食事をしたあとにげっぷが出るのは、誰でも経験したことがあるでしょう。
げっぷ自体は生理現象です。
しかし、頻繁に出たり、飲み込みにくかったりする場合は、要注意です。
もしかすると、何らかの病気が関係しているかもしれません。
本記事では飲み込みにくい、げっぷが出る症状について以下の点を中心にご紹介します。
飲み込みにくい、げっぷの原因とは
飲み込みにくい、げっぷの対処法とは
飲み込みにくい、げっぷで疑う病気とは
飲み込みにくいげっぷが出る症状について理解するためにもご参考いただけますと幸いです。
ぜひ最後までお読みください。
げっぷとは
私たちは、食事、会話、呼吸をするとき、無意識に空気を飲み込んでいます。
飲み込まれた空気は、胃や腸まで運ばれます。
飲み込んだ空気が胃の中にたまると、胃の上部が開き空気を出そうとします。
胃と食道をつなぐ下部食道括約筋、上部食道括約筋も一緒に開いてげっぷとなります。
また、胃や腸の空気が逆流しなかった場合、小腸から大腸に運ばれ、おならとして排出されます。
生活習慣などで空気の飲み込み量が多いと、自然とげっぷが頻繁に起こります。
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飲み込みにくい、げっぷが出る原因
飲み込みにくいげっぷが頻発する場合、どのようなことが原因になるのでしょうか。
原因として考えられるのが「食習慣」「加齢」「ストレス」「病気」です。
望ましくない食習慣
飲み込みにくいげっぷがよく出るという方は、食習慣に問題があるのかもしれません。
早食い
十分咀嚼せず、かき込むように食べる早食いは、げっぷが出やすくなる原因になります。
食べ物と同時に、大量の空気を飲み込んでしまうためです。
急いで丼物を食べる、ラーメンなどをすすりながら飲み込むとげっぷが出やすくなります。
食事量が多すぎる
早食いの人は、満腹中枢を刺激する前に多くの量の食べ物を飲み込みます。
食事の量が多過ぎると、胃の許容範囲をオーバーします。
胃が圧迫されるため、げっぷや飲みにくいといった症状の原因になります。
胃を圧迫する姿勢での食事
食事をするときに前かがみの姿勢で食事をしていないでしょうか。
たとえば、新聞や雑誌を見ながら食事をすると、どうしても身体が前かがみになってしまいます。
前かがみになると、胃を圧迫してしまうため、げっぷが出やすくなります。
アルコール過剰摂取
アルコールは、過剰に摂取すると胃酸分泌を促進させてしまいます。
さらに胃に滞留する時間が長いため、逆流を起こしやすくなります。
さらにアルコールは胃酸分泌を高めるのに加えて、下部括約筋を緩める働きがあります。
そのためげっぷが出やすく、さらに胃酸の逆流も誘発します。
喫煙
タバコに含まれるニコチンや一酸化炭素によって、血管が収縮し血行が悪くなります。
胃の血管も同じで、喫煙により血流が悪くなると、胃粘膜は酸欠状態になります。
この状態では、胃の消化機能も低下してげっぷが出やすくなります。
さらに喫煙によって胃と十二指腸が接する「幽門括約筋」の機能が低下します。
これは喫煙によって自律神経が乱れるからです。
十二指腸液や胆汁が胃に逆流して胸やけを起こすため、飲み込みにくい状態になります。
加齢
加齢に伴って筋力や機能が低下すると飲み込みにくくげっぷが出るという症状があらわれます。
下部食道括約筋の機能が低下する
胃と食道の間には「下部食道括約筋」があります。
下部食道括約筋は、食べ物が胃の中に入るとき以外は、食道を閉じる働きを担っています。
ところが、加齢によって機能が衰えると胃酸や胃液が逆流してしまいます。
そして、飲み込みにくい症状やげっぷの原因となります。
