双極性障害を抱えている方は就業することに不安を感じているかもしれません。
双極性障害を抱えている方は、仕事を選ぶ際に障害の特性を考慮する必要があります。
そもそも双極性障害は仕事にどんな影響があるのでしょうか?
双極性障害の人に向いている仕事はどんなものでしょうか?
本記事では、双極性障害の人の仕事について、下記の内容を中心にお伝えします。
- 双極性障害の仕事への影響は?
- 双極性障害の人に向いていない仕事は?
- 双極性障害の人に向いている仕事は?
- 双極性障害の人の仕事選びで大事なことは?
双極性障害を理解するためにも参考にしていただけたら幸いです。
ぜひ最後までお読みください。
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双極性障害とは?
双極性障害は、躁状態とうつ状態を繰り返す病気です。
躁状態では、気分が高揚し、行動的になり、衝動性や不注意もみられます。
自分は偉い、すごいという自信とエネルギーに満ち溢れた状態で、人の意見を聞き入れるのが難しい状況です。
攻撃になることもあり、人間関係や社会活動でトラブルを生じやすくなります。
一方でうつ状態はなにもやる気が起きず、悲観的になるという対照的な症状が一般的です。
自信がなく仕事が進まない、朝起きられないなどの症状は、社会活動が難しくなる可能性もあります。
この2つの波は自分でコントロールするのは難しく、双極性障害は薬で治療していく必要がある病気です。
適切な治療を受け、薬を飲みながら落ち着いた状態を維持していけば、仕事や社会活動も可能になります。
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双極性障害の仕事への影響は?
双極性障害は病気の症状や薬の副作用が出た場合、仕事に影響が出る可能性もあります。
仕事を探す際は双極性障害の特徴を考慮しましょう。
どのような点が仕事に影響するのか、詳しく解説します。
躁状態の影響
躁状態になると下記のような症状が出ることがあります。
- 行動的になる
- いつもよりもよく喋る
- 人の意見を聞かなくなる
人に意見を聞かなくなるため、不特定の人とかかわる営業職や接客業だと、トラブルにつながりやすいといわれています。
また、チームで作業する場合に、下記のような行動に出ることがあり注意が必要です。
- 頼まれていない仕事をやってしまう
- 指示されたのと違うことをやってしまう
人によっては躁状態が出るとじっとしていることができず、座って作業する事務作業も苦痛に感じてしまうかもしれません。
うつ症状の影響
うつ状態は次の状態になりやすいです。
- やる気が起きない
- 作業が進まない
前向きな状態ではないので、ノルマの多い仕事は避けたほうが良いでしょう。
接客業や営業など人とかかわる仕事も、うつ状態では苦痛に感じてしまう可能性があります。
また、人によってはうつ状態のとき、騒がしい環境、人の声がストレスになってしまいます。
次のような職場は症状の悪化につながる可能性があり、避けたほうが良いかもしれません。
- 常に電話がなっているオフィス
- 工事現場
- お店などの人が出入りする環境
副作用の影響
双極性障害の薬によっては眠気の副作用が出る可能性があります。
眠気の副作用があるため、車の運転は避けたほうが良いでしょう。
双極性障害の治療に薬は不可欠なので、自己判断でやめることは危険です。
再発防止のためには定期的な通院も必要になるため、通院に理解がある職場を選ぶこともポイントになってきます。
双極性障害の人に向いていない仕事は?
双極性障害の人が向いてない仕事を紹介します。
どのような症状が出るのか、人によって異なりますが、参考にしてください。
躁状態の影響
躁状態では、活動的になるため問題行動がみられる場合があります。
一人の顧客とじっくり向き合い、常に適切なコミュニケーションをとる必要がある仕事はトラブルを招きやすく、避けたほうが良いかもしれません。
たとえばコンサルタントや不動産屋などの仕事は避けた方が良いでしょう。
看護や介護など他人のケアをする仕事も、相手の立場を思いやる行動が必要です。
躁状態で行動性や衝動性が高くなるという方は、向いていない可能性があります。
資格を持っている人は、できるだけ患者や利用者とかかわらない業務などを振ってもらうと良いでしょう。
うつ症状の影響
抑うつ状態では仕事に対しての意欲が低下するので、仕事に行くこと自体が難しくなる場合があります。
特にノルマや締切が厳しい会社だと、仕事に追われ、症状の悪化につながる可能性も考えておいた方が良いでしょう。
接客や営業の仕事など、人と接する仕事はストレスにつながるので避けたほうが無難です。
臨機応変に対応することも難しくなる傾向にあります。
状況が変わりやすい仕事もできるだけ避けましょう。
副作用の影響
薬の副作用で眠気が出るという方は、車の運転は避けましょう。
車の運転をする仕事には下記のものがあります。
- タクシー運転手
- 運送業
- 幼稚園、学校などのバス送迎
- 高齢者、障害者施設の送迎 など
眠気以外にも、吐き気や下痢などの症状が出る人もいます。
休憩ができない、トイレに行けないというような仕事は万が一に備えて避けたほうが良いでしょう。
自分にどのような副作用が出るのかがわかっている場合は、副作用が出たときに対処可能な職場を選ぶと安心です。
双極性障害の人に向いている仕事は?
