アレルギー性紫斑病とは、アレルギー反応により血管に炎症が起こる病気です。
アレルギー性紫斑病は、マイコプラズマなどの感染症や薬剤アレルギーが原因で発症します。
では、アレルギー性紫斑病にはどのような治療方法や検査があるのでしょうか。
本記事では、アレルギー性紫斑病について以下の点を中心にご紹介します。
- アレルギー性紫斑病の主な症状について
- アレルギー性紫斑病の検査方法とは
- アレルギー性紫斑病の治療方法とは
アレルギー性紫斑病について理解するためにもご参考いただけますと幸いです。
ぜひ最後までお読みください。
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アレルギー性紫斑病とは
アレルギー性紫斑病とは、アナフィラクトイド紫斑病、血管性紫斑病、ヘノッホ・シェーンライン紫斑病という病気と同じ病気です。
2012年の国際学会でIgA血管炎と呼ばれることになりました。
アレルギー性紫斑病は、マイコプラズマなどの感染症や薬剤アレルギー、その他の原因で発症します。
アレルゲンにより作られたIgAの免疫複合体が、毛細血管などの血管の壁に付着することで発症します。
アレルギー性紫斑病は子どもに多くみられる病気です。
アレルギー反応により血管に炎症が起こり、血液が血管からもれやすくなります。
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アレルギー性紫斑病の主な症状
アレルギー性紫斑病の主な症状には
- 皮膚症状
- 消化器症状
- 関節症状
- 腎症状
などがあります。
それぞれ具体的にご紹介します。
皮膚症状
皮膚症状は98%以上の患者にみられる症状です。
しかし、最初に出る症状としては約70%となっています。
紫斑は少し盛り上がり赤紫色~青紫色の斑点が、下肢、臀部に左右対称にみられます。
見た目はアザというより何かの発疹のようにみえます。
多くの場合、かゆみを伴います。
紫斑がひどくなると水ぶくれを起こしたり、ただれたりすることもあります。
消化器症状
消化器症状では、腹痛が初期症状として最も多く、およそ40~70%の方にみられます。
吐き気は約22%、肉眼的血便は約16%の方にみられます。
腸管の血管が弱くなることでむくみを起こし、腸重積や腸閉塞を合併することもあります。
腸重積や腸閉塞になると激痛を伴います。
痛みは持続して繰り返し起こり、痛みの激しさから盲腸と間違われることもあります。
足に紫斑がある場合、診断は比較的簡単ですが、初期の腹痛のみの症状の場合は、数日後でないと正確な診断ができないこともあります。
関節症状
関節症状では、関節痛や関節の腫れがみられることが多いです。
また、膝関節にはあまり症状がみられません。
初期症状が関節痛のみの場合は、最初に整形外科を受診する方が多いのではないでしょうか。
しかし、整形外科でレントゲンを撮っても正確な診断に至らないことがあります。
小児科を受診して、アレルギー性紫斑病と診断されるということもあります。
腎症状
腎症状では、診察時に検尿で尿潜血がみられる率は40%以下となっています。
しかし、数日後に20~60%の方に血尿や尿蛋白など尿に異常がみられます。
通常は、紫斑の発症から1~3週間後に腎炎を発症します。
皮膚症状はすぐにわかりますが、腎症状は検尿しないとわかりません。
そのため、アレルギー性紫斑病と診断されたら継続的に尿検査をする必要があります。
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アレルギー性紫斑病の原因
アレルギー性紫斑病の原因ついては詳しいことはわかっていません。
しかし、最も多く疑われるのがウイルスや細菌による感染症です。
原因となるウイルスや細菌は
- キャンピロバクター
- マイコプラズマ
- レジオネラ
- パルボウイルス
- B型肝炎ウイルス
- アデノウイルス
などが考えられます。
さらに、抗生物質をはじめとする薬や、牛乳、卵などの食べ物、虫刺されなども発症原因とされています。
感染症やアレルギー性のある薬、食べ物などの影響で異常な免疫反応が起こります。
免疫反応が起こると過度な炎症が起きて、血管が障害されると考えられます。
