花粉症の治療には薬剤が用いられることが一般的です。
花粉症の薬には、市販薬と処方薬の2種類があります。
果たして効果的なのは、市販薬と処方薬のどちらでしょうか。
また、どのような違いがあるのでしょうか。
本記事では、花粉症の薬について、以下の点を中心にご紹介します。
- 花粉症の処方薬のメリットとデメリット
- 花粉症の市販薬のメリットとデメリット
- 花粉症薬の副作用
花粉症の薬について理解するためにもご参考いただけますと幸いです。
ぜひ最後までお読みください。
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まずは花粉症について理解しよう
花粉症は、植物の花粉が原因で起こるアレルギー症状です。
季節性アレルギー性鼻炎とも呼ばれています。
代表的な症状は鼻水・鼻づまり・目のかゆみなどです。
花粉症は、薬や注射によって症状を軽減できることもあります。
出典:環境省【Ⅰ . 花粉症とは】
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花粉症の薬は市販品と処方薬どちらがよい?
花粉症薬を大きくわけると、処方薬と市販薬の2種類があります。
処方薬は病院・調剤薬局などで処方してもらえる薬です。
一方市販薬は、一般の薬局・ドラッグストアなどで購入できます。
お勧めは、病院からの処方薬です。
病院では、症状・体質などをみながら、個人に最適なものを処方してもらえます。
市販薬は処方薬より手軽に購入できますが、薬の選び方は自己判断になります。
花粉症の治療には、できれば、医師の専門知識に基づいて処方される薬を利用しましょう。
市販の花粉症の薬と処方薬の違いは?
市販の花粉症薬と処方薬の違いを、それぞれのメリット・デメリットからご紹介します。
ぜひ参考にしてください。
市販薬を使用するメリットとデメリット
花粉症の市販薬の最大のメリットは「手軽に購入できる」点です。
ドラッグストアは調剤薬局に比べると営業時間が長めです。
仕事で昼間・平日に薬を買いに行けないという方にとって、比較的購入しやすいでしょう。
病院や調剤薬局での診療・待ち時間を短縮できる点もメリットです。
デメリットは、処方薬に比べると効果がマイルドである点です。
商品にもよりますが、処方薬に比べると改善できる症状が限られていることが多いです。
たとえば花粉症の市販薬の多くは、鼻づまり・鼻水といった鼻炎の治療に集中しています。
そのため、花粉症による目や皮膚のかゆみなどはカバーできないこともあります。
処方薬を使用するメリットとデメリット
処方薬のメリットは、医師が処方する薬を利用できる点です。
花粉症の症状や体質にあわせた薬が手に入るため、高い治療効果が期待できます。
処方薬は市販薬よりも効き目が強く、カバーできる症状も広いことが一般的です。
そのため、市販薬よりも即効性を感じやすい点もメリットです。
デメリットとしては、薬を手にするまでの時間・体力などのコストが挙げられます。
処方薬は医師の診断を受けてからしか処方されません。
また、薬を受け取るには調剤薬局に足を運ばなくてはならないことがほとんどです。
病院への移動や診察・処方には、ある程度の時間と体力が必要になります。
花粉症の薬の種類と効果を比較!
一口に花粉症薬といっても、さまざまな種類があります。
花粉症薬の代表的な種類とそれぞれの特徴をご紹介します。
内服薬
花粉症薬の中でも代表的なのが内服薬です。
錠剤・カプセル・粉薬など、さまざまな形状があります。
内服薬は薬剤の中でも最もオーソドックスで、摂取に心理的負担が少ない点が特徴です。
また、内服薬は花粉症の広い症状をカバーできるのも特徴です。
たとえば鼻炎症状だけでなく、目・のどの症状にも効果を期待できます。
デメリットとしては、他の薬剤に比べて副作用が出やすい点です。
代表的な副作用は眠気・頭がボンヤリするといったものです。
点眼薬
点眼薬は目薬のことです。
目のかゆみ症状などがある場合に利用するのが一般的です。
目に直接投与するため、即効性を期待できるのが魅力です。
また、目以外にはほとんど作用しないため、眠気などの副作用の心配もありません。
点鼻薬
点鼻薬は鼻に直接吹き付けるタイプの薬剤です。
鼻づまり・鼻水などの鼻炎症状の改善に役立ちます。
点鼻薬の特徴は、全身性の副作用が出にくい点です。
鼻の中に直接投与するため、鼻以外の症状が出ることはほとんどありません。
種類にもよりますが、即効性のある薬剤も多いです。
貼付剤
貼付剤は、皮膚に貼って使うタイプの薬剤です。
湿布のような形状のものが一般的です。
貼付剤は、内服薬と同じく花粉症の症状全般に効果を期待できます。
目視で服用状況を確認できるため、摂取を忘れることが少ないのもメリットです。
デメリットとしては副作用が挙げられます。
貼付剤は貼った部分にかゆみ・かぶれなどの症状が出ることがあります。
また、内服薬と同じく眠気などの症状が出る場合もあります。
花粉症の薬の副作用にはどんな症状があるの?
