尿検査などで、蛋白質が多量に検出されることがあります。
蛋白尿は、時には重大な病気のサインの可能性もあります。
蛋白尿が出やすい病気には、どのようなものがあるのでしょうか。
本記事では、蛋白尿と病気について以下の点を中心にご紹介します。
- 蛋白尿が出やすい病気
- 蛋白尿の改善方法
- 蛋白尿の基準値
蛋白尿と病気について理解するためにもご参考いただけますと幸いです。
ぜひ最後までお読みください。
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蛋白尿とは
蛋白尿とは、尿に多量の蛋白が含まれている状態です。
一般的には、尿中の蛋白が30mg/dl以上の場合に陽性と診断されます。
蛋白尿の原因は様々ですが、特に腎臓の病気で起こるケースが多くみられます。
蛋白尿は、偏った食生活などが原因で起こることもあります。
出典:厚生労働省【たんぱく尿 | e-ヘルスネット(厚生労働省)】
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蛋白尿が出る病気
蛋白尿が起こりやすい病気を以下のようにご紹介します。
- 急性腎炎
- 慢性腎炎
- 糖尿病
- 膠原病
- その他
もし、健康診断などで蛋白尿という結果が出た場合は、次のような病気を疑ってみましょう。
急性腎炎
急性腎炎とは、急激に発症する腎炎です。
様々な年代で発症する病気ですが、特に10歳以下の子供に目立ちます。
代表的な症状は、次の通りです。
- 血尿
- 蛋白尿
- むくみ
- 軽度の腎機能低下
- 高血圧
急性腎炎の多くは、まず急性の扁桃炎・咽頭炎の発症から始まります。
腎炎の症状が出るのは、扁桃炎・咽頭炎の発症から約10日経過した頃です。
腎臓とは、尿を濾過するための腎臓です。
具体的には、身体に必要な栄養を残し、不要な老廃物を尿の中に混ぜる役割を果たしています。
蛋白質は、身体に必要な栄養素であるため、基本的に尿中に流れ出ることはありません。
しかし急性腎炎が起こると、腎臓の濾過機能が低下しやすくなります。
結果として、本来は体内に残されるはずの蛋白質が尿中に流れ出てしまい、蛋白尿に至ります。
慢性腎炎
慢性腎炎とは、慢性的な腎臓の病気です。
腎臓病の中でも、患者数が多い病気として知られています。
次のような症状が1年以上続く場合は、慢性腎炎が疑われます。
- 血尿
- 蛋白尿
- むくみ
- だるさ
- 高血圧
慢性腎炎になると腎臓の濾過機能が低下します。
そのため、本来は体内に残るはずの蛋白質が多量に尿に流れ出しやすくなります。
慢性腎炎には、様々なタイプがあります。
特に日本人に多いのは、IgA腎症というタイプで、免疫機能の異常によって起こります。
慢性腎炎を放置すると腎不全に至ることもあります。
糖尿病
糖尿病は、血糖値が慢性的に高くなる病気です。
原因として、血糖値を下げるホルモン「インスリン」の機能低下が挙げられます。
糖尿病自体が直接蛋白尿を引き起こすことは、ほとんどありません。
蛋白尿が起こるのは、糖尿病の合併症である「糖尿病性腎症」が起こったときです。
特に糖尿病性腎症の初期には、蛋白尿が出やすくなります。
糖尿病性腎症は、血糖値が高い状態が続くことで、腎機能が低下した状態を指します。
より簡単にいえば、血液中の多量の糖が腎臓にダメージを与えた状態です。
腎機能が低下すると、尿の濾過機能も落ちやすくなります。
結果として、蛋白質が尿に流れ出るというわけです。
膠原病
膠原病とは、免疫機能の異常によって、様々な臓器が炎症を起こした状態です。
自己免疫疾患とも呼ばれています。
膠原病は1つの病気ではなく、複数の病気が同時多発した状態を指します。
膠原病に含まれる主な病気は次の通りです。
- 関節リウマチ
- 全身性エリテマトーデス(SLE)
- 強皮症
- 血管炎
- シェーグレン症候群
