アレルギー性結膜炎とは、花粉やハウスダストが原因で結膜に炎症が起きる病気です。
アレルギー性結膜炎には、大きく分けて季節性アレルギー性結膜炎、通年性アレルギー性結膜炎があります。
アレルギー性結膜炎の原因や治療方法にはどのようなことがあるのでしょうか。
本記事では、アレルギー性結膜炎について以下の点を中心にご紹介します。
- アレルギー性結膜炎について
- アレルギー性結膜炎の原因と予防法とは
- アレルギー性結膜炎の治療方法とは
アレルギー性結膜炎のためにもご参考いただけますと幸いです。
ぜひ最後までお読みください。
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アレルギー性結膜炎とは
アレルギー性結膜炎とは、目の表面に花粉やほこりなどのアレルゲンが付着することで、結膜に炎症を起こすことをいいます。
結膜とは、まぶたの裏側の白目の部分を覆っている粘膜のことをいいます。
アレルギー性結膜炎のメカニズム
アレルギー性結膜炎は、アレルゲンによって起こる結膜の炎症です。
アレルギー反応は、一種の免疫システムの暴走です。
アレルギー反応が起こると、肥満細胞からヒスタミンなどの物質が放出されます。
ヒスタミンなどの物質は、目の知覚神経、毛細血管などを刺激して、かゆみや充血などの炎症症状を起こします。
本来は無害なものに対して体が反応して、異物として捉えて排除しようとすることでさまざまな症状が起きます。
アレルギー性結膜炎の特徴
アレルギー性結膜炎には、季節性アレルギー性結膜炎、通年性アレルギー性結膜炎の2種類があります。
症状としては、目がかゆい、ゴロゴロする、目やにが多いなどがあり、とくに目のかゆみが強いのが大きな特徴です。
季節性アレルギー性結膜炎は、決まった季節にのみ目のかゆみなどの症状がみられます。
ほとんどの場合、スギ、ヒノキなどの花粉が原因で起こります。
また、患者のおよそ7割がアレルギー性鼻炎も発症しているといわれています。
通年性アレルギー性結膜炎は、ダニ、ハウスダストなどが原因で起こる結膜炎です。
ダニ、ハウスダストなどは年間を通して存在しているため、一年中、症状がみられます。
さらに、ウイルス性結膜炎や細菌性結膜炎などの結膜炎は、ほとんどが急性や一過性で発症します。
しかし、アレルギー性結膜炎は、毎年同じ症状がみられたり、症状が長引いたりします。
アレルギー性結膜炎は、特定の物質に触ると症状が出るため、区別するポイントとなります。
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アレルギー性結膜炎の症状
アレルギー性結膜炎は以下のような症状がみられます。
- 目のかゆみ
- 目の充血
- 目の異物感
- 涙のようにサラサラした水状の目やにがでる
- 涙が出る
- まぶたの裏にぶつぶつができる
アレルギー性結膜炎の大きな特徴である目のかゆみは、瞼の裏側と白目の表面にある結膜が炎症することで起こります。
目のかゆみ以外には、涙が多く出たり、サラサラとした目やにを伴います。
また、白目がぶよぶよと腫れてしまうこともあります。
目の充血では、目の表面の血管が拡張することで目が赤く充血します。
充血には、結膜充血と毛様充血の2種類があり、結膜充血は白目の周りが赤くなります。
アレルギー性結膜炎での目の充血は、結膜充血により目が赤くなります。
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アレルギー性結膜炎の原因と予防法
アレルギー性結膜炎の原因と予防法には、どのようなことがあるのでしょうか。
以下でそれぞれ具体的にご紹介します。
季節性アレルギー性結膜炎
季節性アレルギー性結膜炎の原因には以下のようなものがあります。
- スギ花粉(時期1~5月)
- ヒノキ花粉(時期3~5月)
- カモガヤ花粉(時期5~7月)
- ブタクサ花粉(時期8~10月)
季節性アレルギー性結膜炎の原因が花粉の場合は、初期療法という治療が適用されます。
初期療法とは、症状が出る前に花粉治療を始めることで、花粉飛散のピーク時に症状が軽くなります。
毎年、花粉症がひどい方は、症状が出る前に眼科を受診するのがおすすめです。
また、抗アレルギー点眼薬は比較的副作用が少ない傾向にあります。
そのため、点眼薬を使用中は自己判断で中止せずに、眼科医の指示に従って使用しましょう。
季節性アレルギー性結膜炎の予防法は、普段の生活でできるだけアレルゲンに触れないことが大切です。
もし、花粉などのアレルゲンが目に入ったときは、防腐剤が入っていない洗眼薬で洗い流しましょう。
花粉対策では以下のようなことがあります。
- 外出時はメガネ、マスク、帽子を着用する
- 帰宅時に衣類や髪についた花粉を払い落とす
- 帰宅後は手洗い、うがい、洗顔を心掛ける
- 洗濯物、布団は花粉を払い落としてから取り込む
そのほか、目や目の周りを清潔に保つことも重要です。
しかし、水道水で直接目を洗うと、涙を流しすぎたり目を傷つけたりする恐れがあります。
雑菌が付きやすくなるため注意しましょう。
通年性アレルギー性結膜炎
通年性アレルギー性結膜炎の原因には以下のようなものがあります。
- ハウスダスト(チリ、ほこり、ダニ、カビなど)
- 動物の毛
薬物療法の治療では、抗アレルギー点眼薬が主に使われます。