花粉症薬は副作用が出ることもあります。
代表的な副作用の症状をご紹介します。
蕁麻疹
蕁麻疹は肌にできる無数の赤い発疹です。
皮膚が赤くボコボコと盛り上がるようになるのが特徴です。
蕁麻疹は、時間の経過とともに症状が消えることが一般的です。
薬によって生じる蕁麻疹は「薬疹」とも呼ばれています。
むくみ
むくみとは皮膚の下に水がたまった状態で「浮腫」とも呼ばれます。
手足や顔が腫れたようにみえることが一般的です。
場合によっては、腫れ・熱を伴うこともあります。
むくみをチェックするには、腫れている部分を指の腹でチェックしてみましょう。
すぐに皮膚が戻らない場合は、むくんでいる可能性があります。
頭痛
花粉症薬の副作用で頭痛が起こることもあります。
我慢して薬剤の服用を続けていると、頭痛が慢性化する可能性もあります。
もし花粉症薬で頭痛がする場合は、一度服用を中止しましょう。
重症化を避けるためにも、医師や薬剤師に相談するのがおすすめです。
熱
花粉症薬では発熱がみられることもあります。
発熱の仕方は個人差がありますが、花粉症薬投与開始から1~2週間経過後にあらわれることもあります。
薬剤が原因の初の熱の場合は、熱以外に目立った症状がないことも多いです。
肌荒れ
花粉症薬に限らず薬剤では、肌に異常が起こることもあります。
代表的なのは発疹のほか、かゆみ・赤みなどです。
くしゃみ
抗アレルギー薬などを服用すると、稀にアレルギー症状が重くなることがあります。
たとえばくしゃみのほか、鼻水・鼻詰まりなどが起こることもあります。
アレルギー症状が悪化しやすいのは、特定の薬剤を長期間・高頻度で使用した場合などです。
口の渇き
口の渇きは花粉症薬の代表的な副作用です。
花粉症薬の中でも特に抗ヒスタミンに多くみられます。
口が渇くのは、花粉症薬の成分によって唾液の分泌量が減ってしまうからです。
口の渇きは二次症状を引き起こすこともあるので注意が必要です。
たとえば口が渇くと雑菌が繁殖しやすくなるため、歯周病や虫歯のリスクが高まります。
また唾液の減少によって、渇きが口から喉に広がると、喉の痛みが起こることもあります。
花粉症の薬でおすすめの眠くならない種類は?