咽頭の位置が下がる
飲み込むことを嚥下運動といいます。
嚥下運動では、飲み込む瞬間に咽頭が素早く引き上げられ、同時に食道の入り口が開きます。
しかし、加齢によって咽頭を引っ張り上げる筋肉が衰えます。
40代くらいから咽頭の位置は徐々に下がってくるといわれています。
咽頭の位置が下がった状態だと、食道の入り口が十分に開きません。
そのため、飲み込みにくいといった状態になります。
食道裂孔ヘルニアになる
食道裂孔とは、食道を胃へと通すために横隔膜に開いた孔のことです。
下部食道括約筋は本来この食道裂孔にあるもので、括約筋によって胃液の逆流を防ぎます。
ところが、胃が上部にはみ出す状態(ヘルニア)になると、下部食道括約筋は、弛緩してしまいます。
このヘルニアは、加齢だけでなく肥満でも起こりやすく、げっぷの原因になります。
ストレス
げっぷは、食習慣や加齢だけでなくストレスにも深く関係しています。
緊張する場面が多い
緊張する場面が多いと、無意識のうちに大量の空気を飲み込んでしまいます。
そして、げっぷ、あるいは腹部の膨満感となってあらわれます。
これらの症状を「空気嚥下症」「呑気症」といいます。
常に緊張や不安にさらされ、精神的ストレスによって起こることが多いようです。
自律神経の乱れで交感神経が優位になる
胃をはじめ、消化器官の働きは自律神経によってコントロールされています。
ストレスが脳に伝わると交感神経が優位に立ちます。
すると、胃の血管を収縮させ、血流を減少させ、胃の粘液の分泌を減らします。
こうなると、胃粘膜の抵抗力が弱まって胃痛が起こり、飲み込みにくい症状やげっぷの原因となります。
病気
げっぷは、生理現象です。
しかし、飲み込みにくい症状やげっぷが続いた場合、何らかの病気が隠れているかもしれません。
飲み込みにくい症状やげっぷの症状が長く続く、他にも気になる症状があるときは、病院を受診しましょう。
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飲み込みにくい、げっぷが出るときの対処法
飲み込みにくい症状やげっぷに困ったら、生活習慣などを変えてみてはいかがでしょう。
生活習慣を整える
飲み込みにくい症状やげっぷは、生活習慣が深くかかわっています。
生活習慣を一度見直してみましょう。
ゆっくりよく噛んで食べる
早食いは、空気も一緒に飲み込んでしまうため、げっぷの大きな原因となります。
食事をするときには、ゆっくりよく噛んで食べることが大切です。
どんぶりをかき込むような食べ方はやめて、ひと口ずつ味わって食べる習慣を身につけましょう。
飲み物は一口ずつゆっくり飲む
飲み物も「一気に飲む」「すする」のは空気を一緒に飲むことになります。
味噌汁、スープ、お茶などは、ひと口ずつゆっくりと飲むことでげっぷを抑えることができます。
熱い飲み物は、どうしてもすすってしまいますから少し冷ましてから飲むといいでしょう。
炭酸飲料を避ける
炭酸飲料は、二酸化炭素を溶かした飲み物です。
胃の中に入ると、炭酸ガスを大量に発生させるため、胃の内圧が一気に上がりげっぷが出ます。
人前であまりげっぷができない状況では、炭酸飲料を避けることも対策のひとつです。
猫背にならないようにする
姿勢も飲み込みにくい症状やげっぷに関係しています。
前かがみの姿勢のままでいると、胃部が圧迫されます。
胃部の圧迫によって胃液が逆流しやすくなり、げっぷを引き起こします。
とくにパソコンやスマホを長時間使っていると、猫背になりがちです。
仕事中は、椅子に深く座り、背もたれに背中を付けるようにしましょう。
お腹を締め付けない服装をする
ベルト、コルセット、補正下着などお腹を締め付ける服装は避けるようにしましょう。
