風邪を引くと、のどの痛み、鼻づまり、咳、関節痛などの症状があらわれます。
それらの症状は体に侵入したウイルスや細菌を追い出そうとする体の働きで、免疫反応とよばれます。
では、風邪の関節痛の治し方や対処法には、どのようなものがあるのでしょうか。
本記事では、風邪の時の関節痛について以下の点を中心にご紹介します。
- 熱なしの風邪で関節痛がある場合について
- 関節痛がある時の風邪の治し方とは
- 風邪の関節痛で寝れない時の対処法とは
風邪の時の関節痛について理解するためにもご参考いただけますと幸いです。
ぜひ最後までお読みください。
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風邪の時に関節痛が起こる原因とは?
風邪で関節痛となる原因:体温を上げウイルスや細菌と戦う
ウイルスや細菌の侵入から体を守るために、白血球はサイトカインという物質を分泌します。
サイトカインは、過剰に分泌されると臓器の機能を低下させてしまいます。
そのため、臓器の機能を低下させる働きを抑えるために、プロスタグランジンが分泌されます。
プロスタグランジンという物質は、体温を上げてウイルスや細菌と戦います。
しかし、プロスタグランジンは痛みを起こす物質でもあるため、関節痛、筋肉痛、頭痛などの原因となります。これは、プロスタグランジンが「ブラジキニン」という痛みを引き起こす物質の作用を促進することが原因です。
(参考:くすりと健康の情報局
日本ケミファ株式会社)
関節痛を引き起こす風邪の原因ウイルス
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熱なしの風邪で関節痛がある時は大丈夫か?
熱なしの風邪で関節痛がある時は、どのようなことが考えられるのでしょうか。
以下でそれぞれ具体的にご紹介します。
後から熱が出る可能性
熱がないのに風邪で関節痛がある場合は、タイミングがずれている可能性があります。
関節痛が起きるのは、免疫細胞が活性化するときに分泌されるプロスタグランジンが原因です。
プロスタグランジンは体温を上げる効果もありますが、タイミングがずれて後から熱が出ることもあります。
風邪ではない可能性
関節痛を起こす原因は、もちろん風邪だけではありません。
風邪以外の関節痛の原因には
- 感染症関節炎
- 痛風
- 関節リウマチ
などがあります。
感染性関節炎は、微生物が関節内に侵入することで起こる関節炎です。
通常は細菌感染が原因で、症状のある関節はひどい痛みがあり、熱感、発赤が生じることもあります。
痛風は、突然の激しい痛みを起こし、膝や足首、親指の付け根、アキレス腱などの部位に発作が起こりやすくなります。
痛風は足に起こることが多いですが、痛みは1箇所だけに起きることがほとんどです。
関節リウマチは、免疫の異常により関節に炎症が起こり痛みを感じます。
また、関節が変形することで手や肘、肩や膝などさまざまな部位に症状があらわれます。
熱が出ていたが気づかなかった可能性
関節痛と熱は必ずしも同じタイミングで出るわけではありません。
関節痛が起きるまでの流れは
- 風邪のウイルスが体内に侵入
- 体がウイルスを検知する
- 免疫細胞が活性化し、プロスタグランジンが分泌される
- 関節の痛みが発生
の順番で関節痛があらわれます。
プロスタグランジンは、関節痛を起こすとともに発熱する働きもあります。
そのため、通常は関節痛と発熱は同時にあらわれてくるとされています。
しかし、自分でも気づかない間に熱が出て、汗が体温を下げて、体温測定時には熱が下がっていることがあります。
関節痛がある時の風邪の治し方
関節痛がある時の風邪の治し方について
- 安静にする
- 保温する
- 市販の薬を服用する
- 受診する
などがあります。
それぞれ具体的にご紹介いたします。
安静にする
関節痛や発熱があるときは、つらい全身症状も多いですが、熱はむやみに下げるのではなく、安静にしましょう。
体がウイルスを排除すると、熱は自然に低くなります。
しかし、38度以上の高熱が出ている場合は、風邪による発熱ではない可能性があります。
発熱の原因を調べて適切な治療をするために、早めに医療機関を受診しましょう。
とくに赤ちゃん、小さな子ども、高齢者などは、発熱で体力を消耗しやすくなります。
そのため、感染症で重症化や合併症を起こしやすくなるため、早めに医療機関を受診することが大切です。
