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健達ねっと>健康お役立ち記事>食中毒>食中毒の症状と分類|家庭で食中毒を予防するためのポイント

食中毒の症状と分類|家庭で食中毒を予防するためのポイント

ときどき飲食店で食中毒による業務停止命令などが出ることがあります。
しかし、それは氷山の一角で、実は家庭でも食中毒が起こっているのです。
食中毒はどうやったら防ぐことができるのでしょうか。

本記事では食中毒について以下の点を中心にご紹介します。

  • 食中毒の症状にはどのようなものがあるのか
  • 食中毒には、どのような種類があるのか
  • 食中毒を予防するためには

食中毒について理解するためにもご参考いただけますと幸いです。
ぜひ最後までお読みください。

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食中毒とは

食中毒とは、食べ物や飲み物などに入った有毒・有害物質によって急性症状を引き起こすものです。
有毒・有害物質とは「細菌」「ウイルス」「寄生虫」「自然毒」「化学物質」などがあります。

ほとんどの場合、発熱や腹痛、下痢、嘔吐といった消化器官症状があらわれます。
しかし、重症になると脱水症状を起こし、心臓や腎機能障害などの合併症を引き起こすことがあります。
とくに幼い子どもや高齢者は、死に至る危険もあるため十分に注意しなくてはなりません。

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食中毒の症状

食中毒の症状は、原因となる細菌やウィルスなどによって違ってきます。

吐き気、嘔吐

食中毒の症状として、吐き気、嘔吐があらわれるのは「セレウス菌」です。
セレウス菌は、もともと土壌にいる細菌です。
セレウス菌の特徴は耐熱性があるため、加熱調理した料理を長時間放置したことで増殖します。

嘔吐型と下痢型があり、日本では嘔吐型の発生が多いのが特徴です。
食後30分~3時間後に発症し、吐き気と嘔吐を繰り返します。

腹痛、血性あるいは水様下痢、便秘

「腸管出血性大腸菌」は、病原性大腸菌の一種です。
感染力が強く、毒性の強いベロ毒素をつくります。
レバーや肉の生食が原因となり、焼き肉屋での食中毒としても知られています。
わずかな菌量で感染し、二次汚染や人から人への感染もしやすい菌です。

潜伏期間は4~9日です。
激しい腹痛、水溶性の下痢が続きます。
そして血便となり、重症化すると「溶血性尿毒症症候群」を引き起こし、死に至ることもあります。

発熱

発熱を伴う食中毒では「ノロウィルス」があります。
牡蠣などの二枚貝が原因であることも多く、冬に多く発生します。
また、感染者の嘔吐物などを触るなどすると、接触感染の恐れもあります。

潜伏期間は1~2日で、吐き気、嘔吐、腹痛のほかに発熱症状も見られます。
3日ほどで回復しますが、感染力が強いので二次感染には注意が必要です。

めまい、頭痛

食中毒でめまいや頭痛の症状があらわれるのは「カンピロバクター」によるものです。
下痢や腹痛、発熱に加えて、頭痛、めまい、筋肉痛などの症状があらわれます。
潜伏期間は、ほかの細菌性食中毒に比べてやや長く、1~7日程度です。
まれに感染後に多発性神経炎であるギラン・バレー症候群を発症することがあります。

けいれん、麻痺、痺れ

魚介類の中でもフグによる食中毒は有名です。
フグの食中毒では、食べてから20分~3時間ほどの短時間でしびれ、麻痺といった症状があらわれます。
麻痺は唇から始まり、全身に広がって、重症になると呼吸困難で死亡するケースもあります。

呼吸困難

ボツリヌス菌は、酸素のない状態を好みます。
食品に侵入すると、増殖して毒素を作り出し食中毒の原因となります。
12~36時間が潜伏期間で、発症すると吐き気や嘔吐が起こります。

