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健達ねっと>健康お役立ち記事>嚥下>嚥下訓練の看護内容とポイント|看護計画の考え方と作り方

嚥下訓練の看護内容とポイント|看護計画の考え方と作り方

嚥下障害がある場合は、訓練によって嚥下機能の向上を期待できることがあります。
しかし嚥下訓練は誤嚥のリスクもあるため、看護は慎重に行うことが大切です。

嚥下訓練の看護にはどのようなものがあるのでしょうか?
また、嚥下訓練の看護のポイントとは、具体的にどのようなものなのでしょうか?

本記事では、嚥下訓練の看護について、以下の点を中心にご紹介します。

  • 嚥下訓練の看護の内容
  • 嚥下訓練の看護のポイント
  • 嚥下訓練の看護を相談したい場合

嚥下訓練の看護について理解するためにもご参考いただけますと幸いです。
ぜひ最後までお読みください。

嚥下訓練とは

嚥下訓練とは嚥下機能の維持・強化を目的とした訓練のことです。
簡単にいえば、「飲み込む」動作をスムーズに行うためのリハビリです。
咀嚼に必要な筋肉を動かしたり、食べ物などを使って飲み込む練習をしたりします。

嚥下訓練には、誤嚥リスクを低減する効果も期待できます。
誤嚥とは、食べ物などが誤って気管に入ってしまうことです。

誤嚥は、誤嚥性肺炎を引き起こすことがあります。
誤嚥性肺炎はときに命を脅かすこともあります。
そのため、嚥下訓練によってリスクを減らすことが大切です。

以下の記事では嚥下障害のリハビリについて解説しています。
よろしければご覧ください。

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嚥下訓練での看護内容

嚥下訓練の看護内容は次の通りです。

  • 患者の嚥下障害の観察・アセスメント
  • 間接訓練
  • 直接訓練
  • 食事介助
  • 体位調整
  • 口腔ケア

嚥下訓練が必要な方は、すでに自力での嚥下が難しくなっている場合がほとんどです。
看護する際は、嚥下訓練だけでなく、食事前後のケアも必須となります。

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嚥下訓練の看護をする際のポイント

嚥下訓練の看護でのポイントをご紹介します。
嚥下障害の方の看護をする方は、ぜひ参考にしてください。

間接訓練のポイント

間接訓練とは、食べ物を使わずに嚥下機能を強化する方法です。
たとえば嚥下体操・口周りのマッサージなどが該当します。

間接訓練を看護する際のポイントは次の通りです。

  • 唾液などの誤嚥に注意する
  • コミュニケーションを取りながら行い、患者に無理強いをしない
  • 嚥下機能のどこに問題があるのか注視する

誤嚥のリスク

間接訓練は、食べ物を使った訓練に比べると誤嚥のリスクは低めです。
しかし、重度の嚥下障害の方は唾液でも誤嚥を起こす可能性があります。
そのため嚥下訓練の看護者は、誤嚥を防ぐための対策が必要です。

たとえば、訓練前に患者の方の体位調整をしたり、緊張を和らげたりする方法が挙げられます。

万が一の誤嚥に備えて、吸引器を備えておくことも大切です。
ただし、患者の方が嫌がる場合、無理に訓練するのはNGです。

訓練の無理強い

訓練を無理強いすると、食事に対するモチベーションそのものが下がるおそれがあります。
さらに、無理な訓練は誤嚥やケガなどの事故に発展しかねません。

安全に嚥下訓練をするためにも、訓練前には患者の体調・気分などをしっかり観察してください。

患者の方が進んで取り組めるよう、訓練内容の説明をしたり、同意を取り付けることも大切です。

間接訓練の注意点

訓練前の説明の際は、必要があればジェスチャーや絵カードなどを活用してください。
認知症の方・高次脳機能障害の方などは、言葉だけの説明では理解が難しいこともあるためです。

