関節痛は、肩、膝、ひじなどの関節の周りで生じる痛みのことをいいます。
中でも肩の関節痛は、肩こり、四十肩、五十肩などと呼ばれる症状があります。
では、肩の関節痛の原因や治療法には、どのようなことがあるのでしょうか。
本記事では、肩の関節痛について以下の点を中心にご紹介します。
- 肩の関節痛の原因とは
- 肩関節痛と肩こりの関係について
- 肩の関節痛の治し方とは
肩の関節痛について理解するためにもご参考いただけますと幸いです。
ぜひ最後までお読みください。
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関節痛とは
関節痛とは、関節の周りで生じる痛みのことです。
膝、ひじ、手指や足指の関節、腰、手首などに主に発症します。
中でも、とくに多いのが膝の痛みです。
膝の痛みが多い理由は、関節の表面を覆い、衝撃をやわらげる働きをする軟骨が、加齢や肥満などの原因によってすり減るためです。
また、関節の炎症や変形を起こすことを変形性関節症といいます。
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肩の関節痛の原因
肩の関節痛の原因には
- 肩に炎症が起きている
- 肩以外の部位を痛めている
- 内臓の病気が原因
などがあります。
それぞれ具体的にご紹介します。
肩に炎症が起きている
肩の関節の周りに炎症が起きる病気で、肩関節周囲炎という病気があります。
肩関節周囲炎は、一般的に四十肩、五十肩と呼ばれています。
四十肩、五十肩は、肩の痛みや動かしづらさ、痛くて腕が上げられない、着替えが大変などの症状が主な特徴です。
睡眠中に痛みで目が覚めてしまう方もいらっしゃいます。
名前のとおり、40~60代の方に多く見られる症状です。
また、日常的にパソコンでタイピングを行っている方も多いのではないでしょうか。
パソコンをよく使っている方は、首が回らない、肩が痛い、腕がだるい、首が凝るなどの症状があらわれます。
腕の位置が長時間続くことにより、筋肉や神経が疲労することが原因です。
肩以外の部位を痛めている
頚椎症とは、首、肩、腕の痛みやしびれなどが起こる症状です。
首の骨は、頚椎といわれる骨が連なって構成されています。
しかし、骨と骨の間でクッションの役割をしている椎間板が潰れてしまい、その結果、首が回りにくくなり首の痛みなどがあらわれます。
頚椎症は主に加齢などが原因で発症します。
頚椎症である頚椎椎間板ヘルニアは、首の骨と骨の間にある椎間板がずれてしまい、飛び出してしまう病気です。
飛び出した椎間板は、近くの神経を圧迫し、首、肩、腕の痛みやしびれなどの症状が見られます。
胸郭出口症候群とは、首、肩、腕の痛みやしびれがあらわれる病気です。
首から出た神経は神経の束となり腕と繋がっています
しかし、腕へつながる神経が通る部分には、太い血管、筋肉、骨が密集しています。
そのため、生まれつきの体の構造や体格などにより神経が刺激されて、首、肩、腕の痛みやしびれがあらわれます。
内臓の病気が原因
内臓の病気が原因で、肩の関節痛が出ている可能性があります。
狭心症や心筋梗塞は、心臓の周りの冠動脈が細くなったり、詰まったりすることで起こる病気です。
ほとんどの場合は、激しい胸痛、冷や汗、呼吸困難などの症状を伴います。
しかし、狭心症や心筋梗塞で、肩の関節痛があらわれることもあります。
また、高齢者では自覚症状が薄いこともあるため注意が必要です。
もし、激しい肩の痛みが急にあらわれた場合は、早めに医療機関を受診しましょう。
さらに、血圧が高くなる高血圧により、肩の関節痛や肩こりの症状が出ることもあります。
高血圧は自覚症状がないことが多いですが、頭痛やのぼせなどの些細な症状がきっかけとなり気づくこともあります。
緊張性頭痛とは、デスクワークなどにより同じ姿勢が長時間続くことで、身体的、精神的ストレスが原因となり起こる頭痛です。
首や肩の筋肉が過度に緊張していることが原因とされており、首や肩の痛みを感じることがあります。
そのほか、更年期障害でも肩こりが見られることがあります。
更年期障害は、閉経の前後それぞれ5年を更年期といいます。
更年期に体そのものに異常がないにもかかわらず、不快な症状がでることを更年期障害といいます。
更年期障害の症状には、のぼせ、めまい、ほてり、頭痛、イライラなどありますが、肩こりもみられます。
肩関節痛には肩こりも関係している?