花粉症薬は副作用として眠気が起こることが多いです。
そのため、運転前や始業前には服用できないこともあります。
しかし最近は、眠気が起こりにくい花粉症薬も登場しています。
代表的なのは第2世代抗ヒスタミン薬です。
抗ヒスタミン薬自体は、古くから花粉症やアレルギー症状の治療に用いられてきました。
第1世代抗ヒスタミン薬と呼ばれており、治療効果が高い一方、催眠作用も強く出るのが難点でした。
花粉症薬で眠気が出るのは、ヒスタミンを抑制するためと考えられています。
ヒスタミンは体内にアレルギー物質(花粉)が侵入した際に放出される物質です。
花粉症の症状は、ヒスタミンが受容体という細胞に結合することで起こります。
一方で、ヒスタミンには脳を活性化させる作用もあります。
花粉症薬は、ヒスタミンが受容体と結合するのを防ぐ作用があります。
ヒスタミンが受容体と結合しなければ、アレルギー症状は起こりにくくなります。
一方で、ヒスタミンの脳の活性化作用も失われます。
結果として、脳が不活性化するため、眠気などの症状が出やすくなるというわけです。
抗ヒスタミン薬によって脳が不活性化する状態は「鈍脳」と呼ばれています。
第2世代の抗ヒスタミン薬は鈍脳などの副作用が起こりにくい仕様になっています。
また、口渇などの副作用も出にくい傾向があります。
ただし、第2世代の抗ヒスタミン薬なら必ずしも副作用が出ないわけではありません。
個人の体質などによっては、眠気などの副作用が強くあらわれることもあります。
花粉症の薬の一つ|第二世代の抗ヒスタミン薬とは?
第2世代の抗ヒスタミン薬を代表する成分は次の通りです。
- フェキソフェナジン塩酸塩
- エピナスチン塩酸塩
- ケトチフェンフマル酸塩
- ロラタジン
- エバスチン
眠気を催したくない場合は、上記のような成分が主に配合された花粉症薬をお試しください。
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花粉症で服薬する際の注意点
花粉症の服用の際の注意点をご紹介します。
ぜひ参考にしてください。
風邪薬との併用不可
花粉症薬は風邪薬との併用は避けるのが無難です。
理由は、副作用が出る可能性が高いからです。
花粉症薬や風邪薬は、抗ヒスタミン成分や血管収縮成分が含まれていることが多いです。
併用すると成分の多量摂取につながるため、副作用のリスクが高まります。
期限切れの薬を使用しない
期限切れの花粉症薬の服用はやめましょう。
副作用やおもわぬ症状が出ることがあります。
もし前シーズンに使った薬を希望する場合は、医師や薬剤師に伝えると、同じ薬を用意してもらうことが出来ます。
自己判断で用法を変更しない
花粉症薬は自己判断で量を増やしたり減らしたりするのはやめましょう。
服用を途中で止めるのも控えてください。
特に処方薬は、医師の指示通りに服用しなければ思うような効果は出にくいです。
薬の量を自己判断で増やすと、思わぬ副作用が出ることもあります。
効果が出た・出ないにかかわらず、薬の服用方法を自分で変更するのはやめてください。
アルコールの摂取は控える
花粉症薬の服用中はアルコール摂取は控えましょう。
花粉症薬に限らず、アルコールは薬効を弱めたり、強めたりすることがあります。
場合によっては、薬が効かなくなったり、思わぬ副作用が出たりする恐れもあります。
特に注意したいのが眠気です。
第1世代抗ヒスタミン薬はただでさえ眠気があらわれやすい薬剤です。
アルコールにも催眠作用があるため、併用することで強烈な眠気に襲われることがあります。
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花粉症の薬で眠気を避けるなら漢方薬を検討!
花粉症の薬は眠気が出やすいのがデメリットです。
もし眠気の出にくい薬を希望するなら漢方薬を検討するのも1つの方法です。
漢方薬は、眠気以外の副作用も出にくいと指摘されています。
たとえば口喝などの副作用が代表的です。
花粉症に効く漢方薬には、次のようなものがあります。
効く症状 | |
小青竜湯(しょうせいりゅうとう) | くしゃみ・鼻水 |
辛夷清肺湯(しんいせいはいとう) | 鼻づまり・のどの痛み |
葛根湯加川芎辛夷(かっこんとうかせんきゅうしんい) | 鼻づまり |
甘草湯(かんぞうとう) | のどの痛み |
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花粉症薬についてまとめ
ここまで花粉症薬についてお伝えしてきました。
花粉症薬の要点を以下にまとめます。
- 花粉症の処方薬のは効果が高いことがメリットだが、すぐに入手できない点がデメリット
- 花粉症の市販薬のメリットは気軽に購入できる点だが、デメリットは処方薬より効果が薄いこと
- 花粉症薬の副作用は、眠気・口の渇きのほか、薬疹などがある
これらの情報が少しでも皆様のお役に立てれば幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。