寒くて震えるのは体温を維持しようとする体の反応です。
また、冷え性と低体温症には違いがあります。
冷え性と低体温症は何が違うのでしょうか?
低体温症が起こる原因にはどのようなものがあるでしょうか?
本記事では低体温症について以下の点を中心にご紹介します。
- 冷え性との違いとは
- 低体温症の原因とは
- 低体温症の主な症状は
- 低体温症の予防方法とは
低体温症について理解するためにもご参考いただけますと幸いです。
ぜひ最後までお読みください。
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低体温症とは
低体温症について以下の3点をご紹介します。
- 冷え性との違い
- 低体温症の診断方法
- 低体温症になりやすい方
ぜひ参考にしてください。
冷え性との違い
冷え性と低体温症の違いは、深部体温の低下の有無にあります。
深部体温とは「体の内部の温度」のことです。
冷え性は血行が悪くなることで、手足などを中心に体が冷えた状態になります。
冷えの自覚症状はあるものの深部体温は正常なことが多い症状です。
自律神経の乱れにより、交感神経と副交感神経のバランスが崩れることで起こります。
一方、低体温症は深部体温が35℃以下になった状態のことです。
低体温症は気づかないまま進行し、体温の低下が続いて死に至ることもあります。
特に高齢者や小児、寒い環境で屋外作業をする方などは注意が必要です。
低体温症の診断方法
低体温症の診断には以下の2つを調べる必要があります。
- 体温の測定
- 他疾患の有無
体温の測定は、深部体温を測るため直腸用の体温計を使用し、直腸の温度を測ります。
従来型の体温計では、34℃未満の体温を測れないためです。
測定で体温が35℃以下に低下した場合、低体温症と診断されます。
また、他の病気(感染症や甲状腺機能低下症など)が原因になっていないかも調べます。
他疾患の有無については血液検査などの、他の検査が必要です。
低体温症になりやすい方
低体温症になりやすい方や、なりやすい状態は以下の通りです。
高齢者 | 小児 |
栄養不足や疲労 | 水分不足 |
神経疾患(糖尿病、脳梗塞名地)のある方 | 外傷のある方 |
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低体温症の原因
低体温症は以下のような環境や状態で起こります。
- 雪山などの特殊な環境下
- ストレス
- 極度の体重減
- 筋肉の減少
- 老化
- 甲状腺ホルモンの減少
それぞれ解説します。
雪山などの特殊な環境下
雪山遭難など寒い場所から移動ができずに動けない場合は、低体温症のリスクが高まります。
自ら体を動かして熱を産みだせないためです。
自力で熱を産みだせなかったり、熱が奪われやすい環境下では、深部体温が低下します。
結果、体温が維持できず、低体温症を引き起こすのです。
ストレス
ストレスは、低体温症を発症する原因になります。
低体温症は雪山遭難など特殊な環境以外でも、日常生活の中で起こることがあります。
ストレスで自律神経が乱れると、体に備わっている体温調節機能が働かなくなるためです。
極度の体重減
過度なダイエットや激しい運動などによる極度の体重減少は、低体温症の原因です。
極度の体重減少は体温を上げる働きの低下を招き、低体温症を発症する原因となります。
筋肉の減少
筋肉の減少も低体温症の原因となります。
極度の体重減少と同様に、筋肉の減少は体温を上げる働きを低下させるためです。
老化
老化による神経の働きの衰えは体温調節機能を低下させ、低体温症の原因となります。
体は寒さに対して震え(シバリング)で熱を産生し、体温を上げようとします。
しかし、老化は震えによる熱の産生量の減少や、体表面の血液の戻りを悪くします。
結果、低体温症を引き起こすのです。
甲状腺ホルモンの減少
甲状腺ホルモンの減少は、低体温症を発症する原因の1つになります。
甲状腺ホルモンの役割の1つに、体の新陳代謝を促し、熱を産生する働きがあります。
甲状腺ホルモンの減少は、熱を産生する働きを弱めるため、体温低下を招くのです。
低体温症の主な症状
低体温症の症状には様々なものがあります。
低体温症で死亡することもあるため、症状がでたら注意が必要です。
それぞれ解説します。
血行不良
低体温症の症状として、血行不良が挙げられます。
