低体温症は日常生活の中で起こることも少なくありません。
低体温症を放置すると命に関わることもあるため、十分に注意することが大切です。
それでは、低体温症を疑うべき症状とはどのようなものなのでしょうか。
本記事では、低体温症の症状のチェックについて以下の点を中心にご紹介します。
- 低体温症の症状のチェック方法
- 低体温症のレベル別のチェック方法
- 低体温症の応急処置
低体温症の症状のチェックについて理解するためにもご参考いただけますと幸いです。
ぜひ最後までお読みください。
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低体温症とは
そもそも低体温症とはどのような症状なのでしょうか。
まずは低体温症について基本的な情報をチェックしてください。
低体温症は何度から?
低体温は35℃台を指すことが一般的です。
女性の場合は、基礎体温のうち高温期に入っても36.5℃に届かない場合は低体温症が疑われます。
深部体温が通常よりも低い状態
低体温症とは単純に体温が低いのではなく、深部体温が極端に低い状態を指します。
具体的には深部体温が35度を下回ると低体温症が疑われます。
深部体温とは身体の内部の温度のことで、具体的には内臓・脳の体温を指します。
治療が必要
低体温症と診断された場合は早急な治療が必要です。
低体温症は単なる低体温と異なり、放置すると命を落とす可能性があるためです。
低体温症の主な治療法は身体を温めることです。
衣服が濡れている場合は静かに脱がせ、毛布などで身体を温めましょう。
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低体温症の症状のチェックのポイント
低体温症は放置すると命に関わることもあります。
低体温症による危機を回避するには、早期に低体温症の症状に気づくことが大切です。
ここからは低体温症の症状のチェック方法をご紹介します。
ぜひセルフチェックに役立ててください。
意識の低下
低体温症を診断するときは、意識の低下の有無をチェックしてみてください。
具体的な症状は次の通りです。
- 頭がボーッとする
- 周囲の呼びかけに反応しなくなる
- 記憶力が低下する
- 意識がなくなる
意識の低下がある場合は、低体温症がかなり進行している可能性があります。
意識の低下スピードは個人差がありますが、徐々に意識がもうろうとし、最終的に昏睡にいたるケースが多いです。
意識を失うと、寒い場所から移動できず、そのまま凍死する可能性もあります。
体温が急激に下がる
低体温症をチェックするには、体温の急激な低下を確認しましょう。
深部体温が36度を下回った場合は、低体温症が強く疑われます。
深部体温を測るには、肛門や膀胱に体温計を図る方法があります。
脇下の体温は加熱などで変動しやすいため、低体温症の目安としてはやや不適です。
脱衣行為を行う
低体温症をチェックする際は、脱衣行為の有無に注目してみてください。
寒いはずなのになぜか自発的に服を脱ぐ場合は、低体温症が疑われます。
脱衣を行うのは、低体温症のために温度感覚が麻痺して「暑い」と感じるためと考えられています。
指先が紫色や白色になる
低体温症になると指先や足先の色に変化がみられます。
たとえば指先が紫・白色になった場合は低体温症が疑われます。
指先の変色の理由は、低体温症によって血流が悪化し、末端に血液が行き届かなくなるためです。
筋肉が震える
筋肉の震えは低体温症の初期に起こりやすい症状です。
震え症状が起こる理由は、筋肉を動かすことで熱を生み出そうとしているためです。
震え症状が出やすいのは骨格筋です。
低体温症によって骨格筋が震える症状はシバリングと呼ばれています。
シバリングは、低体温症が進行すると止むことが一般的です。
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低体温症の症状のチェックによる温度の違い
低体温症は、深部体温によって軽症・中等症・重症の3つに分類されます。
それぞれの目安・注意点をご紹介します。
軽度の低体温症
軽度の低体温症の目安は深部体温が32~35℃です。
軽度の低体温症を代表する症状はシバリングです。
軽度の低体温症はセルフケアでも改善できる場合があります。
毛布・タオルなどを使って身体を温めましょう。
中度の低体温症
中度の低体温症の目安は深部体温が28~32℃です。
低体温症が中度に進むと、シバリングは止むことが一般的です。
かわりに、動作の鈍化・意識の低下などの症状がみられるようになります。