さらにボツリヌス菌は、神経性の毒を産出します。
嘔吐、下痢に続いて、嚥下障害、四肢の麻痺、呼吸困難などがあらわれます。
ボツリヌス菌による食中毒では、呼吸筋麻痺での死亡例が多いのが特徴です。

昏睡

昏睡症状を起こす食中毒の原因として「キノコ中毒」があります。
キノコ狩りで採ったキノコを食べて、家族や配った先の家族が中毒を起こすことも珍しくありません。
キノコは、専門家でも毒キノコか食用キノコが見分けがつかないものです。

キノコの毒には、さまざまなタイプがあり、なかには重症化するものも少なくありません。
重症例では発熱、肝機能障害から痙攣に続き、昏睡に陥って死亡するケースもあります。

食中毒は大きく5種類に分類される

食中毒の原因には大きく分けて5種類あります。
種類によって対処方法も違ってくるので、注意が必要です。

細菌性食中毒

細菌が原因で引き起こされる食中毒で、とくに夏場に集中して発生します。
どのような細菌に感染したかによって「感染型」と「毒素型」に分かれます。

感染型

感染型は、腸管内で細菌が増殖することで発症します。
また、食べ物の中で細菌が増殖している状態で食べてしまったときに発症します。
代表的な細菌は「サルモネラ菌」「カンピロバクター」「腸炎ビブリオ」「病原性大腸菌」などです。

毒素型

毒素系には「生体内毒素系」と「食品内毒素系」があります。
生体内毒素系は、細菌が腸管内で増殖し、細菌が毒素を産出して食中毒症状を起こします。
代表的な細菌は「腸管出血性大腸菌」「セレウス菌」などです。

食品内毒素系は、食品内で細菌が増殖し、細菌が毒素を産出して食中毒症状を起こします。
代表的な細菌は「黄色ブドウ球菌」「ボツリヌス菌」などがあります。

ウイルス性食中毒

ウイルス性食中毒は、ウイルスが増殖している食品を体内に摂取したときに起こります。
食中毒を起こすウイルスのほとんどがノロウイルスです。
ノロウイルスは、感染力が非常に強く、感染者を媒介にして感染が広がっていきます。

さまざまな感染経路によって、予防していても、いつの間にか感染していたというケースが多い食中毒です。
細胞膜のないタイプのウイルスのため、アルコール消毒が効きにくい傾向があります。

自然毒食中毒

自然毒食中毒の原因の代表は「フグ」や「キノコ」です。
フグ毒は強力で、舌先や唇、指先といった末端の神経が阻害され、しびれが起こります。
さらに、頭痛や腹痛を伴うこともあります。

症状が進むと、嘔吐、言語障害、呼吸困難、血圧の低下などが起こります。
呼吸を司る神経が麻痺すると、死に至る危険があります。

化学性食中毒

有害な金属やヒ素などの摂取によって起こる食中毒です。
食品の加工や保存、流通などの過程で外部から混入するケースもあります。

化学性食中毒は、ほかの食中毒に比べて発生する件数は非常に少ないものです。
しかし、一度発生してしまうと大規模な事故に発展しかねません。
さらに死に至ることも多く、後遺症が残るケースもあります。

寄生虫

寄生虫による食中毒で代表的なものが「アニサキス」です。
主に魚類に寄生し、お刺身などの生食によって感染します。
長さ2~3ミリの糸状の寄生虫で、目で確認することもできます。

アニサキスの幼虫が生きたまま体内に入ると、胃壁や腸壁に潜り込みます。
症状としては、食後3~4時間経過したあたりから、激しい腹痛や嘔吐を引き起こします。

食中毒の原因になりやすい食べ物

食べ物の中には、とくに食中毒に注意したいものがあります。
取り扱いには十分注意しながら調理しましょう。

鶏肉|カンピロバクター

鶏肉は、さまざまな料理の食材として広く使われています。
家庭で生の鶏肉、あるいは加熱不十分の鶏肉によって食中毒も多く発生しています。
主な感染原因はカンピロバクターです。