低体温症の原因の1つに、自律神経の乱れがあります。
自律神経が乱れると、血管が収縮して血液が十分に送りにくい状態になります。
血液が十分に送れないと血行不良になり、手足の冷えの症状としてあらわれるのです。
血圧上昇
低体温症で軽症(深部体温32〜35℃)の状態において、血圧上昇が起こります。
血圧上昇が起こるのは、体温の低下に対する反応として交感神経が緊張するためです。
消化不良
低体温症では消化不良の症状が起こります。
低体温状態では胃が冷えているため、動きが悪くなり消化不良を起こすのです。
食欲不振
低体温症では、食が進まない食欲不振状態になります。
消化不良と同様に、胃が冷えた状態となるため食欲不振が起こるのです。
体力の低下
低体温症になると体力の低下(疲れやすい)を起こします。
胃や腸などの内臓が冷えている状態になると、体に様々な不調が起こります。
疲れやすく活動的になれないなども、低体温症の症状のあらわれです。
代謝の低下
低体温症は代謝の低下も引き起こします。
低体温症で体力の低下が起こり、体を動かさなくなると基礎代謝が低下します。
基礎代謝の低下は、さらに体温の低下を招いてしまうのです。
集中力の低下
低体温症は集中力の低下を招きます。
低体温症で血行不良が起こると、体全体の細胞に届ける酸素や栄養が不足します。
酸素や栄養の不足は体全体の代謝機能を低下させ、集中力の低下を起こしてしまいます。
免疫力の低下
免疫力の低下も、低体温症の症状の1つです。
寒さなど身体的ストレスを受けると、脳からホルモンや神経伝達物質が分泌されます。
分泌したホルモンや神経伝達物質は、リンパ球や細胞の働きを低下させます。
結果、免疫力が一時的に下がってしまうのです。
低体温症の予防方法
低体温症の予防方法には、以下のものがあります。
- 適度な運動
- 入浴
- 食事
- 衣服などの防寒対策
それぞれ解説します。
適度な運動
低体温症の1番の原因は、運動量低下による筋肉量の減少です。
適度な運動により筋肉を鍛えることで、以下のような効果が得られます。
- 体温が上がり免疫力がアップする
- 基礎代謝を上げ、悪玉ホルモンを分泌する内臓脂肪をエネルギーに分解して減らす
適度な運動には以下のものがおすすめです。
- 1日30分以上のウォーキング
- スクワット
入浴
入浴は1日1回、シャワーですまさず必ず湯船につかるようにしましょう。
湯船につかることで、体温を上げられます。
入浴の時間は朝でも夜でも、また10分程度でもよく、毎日続けることが大切です。
食事
温かいものや、体温を上げる食べ物を積極的に摂るようにしましょう。
以下のものがおすすめです。
- 鍋料理
- しょうが、にんにくなど体を温める料理や食材
- 卵や納豆などタンパク質を多く含む食べ物
衣服などの防寒対策
防寒対策は室外だけでなく、室内でも必要です。
防寒対策には以下のようなものがあります。
- 暖房をつける
- 下着は吸汗性があり乾きやすいものを選ぶ
- 厚手の靴下やレッグウォーマー
- マフラーやネックウォーマー
低体温症になったときにやるべきこと
低体温症になったとき、症状に合わせた対応をとる必要があります。
震えが始まったときには、以下の対応をとりましょう。
- 地面に敷物をしく
- 風よけを設ける
- 濡れたものは脱いで毛布などにくるまる
- 保温のためなるべく厚着をする
- 帽子やマフラーで顔、首、頭の保温をする
- 栄養・水分補給
震えがないときでも、以下のような症状があればすぐに医療機関の受診が必要です。
- つじつまの合わないことをいう
- ふらつく
- 震えていたのに震えがなくなっている
- 意識がもうろうとしてきた
出典:厚生労働省【避難所生活を過ごされる方々の健康管理に関するガイドライン(10P参照)】
低体温症のまとめ
ここまで低体温症についてお伝えしてきました。
低体温症についての要点をまとめると以下の通りです。
- 冷え性との違いは、深部体温の低下の有無
- 低体温症の原因には、雪山遭難やストレス、体重や筋肉の減少、老化などがある
- 低体温症の主な症状は、血行不良、血圧上昇、食欲不振などがある
- 低体温症の予防方法には、適度な運動や入浴、体温を上げる食事、防寒対策がある
これらの情報が少しでも皆さまのお役に立てば幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。