アレルギー性鼻炎の原因の多くは花粉によるものです。
花粉以外にも季節に関わらずアレルギー性鼻炎の原因になるものもあります。
アレルギー性鼻炎に効く薬にはどのようなものがあるでしょうか?
アレルギー性鼻炎薬にはどのような副作用があるでしょうか?
本記事ではアレルギー性鼻炎薬について以下の点を中心にご紹介します。
- アレルギー性鼻炎薬の種類について
- アレルギー性鼻炎薬の副作用について
- アレルギー性鼻炎薬の以外の治療法について
アレルギー性鼻炎薬について理解するためにもご参考いただけますと幸いです。
ぜひ最後までお読みください。
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アレルギー性鼻炎とは
アレルギー性鼻炎は、アレルギーの原因となる抗原によって起こるアレルギー疾患です。
アレルギーの原因となる抗原のことをアレルゲンといいます。
アレルギー性鼻炎はアレルゲンが鼻粘膜に侵入し起こる疾患で以下の症状を特徴とします。
- 鼻水
- 鼻づまり
- くしゃみ
アレルギー性鼻炎はアレルゲンの種類によって以下の2つに分類されます。
- 通年性アレルギー性鼻炎(ダニやハウスダストなど)
- 季節性アレルギー性鼻炎(花粉症)
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アレルギー性鼻炎薬の種類
症状の出方によって、選ぶアレルギー性鼻炎薬は主に以下の2つに分けることができます。
- 抗アレルギー薬
- 血管収縮薬
それぞれの薬の概要や効果についてご紹介します。
抗アレルギー薬
抗アレルギー薬はアレルギー性鼻炎の症状で鼻水やくしゃみ、鼻づまりに使用されます。
症状は抗原が鼻に入りアレルギー症状を引き起こす化学伝達物質によって変わります。
化学伝達物質の放出による症状の違いは以下の通りです。
- ヒスタミン:神経を刺激して鼻水やくしゃみが起こる
- ロイコトリエンなど:血管を刺激して鼻づまりが起こる
病型は人によって以下のように分類されます。
- くしゃみ・鼻漏型(くしゃみ・鼻水が強い人)
- 鼻閉型(鼻づまりの強い人)
- 充全型(全部の症状がある人)
抗アレルギー薬は多種類あり症状の起こり方によって選別、組み合わされて使用されます。
血管収縮薬
血管収縮薬は鼻づまりだけに効く薬です。
点鼻の血管収縮薬として使われ、以下のような特徴があります。
- 作用時間が短い(症状の改善が速い)
- 使い過ぎによる薬剤性鼻炎に注意が必要
花粉症や食物、動物など様々なアレルギーで困っている方は少なくありません。中には、自分に何のアレルギーがあるか知りたい方もおられるでしょう。また、アレルギーはどのような手順で調べるのか、気になることもあります。アレルギーの検査[…]
抗アレルギー薬の種類
アレルギー性鼻炎薬の抗アレルギー薬を以下に7つ挙げます。
抗アレルギー薬の期待できる効果や特徴についてそれぞれご紹介します。
抗ヒスタミン薬
第1世代抗ヒスタミン薬の概要、特徴、代表的な薬剤名を以下にまとめます。
【概要】
アレルギーを引き起こす化学伝達物質の1つであるヒスタミンの作用を抑える薬です。
【特徴】
- 鼻水、くしゃみに効果がある
- 鼻づまりには効果不十分
- 比較的安全性が高く市販薬にも用いられている
- 副作用(眠気、口の渇き、胃腸障害、めまい、頭痛など)あり
- 前立腺肥大、緑内障、喘息の方には使用不可
【代表的な薬剤名】
- ポララミン
- タベジール
第2世代抗ヒスタミン薬の概要、特徴、代表的な薬剤名を以下にまとめます。
【概要】
第1世代抗ヒスタミン薬の副作用を軽減したもので現在は第2世代抗ヒスタミン薬が主流になっています。
【特徴】
- 最も使用されている薬
- 第1世代抗ヒスタミン薬に比べ少ない副作用、高効果、持続性に優れている
