花粉症の症状は風邪とよく似ています。
花粉症の特徴は季節性のアレルギー症状で発熱はほとんどありません。
花粉症かなと思ったらどの病院に行けばよいのでしょうか?
花粉症かどうかセルフチェックすることはできるのでしょうか?
本記事では花粉症と病院について以下の点を中心にご紹介します。
- 花粉症の病院は何科にかかればよいかについて
- 花粉症の診断方法について
- 病院でできる花粉症の治療について
花粉症と病院について理解するためにもご参考いただけますと幸いです。
ぜひ最後までお読みください。
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花粉症とは
花粉症とは、スギやヒノキなどの食物の花粉を原因とするアレルギー症状をいいます。
花粉が原因のアレルギー症状にはくしゃみ、鼻水、鼻づまり、目のかゆみなどがあります。
花粉症は医学的にはアレルギー性鼻炎のうちの「季節性アレルギー鼻炎」に分類されます。
代表的な花粉症の原因植物には以下のようなものがあります。
スギ(2月〜4月) | ヒノキ(3月〜4月) |
イネ科(5月〜10月) | ハンノキ(1月〜4月) |
シラカンバ(3月下旬〜6月) | ブタクサ(8月〜9月) |
ヨモギ(9月〜10月) | カナムグラ(8月〜10月) |
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花粉症の病院は何科?
花粉症かもしれないと思ったら症状に応じて以下のような科を診療科を受診しましょう。
耳鼻科/耳鼻咽喉科
耳鼻科/耳鼻咽喉科は鼻、耳、喉の専門診療科です。
鼻炎症状(くしゃみ・鼻水・鼻づまり)のときは耳鼻科/耳鼻咽喉科を受診しましょう。
内科
内科は15歳以上で外科的処置(ケガの治療や手術など)が不必要な病気が対象です。
花粉症の諸症状に対しても治療対象になっています。
眼科
眼科の診察対象は、目と目の周辺のまぶたや筋肉、涙の器官です。
花粉によるアレルギー性結膜炎の
- 目のかゆみ
- 充血
- 流涙
- 目やに
- まぶたの腫れ
などの強い症状がある場合は眼科の診察を受けましょう。
ステロイド点眼薬使用の場合は緑内障の副作用がでることもあります。
眼科で定期的チェック(眼圧検査など)をしながらの治療が安心です。
小児科
子供の花粉症はかかりつけの小児科を受診するのがよいでしょう。
子供の場合は薬の選定や薬の量などが大人と違うからです。
重症の場合はアレルギー科
重症の場合はアレルギー科を受診しましょう。
アレルギー科にはアレルギー専門医(日本アレルギー学会認定医)がいます。
花粉症の症状が強い場合は、アレルギー専門医のいるところも選択肢の1つです。
花粉症の診断方法
花粉症の原因となる抗原を証明する抗体検査で以下のような検査があります。
- 皮膚反応検査
- 血中IgE検査
- 鼻粘膜誘発テスト
それぞれの診断方法についてご紹介します。
皮膚反応検査
皮膚反応検査には以下のような検査があります。
- プリックテスト:専用針で抗原(花粉エキス)を皮膚に入れてあらわれた膨疹の径を測定して判定する
- スクラッチテスト:専用針などで線状の傷をつけ抗原を入れて膨疹または紅斑の径を測定し判定する(プリックテストが陰性の場合行う)
- 皮内テスト:診断用皮内エキスを皮内注射し発赤または膨疹の径を測定し判定する(プリックテスト陰性の場合の抗原検索に使われる)
血中IgE検査
血中のIgE抗体検査には以下の2種類の検査があります。
- 血中総IgEの量を測定(アレルギー性鼻炎だと高い数値が出る)
- 原因抗原に反応するIgEを調べる検査
鼻粘膜誘発テスト
鼻粘膜誘発テストは、花粉症の原因抗原に対する反応をみる検査です。
原因抗原をしみこませた紙を鼻粘膜に貼り付けて反応をみます。
病院でできる花粉症の治療
病院でできる花粉症の治療には以下の3つがあります。
- 薬物治療
- 手術
- 舌下免疫療法(減感作療法)
それぞれの治療内容についてご紹介します。
薬物治療