とくに女性は、ウエストを気にして締め付けの強い下着やファッションを好みます。
できるだけ締め付けの少ないゆとりのあるものにしましょう。
症状が辛いときは医療機関を受診する
飲み込みにくい症状やげっぷがいつも気になる・不快感やその他の症状も気になる。
そのような場合には、医療機関を受診しましょう。
薬の処方で楽になることも多くあります。
飲み込みにくい、げっぷが出るときの受診目安
飲み込みにくい症状やげっぷは、どのタイミングで病院を受診すればいいのでしょう。
食後のげっぷは心配しなくてよい
食事をしたあとのげっぷは、生理現象です。
食事と一緒に飲み込んだ空気が出ているだけなので、心配はいりません。
しかし、デートや会食のときのげっぷはマナー違反です。
生理現象とはいえ、できるだけ失礼のないように、食べ方や飲み方に注意しましょう。
げっぷの症状で悩んだら内科、胃腸科、消化器内科を受診
飲み込みにくい症状やげっぷの症状で悩んだら、病院を受診しましょう。
その場合の受診科は、消化器内科がおすすめです。
もし近くに消化器内科がなければ、内科、胃腸科でも大丈夫です。
頻繁にげっぷが出る場合は受診しよう
頻繁にげっぷが出る場合は、もしかすると精神的なストレスが原因かもしれません。
消化器内科で詳しく調べてもらい、異常がなければ心療内科を紹介してもらいましょう。
長期間げっぷが止まらない場合は受診しよう
長期間げっぷが止まらない、どんどん頻度が高まっているといった場合にも受診をしましょう。
他に症状がなくてもげっぷのことが気になって、ストレスになっている可能性もあります。
胸やけなど他の症状もある場合は受診しよう
飲み込みにくい症状やげっぷだけでなく、他にも気になる症状があった場合にも受診しましょう。
たとえば、胸やけ、便秘、胸部の痛み、喉の詰まりなどは、ほかの病気のサインかもしれません。
飲み込みにくい、げっぷの症状で疑う病気
飲みにくい症状やげっぷが長期間続くと、何か病気があるのではと不安になります。
どのような病気が考えられるのでしょう。
慢性胃炎
慢性胃炎は、胃酸を分泌している「腺」が萎縮していく胃粘膜の病気です。
ピロリ菌の感染が原因と考えられています。
そのほかにも、暴飲暴食、ストレスが考えられます。
慢性胃炎の症状としては、げっぷだけでなく、空腹時の胸やけ、食後のむかつき、もたれがあります。
慢性胃炎を放置しておくと、やがて胃潰瘍や胃がんへと進行するので、注意が必要です。
機能性ディスペプシア
機能性ディスペプシアは、以前は慢性胃炎と診断されることがほとんどでした。
しかし、現在は確かな異常は見つからないが、胃の動きに問題がある症状を機能性ディスペプシアと呼んでいます。
機能性ディスペプシアの症状は、げっぷや胸やけ、胃もたれ、痛み、膨満感などです。
原因として考えられるのは
- 胃腸の動きに問題がある
- 胃腸の知覚過敏
- 胃酸の過分泌
- ストレス
- 感染症
- ピロリ菌
- 生活習慣
などいろいろあります。
さらに複雑に絡み合っていることが多いようです。
良くなったり、悪くなったりを繰り返し、症状が安定しません。
逆流性食道炎
逆流性食道炎は、胃液と混ざり合った食べ物や胃液そのものが食道へと逆流する病気です。
食道は、強い酸性の胃液によってただれたり、潰瘍ができてしまうことがあります。
逆流性食道炎の原因は、食道と胃とを隔てている「下部食道括約筋」の筋力の低下です。
高齢者に多いとされてきた病気ですが、最近では若い方にも多くみられます。
その原因は、便秘です。
便秘によって腸からの圧迫を受けて、胃から食道への逆流が起こりやすくなるからです。