双極性障害の人は、他者と接する時間が短く、ノルマの少ない職業がおすすめです。
具体的に働きやすい職場には次のようなものがあります。
- 清掃業
- スーパーのレジ
- 工場でのライン作業など
黙々と取り組めるものが働きやすいといえます。
会社の事務はノルマがなく、電話の応対や複雑な対応が少ない職場を選びましょう。
在宅で仕事量を調整しながらできる仕事であれば、職場内のストレスもなく、自分の体調に合わせて仕事をこなすことができます。
しかし、在宅環境だと自分で仕事をコントロールするのが難しい場合もあるので注意が必要です。
サポートを受けられる環境だと安心して仕事ができます。
積極的に障害者雇用を行っている会社や障害者の通所施設は、病気や障害への理解度も高いです。
事前に病気であることを伝えやすく、働きやすい環境といえます。
双極性障害の人の仕事選びで大事なことは?
双極性障害の人が仕事を選ぶ際のポイントをご紹介します。
仕事選びで役立つ就労サービスもあわせて参考にしてください。
仕事選びのポイント
仕事を選ぶ際のポイントは、職場環境と仕事内容です。
多少複雑で向いてないとされる仕事の場合、職場の人の病気への理解や支援体制を確認しましょう。
病気への理解や支援体制によっては問題なく働くことができます。
反対に支援体制があまり整っていなくても、負担の少ない仕事内容であれば一人でこなすことができるかもしれません。
しかし労働者として雇ってもらう以上、やはり職場の理解は必要になります。
治療のための通院は先延ばしにしたり、途中でやめることができません。
通院のために休むことができるか確認が必要です。
双極性障害の病気自体は、必ず伝えなければいけないわけではありません。
事前に伝えておけば、通院や体調が悪化した時の休みが取りやすくなります。
困ったときやつらい時のサポートや、問題行動が出てしまった際の理解も得られやすくなります。
仕事選びで役立つ就労サービス
双極性障害など精神疾患を持つ人の職場復帰に向けて、さまざまな場所でリワークプログラムが実施されています。
リワークプログラムでは下記のものが行われます。
- 通勤を想定した訓練
- 実際の仕事内容に近い作業
- 再発しないための疾病教育
- 認知行動療法などの心理療法
プログラムの初期には、集団生活に慣れるためのレクリエーションなどが行われる場合もあります。
過去に休職した経験がある人は、その当時の働き方や考え方を振り返ってみましょう。
同じ状況をつくらないように準備をしていくことが大切です。
リワークプログラムは次のような場所で行われています。
- 医療機関
- 各都道府県に1か所設置されている地域障害者職業センター
- 一般企業
働いていなかった期間が長ければ長いほど、再就職への不安が大きくなる傾向があります。
リワークプログラムで職場復帰のための準備をしておくと、就業への不安が軽減できるでしょう。
精神・発達障害者しごとサポーターとは?
精神・発達障害者しごとサポーターを知っていますか。
認知度はあまり高くありませんが、障害者が安心して自分らしく働くために、とても重要な存在です。
具体的にどのような役割を担うのか、詳しくみていきましょう。
精神・発達障害者しごとサポーターとは?
精神・発達障害者しごとサポーターは、「障害者と共に働くことが当たり前の社会を目指して」厚生労働省が推進しているものです。
具体的には、下記のような人のことを指します。
- 精神・発達障害についての正しい知識と理解を持っている人
- 精神・発達障害者を温かく見守る人
上記2つを踏まえて、精神・発達障害者を支援する応援者=「精神・発達障害者しごとサポーター」と定義されています。
サポーターになるためには養成講座の受講が必要です。
精神・発達障害者しごとサポーターの取り組みにより、障害のある人が1人1人の特性を踏まえて社会で活躍できるように支援していくことが期待されています。
精神・発達障害を持つ人を雇おうとしている人が精神・発達障害者しごとサポーターとなる目的は次の通りです。
- 病気や障害の特性を知ること
- 病気や障害への適切なかかわり方や対応を知ること
職場全体に病気や障害への理解を広め、皆が安心して仕事ができる環境を作ります。
どんなことをしているの?
精神・発達障害者しごとサポーターは、特別な資格でも、仕事でもありません。
病気や障害を持つ人の「応援者」という立場です。
精神・発達障害者しごとサポーターに重要な任務が与えられたり、特別な役割を担っていたりということはありません。
全国で行われている精神・発達障害者しごとサポーター養成講座を受講することで、誰でもサポーターになれます。
講座内容は病気や障害の知識や対応に関する講義と質疑応答です。
2時間程度となっているので、気軽に受講できます。
同じ病気や障害でも、その人の性格によってかかわり方は異なります。
まずは病気や障害を正しく理解するということが、相手との距離を縮めるための第一歩です。
病気や障害があっても働きたいという気持ちを応援し、同じ環境で働く仲間として障害者を迎えるために、今後も精神・発達障害者しごとサポーターが増えていくことが期待されます。
双極性障害の人の仕事のまとめ
ここまで双極性障害の人の仕事についてお伝えしました。
双極性障害の人の仕事についてまとめると以下の通りです。
- 双極性障害は躁状態、うつ状態、薬の副作用により、仕事への影響が異なる
- 双極性障害の人は接客、営業、多忙な仕事は不向き
- 双極性障害の人には、ノルマや残業の少ない仕事が向いている
- 病気や通院への理解があり、仕事量や内容を調整できる仕事を選ぶのがポイント
これらの情報が少しでも皆様のお役に立てたら幸いです。
最後までお読みいただきありがとうございました。