- 抗ヒスタミン薬作用のほかの作用(鼻づまりなど)に効くのも多数あり
- 飲み薬のほか鼻噴霧用薬や点眼薬あり
- ほかの病気の薬との飲み合わせに注意が必要
【代表的な薬剤名】
- アゼプチン
- アレジオン
- アレロック
- ザジテン点鼻
- アレジオン点眼
遊離抑制薬
遊離抑制薬の概要、特徴、代表的な薬剤名を以下にまとめます。
【概要】
抗原抗体反応が起きてもマスト細胞から化学伝達物質(ヒスタミンやロイコトリエンなど)の遊離を抑える薬です。
マスト細胞(肥満細胞)は抗原と反応してアレルギー反応を起こす細胞です。
【特徴】
- 薬を連用することで改善率が上昇する
- 十分な効果が出るのに1~2週間かかる(効果がマイルド)
- 飲み薬のほか鼻噴霧用薬あり
- 副作用が比較的少ない
- 眠気がない
【代表的な薬剤名】
- リザベン
- ソルファ
- アレギサール
- ぺミラストン
- インタール点鼻
抗LTs薬(抗ロイコトリエン薬)
抗LTs薬(抗ロイコトリエン薬)の概要、特徴、代表的な薬剤名を以下にまとめます。
【概要】
鼻粘膜の炎症や鼻づまりを引き起こす化学伝達物質のロイコトリエンの働きを阻害する薬です。
【特徴】
- 主に鼻づまりに効果を発揮する
- 鼻水、くしゃみにも効果あり
- 眠くならない
- 副作用として吐き気や腹痛、胃部不快感、下痢などの症状があらわれる場合がある
- 頻度は極めて稀であるが血小板減少、肝機能障害の症状があらわれる場合がある
【代表的な薬剤名】
- オノン
- キプレス
- シングレア
抗PGD2薬(抗プロスタグランジンD2薬)
抗PGD2薬(抗プロスタグランジンD2薬)の概要、特徴、代表的な薬剤名を以下にまとめます。
【概要】
プロスタグランジンD2の働きを遮断し鼻水、くしゃみ、鼻づまりに効果があります。
また、トロンボキサンA2の働きを遮断し鼻づまりの症状を改善する作用もあります。
【特徴】
- 眠くなる成分は含まれていない
- 副作用として吐き気や腹痛、胃部不快感、下痢などの症状があらわれる場合がある
- 頻度は極めて稀であるが血小板減少、肝機能障害の症状があらわれる場合がある
【代表的な薬剤名】
- バイナス
TXA2薬(トロンボキサンA2薬)
TXA2(トロンボキサンA2薬)の概要、特徴、代表的な薬剤名を以下にまとめます。
【概要】
アレルギー性鼻炎を引き起こす物質の1つであるトロンボキサンA2の働きを遮断する薬です。
【特徴】
- 鼻水、くしゃみ、鼻づまりの症状を改善
- 眠くなる成分は含まれていない
- 副作用として吐き気や腹痛、胃部不快感、下痢などの症状があらわれる場合がある
- 頻度は極めて稀であるが血小板減少、肝機能障害の症状があらわれる場合がある
【代表的な薬剤名】
- バイナス
Th2サイトカイン阻害薬
Th2サイトカイン阻害薬の概要、特徴、代表的な薬剤名を以下にまとめます。
【概要】
アレルギーを引き起こす化学伝達物質の1つであるサイトカインの産生を抑制する作用をあらわします。
【特徴】
- 副作用として胃部不快感、吐き気、胃痛などがあらわれる場合がある
- 抗ヒスタミン薬に比べると眠気などの副作用は少ない
- 発疹、かゆみが出ることがあるが頻度は稀
【代表的な薬剤名】
- アイピーディ
鼻噴霧用ステロイド薬
鼻噴霧用ステロイド薬の概要、特徴、代表的な薬剤名を以下にまとめます。
【概要】
- 鼻に噴霧するタイプで強力な抗炎症作用のある薬
- 鼻水、くしゃみ、鼻づまりの3つの症状に高い効果あり
【特徴】
- 花粉症の全ての症状に対して効果が強い
- 鼻炎の初期から連用することで症状のピークを抑制できる
- 副作用が少なく眠気もでない
- 目の症状にも効果あり
【代表的な薬剤名】
- リノコート点鼻
- アラミスト点鼻
- ナゾネックス点鼻
- エリザス点鼻
アレルギー性鼻炎薬の副作用
アレルギー性鼻炎薬の副作用について以下の表にまとめます。