中度の低体温症の場合は身体を温めることが大切です。
ただし、温め方には十分に注意してください。
四肢を温めたり、急激な熱を加えたりすると、血圧が急激に下がることがあるためです。
身体を温めるときは、胸部を中心に行いましょう。
ヒーターは急激な体温上昇につながるおそれがあるため、使用は控えるのが無難です。
重症の低体温症
重症の低体温症の目安は、深部温度が20~28℃です。
低体温症が重症になると、昏睡や脈拍の低下などの症状があらわれやすくなります。
重症の低体温症の方の手当ては慎重に行いましょう。
たとえば、ささいな体位変換などにも注意してください。
理由は、冷え切った血液が心臓に戻ることで、心臓がショック状態に陥ることがあるためです。
ヒーターなどを使って身体を急激に温めることも控えましょう。
理由は、血流が再開して冷え切った血液が心臓に戻る可能性があるためです。
身体を温めるときは、毛布で胸部を覆うなどの方法が望ましいです。
低体温症の症状の対処法
低体温症の症状がみられる場合の対処法をご紹介します。
緊急時の適切な対応につなげるためにも、ぜひチェックしてください。
顔面蒼白などがあれば救急車を呼ぶ
低体温症のレベルが中度以上の場合は、セルフでの対応は難しい可能性があります。
セルフでの対応が難しいと思う場合は、すぐに救急車を呼んでください。
救急車を呼ぶ目安としては、次のような症状が挙げられます。
- 顔面蒼白
- 意識の低下・消失
- 話しかけても反応が無い
中度以上を見分ける方法として、シバリングのチェックも有効です。
シバリングは初期の低体温症の症状であり、中度以降は止むことが多いためです。
寒そうにもかかわらず身体が震えていない場合は、低体温症が中度以上に進行している可能性があります。
保温する
意識がある・シバリングがある場合は、初期の低体温症が疑われます。
初期の低体温症では、身体を温めることが大切です。
たとえば電気毛布で身体を包むなどしましょう。
もし身体が濡れている場合は、服を脱がせたり、水分を拭き取ったりすることも大切です。
意識がない場合は気道を確保する
意識がない場合は、まず救急車を呼んでください。
同時に窒息を防ぐための処置が必要です。
具体的には、気道を確保しましょう。
次のような方法で「回復体位」を取らせるのがおすすめです。
- 横向きに寝かせる
- 上側にきた方の手を、本人の顎から顔の下に入れる
- 下あごを軽く前に出す(気道を確保する)
- 上側の足を前に出して膝を90度曲げる(後ろに倒れるのを防ぐ)
低体温症になりやすい状況や場面とは?
不慮の事故などによって体温が下降する状態は、偶発性低体温症と呼ばれています。
偶発性低体温症が起こりやすいのは、寒冷な状況にさらされる場面です。
たとえば次のような場面が代表的です。
- 山登り
- 水遊び(海・川)
- 荒天でのスポーツ大会
- 避難所
レジャーの場面などでは、多少寒くても「まだ大丈夫」と我慢することが多いです。
我慢し続けた結果、低体温症を発症することは少なくありません。
特に低体温症が起こりやすいのは、体温調節能力が低い幼児・高齢者です。
疲れが溜まっている方・持病がある方・ケガをしている方も低体温症のリスクが高めです。
低体温症を防ぐには、寒いと感じるときは我慢をせず、重ね着をするなどの対策が必要です。
低体温症が寝てはいけないと言われる理由はなぜ?
低体温症になったときは、できるだけ意識を保ちましょう。
具体的には、眠らないように注意してください。
理由は、眠ると体温がさらに下がりやすくなるためです。
ただでさえ低下している体温がさらに下がると、内臓や脳は機能できなくなります。
つまり、死に至る可能性が高くなります。
眠気は低体温症の初期にあらわれやすい症状です。
眠気を感じても、身体が十分に暖まるまでは眠らないようにしましょう。
周囲の方は声かけをするなどして、本人が眠らないように注意してください。
低体温症の症状のチェックのまとめ
ここまで低体温症の症状のチェックについてお伝えしてきました。
低体温症の症状のチェックの要点を以下にまとめます。
- 低体温症の症状のチェック方法は意識の低下・身体の震え・指先の変色など
- 低体温症のレベル別のチェック方法は、シバリングがある場合は初期だが、シバリングがない場合は中度以上の可能性がある
- 低体温症の応急処置は、身体を温める・救急車を呼ぶ・回復体位を取らせる
これらの情報が少しでも皆様のお役に立てば幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。