また訓練中は、嚥下機能のどこに問題が生じているのか、注意深く観察しましょう。
たとえば、顔面の筋肉の動きに左右差がないかを確認するなどしてください。

直接訓練のポイント

直接訓練は、食べ物を使って嚥下機能を強化する方法です。
たとえば、ゼリーやとろみ食などの飲み込みやすい食品を利用します。

直接訓練を看護する際のポイントは次の通りです。

  • 体調・気分・バイタルサインのチェック
  • 誤嚥に注意する
  • 誤嚥した場合の対策をしておく
  • 食事に集中しやすい環境を作る

誤嚥のリスク

直接訓練は実際に食べ物を用いるため、誤嚥のリスクが存在します。
そのため、直接訓練はできれば看護師などの指導の下で行うのが無難です。

看護師は、誤嚥などの事故を防ぐためにも、訓練前の体調・バイタルサインのチェックは入念に行いましょう。

直接訓練に適した患者の状態

また、本人が訓練に臨める状態であるかどうかも確認することが大切です。
たとえば次のポイントをクリアしているか、必ずチェックしてください。

  • 意識がしっかりしている
  • 食事をする意欲がある
  • 食事中に座位を保持できる
  • 唾液が問題なく飲み込めている
  • 自力で咳ができる

事前のバイタルチェックなどに問題がなければ、嚥下訓練をします。
訓練前には、誤嚥に備えて吸引器の準備などをしておきましょう。

直接訓練に適した環境

あわせて、患者が食事に集中しやすい環境を整えることも大切です。
たとえばテレビを消す・カーテンを閉じるなどが該当します。

患者がリラックスして食事ができるよう、穏やかな音楽をかけるのも良い方法です。
また、トイレは食事前に済ませておきましょう。

直接訓練の体位

直接訓練を看護する際は、誤嚥を防ぐために、体位を調整する必要もあります。
具体的には、頸部を高く保つようにしましょう。

身体を起こすと誤嚥予防になります。
さらに、重力の関係で嚥下がスムーズに行いやすくなります。

できれば座位が望ましいですが、難しい場合はベッドのリクライニングを上げてください。
ベッドの角度は30度が目安です。

直接訓練に適した食事

嚥下訓練に利用する食事の形態は、患者の嚥下機能にあわせて調整しましょう。
軽度であれば重湯なども利用できますが、重度の場合はゼリーなどがおすすめです。

看護者が食事を患者の口に運ぶ際、一口の量はやや少なめを意識してください。
一口の量が多いと、飲み下せずに、口の中に残って誤嚥につながるおそれがあるためです。

直接訓練の食事のペース

また、食事のペースは患者にあわせましょう。
ただし、速すぎる場合は、誤嚥を防ぐためにペース調整をしてください。

ペース調整する際は、優しい声かけを意識しましょう。

直接訓練でむせた場合

もしむせた場合は、できれば本人に咳をしてもらって吐き出してもらいます。
本人が自力で吐き出せない場合は、背中を叩く・吸引器を使うなどの対応が必要です。

むせたからといって、すぐに訓練を中止する必要はありません。
食事を続けられそうであれば、無理のない範囲で訓練を続けましょう。

看護者は、以下のことをチェックしておくことも大切です。

  • 患者がむせたタイミング
  • どのような食べ物がむせやすいのか

嚥下訓練の看護をする際の注意点

嚥下訓練の看護をする際の注意点は次の通りです。

  • 本人の同意を得る
  • 患者の状態にあわせた訓練計画を作る
  • 訓練に集中できる環境を作る
  • 食事中の様子を観察する

嚥下訓練の前提

まず前提として、嚥下訓練は本人の同意のもとで行ってください。
訓練を無理強いすると、看護者と本人の信頼関係が壊れてしまいます。
また、思わぬ事故に発展するおそれがあります。