鶏肉や鶏肉を調理する際に使った調理器具の不適切な扱い方によって、二次感染が起こることもあります。
生の鶏肉をほかの食材と接触させないことが大切です。
保存する際には、汁漏れがないようにしっかりと保存袋に入れるようにしましょう。

サバ、イカ、カツオなどの魚|サルモネラ

サバ、イカ、カツオなどの魚を生食すると、アニサキスによる食中毒の危険性があります。
アニサキスは寄生虫の一種で、魚介類に寄生します。

寄生している魚介類が死ぬと、しばらくして内臓から筋肉に移動します。
そのため時間が経った魚介類は、内臓を取っても身のほうに移動してしまいます。
それを知らずに、刺身などで食べると一緒にアニサキスの幼虫も口にしてしまいます。

予防法としては、できるだけ新鮮な魚介を選ぶことです。
また、丸ごと購入する場合には、すぐに内臓を取り除きます。
内臓はいくら新鮮だからといっても、生で食べないようにしましょう。
アニサキスの幼虫は目視できるので、見つけたら取り除きましょう。

牡蠣|ノロウイルス

牡蠣などの二枚貝を生食や十分に加熱せず食べた場合にも食中毒が発生します。
主な感染源はノロウイルスです。
感染している人の手などを介してウイルスが他の食品に感染することもあります。
ウイルスが付いた調理器具でも感染リスクがあります。

生牡蠣などは、免疫力が落ちているようなときには生で食べないようにしましょう。
食べるときには、中心部分を85℃、1分間加熱しましょう。

カレーやシチュー|ウェルシュ菌

ウェルシュ菌は熱に強く、100℃で6時間加熱しても死滅しません。
加熱したものが50℃以下になると繁殖を始め、40~45℃で最も増殖します。

このような性質をもつ食中毒の原因菌ですから、カレーやシチューなどの煮込み料理は注意が必要です。
予防方法としては「すぐに食べること」「すぐに冷ますこと」「再加熱を十分に」です。

チャーハン|セレウス菌

セレウス菌が原因の食中毒はチャーハン、オムライス、ピラフなどの米飯で起こります。
また、パスタなどの麺類にも注意が必要です。

セレウス菌は加熱しても菌が残って、その後に増殖してしまいます。
加熱したからといってチャーハンなどを長時間置かず、すぐに食べることです。
すぐに食べない場合は、冷蔵庫などで保管しておきましょう。

おにぎり|黄色ブドウ球菌

黄色ブドウ球菌が原因の食中毒は、ほぼ1年中発生しています。
とくに夏場には注意が必要です。
黄色ブドウ球菌は、人の皮膚にも存在している雑菌です。
そのため、おにぎりを握った手に黄色ブドウ球菌が付着していると、おにぎりの中で増殖します。

おにぎりを握るときには、手をよく洗うことです。
また、手に傷や湿疹がある場合には、おにぎりを握るのはやめておきましょう。
できるだけおにぎりは低温で保存し、早めに食べることで食中毒を防ぐことができます。

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家庭で取り組みたい食中毒の予防方法

家庭で食中毒を予防する方法として推奨されているのがHACCPという考え方です。
HACCPとはNASAが考案した宇宙飛行士のための食品安全基準です。
これを家庭でも取り入れやすくしたものが3原則と7つのポイントです。

食中毒予防の3原則

食中毒の3原則は「付けない」「増やさない」「やっつける」です。
それぞれ詳しく見ていきましょう。

付けない

食中毒の原因菌を付けないことです。
調理前には、しっかりと石けんで手を洗いましょう。
生の肉や魚を調理したあとは、まな板や包丁には細菌やウィルスが付着しています。
同じまな板や包丁を使って野菜などを切る場合には、しっかりと洗剤で洗いましょう。

