低体温症は、雪山での遭難などの寒い環境に長時間いることで発症します。
低体温症が重症化すると後遺症になるリスクが高くなります。
では、低体温症による後遺症には、どのようなことがあるのでしょうか。
本記事では、低体温症による後遺症について以下の点を中心にご紹介します。
- 低体温症になったら後遺症は残るのか
- 低体温症によって起こる症状とは
- 低体温症を予防する方法
低体温症による後遺症について理解するためにもご参考いただけますと幸いです。
ぜひ最後までお読みください。
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低体温症とは?
低体温症とは、体が冷えることで深部体温が35度以下になる状態をいいます。
低体温症は、寒冷環境にいることで起こります。
主に登山中の遭難、川などでの溺水などが低体温症の原因です。
低体温症になると、激しく体が震えるシバリングや意識障害などがみられます。
呼吸や心拍が遅くなり最終的には停止します。
低体温症が重症化した場合、後遺症のリスクが高くなります。
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低体温症になってしまったら後遺症は残る?
低体温症で重症化した場合は、治療によっては後遺症が残る可能性があります。
深部体温が非常に低かった場合や瞳孔の反応がなかった場合でも脳損傷を起こさずに良好に復温された例があります。
しかし、体温が正常に回復したにもかかわらず、意識障害がみられたりすることがあります。
また、体温が正常で意識が鮮明となった結果、痛みや麻痺が分かったことで低体温症になった原因を知ることもあります。
低体温症の治療と並行して、または低体温症の治療に続いて原因疾患の検索や治療が必要になります。
寒くて震えるのは体温を維持しようとする体の反応です。また、冷え性と低体温症には違いがあります。冷え性と低体温症は何が違うのでしょうか?低体温症が起こる原因にはどのようなものがあるでしょうか?本記事では低体温症について[…]
赤ちゃんが低体温症になってしまったら後遺症は?
出生直後に低体温症が続くと、低酸素血症に陥り心肺停止を招く危険性があります。
その結果、後遺症のリスクが高くなる恐れがあります。
低体温症が危険な理由は、生命の安全を司る自律神経が呼吸循環の安全性よりも体温調節を優先するためです。
そのため、低体温症が長引くと低酸素血症、低血糖症、肺高血圧症などの合併症を引き起こすことがあります。
また、症状がみられなくても中等度の低血糖状態が続くと、脳神経発達に永久的な後遺症を残す危険性があります。
主な低体温症の原因
体の表面と深部には体温センサーの働きをする神経があります。
体温センサーが感知した外部温度と筋肉や肝臓などの臓器の温度をもとに、体温調整して体温が維持されています。
指先などの末梢血管は、寒さを感知すると自律神経の働きにより収縮して体温を維持します。
また、震えることで筋肉が熱をつくり体温低下を予防します。
低体温症は体が冷えることで発症します。
体を冷やす主な原因は以下のとおりです。
- 低い気温
- 風の影響
- 体が濡れた状態
登山などでは、標高が1,000m上がるごとに気温は約6度低下します。
そのため、標高が高い山へ行くときは気温の低下に気をつけましょう。
さらに、風の強さや雨や汗で体が濡れている状態も体温が奪われやすくなります。
体温の低下を防ぐために、防寒具やレインウェアなどで体を濡れないようにすることが大切です。
また、極度なダイエットや筋肉や甲状腺ホルモンの減少などにより、体で作られる熱量が低下し低体温症になります。
さらに、ストレスや老化などで自律神経が乱れたり、血管の収縮機能が上手く機能しなかったりすると低体温症につながります。
低体温症によって起こる症状は?
低体温症によって起こる症状は
- 軽症の場合
- 中等症の場合
- 重症の場合
でそれぞれ異なります。
以下でそれぞれみていきましょう。
軽症の場合
軽症の場合は主に以下のような症状があらわれます。
- 運動失調
- 筋力低下
- 構音障害
- 歩行不能
- 意識障害
軽症の低体温症では、体温低下に対する生体反応が起こります。
そのため、血圧上昇、頻脈、全身が震えるシバリングが生じます。
中等症の場合
中等症の場合は主に以下のような症状があらわれます。
- シバリング消失
- 身体硬直
- 錯乱状態
- 不整脈のリスク
- 意識低下
- 瞳孔散大
中等症の低体温症では、シバリングが止まり、動作がさらに鈍くなります。
心拍や呼吸が遅くなり、昏睡状態に陥ります。
心拍と呼吸が遅くなると、たとえ心臓がゆっくり拍動していたとしても、本人には生存の兆候がないようにみえることがあります。
適切な対処がされないと、重症化し後遺症のリスクが高くなります。
重症の場合
重症の場合は、筋肉が硬直し始めて、無反応になり呼びかけても返事がない状態です。
筋肉は完全に硬直し、脳も心臓も活動を停止します。
体温が低くなるほど、死亡リスクは高くなります。
体温が約31度を下回ると死に至る可能性があり、死亡例のほとんどは体温が約28度を下回った状態です。
重症化すると後遺症の危険性もあるため、注意が必要です。
低体温症を予防するには
低体温症を予防するには
- 運動を習慣に取り入れる
- 日常の食生活
- シャワーで済ませず湯船につかる
- ストレスを抱え込まない
などがあります。
それぞれ具体的にご紹介いたします。
運動を習慣に取り入れる
運動を習慣に取り入れることで筋肉がつき、低体温症の予防につながります。
まずは、1日に10分ほどのウォーキングなどの軽い運動や筋トレなどを行いましょう。
とくに冷え性の方は下半身の運動がおすすめです。
下半身には多くの筋肉があるため、下半身を鍛えることで血行が良くなり、体温が上がります。