表は抗アレルギー薬の種類ごとに代表的な薬剤の主な副作用を示します。
【アレルギー性鼻炎薬の副作用】
抗アレルギー薬 | 代表的薬剤 | 副作用 |
抗ヒスタミン薬(第1世代) | ポララミン | 眠気、鎮静、口渇、下痢、発疹、光線過敏症など |
抗ヒスタミン薬(第2世代) | アゼプチン | 発疹、眠気、倦怠感、口渇、悪心、おう吐など |
遊離抑制薬 | リザベン | 吐き気、腹痛、胃部不快感、食欲不振、下痢など |
抗LTs薬 | オノン | 吐き気、腹痛、胃部不快感、頭痛、眠気、めまいなど |
抗PGD2薬/TXA2薬 | バイナス | 腹痛、頭痛、頭重、眠気、発疹、かゆみなど |
Th2サイトカイン阻害薬 | アイピーディ | 胃部不快感、吐き気、眠気、発疹など |
鼻噴霧用ステロイド薬 | アラミスト | 鼻出血、鼻の刺激感・疼痛・乾燥感など |
アレルギー性鼻炎薬以外の治療法
アレルギー性鼻炎薬以外の治療法について以下の3つを挙げます。
- 減感作療法
- アレルゲン免疫療法
- 手術療法
それぞれの治療法についてご紹介します。
減感作療法
減感作療法とは、抗原(アレルギーの原因物質)を身体に入れて抗原に慣らす治療法です。
抗原は少しづつ身体に入れて慣らしていきます。
薬物療法がアレルギー症状を抑えるのに対して、減感作療法は根治すことができます。
減感作療法はアレルゲン免疫療法ともいわれます。
アレルゲン免疫療法
アレルゲン免疫療法には以下のように皮下免疫療法と舌下免疫療法の2つがあります。
皮下免疫療法はアレルゲンの注射エキスを少量づつ皮下注射で入れていく方法です。
皮下免疫療法は100年以上の歴史があり世界で広く行われている治療法です。
舌下免疫療法は注射ではなく、アレルゲンのエキスを舌下に含むことで同様の効果を得られる治療法です。
日本では2014年より保険診療が開始されています。
皮下免疫療法と舌下免疫療法の特徴を以下にまとめます。
【皮下免疫療法】
- 効果の発現は遅く3年以上続ける必要がある
- 医療機関でのみ治療が可能
- 注射痛がある
- 薬液はハウスダストとスギの2種類
- スギの場合は花粉飛散時期にスタートできない
【舌下免疫療法】
- 効果の発現は遅く3年以上続ける必要がある
- エキスはスギとダニの2種類
- 口内のかゆみがでることがある
- 服用は症状に関わらず毎日
- スギの場合は花粉飛散時期にスタートできない
- エキスを舌下に1分間保持しその後飲み込むことができることが条件
手術療法
手術療法には以下のような治療法があります。
- 鼻腔レーザー照射術
- 粘膜下下甲介切除術
- 後鼻神経切除術
それぞれの特徴がありますが、治療法は病型や重症度に応じて選択されます。
ライフスタイルも考慮し医師とよく相談して決めることが大切です。
アレルギー性鼻炎薬のジェネリック薬
アレルギー性鼻炎薬のジェネリック医薬品をご紹介します。
ご紹介の医薬品はパナソニック健保の加入者の方がよく使われているものです。
- アレグラ錠
- アレロック錠
- クラリチン錠
- アレジオン錠
- エバステル錠
- オノンドライシロップ
- ジルテックドライシロップ
出典:【花粉症に効き目があるジェネリック医薬品(パナソニック健保加入者医薬品)】
アレルギー性鼻炎薬のまとめ
ここまでアレルギー性鼻炎薬についてお伝えしてきました。
アレルギー性鼻炎薬についての要点を以下にまとめます。
- アレルギー性鼻炎薬には抗アレルギー薬(抗ヒスタミンなど)や血管収縮薬がある
- アレルギー性鼻炎薬には眠気、吐き気、腹痛、胃部不快感、下痢、発疹などがある
- アレルギー性鼻炎には薬物療法以外にアレルゲン免疫療法や手術療法がある
これらの情報が少しでも皆さまのお役に立てば幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。