薬物治療は内服薬や点鼻薬、点眼薬などによる対症療法です。
薬物治療による薬物の作用は以下の3つです。
- 花粉症により体内のアレルギー細胞が増えるのを抑制する
- アレルギー細胞から放出される化学伝達物質を抑制する
- 化学伝達物質(ヒスタミンなど)の神経や血管への作用を遮断する
薬物治療の目的は、薬物の作用で
- 花粉症の症状を緩和する
- 花粉症の方のQOL(生活の質)の低下を緩和する
にあります。
薬物治療は初期療法(花粉の飛び始め直後から治療開始する)が有効です。
手術
花粉症の手術療法は鼻づまりの強い方を対象とした治療です。
手術療法には以下のような治療法があります。
- 鼻腔レーザー照射術
- 粘膜下下甲介切除術
- 後鼻神経切除術
それぞれの特徴がありますが、治療法は病型や重症度に応じて選択されます。
ライフスタイルも考慮し医師とよく相談して決めることが大切です。
舌下免疫療法(減感作療法)
減感作療法とは、抗原(アレルギーの原因物質)を身体に入れて抗原に慣らす治療法です。
抗原は少しづつ身体に入れて慣らしていきます。
薬物療法がアレルギー症状を抑えるのに対して、減感作療法は根本を治すことができます。
減感作療法はアレルゲン免疫療法ともいわれます。
アレルゲン免疫療法には皮下免疫療法と舌下免疫療法の2つがあります。
皮下免疫療法はアレルゲンの注射エキスを少量づつ皮下注射で入れていく方法です。
舌下免疫療法はアレルゲンのエキスを舌下に含むことで同様の効果を得られる治療法です。
舌下免疫療法は皮下免疫療法に比べて投与の痛みがなく効果が高いメリットがあります。
その他の舌下免疫療法の概要は以下の通りです。
- 効果の発現は遅く3年以上続ける必要がある
- エキスはスギとダニの2種類
- 口内のかゆみがでることがある
- 服用は症状に関わらず毎日
- スギの場合は花粉飛散時期にスタートできない
- エキスを舌下に1分間保持しその後飲み込むことができることが条件
病院で処方される花粉症の薬
病院で処方される花粉症の薬には以下の3種類があります。
- 内服薬
- 点鼻薬
- 点眼薬
それぞれの薬の概要と効果についてご紹介します。
内服薬
以下に病院で処方される花粉症の内服薬についてご紹介します。
抗ヒスタミン薬
アレルギーを引き起こす化学伝達物質の1つであるヒスタミンの作用を抑える薬です。
現在よく使用される第2世代抗ヒスタミン薬の特徴は以下のようなものです。
- 眠気、口渇などの副作用が少ない
- くしゃみ、鼻水などの鼻症状に効果あり
- 鼻づまり効果もややよくなっている
- 効果の持続性がある
- 継続服用で効果があがる
第2世代抗ヒスタミン薬は第1世代抗ヒスタミン薬の副作用を軽減したものになっています。
代表的な薬剤として以下のようなものがあります。
- アゼプチン
- アレジオン
- アレロック
セレスタミン
セレスタミンは抗ヒスタミン薬とステロイドを合わせたもので強い作用があります。
花粉症の鼻炎症状が強い場合に使われます。
ただし、ステロイドの副作用がでる可能性があるので用量や用法に制限があります。
以下の方には使うことができません。
- 糖尿病の方
- 急性感染症の方
- ウイルス性肝炎のキャリアの方
代表的な薬剤はセレスタミン配合錠です。
抗ロイコトリエン薬
抗ロイコトリエン薬は化学伝達物質のロイコトリエンの働きを阻害する薬です。
抗ロイコトリエン薬の特徴は以下のようなものです。
- 主に鼻づまりに効果を発揮する
- 鼻水、くしゃみにも効果あり
- 眠くならない
- 副作用として吐き気や腹痛、胃部不快感、下痢などの症状があらわれる場合がある
- 頻度は極めて稀であるが血小板減少、肝機能障害の症状があらわれる場合がある
代表的な薬剤として以下のようなものがあります。
- オノン
- キプレス
- シングレア
点鼻薬
以下に病院で処方される花粉症の点鼻薬についてご紹介します。
局所ステロイド点鼻薬(モメタゾン点鼻液、アラミスト点鼻液)
局所ステロイド点鼻薬は強力な抗炎症作用を持つ点鼻薬です。