アレルギー性紫斑病の検査方法
アレルギー性紫斑病の検査方法には
- 血液検査
- 尿検査
- 腹部エコー(超音波)検査
- 細菌検査
などがあります。
それぞれ具体的にご紹介します。
血液検査
血液検査では、おおむね正常値を示します。
腎炎がある場合は腎機能に異常がみられます。
また、血小板の減少や機能の異常、貧血、白血球の異常な増加などがある場合、血液系の病気の可能性があります。
詳しい検査をすると、毛細血管抵抗試験で陽性が出たり、凝固第XIII因子の活性低下などがみられたりすることがあります。
さらに、A群β溶血性連鎖球菌感染症後にアレルギー性紫斑病の発症した場合、抗ストレプトリシンO抗体と抗ストレプトキナーゼ抗体の上昇がみられます。
尿検査
腎炎を合併している場合、血尿や尿蛋白が認められる可能性があります。
また、ミオグロビン尿は認められません。
腹部エコー(超音波)検査
激しい腹痛があるときは、他の病気がないか腹部エコー検査で確認します。
激しい腹痛があると盲腸炎と間違えやすいですが、腹部エコーをすることで確かめられます。
また、アレルギー性紫斑病は腸管のむくみや腸重積、腸閉塞などを合併することもあるので、腹部エコーで確認できます。
細菌検査
アレルギー性紫斑病では、A群β溶血性連鎖球菌と関連があるため、体内に菌がいないかどうか調べます。
また、体内に菌があった場合は、ペニシリン系の抗生物質で除菌を試す必要があります。
1~4週間ほど前に発熱などで抗生物質を服用した方では、A群β溶血性連鎖球菌がいなくても抗原検査で菌がみつかることがあります。
アレルギー性紫斑病の治療方法
アレルギー性紫斑病はほとんどの方で軽症の場合、安静と対症療法のみで自然に治癒することがあります。
関節痛、腹痛、腎炎などがあり日常生活に支障がでるときは治療を行います。
しかし、根本的な治療方法は見つかっておらず、症状を和らげる対症療法が基本です。
アレルギー性紫斑病は予後が良好な疾患であり、症状は繰り返しますが自然治癒することが多くみられます。
まれに、数年後に症状があらわれたり、腎機能の低下がみられたりすることがあります。
関節痛があるときはアセトアミノフェンなどの痛み止めの薬を使用することが多いです。
関節や腹部の炎症が重症の場合、抗炎症作用のあるステロイドを使用することもあります。
嘔吐や腹痛の症状が強く食事が摂れない場合は点滴をして、腸に潰瘍があるときは抗潰瘍薬を使用することもあります。
また、血液凝固に関係する物質が低下しているときは、補充療法が検討されることもあります。
さらに持続的に尿蛋白や高血圧が認められるときは、紫斑病性腎炎を合併している恐れがあります。
紫斑病性腎炎が合併したときは専用の薬を用いて治療を行いますが、5~10%ほどは慢性腎炎になっています。
重症化した場合、ネフローゼ症候群や慢性腎不全になることもあり、小児腎臓専門医による治療が必要です。
治療が長期化するときは「小児慢性特定疾患」として医療費の助成を受けられます。
小児慢性特定疾患の女性の条件や手続きについては、お医者さんと相談しましょう。
インフルエンザワクチンの副反応による発症
とてもまれですが、アレルギー性紫斑病はインフルエンザワクチンの副反応によって発症することがあります。
インフルエンザワクチンの副反応は、一般的には軽いです。
たとえば、注射した部分が赤くなる、腫れる、熱っぽくなる、痛くなるなどがあります。
しかし、通常は2~3日で良くなります。
インフルエンザの予防接種によりインフルエンザの感染予防をしたり、症状を軽くできます。
また、インフルエンザによる合併症や死亡を防ぐことが期待されます。
しかし、副反応の症状があらわれた場合は、すぐに病院へ受診しましょう。
アレルギー性紫斑病のまとめ
ここまで、アレルギー性紫斑病の情報を中心にお伝えしました。
要点を以下にまとめます。
- アレルギー性紫斑病の主な症状には、下肢などに左右対称に紫斑がでるなど
- アレルギー性紫斑病の検査方法には、血液検査、尿検査、腹部エコー検査、細菌検査など
- アレルギー性紫斑病の治療方法には、軽症の場合は安静にして対症療法をするなど
これらの情報が少しでも皆様のお役に立てば幸いです。
最後までお読みいただきありがとうございました。