焼肉などは、生肉をつかむ箸と食べる箸を別々にすることも大切です。
また、残った肉や魚はほかの食材に菌が付着しないように保存しましょう。

増やさない

細菌やウィルスが食品に付着すると、高温多湿などの条件によって増殖が活発化します。
食中毒の原因菌を増やさないためには、低温で保存することが大切です。
ほとんどの細菌類は、10℃以下で増殖スピードが落ち、マイナス15℃以下で増殖が抑えられます。

冷蔵庫に入れたからといって安心はできません。
できるだけ早く食べ、少しでもおかしいと思ったら廃棄しましょう。

やっつける

ほとんどの細菌やウィルスは、熱に弱いという性質があります。
生食はできるだけ避け、中心部を75℃以上で1分以上加熱することが食中毒を予防する方法です。

また、まな板や包丁などの調理器具、ふきんなども洗剤でよく洗います。
その後、熱湯で煮沸消毒、加熱殺菌をすると安心です。

家庭で注意すべき7ポイント

食中毒予防の3原則のもと、7つの具体的なポイントも紹介しましょう。

食品の購入

  • 生鮮食料品は、できるだけ新鮮なものを購入し、消費期限を確認しましょう。
  • とくに温度管理の必要な食品は、買い物の最後に購入しましょう。

食品の持ち帰り

  • とくに夏場などは、寄り道せずに持ち帰りましょう。
  • 持ち帰ったら、すぐに冷蔵庫や冷凍庫に入れるようにしましょう。

家庭での保存

  • 冷蔵庫や冷凍庫は詰め過ぎないように注意しましょう。
  • また、肉や魚などは、保存袋に入れて汁が他の食品につかないようにしましょう。

食品の下処理

  • 生の肉や魚を取り扱ったあとは、必ず手を洗ってから次の作業に移りましょう。
  • また包丁やまな板は、できれば肉用、魚用、野菜用と別々にすると安心です。
  • カット野菜も、雑菌が繁殖している可能性があります。
  • しっかり洗ってから使うようにしましょう。

調理のコツ

  • 加熱が必要な食材は、十分加熱するようにしましょう。
  • 料理を途中で中断する場合、そのまま室温に放置すると雑菌が増殖します。
  • 一旦冷蔵庫に入れて保管しましょう。
  • 電子レンジで温める場合は、温めむらのないように、時々かき混ぜるようにしましょう。

食事中の衛生管理

  • 食事前に手洗いをしましょう。
  • 温かいものは温かいうちに、冷たいものは冷たいうちに食べましょう。
  • 食べ終わったら、時間を置かずに冷蔵庫にしまうようにしましょう。

残った食品の扱い方

  • 食べ残した食品は、新しい器を使って保存しましょう。
  • できるだけ早く冷えるように、浅い容器に小分け保存するのがコツです。
  • 時間が経って、少し怪しいと思ったら、躊躇なく廃棄処分にしましょう。
薬の使い方

食中毒まとめ

ここでは食中毒について紹介してきました。
その要点を以下にまとめます。

  • 食中毒の症状は、吐き気、嘔吐、腹痛、下痢、発熱、けいれん、呼吸困難など
  • 食中毒には「細菌性「ウイルス性」「自然毒」「化学性」「寄生虫」がある
  • 食中毒を予防には「付けない」「増やさない」「やっつける」の3原則がある

これらの情報が少しでも皆様のお役に立てれば幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。

監修者 メディカル・ケア・サービス

  • 認知症高齢者対応のグループホーム運営
  • 自立支援ケア
  • 学研グループと融合したメディア
  • 出版事業
  • 社名: メディカル・ケア・サービス株式会社
  • 設立: 1999年11月24日
  • 代表取締役社長: 山本 教雄
  • 本社: 〒330-6029埼玉県さいたま市中央区新都心11-2ランド·アクシス·タワー29F
  • グループホーム展開
  • 介護付有料老人ホーム展開
  • 小規模多機能型居宅介護
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  • 食事管理
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  • 障がい者雇用

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