抗アレルギー点眼薬を使用することで、日常生活に支障がでないように、かゆみなどの症状を軽減します。
重症の場合は、ステロイド点眼薬、免疫抑制点眼薬などを使用することもあります。
通年性アレルギー性結膜炎の予防法は以下のようなものがあります。
- 掃除機でこまめに掃除をする
- ほこりが溜まりやすい場所は、濡れ雑巾などで拭く
- たたみやじゅうたんはダニが繁殖しやすいため、床はフローリングにする
- 布団は天日干しをする
室内を綺麗にして、ほこりなどのハウスダストを取り除くことが大切です。
また、目に症状がある間はコンタクトレンズの使用を控えましょう。
そのほかのアレルギー性結膜炎
巨大乳頭結膜炎
巨大乳頭結膜炎は、コンタクトレンズやごみなどが原因で起こるアレルギー性結膜炎です。
巨大乳頭結膜炎の予防法には以下のようなことがあります。
- こまめなレンズケアで汚れを洗う
- コンタクトレンズの装用時間を短くする
- 1日使い捨てコンタクトレンズを使う
コンタクトレンズを使用していると、レンズにより涙の循環が悪くなってしまいます。
その結果、ごみなどの汚れが目の中に残りやすくなります。
また、適切なレンズケアがされていない場合、レンズが汚れてごみなどが付きやすくなります。
そのほか、防腐剤が入っている点眼薬を使用する場合は、コンタクトレンズを外してから点眼します。
また、防腐剤がコンタクトレンズに付着することがあるため、点眼してから10分以上経ってからコンタクトレンズを付けましょう。
春季カタル
春季カタルとは、通年性アレルギー性結膜炎が重症化したものをいいます。
主な原因は、通年性アレルギー性結膜炎と同じく、ダニ、ほこりなどのハウスダストがあります。
春季カタルは、5歳~学童期の男子に多くみられ、春に症状が重くなる傾向があります。
まぶたの裏に石垣のようなゴツゴツしたものがあらわれ、かゆみ以外に強い異物感を感じます。
春季カタルの予防法は、通年性アレルギー性結膜炎と同じく室内を清潔に保つことが大切です。
そのほか、ストレスを発散する、適度に運動をする、栄養バランスの良い食事を摂ることも有効です。
また、学童期に多い春季カタルは視力低下や眼痛が原因で、学校生活に支障をきたし、場合によっては不登校になることもあります。
目に症状がみられたら、早めに眼科を受診しましょう。
アトピー性角結膜炎
アトピー性角結膜炎は、アトピー性皮膚炎がある方にみられる慢性的な結膜炎です。
アトピー性角結膜炎は、アトピー性皮膚炎が原因で発症します。
しかし、アトピーがどのようなメカニズムで結膜炎や角膜炎を生じるかは、不明です。
また、体に皮膚炎が出ていない場合も、目の周りだけアトピー性の湿疹や皮膚炎を起こしていることもあります。
アトピー性皮膚炎があるから目にもアトピー性の症状が出るわけではなく、アトピー素因があるため目に症状が出ると考えられます。
アトピー素因がある場合、粘膜が弱くなっているので、治りにくく重症化することもあります。
一度治っても繰り返して症状が出ることが多いので、根気よく治療を続けることが重要です。
アレルギー性結膜炎の診断方法
アレルギー性結膜炎の診断方法は、問診や細隙灯顕微鏡を使用した検査から診断します。
細隙灯顕微鏡では、結膜上皮細胞を採取して、顕微鏡で好酸球がいるかどうかを調べます。
好酸球とは、アレルギーで出てくる炎症性細胞のことをいいます。
また、症状を起こす原因となるアレルゲンを特定する必要がある場合は、アレルギー検査を行います。
アレルゲンは採血にて特定することができ、アレルゲンを知ることで予防や治療の際に有益な情報が得られます。
アレルギー性結膜炎の治療方法
アレルギー性結膜炎の治療方法は、薬物療法が基本となります。
通常は抗アレルギー点眼薬を使用して、症状が改善されなければステロイド点眼薬を使用します。
また、春季カタルの治療でも基本は同じですが、症状が良くならない場合は免疫抑制薬の点眼を使用することがあります。
さらに、季節性アレルギー性結膜炎の場合は、花粉が飛散する2週間ほど前から抗アレルギー点眼薬を使用すると効果的です。
【年齢別】アレルギー性結膜炎の患者構成
喘息やアレルギー性鼻炎などのアレルギー患者は、全体的に若い方に多い傾向にあります。
しかし、結膜炎に関しては、ほかのアレルギー患者よりも高齢者の割合が大きくなっています。
高齢者に結膜炎が多い原因として、結膜弛緩症という疾患が考えられます。
結膜弛緩症とは、結膜がたるんでしまうことで異物感を感じたり、涙が出やすくなったりなどの症状を起こします。
結膜弛緩症はアレルギーがないにもかかわらず、涙が出やすくなったり、充血などの症状がみられることがあります。
そのため、結膜炎に関しては高齢者の割合が多くなっていると考えられます。
出典:厚生労働省「アレルギー疾患の現状等」
アレルギー性結膜炎のまとめ
ここまで、アレルギー性結膜炎の情報を中心にお伝えしました。
要点を以下にまとめます。
- アレルギー性結膜炎とは、目の表面に花粉などのアレルゲンが付着し、結膜に炎症を起こす
- 季節性アレルギー性結膜炎の原因は花粉、予防法は初期療法が有効
- アレルギー性結膜炎の治療方法は、抗アレルギー点眼薬を使用し、改善されなければステロイド点眼薬
これらの情報が少しでも皆様のお役に立てば幸いです。
最後までお読みいただきありがとうございました。