保温する
関節痛がひどい場合は、関節痛がある場所を保温することで痛みが和らぎます。
たとえば、膝の関節が痛む場合は、膝を温めることで血行がよくなり、新陳代謝が活発になります。
その結果、関節痛を和らげる効果が期待できます。
市販の薬を服用する
市販の風邪薬は、風邪の症状を和らげるのに役立ちます。
これらの薬は、鼻水や喉の痛み、頭痛、関節痛などの症状を緩和します。
しかし、これらの薬は症状を和らげるだけで、風邪そのものを治すものではありません。
市販の風邪薬を服用する際は、パッケージに記載されている指示に従ってください。
一般的には、症状が改善するまでの数日間服用します。
しかし、風邪の症状が1週間以上続く場合や、症状が急に悪化する場合は、すぐに医療機関を受診してください。
受診する
風邪の症状が重い場合や、関節痛が強い場合は、医療機関を受診することをお勧めします。
医師は、症状や体調に応じて適切な診断と治療を提供します。
特に、風邪の症状が1週間以上続く場合や、症状が急に悪化する場合は、すぐに医療機関を受診してください。
風邪の関節痛で寝れない時の対策・和らげ方
風邪の関節痛で寝れない時の対策には
- お風呂に入る
- 痛み止めの薬を飲む
- 温かい飲み物を飲む
などがあります。
それぞれ具体的にご紹介します。
お風呂に入る
関節痛で眠れないときは、入浴することで血行促進や筋肉の緊張緩和により、痛みが改善されることがあります。
しかし、長湯やあまりに熱いお湯での入浴は体に負担をかけるので、避けましょう。
痛み止めの薬を飲む
関節痛がひどいときは、体の負担を軽くするために痛み止めの薬を飲み、痛みを和らげましょう。
しかし、市販の解熱鎮痛剤には、インフルエンザ脳症を引き起こす原因となる成分が入っているものもあります。
そのため、自己判断で市販の解熱鎮痛剤を服用せずに医療機関に相談し、医師の指示に従うことが大切です。
温かい飲み物を飲む
温かい飲み物を飲むことはリラックス効果だけでなく、体を温める効果もあります。
体を温める飲み物には、紅茶、番茶などがあります。
逆に緑茶は、体を冷やしてしまうため、飲み過ぎないようにしましょう。
また、お酒を飲む方は、ビールは体を冷やす飲み物なので、日本酒やワインなどの方がよいでしょう。
しかし、お酒の飲み過ぎは放熱して体を冷やす原因にもなりますので、飲み過ぎには気をつけましょう。
風邪からの関節痛におすすめの市販薬とは?
風邪からの関節痛へおすすめの市販薬について
- 解熱剤が入ったものを選ぶ
- 複数の薬を合わせて飲まない
- 風邪全般なら総合風邪薬を選ぶ
などがあります。
それぞれ具体的にご紹介します。
解熱剤が入ったものを選ぶ
風邪の症状を和らげるためには、市販の薬が有効とされますが、どの薬を選ぶべきかは症状によります。
解熱鎮痛成分が含まれる薬は、発熱や関節痛などの痛みを和らげるのに役立ちます。
主な成分には以下のものがあります。
- アセトアミノフェン:痛みを抑え、熱を下げる効果があります。風邪の原因が分からない場合や他の薬を内服中の場合は、安全に内服できるためおすすめです。
- ロキソプロフェン:炎症を鎮めて、ハレや発赤、痛みなどの症状を抑える効果があります。
- イブプロフェン:のどの痛みを抑え、熱を下げる効果があります。
これらの薬は、症状が改善するまでの数日間服用します。
また、風邪の引き始めには、漢方薬も有効とされています。
体を温める効果が期待できる葛根湯や、発熱や悪寒、関節痛などの風邪症状があるときにおすすめの麻黄湯などがあります。
漢方薬は粒状が多いため、飲みにくい印象を抱く方も多いですが、液体や錠剤タイプもありますので、好みに合わせて選ぶことができます。
(参考文献:患者向医薬品ガイド
第一三共株式会社
エスエス製薬)
複数の薬を合わせて飲まない
市販薬には、同じ成分が入っている商品もあります。
そのため、2種類以上の薬を飲むことはおすすめされていません。
同じ成分が入っている薬を服用すると、効果が強くなったり、逆に弱まったりなど副作用が起こる可能性があります。
体内の薬物濃度が高くなることで副作用があらわれやすくなるため、注意が必要です。
風邪全般なら総合風邪薬を選ぶ
関節痛のみだけでなく風邪全般の症状があるときは、総合風邪薬を選びましょう。
また、風邪薬といっても含まれている成分には、さまざまな種類があります。
そのため、咳、鼻水、頭痛などの症状に効果がある成分が入っているのか、確認することが大切です。
