歯茎の痛み・腫れ・出血などがあると、歯周病や歯槽膿漏が疑われます。
ところで、歯周病と歯槽膿漏はどこが違うのでしょうか。
歯周病や歯槽膿漏が疑われる場合は、どのように対処したらよいのでしょうか。
本記事では、歯周病と歯槽膿漏について以下の点を中心にご紹介します。
- 歯周病と歯槽膿漏の違いとは
- 歯周病・歯槽膿漏のセルフチェック方法
- 歯周病・歯槽膿漏を放置するリスク
歯周病と歯槽膿漏について理解するためにもご参考いただけますと幸いです。
ぜひ最後までお読みください。
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歯周病と歯槽膿漏の違い
歯周病とは歯肉周辺に起こる炎症を総称したものです。
一方、歯槽膿漏は、歯周病の中でも特に症状が重い状態を指します。
つまり歯槽膿漏とは、歯周病のカテゴリーの1つです。
歯周病はもともと歯槽膿漏と呼ばれていました。
現在のように「歯周病」と呼ばれるようになったのは1968年からです。
歯周病には、次のような病気が含まれます。
- 歯肉炎
- 歯周炎
- 歯槽膿漏
出典:厚生労働省【歯周病 | Teeths | e-ヘルスネット(厚生労働省)】
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歯槽膿漏の原因は?
歯槽膿漏の原因は、歯肉組織で雑菌などが増殖するためです。
歯周病および歯槽膿漏の原因菌は700種以上とも指摘されています。
特に歯周病・歯槽膿漏と関係が深い細菌としては、次が指摘されています。
- アクチノバチルス・アクチノマイセテムコミタンス(A.A菌)
- プロフィロモナス・ジンジバリス(P.G菌)
- プレボテーラ・インテルメディア(P.I菌)
- スピロヘータ
歯周病菌が増殖する原因としては、次のようなものがあります。
- 不十分な歯磨き
- 唾液の分泌量の減少(ドライマウス)
- 免疫力の低下
不十分な歯磨きなどの習慣が続くと、口内にはプラーク(歯垢)が増えやすくなります。
プラークとは、簡単にいえば歯周病菌の巣のことです。
雑菌はプラークの中で増殖しながら、歯肉に炎症を引き起こします。
炎症によって歯肉や顎の骨が溶け、歯がぐらぐらする状態が歯槽膿漏に該当します。
30歳以上の約70%がかかっているといわれているのが歯周病です。歯ぐきの腫れや出血が気になるという方は、歯周病にかかっているかもしれません。歯周病は、口だけでなく全身の病気に関わる怖い病気です。本記事では歯周病について以下の[…]
歯周病はどのように進行していくのか
歯周病は、歯肉炎・歯周炎・歯槽膿漏の順番で進行していくことが一般的です。
歯肉炎は、雑菌の繁殖によって歯や歯肉の表面に炎症が起こっている状態です。
歯肉炎の症状は、次の通りです。
【歯肉炎の症状】
- 歯肉の赤み
- 腫れ
- 歯磨き時の出血
歯肉炎が進行すると歯周炎に至ります。
歯周炎は、炎症が歯肉の内部に及んだ状態です。
歯周炎になると、歯肉だけでなく歯を支える骨にまで炎症が広がります。
歯周炎の具体的な症状の例は次の通りです。
【歯周炎の症状】
- 歯茎の腫れ
- 歯がぐらぐらする
- 歯肉から血・膿が出る
歯周炎が悪化すると、歯槽膿漏に至ります。
歯槽膿漏は、いわば歯周病の最終段階です。
歯槽膿漏では、歯肉・歯を支える骨に深刻な炎症が起こっています。
具体的には次のような症状があらわれます。
【歯肉炎の症状】
- 歯肉の腫れ赤み
- 歯肉からの出血・膿
- 歯が抜ける
- 口臭
歯槽膿漏によって抜けた歯は、再び生えてくることはありません。
ご自身の歯を守るには、歯周病の初期である歯周炎の段階で手を打つことが大切です。
歯周病の自己チェック
歯周病のセルフチェック項目をご紹介します。
心当たりがないか、ぜひチェックしてみてください。
【歯茎の症状】
- 歯茎が赤く腫れている
- 歯茎が下がった
- 歯茎を押すと血・膿が出る
【歯の症状】
- 歯が浮いている
- 歯がぐらぐらする
- 歯が自然に抜けた
【口全体の症状】
- 口臭
- 起床後に口の中がネバネバする
- 歯磨き後に歯茎から出血している
当てはまる項目が多いほど、歯周病の疑いが強くなります。
歯周病は放置するほど歯へのダメージが大きくなります。
ご自身の歯を守るためにも、定期的にセルフチェックを行ってください。
気になる症状がある場合は、早めに歯科医院を受診しましょう。
出典:厚生労働省【歯周疾患の自覚症状とセルフチェック | e-ヘルスネット(厚生労働省)】
歯周病・歯槽膿漏、放置していたらどうなるの
歯周病や歯槽膿漏は、放置していても自然に治ることはほとんどありません。
放置すればするほど、症状はどんどん悪化していくと認識しておきましょう。
歯周病の初期段階であれば、セルフケアで進行を緩和できることもあります。
セルフケアとはたとえば丁寧な歯磨きが代表的です。
ただし、期待できるのはあくまで進行の「緩和」であり、完治ではありません。
歯周病・歯槽膿漏病を根本的に治すには、歯科医院で適切な治療を受ける必要があります。
歯周病は再発の恐れがある病気という点にも留意してください。
再発を防ぐには、治療完了後も丁寧な歯磨き・歯科医院でのメンテナンスを行うことが大切です。
歯周疾患の有病状況
厚生労働省の調査によると、2016年以降の歯周病有病者は増加傾向がみられます。
理由として、歯周病の発症リスクが高い「歯周ポケット(4mm以上)」の保有者が増えていることが挙げられます。
あわせて、歯周病関連の自覚症状がある方の数にも増加傾向がみられます。
歯周病関連の自覚症状とは、たとえば歯茎の痛み・腫れ・出血などです。
歯周病は世界的にみても患者数の多い病気です。
WHOの調査によると、各国での歯周ポケットの保有者数の割合は4~6割とされています。
世界と比べてみると、日本における歯周病有病状況は良好と考えられています。
出典:厚生労働省【歯周疾患の有病状況 | e-ヘルスネット(厚生労働省)】
歯周病と歯槽膿漏まとめ
ここまで歯周病と歯槽膿漏についてお伝えしてきました。
歯周病と歯槽膿漏の要点を以下にまとめます。
- 歯周病とは、歯肉炎・歯周炎・歯槽膿漏をまとめた呼び方
- 歯周病・歯槽膿漏のセルフチェック方法は、歯茎の状態・歯の状態・口臭の有無など
- 歯周病・歯槽膿漏を放置すると、症状がどんどん進行して歯が抜けるリスクがある
これらの情報が少しでも皆様のお役に立てば幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。