食中毒は下痢や腹痛、嘔吐などの症状が出ます。
病院で受診したいけれども、どんな検査をするのだろうと、心配する人もいます。
また、自分で検査キットを取り寄せて検査したいと考えている人もいます。
本記事では食中毒の検査方法について以下の点を中心にご紹介します。
- 食中毒の検査方法の一例と病院受診時の流れについて
- 食中毒の検査にかかる日数や費用の相場とは
- 個人的に食中毒の検査をする方法について
食中毒の検査方法を理解するためにもご参考いただけますと幸いです。
ぜひ最後までお読みください。
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食中毒とは
食中毒とは、食中毒を起こす原因となる細菌やウイルス、有毒な物質がついた食べ物を食べることによって、下痢や腹痛、発熱、嘔吐などの症状が出る病気のことです。
出典:農林水産省「食中毒の原因と種類:農林水産省」
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食中毒の検査方法
食中毒の原因を特定する検査方法を3つ説明します。
食中毒の原因はいろいろありますが、原因を特定できれば、その原因を取り除けます。
そのことによって、さらに被害が拡大することを未然に防げます。
食中毒細菌検査
厚生労働省の食中毒統計によると、食中毒事件の半分程度は、細菌が原因によるものです。
サルモネラ、黄色ブドウ球菌、腸管出血性大腸菌、腸炎ビブリオなどが原因となる細菌です。
細菌性食中毒検査では、寒天などの培地を使って細菌を培養し、目で見えるようにします。
培地とはその特定の細菌が繁殖しやすい環境を人工的に作ったものです。
培地に接種して細菌を適温で培養した後に分離培養をします。
分離培養した結果、食中毒菌であるか否かの結果を判定します。
ウイルス検査
食中毒の原因となる主なウイルスとしては、ノロウイルス、ロタウイルスがあります。
下痢症の場合には、細菌性食中毒のほかにウイルス性食中毒を疑います。
ウイルス性食中毒は微量の病原体で起こりうると考えられています。
そのため、患者が新たな感染源となり、次々と感染が拡大し集団感染を発生しやすくなります。
「ノロウイルス抗原検査」は、糞便中のノロウイルスを検査キットで検出するものです。
この検査は、結果が早く出るメリットがありますが、ノロウイルスに感染していても陽性とならない場合もあります。
より確実な検査方法として、ウイルス学的な診断があります。
電子顕微鏡法、RT-PCR法などの遺伝子を検出する方法で、患者の糞便や吐物からウイルスを検出する診断方法です。
寄生虫検査
サケ、タラ、サバなどの海産魚やイカなどを生食すると、アニサキスに感染することがあります。
どじょうやサワガニなどの淡水産の魚介類にも、寄生虫が付着している場合があります。
肉やレバーには、サナダムシの一種などの寄生虫が付着している場合があり、これらの食品を摂取することによって食中毒に感染します。
便のサンプルから寄生虫を検出できる専門キットで検査します。
この専門キットは、ウイルス、細菌、寄生虫が原因の胃腸感染症を同時にまとめて検査するものです。
専門キットで検出できない場合は、糞便培養検査や検便による寄生虫検査をします。
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病院での食中毒の検査
食中毒の症状には、軽度から重度までさまざまです。
もし次のような症状がある場合は、速やかに病院を受診しましょう。
- 嘔吐がひどく水も飲めない
- 血便や黒い便が出る
- 下腹部に強い痛みがある
- 息が苦しい
次に、病院での食中毒の検査についてくわしく説明します。
問診
診療では、まず問診をおこないます。
問診は原因を解明する上で、重要な手がかりとなります。
問診では、主に下記の事項を聞かれます。
- 食事の内容:刺し身や生の肉類などの生ものを食べたかどうか
- 食事をした時期:毒素やウイルスの種類によって発症する時期が違うため
- 食事を一緒にした人たちの状況
- 症状:便の回数、出血の有無、腹痛の程度、水分をとれるかなど
血液検査
感染が血液に広がった疑いのあるときは、血液検査をおこないます。
血液検査によって白血球の数値を確認し、細菌性食中毒なのかウイルス性食中毒なのかを判断します。
腹部レントゲン
腹痛が激しい場合には、腹部レントゲンを撮ります。
腸に穴が開いていないか、腸閉塞の状態になっていないかなどを確認するための検査です。
検便
下痢の程度がひどい場合は、検便で便中の毒素を検査することもあります。
また寄生虫の疑いがある場合も検便検査をします。
食中毒の検査にかかる日数と費用
次に食中毒の検査にかかる費用や日数について紹介していきます。
病院ごとにシステムなどは異なるので、あくまでも参考にはなりますが、以下にまとめます。
日数
細菌性食中毒検査 | ウイルス性食中毒検査 | |
検査キットの場合 | 遺伝子増幅法の場合 | |
当日~3日 | 20 分程度 | およそ2~3時間 |
費用
病院の場合(原則、自費診療) | 検査キットの場合 |
5,000~数万円 | 5,000~数万円 |
個人的に食中毒の検査をする方法
さまざまな専門業者から、食中毒の検査キットが販売されています。
例えば、ある業者は腸管出血性大腸菌、赤痢菌、サルモネラなどの検査をセットにした検便検査キットやノロウイルス検査用の検便検査キットです。
個人的に検査したい場合は、業者にその食中毒に適した検査キットを申し込みます。
すると、検体採取容器などの検査キットが送られてきます。
その説明書に基づき便を採取し業者に提出します。
おおよそ5日から10日後に、業者から検査結果が送られてくる仕組みです。
なお、病院での検査と比べると、検査結果の正確さに違いが出てくることがありますので、注意が必要です。
食中毒は初動調査が重要
厚生労働省は、「食中毒調査マニュアル」を策定しています。
その中で、食中毒の発生から報告の作成までの具体的な手順および初動調査の重要性について述べています。
さまざまな食中毒の中には集団感染する可能性があるものがあります。
被害の拡大を防止する上で、原因を特定するための初動調査がとても大切になります。
なぜなら時間の経過とともに、原因究明に必要な食品や環境等の検体が、散逸する恐れがあるからです。
そのため、できるだけ早期に食品等、糞便、吐物、患者の血液等を、もれなく収集し検査する必要があります。
したがって、食中毒の疑いがある場合は、速やかに医療機関で受診することをおすすめします。
出典:厚生労働省「食中毒調査マニュアル」
食中毒の検査方法のまとめ
ここまで食中毒の検査方法についてお伝えしてきました。
食中毒の検査方法を正しく知り、適切な検査・治療を受けていくことが大事になります。
食中毒の検査方法の要点をまとめると以下の通りです。
- 食中毒の検査方法には細菌検査、ウイルス検査、寄生虫検査がある
- 病院での食中毒の検査では問診、血液検査、腹部レントゲン、検便をおこなう
- 個人的に食中毒検査をするには専門業者から検査キットを取り寄せる
- 食中毒の種類によっては集団感染へと拡大するリスクがあるため、初動調査が重要
これらの情報が少しでも皆さまのお役に立てれば幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。