げっぷと一緒に酸っぱいものが込み上げてくる、食べ物が飲み込みにくいという症状があらわれます。
吞気症
普段からげっぷが多いという方は、もしかすると呑気症かもしれません。
呑気症は、知らず知らずのうちに空気を飲み込んでしまう病気です。
その原因はストレスです。
過度なストレスがかかると、生唾を飲み込むことはよくあることです。
緊張する場面が多くなればなるほど、唾を飲み込むと同時に空気も飲み込んでいます。
人間関係などでストレスの多い人、とくに女性がかかりやすい病気です。
呑気症の場合は、消化器内科を受診するとともに、心療内科などの助けも必要となります。
胃がん
胃がんは、日本では肺がんに次いで多いがんです。
胃の粘膜細胞が何らかの原因でガン化する病気です。
最近では、胃がんの原因はピロリ菌が関係していることがわかってきました。
日本人の50歳以上の70%がピロリ菌陽性者といわれています。
胃がんの初期症状は、胸やけやげっぷです。
進行すると、胃痛、飲み込みにくい症状などがあらわれます。
50歳を過ぎたら、内視鏡検査とともにピロリ菌の有無を調べ、除菌することをおすすめします。
胃不全麻痺
胃不全麻痺とは、胃が麻痺して動きが悪くなってしまう病気です。
胃の動きが鈍くなるため、長時間胃の中に食べ物をため込んでしまいます。
すると、食べ物から出たガスがたまって逆流し、頻繁にげっぷが出ます。
胃がなかなか空にならないため、膨満感や飲み込みにくいという症状もあらわれます。
胃不全麻痺の主な原因は、自律神経や胃に埋め込まれた神経の働きが鈍くなるためです。
胃不全麻痺では、胃に負担のかかる食事を改善することです。
ゆっくりと噛んで、胃に負担を与えないようにしましょう。
また1回に食べる量を少なくして、回数を増やすという方法もおすすめです。
胃、十二指腸潰瘍
潰瘍とは、皮膚や粘膜がただれて崩れ落ちてしまう症状です。
胃潰瘍は、胃液の中にある「塩酸」や「ペプシン」といった物質が胃の粘膜を消化してしてしまう病気です。
十二指腸潰瘍は、胃潰瘍と同じように粘膜が深くただれている状態です。
十二指腸潰瘍が進行すると腸に穴が開くことすらあります。
胃潰瘍、十二指腸潰瘍の大きな原因は、ストレスです。
そのため、生まれ持った性質に大きく関係しています。
神経質、几帳面、責任感が強いなど、ストレスをため込んでしまう人に多い傾向があります。
症状としては、酸っぱいげっぷをはじめ、胸やけ、口臭などがあります。
胃潰瘍は胃部、十二指腸潰瘍はみぞおち辺りに痛みがあります。
食道がん
食道がんのほとんどは、食道の粘膜からガン化が始まります。
進行しやすく、リンパ節に転移することが多いがんです。
食道がんでは、初期にはあまり自覚症状がありません。
気が付いたら、かなり進行していたというケースが多いようです。
食道がんの症状としては、多量のげっぷ、胸やけ、胸部の違和感などがあります。
食道がんの初期症状としては、熱いものやしょっぱいものがしみるように感じます。
また食道は直系2㎝とかなり狭いため、ガンが進むと食べ物が飲み込みにくいという症状があらわれます。
飲み込みにくい、げっぷが出る症状まとめ
ここでは、飲み込みにくい、げっぷが出る症状について紹介してきました。
要点を以下にまとめます。
飲み込みにくい、げっぷの原因とは、食習慣、加齢、ストレス、病気など
飲み込みにくい、げっぷの対処法は、早食いをやめ、姿勢をよくし、腹部を締め付けない
飲み込みにくい、げっぷで疑う病気とは「逆流性食道炎」「慢性胃炎」「呑気症」など
これらの情報が少しでも皆様のお役に立てば幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。