総合風邪薬であれば、基本的に風邪の諸症状に効果がある成分が配合されています。
しかし、中には特定の症状にのみ効く風邪薬もあるため注意しましょう。
関節痛以外の風邪の症状
関節痛以外の風邪の症状には、以下のようなことがあります。
- くしゃみ
- 鼻水、鼻づまり
- 咳や痰
- のどの腫れ
- 発熱
体内に入ったウイルスや細菌などを追い出すために、くしゃみや咳がでます。
鼻水や鼻づまりは、ウイルスなどを鼻から追い出して、侵入させないために生じる症状です。
ウイルスなどがのどに入ると、ウイルスと戦うためにのどに炎症が起きます。
その結果、のどの腫れや痛みの原因となります。
さらに、免疫機能を活性化させるために、体は体温を上げます。
体温の上昇は、ウイルスと戦うために必要なことなので、必要以上に熱を下げないことが大切です。
関節痛における風邪とインフルエンザの違い
風邪 | インフルエンザ | |
症状 | 鼻水、喉の痛み、頭痛、咳、軽度の発熱など 関節痛や筋肉痛は軽度 | 急激な発熱、頭痛、筋肉痛、関節痛、疲労感、咳、喉の痛みなど 関節痛や筋肉痛は風邪よりも強い |
熱 | 37.5℃以下の場合が多い | 急激に38℃以上の高熱が出て、数日間続くことがある |
関節痛の痛み | 軽度から中程度 全身の関節が痛むことは少なく、特定の部位に痛みが集中することが多い | しばしば重度で、全身に広がることが多い |
重症化の可能性 | 重症化する可能性は低い | 風邪よりも重症化しやすく、特に高齢者や持病のある人、妊婦、小さな子供たちは重症化しやすい |
基本的に、風邪はさまざまなウイルスにより、のどの痛みや鼻水、くしゃみなどの症状があらわれます。
発熱もありますが、インフルエンザほど熱は高くなく、重症化することはほぼありません。
一方で、インフルエンザは38度以上の発熱、関節痛、筋肉痛、全身の倦怠感などの症状が急速にあらわれるのが特徴です。
風邪と同じく、のどの痛み、鼻水、咳などの症状もみられます。
また通常、関節痛は風邪よりもインフルエンザの方が強く出る傾向にあります。
関節痛と風邪の症状があるときは風邪と断定せずに、インフルエンザの可能性もあるため注意が必要です。
出典:厚生労働省【インフルエンザQ&A】
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コロナによって引き起こされる関節痛の特徴
2020年より流行しているコロナウイルスに既にかかった方が大半かと思います。研究によると、どうやら、コロナウイルスによって引き起こされる関節痛は、通常の関節痛とは異なるようです。
通常の関節痛と、コロナによって引き起こされる関節痛の違い
リサーチによると、COVID-19感染で入院した294人の患者のうち、88人(30%)が筋骨格の痛みの症状を報告しました。これら88人の患者のうち、37.5%が筋肉痛、5.7%が関節痛、6.8%が新たな背痛の発症、そして50%が全身痛を経験しました。COVID-19関節痛はしばしばより重篤で、発症箇所が変わりやすい一方、全身痛と筋肉痛はより軽度で、通常の風邪による関節痛と一致していました。
コロナによる関節症はコロナの判定にもつながる
上記にあげたコロナウイルスからくる関節症は、医師や自分自身でコロナの発症を早期発見する手助けにもなります。コロナウイルスの初期症状としても関節症は出るようなので、上記の症状があれば、通常の風邪ではなく、コロナウイルスを疑って、医療機関にかかることをおすすめします。
参考「INTERNATIONAL JOURNAL OF INFECTIOUS DISEASES|COVID-19関連の筋骨格症状の集団研究:COVID-19感染の新たな症状であるウイルス性関節痛」
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関節痛の風邪のまとめ
ここまで、関節痛の風邪の情報を中心にお伝えしました。
要点を以下にまとめます。
- 熱なしの風邪で関節痛がある場合は、後から熱が出る場合や風邪ではない可能性がある
- 関節痛がある時の風邪の治し方は、安静にして、痛みがある関節を保温する
- 風邪の関節痛で寝れない時の対処法は、入浴、痛み止めの薬を飲む、温かい飲み物を飲むなど
これらの情報が少しでも皆様のお役に立てば幸いです。
最後までお読みいただきありがとうございました。