特に蛋白尿と関連が高いのは全身性エリテマトーデスです。
全身性エリテマトーデスは、全身の皮膚・関節・内臓などに、さまざまな症状が出る病気です。
全身性エリテマトーデスを発症すると、腎機能障害が起こりやすくなります。
すると腎臓の濾過機能が低下するため、蛋白尿が出やすくなります。
その他
蛋白尿は、必ずしも病気が原因とは限りません。
生活習慣や体調によって、一時的に蛋白尿が出ることはあります。
蛋白尿の病気以外の原因としては、次が代表的です。
- 蛋白質の多量摂取
- 発熱時
- 激しい運動
- 立ちっぱなし
- 冷水浴後
出典:厚生労働省【たんぱく尿 | e-ヘルスネット(厚生労働省)】
蛋白尿を改善させる方法
蛋白尿を改善するには、蛋白尿の根本原因を解決する必要があります。
たとえば病気が原因の場合は、まず病気の治療を行いましょう。
病気の治療と同時進行で、生活習慣を見直すことも大切です。
蛋白尿を改善するため、生活習慣の見直し方を以下のようにご紹介します。
- 食事の見直し
- 運動習慣
食事の見直し
蛋白尿が認められる場合は、食生活を見直しましょう。
具体的に意識すべきポイントは、次の通りです。
- 蛋白質の摂取量を少なくする
- 減塩を心がける
まずは、蛋白質の摂取量を少なめにしましょう。
理由は、蛋白質を濾過する腎臓への負担を軽減するためです。
ただし、単純に蛋白質の摂取量だけを少なくすると、今度は身体がエネルギー不足に陥る可能性があります。
エネルギー不足を解消するには、蛋白質以外のエネルギー源を摂取することが大切です。
具体的には、蛋白質を減らした分だけ、
- 糖質
- 脂質
を多めに摂取しましょう。
減塩も蛋白尿の改善に大切です。
塩分の摂りすぎは腎臓に負担をかけるためです。
運動習慣
適度な運動は、蛋白尿の改善につながることがあります。
有効なのは有酸素運動や軽度の筋トレです。
運動による改善が期待できるのは、蛋白尿が軽度の場合です。
重度の蛋白尿の場合は、運動がかえって状態を悪化させることもあります。
運動の是非については、かかりつけ医とよく相談することが大切です。
出典:東京都【運動療法について | CKD(慢性腎臓病)とは】
蛋白尿の検査方法
蛋白尿の主な検査方法は、以下の通りです。
- 尿検査
- 蓄尿
一般的なのは、尿検査です。
採取した尿に試験紙を入れて、蛋白質の量などを測定します。
出典:厚生労働省【たんぱく尿 | e-ヘルスネット(厚生労働省)】
蛋白尿の基準値
蛋白尿の基準値は、以下の通りです。
【尿中の蛋白質の量】
- 陰性:15mg/dl以下
- 擬陽性:15~30mg/dl
- 陽性:30mg/dl以上
出典:厚生労働省【たんぱく尿 | e-ヘルスネット(厚生労働省)】
生活習慣病による蛋白尿は要注意
蛋白尿は、腎臓のSOSと考えられています。
たとえば、急性腎炎・慢性腎炎では、蛋白尿が出やすくなります。
あるいは、蛋白尿は糖尿病などの生活習慣病の症状としてもあらわれます。
蛋白尿を放置すると、腎臓病や生活習慣病を放置することになります。
腎臓病や生活習慣病を放置すると、腎不全や命の危機に直面する場合もあります。
もし健康診断などで蛋白尿が発見された場合は、まず原因を特定してください。
生活習慣病や腎臓病が原因の場合は、放置せず、病院で適切な治療を受けましょう。
出典:厚生労働省【たんぱく尿 | e-ヘルスネット(厚生労働省)】
蛋白尿と病気のまとめ
ここまで蛋白尿と病気についてお伝えしてきました。
蛋白尿と病気の要点を以下にまとめます。
- 蛋白尿が出やすい病気は急性腎炎・慢性腎炎・糖尿病など
- 蛋白尿の改善方法はまず原因疾患の治療と、食生活や運動習慣の改善
- 蛋白尿の基準値は、尿1dlあたり30mg以上で陽性
これらの情報が少しでも皆様のお役に立てば幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。