肩関節痛には肩こりも関係しているのでしょうか。
以下でそれぞれ具体的にご紹介いたします。
肩こりとは
肩こりとは、実は正式な病名ではありません。
首の後ろから肩、背中にかけての不快な症状の総称を肩こりといいます。
首や肩の関節は、体の中でも最も可動域が大きく重たい頭部と腕を支えているため、常に緊張状態にあります。
肩こりが起こる原因には、首周りにある筋肉がこわばり硬くなることで、筋肉にある血管が収縮し、血行不良になるためです。
血行が悪くなると、肩の筋肉に溜まった疲労物質や痛みがうまく排出されずに、神経を刺激して凝りや痛みが生じます。
肩こりの原因と関係のある筋肉
肩の周りにはたくさんの血管が通っており、血液の循環を促すことで全身に酸素や栄養を届けるポンプのような役割をしています。
しかし、肩の筋肉に負担をかけると、筋肉が硬くこわばり血流が悪くなってしまいます。
その結果、乳酸などの疲労物質が溜まり神経を刺激して、こわばりや重さといた肩こりの症状があらわれます。
肩こりが慢性化すると痛みが生じて筋肉の緊張を助長してしまい、血行が悪くなるという悪循環になります。
肩こりに関係する筋肉には
- 僧帽筋
- 肩甲挙筋
- 胸鎖乳突筋
- 頭板状筋
- 菱形筋
があります。
僧帽筋とは、首から背中にかけて広がっている筋肉のことで、肩こりに深く関わっています。
僧帽筋に問題がある場合、肩をすくめたときに痛みが生じます。
肩甲挙筋とは、首と肩甲骨をつなぐ筋肉のことをいいます。
僧帽筋と共に肩をすくめるときに働く筋肉です。
首筋下から肩にかけて痛みやコリがある場合は、肩甲挙筋が硬くなっている可能性があります。
胸鎖乳突筋とは、首の側面にある大きな筋肉のことをいいます。
首を曲げたり回したりしたときに使う筋肉です。
胸鎖乳突筋が凝り固まっていると、首を前に傾けにくくなります。
頭板状筋は、首の後方にある筋肉で、首を伸ばすときに使う筋肉です。
首を後ろにそらしたときに痛みがある場合、板状筋の凝りが関係しています。
菱形筋とは、僧帽筋の深部に存在している筋肉です。
菱形筋がこわばると肩甲骨の動きが妨げられて、肩こりや猫背の原因となります。
肩こりになりやすい人
日本人は、欧米人に比べると肩こりになりやすい傾向にあります。
日本人が肩こりになりやすい理由は、骨格や筋肉の違いです。
日本人は、頭が大きい割に首から肩にかけての骨格や筋肉が華奢に作られています。
とくに中年期以降になると骨量や筋肉が低下し、肩こりが加速すると考えられます。
そのため、肩の関節痛が起こる前に首周りの筋肉を鍛えることが大切です。
肩の関節痛の治し方
肩の関節痛の治し方には
- 病院に行く
- 温める
- 適度に動かす
などがあります
それぞれ見ていきましょう。
病院に行く
関節痛を治すには、かかりつけの医師もしくは整形外科医を受診しましょう。
病院では、いつ頃からどんな症状が起きているか、また何をすると痛むのかなどを確認し、肩の可動域や筋力を調べます。
そのほか、必要に応じて血液検査、X線、MRI検査などの画像検査を行います。
年齢や運動歴などと総合して医師は判断をし、適切な治療を開始します。
怪我をした場合は、すぐに病院へ受診される方が多いでしょう。
しかし、怪我以外の場合は、少しずつ痛くなってから病院へ受診する方が多いです。
長い間痛みが続くときは、放置せずに早めに医療機関を受診しましょう。
温める
肩が冷えている場合は、まず温めることが大切です。
温めることで血行が良くなり、疲労物質や痛み物質が排出されて、肩こりが改善することがあります。
しかし、肩や首は表面だけを温めても深部までは温まらない可能性があります。
とくに動きに関連する筋肉は表面にありますが、姿勢の維持に働く筋肉は奥にあります。