激しい運動ではなくても、家の中でできるストレッチなども有効です。
毎日、運動を続けることが大切なため、通勤では1駅歩く、毎朝、犬の散歩をするなど無理なく続けられる工夫をしましょう。
また、下半身を鍛える運動としてスクワットもおすすめです。
スクワットは、ふくらはぎ、太もも、腰の筋肉を一度に鍛えられます。
下半身の脂肪が落ちると、必要な筋肉がつくので引き締まった下半身になり、血行が良くなります。
入浴後に運動をすると、入浴と運動で体温が上がり睡眠の質も向上します。
日常の食生活
日常の食生活では、さまざまなビタミンやミネラルを摂ることが冷え性改善になります。
偏った食生活や無理な食事制限は冷え性になりやすくなるため、一度食生活を見直しましょう。
とくに代謝にかかわるビタミンB群、貧血の原因になる鉄分やビタミンB12、葉酸などは大切です。
そのほか、体を温める食事も重要です。
体を温めてくれる食べ物、飲み物、また冷やしやすい食べ物、飲み物を知り効果的に摂りましょう。
土の中にできる野菜などは、体を温める効果があるといわれています。
主に根菜類、生姜などが体を温める効果があります。
また、寒い冬の季節や寒い地域で育った食材や冬の旬の食材は、体を温める効果があるといわれています。
また、冷やしやすい食べ物には、きゅうり、なす、ゴーヤなどの夏に旬の野菜があります。
冷たい飲み物なども体を冷やしてしまうため、飲みすぎには気をつけましょう。
シャワーで済ませず湯船につかる
シャワーで済ませずに湯船につかることで、体温を1度上げるといわれています。
そのため、朝でも夜でも自分の生活スタイルに合わせて入浴しましょう。
湯船に10分程浸かると、大体体温が1度上がります。
そのため、シャワーで済ませず毎日湯船に5分でも10分でもつかることが大切です。
また、お湯の温度は40度ぐらいのリラックスできる温度が最適です。
ストレスを抱え込まない
低体温症を予防するには、ストレスをためないことが大切です。
慢性的にストレスが続いてる状態は、過度な交感神経の緊張をもたらします。
全くストレスのない状態は難しいですが、ストレスをためずに発散しましょう。
また、ストレスがある状態は自律神経の乱れにもつながります。
自律神経は意識しなくても、体温調節を担う機能があります。
自律神経のバランスが崩れると血流も乱れてしまい、手足まで血液が行き渡らずに体が冷える原因になります。
平熱は何℃くらいが理想?
健康な方の平熱は、36.5~37.1度程度といわれています。
一方で、平熱が36度以下の方は低体温といわれます。
体が冷えていて血流が悪い状態を放置していると、自律神経失調症、アレルギー、便秘、肥満などの不調や病気につながる恐れがあります。
また、感染症法においては発熱の定義を37.5度以上、高熱の定義を38度以上と分類しています。
平熱は個人差があるため、自分の平熱よりも明らかに体温が高い場合は、発熱があると考えて良いでしょう。
さらに、平熱は個人差があっても、生涯、同じ平熱とは限りません。
乳幼児は一般的に体温が高く、小学生、中学生になるにつれて体温が落ち着きます。
高齢になると、体温が低くなる傾向にあります。
昔に測った平熱が37度であっても年齢を重ねることで、平熱が下がっている可能性があります。
そのため、37度は平熱と思っても、実際は発熱している状態かもしれません。
今の自分の平熱を正確に把握するために、体調が良いときに体温を測り直すようにしましょう。
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現代人は低体温が増えている
昔に実施された調査では、平熱は36.89度前後というデータがあります。
しかし、現代の調査では36度台前半とのデータがあり、明らかに体温が低くなっていると考えられます。
現代は、昔に比べてエレベーターやエスカレーターの普及、交通機関の発達など利便性が向上しました。
その結果、現代人の運動量は減り、筋肉量と基礎代謝量も減少しているといわれています。
筋肉が落ちたことで、熱を生み出すことが少なくなっていることが体温が低くなっている原因です。
また、冷暖房の完備により、体温調節機能がうまく働かないなどの環境の変化なども低体温につながります。
さらに、締め付けの強い衣服、肌を露出した服装、季節に関係なく冷たい食べ物を摂ることなどが冷えを助長してしまいます。
低体温症で重症化すると、後遺症のリスクが高くなります。
平熱を上げるために、前述の低体温症を予防する方法を取り入れましょう。
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犬やハムスターも低体温症になる
犬やハムスターなどの動物も、気温や環境の変化により低体温症になります。
低体温症は、何らかの原因で体温が調節できなくなり、平熱より下がり体が冷たくなってしまう状態です。
主に元気がなくなったり、体が冷たくなったり、呼吸がゆっくりになったりなどの症状がみられます。
低体温になる原因には、怪我をしたり、体が濡れてしまったり、寒い場所に長時間いたりなどの原因やストレスなどの精神的な理由が考えられます。
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低体温症による後遺症についてのまとめ
ここまで、低体温症による後遺症の情報を中心にお伝えしました。
要点を以下にまとめます。
- 低体温症が重症化した場合、治療によっては後遺症が残る可能性がある
- 低体温症によって起こる症状には、運動失調、筋力低下、意識障害など
- 低体温症を予防する方法は、運動を取り入れる、食生活の改善、入浴など
これらの情報が少しでも皆様のお役に立てば幸いです。
最後までお読みいただきありがとうございました。