の喀血は、多くの場合、気道の血管表面の小さな傷が原因で起こります。
それほど緊急度は高くないため、止血剤を投与して経過観察に留めることが一般的です。

止血剤が効いて出血が止まれば、喀血も自然に治まります。
ただし、少量の喀血は大量喀血の前兆としてあらわれることも多いため、慎重な見極めが必要です。

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喀血と吐血の違い

喀血と吐血は、ともに血を吐くことです。
両者は症状がよく似ているため、混同されることも少なくありません。

しかし喀血と吐血では、異なる点も多々みられます。
ここからは、喀血と吐血の特徴についてご紹介します。

喀血

喀血は、気道や肺からの出血が原因で起こります。
喀血には以下のような特徴があります。

喀血
出血部位気道・肺
血の色・状態鮮やかな赤色・泡が混じりやすい
その他の症状咳・呼吸困難など

 

吐血

吐血は、身体の奥深い場所からの出血が原因で起こることがほとんどです。
身体の奥深い場所とは、たとえば、胃腸などの消化器官が代表的です。

吐血
出血部位食道・胃・十二指腸など
血の色・状態黒っぽい色が多い・泡は混じらない・凝固しやすい
その他の症状咳などの呼吸器系の症状はあらわれにくい

吐血の血は黒っぽい色をしていることが一般的です。
理由は、喀血に比べると、出血部位から吐き出されるまでの時間が長いためです。

体外に排出される時間が長いほど、血液は酸化が進んで黒ずんでいきます。
また、吐血は喀血のように、血液に泡が混じることはほとんどありません。

ただし、吐血の状態は個人によって異なります。
出血部位などによっては、吐血でも真っ赤な血を吐いたり、泡混じりの血を吐いたりすることもあります。

喀血が起きたときの注意点

喀血は少量でも窒息するおそれがあります。
理由は、溢れ出した血液が気道を塞ぐためです。

喀血があった場合は、まず呼吸を確保することを意識してください。
具体的には、以下のようなポイントをおさえて対処しましょう。

  • 喀血は我慢せず、すべて吐き出す
  • 横向きに横たわり、安静にする
  • 大量に喀血している場合は腹ばいになる

身体を横向きにすると、気道が開きやすくなるため、窒息予防になります。
横向きに寝るのが難しい場合は、顔を横向きにするだけでもOKです。

少量の喀血の場合は、安静にしてしばらく様子をみましょう。
安静にして喀血が収まった場合は、病院の受診は2~3日以内でもかまいません。

喀血が収まらない場合や、大量に喀血している場合は、すぐに救急車を呼んでください。
喀血で医療機関を受診する場合、次のような準備をしておくと診察の助けになります。

  • 血を拭ったタオル・ティッシュは保管しておく
  • 吐いた血液をカメラで撮影しておく

吐き出した血液の状態は、喀血の原因や状態を特定する手がかりになります。
もし余裕があれば、スマートフォンのカメラなどを使って、血液の状態を記録しておきましょう。

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令和3年悪性新生物の死亡数・死亡率

喀血は、気道・気管支・肺の腫瘍で起こることもあります。
気道や肺の腫瘍は、悪性新生物の中でも死亡数・死亡率の高い疾患です。

つまり喀血を放置すると、気道などの腫瘍を見逃すおそれがあるのです。
以下は厚生労働省の発表をもとにした表です。

令和3年の悪性新生物による死亡数のなかでも、気道・肺の腫瘍による死亡数は上位を占めています。

死亡数死亡率
令和3年令和2年令和3年令和2年
気管、気管支及び肺7万6,2127万5,58562.161.3
4万1,6244万2,31933.934.3
膵臓3万8,5783万7,67731.430.5
結腸3万6,7723万6,20429.929.3
肝及び肝内胆管2万4,1022万4,83919.620.1

出典:厚生労働省【令和3年 悪性新生物の死亡数・死亡率(概数)

重大な疾患を見逃さないためにも、少量でも喀血をした場合は、念のため病院で検査を受けてください。

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喀血の原因のまとめ

ここまで、喀血の原因についてお伝えしてきました。
喀血の原因の要点を以下にまとめます。

  • 喀血を引き起こす主な病気は、気管支拡張症や肺炎などの呼吸器系疾患
  • その他の喀血の原因としては、腫瘍・ストレス・原因不明などが代表的
  • 小児の喀血の原因の多くは、下気道感染症や異物誤嚥
  • 喀血が起こった場合の対処法は、まず気道を確保して安静にし、症状が治まらない場合は救急車を呼ぶ

これらの情報が少しでも皆さまのお役に立てば幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。

監修者 メディカル・ケア・サービス

  • 認知症高齢者対応のグループホーム運営
  • 自立支援ケア
  • 学研グループと融合したメディア
  • 出版事業
  • 社名: メディカル・ケア・サービス株式会社
  • 設立: 1999年11月24日
  • 代表取締役社長: 山本 教雄
  • 本社: 〒330-6029埼玉県さいたま市中央区新都心11-2ランド·アクシス·タワー29F
  • グループホーム展開
  • 介護付有料老人ホーム展開
  • 小規模多機能型居宅介護
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  • 福祉用具販売
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