そのため、同じ姿勢で痛みや筋肉のこわばりがあるときは、45度以上の温度で温めるか40度以下で長時間温めましょう。
また、温熱療法ではホットパックや超音波などの治療機器を使用する治療があります。
自宅では入浴や蒸しタオル、温湿布などを使用して温めましょう。
適度に動かす
肩の関節痛の治し方には、運動療法をメインにしたリハビリがあります。
ストレッチや振り子運動は、肩関節の緊張をほぐし、痛みを和らげて関節の可動域を広げる効果が期待できます。
運動は、表面の筋肉だけでなく、深部の筋肉も動かします。
朝は、これから活動をするため、ラジオ体操のような体操がおすすめです。
夜は、リラックスタイムに入るため、筋肉をゆっくり伸ばすストレッチがおすすめです。
また、四十肩、五十肩の関節の痛みはどちらか一方に発症することが多いです。
そのため、痛みのない側の予防として、日々運動を取り入れることが望ましいです。
さらに、無理に肩を動かしすぎるのも関節痛を悪化してしまう恐れがあります。
症状の悪化を予防するためにも、無理のない範囲で運動を行いましょう。
肩が関節痛の時のストレッチの方法とは
肩が関節痛の時のストレッチの方法には
- 振り子運動
- 肩甲骨のストレッチ
- 肩甲骨のアップダウン体操
などがあります。
それぞれ見ていきましょう。
振り子運動
- 1 片手をテーブルなどにつき、上半身を少し前かがみにします。
- 2 もう片方の手を下へ垂らし、そのまま前後左右に10〜20回程小さくゆすります。
- 3 無理のない範囲で、円を描く動きも試してみましょう。
痛みがひどくない場合は、ペットボトルなどを持ち、少し負荷を上げるとさらに効果的です。
肩甲骨のストレッチ
- 1 両ひじを曲げて、肩より上に上げます。
- 2 手は軽く握って鎖骨のあたりに置きます。
- 3 両ひじを、ゆっくりと後ろに引きます。
- 4 5秒かけて息を吐きながら、ひじの位置はできるだけ下げないようにし、肋骨から肩甲骨をはがす意識で強めに寄せます。
- 5 肩甲骨を寄せたままひじを下げ、脱力し、5回繰り返します。
起床時に5回、寝る前に5回と習慣にしましょう。
デスクワークの合間などにも行うのもおすすめです。
肩甲骨のアップダウン体操
- 1 椅子に座って姿勢を正し、両手を体側に垂らします。
- 2 背骨を動かさないようにして、肩をゆっくりと上げます。
- 3 肩が耳へ近づくイメージで首をすくめます。
- 4 背骨は動かさずに肩を下げていき、肩甲骨をズボンのお尻ポケットにしまい込むイメージで、耳と肩との距離を広げていきます。
- 5 2~4を5〜10回ほど繰り返します。
痛みがあるときは無理をせず、できる範囲でストレッチを行いましょう。
肩の関節痛などの痛みを相談できる場所
厚生労働省では、体の痛み相談、支援事業を実施しており、慢性の痛みを抱える患者や家族からの電話相談などを行っています。
電話相談では、痛みによる辛い気持ちを話すことで、痛みの解決策を一緒に考えます。
日常生活を改善し、生活の質を向上していくことを目的としています。
さらに、長く痛みがある方、痛みを抱えている方の家族や一般市民を対象に市民公開講座を開催しています。
痛みについての理解を深め、生活に支障がないように対応をしていくことを学ぶことができます。
出典:厚生労働省「慢性疼痛対策 |厚生労働省 (mhlw.go.jp)」
肩の関節痛のまとめ
ここまで、肩の関節痛の情報を中心にお伝えしました。
要点を以下にまとめます。
- 肩の関節痛の原因には、肩の炎症、肩以外の部位を痛めている、内臓の病気など
- 肩関節痛と肩こりの関係は、肩の筋肉に負担をかけると、血流が悪くなり肩こりが生じる
- 肩の関節痛の治し方は、病院に行く、温める、適度に動かすなど
これらの情報が少しでも皆様のお役に立てば幸いです。
最後までお読みいただきありがとうございました。