嚥下訓練の内容は、患者にあわせて計画しましょう。
患者の状態に適しない嚥下訓練は効果が見込めないだけでなく、誤嚥などを引き起こす可能性があります。

嚥下訓練に適した環境

また、嚥下訓練の計画内容にあわせて、環境を調整することも大切です。
たとえばむせやすい方には、食品だけでなく食器も工夫してください。

食事中は、介助だけでなく、患者の様子をしっかり確認することが重要です。
特に口腔内のチェックは入念に行いましょう。

飲み込んだあとも食べ物が口の中に残る場合、嚥下ができていない可能性があります。
口の中だけでなく、のどにも食べ物が引っかかっている可能性があるのです。

誤嚥事故を防ぐためにも、食事中の観察は特に重要です。
もし患者がむせたり、食べにくそうにしていたりする場合は、どこに問題があるのかチェックしてください。

むせるタイミング・食べ物をチェックしておくと、次回の嚥下訓練をより的確に計画できます。

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嚥下訓練の看護計画の考え方と作り方

看護計画は、主に次の3つで構成されています。

  • 観察計画
  • 援助計画
  • 教育計画

嚥下訓練の看護計画のポイントをご紹介します。
ぜひ参考にしてください。

看護の目的と目標

看護計画を立てる際は、まず看護の目的と目標を明確にしましょう。
看護の目的・目標は、患者の状態にあわせて設定するためです。

たとえば嚥下障害によって誤嚥が頻発し、食事を摂れなくなっている方を看護すると仮定します。
嚥下訓練の看護の目的・目標は次の通りとなります。

  • (目標1)誤嚥を防ぐ
  • (目標2)食事が摂れるようになり、栄養不足状態が解消される

観察計画

観察計画とは、観察によって得る情報を記したものです。
たとえば検査データ・バイタルサインなどの客観的な情報が該当します。

嚥下訓練の観察計画の例は次の通りです。

【目標1に対する観察計画】

  • バイタルサイン
  • 呼吸器の症状
  • 嚥下障害の状態・程度
  • 現在の食事の形態・量
  • 持病薬の有無

【目標2に対する観察計画】

  • 食事・水分摂取量
  • 体重の増減
  • 食事量
  • 食事に対する意欲
  • 現在の食事で困っていること
  • 基礎疾患の有無

援助計画

援助計画は、患者に対するケアの内容を記したものです。
例は次の通りです。

【目標1に対する観察計画】

  • 嚥下訓練の実施
  • 食事中の体位・姿勢の調整
  • 患者にあわせた食事の準備・介助
  • 訓練前後の口腔ケア
  • 誤嚥した場合の吸引

【目標2に対する観察計画】

  • 食欲をそそるような食事の準備
  • 食が進むような環境作り
  • 適切な体位・姿勢の保持

教育計画

教育計画は、患者本人・家族に対する指導の内容を記述したものです。
たとえば次のようなものがあります。

【目標1に対する観察計画】

  • 誤嚥のリスクの説明
  • 嚥下訓練・口腔ケアの必要性の説明
  • 嚥下訓練・口腔ケアの実施の同意を得る
  • 食事の内容・量を工夫する

【目標2に対する観察計画】

  • 食事が摂れないことで起こる低栄養のリスクの説明
  • 患者の嚥下機能にあわせた栄養補助食品の紹介
  • 栄養士と連携して食事の内容を工夫する
薬の使い方

嚥下訓練の看護に関する相談窓口

嚥下訓練の看護は繊細で難しいものです。
そのため、看護方法に迷う方も多いでしょう。

嚥下訓練の看護方法については、自治体の窓口に相談できる場合があります。
一般的な窓口は次の通りです。

  • 保健福祉課
  • 地域包括支援センター

自治体によっては、地域の医師会・歯科医師会・言語聴覚士と連携して摂食・嚥下の指導をしています。

たとえば、健康講座や嚥下訓練・口腔ケアのための講演会・指導会が代表的です。
嚥下訓練の看護をする方は、ぜひ積極的に講習会などに参加してみてください。

講習会の有無などを確認するためにも、自治体の窓口に相談してみましょう。
出典:厚生労働省【高齢者の口腔と摂食嚥下の機能維持・向上 のための取組に関する調査(4P参照)】

嚥下訓練の看護のまとめ

ここまで、嚥下訓練の看護についてお伝えしてきました。

嚥下訓練の看護の要点をまとめると以下の通りです。

  • 嚥下訓練の看護の内容は、患者の状態の観察・嚥下訓練の実施・口腔ケアなど
  • 看護のポイントは、意欲を持って取り組めるような訓練の実施・誤嚥時の対応など
  • 嚥下訓練の看護を相談したい場合は、地域の窓口に相談する

これらの情報が少しでも皆さまのお役に立てば幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。

監修者 メディカル・ケア・サービス

  • 認知症高齢者対応のグループホーム運営
  • 自立支援ケア
  • 学研グループと融合したメディア
  • 出版事業
  • 社名: メディカル・ケア・サービス株式会社
  • 設立: 1999年11月24日
  • 代表取締役社長: 山本 教雄
  • 本社: 〒330-6029埼玉県さいたま市中央区新都心11-2ランド·アクシス·タワー29F
  • グループホーム展開
  • 介護付有料老人ホーム展開
  • 小規模多機能型居宅介護
  • その他介護事業所運営
  • 食事管理
  • 栄養提供
  • 福祉用具販売
  • 障がい者雇用

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