局所ステロイド点鼻薬には以下のような特徴があります。
- 強い効果がある
- 初期から連用することで症状を抑制できる(症状のピークを抑える)
- 鼻づまりにも効果が強い
- 眠気がでない
- 副作用が少ない
代表的な薬剤として以下のようなものがあります。
- モメタゾン点鼻薬
- アラミスト点鼻薬
- ナゾネックス点鼻薬
血管収縮性点鼻薬(トラマゾリン点鼻液)
血管収縮性点鼻薬は鼻粘膜の血管を収縮させ充血をとって鼻づまりを改善する薬です。
鼻粘膜の血管の収縮は、血管収縮性点鼻薬が交感神経を刺激することで起こります。
血管収縮性点鼻薬は使いすぎると血管が薬剤に反応しなくなることがあります。
代表的な薬剤として以下のようなものがあります。
- トラマゾリン点鼻薬
- プリビナ点鼻薬
- コールタイジン点鼻薬
点眼薬
以下に病院で処方される花粉症の点眼薬についてご紹介します。
抗ヒスタミン点眼薬(パタノール点眼液)
抗ヒスタミン点眼薬(パタノール点眼薬)はアレルギー性結膜炎のかゆみや充血を抑える点眼薬です。
薬効分類では抗アレルギー薬(点眼薬)になります。
アレルギー性結膜炎は花粉などを原因として目の結膜に起こるアレルギー反応です。
アレルギー反応はヒスタミンやロイコトリエンなどの物質が放出されて起こります。
ヒスタミンやロイコトリエンなどが目の神経や毛細血管を刺激するからです。
抗アレルギー点眼薬は主にヒスタミンの働きを阻害して抗アレルギー作用をあらわします。
パタノール点眼薬の場合は子供(1歳以上~)の使用データがあります。
代表的な薬剤として以下のようなものがあります。
- パタノール点眼液
- アレジオン点眼液
- リボスチン点眼液
抗アレルギー点眼薬(アレジオン点眼液)
抗アレルギー点眼薬(アレジオン点眼液)はアレルギー性結膜炎のかゆみや充血を抑える点眼薬です。
アレジオン点眼液はパタノール点眼液と同じく抗ヒスタミン成分を含む点眼薬です。
子供への使用実績は7歳以上です。
またコンタクトレンズ装着中でも使用が可能という特徴があります。
代表的な薬剤として以下のようなものがあります。
- アレジオン点眼液
- パタノール点眼液
- リボスチン点眼液
ステロイド点眼薬(フルメトロン点眼液)
ステロイド点眼薬は目の炎症性疾患(眼瞼炎、結膜炎、角膜炎など)を抑える点眼薬です。
ステロイド点眼薬はステロイドをもとにした薬剤成分を含む点眼薬です。
ステロイドは以下のような作用をあらわします。
- 抗炎症作用(体内の炎症物質を抑える作用)
- 抗アレルギー作用(体内の免疫反応を抑える作用)
代表的な薬剤として以下のようなものがあります。
- フルメトロン点眼液
- サンテゾーン点眼液
- オルガドロン点眼液
病院へ行くか迷った時の花粉症のセルフチェック
病院に行くか迷ったとき花粉症を簡単にチェックする以下のような診断の方法があります。
診断の表は「的確な花粉症の治療のために(第2版)」の中で示された診断チャートを表にまとめたものです。
症状 | かぜの疑い | 花粉症の疑い | |||
0%~25% | 26%~50% | 51%~75% | 76%~100% | ||
花粉症かな?と思う | わからない | 花粉症だと思う | |||
熱がある | 37.6℃以上 | 熱はない・あるいは37.5℃以下 | |||
くしゃみ、鼻水、鼻づまり | ある | 症状ない | 症状がある | ||
鼻水が黄色っぽい | 黄色っぽい | 黄色っぽくない | |||
目のかゆみ | ない | ある | |||
1日に鼻をかむ回数は? | 10回未満 | 10回以上 | |||
鼻はつまっているほうか? | つまらない | つまっている | |||
1日のくしゃみの回数 | 10回未満 | 10回以上 | |||
アレルギーのものがある | 特にない | ある |
出典:【的確な花粉症の 治療のために(第2版)(図1 あなたは花粉症?かんたん診断)】
表の見方は以下の通りです。
- セルの着色部分は該当しない項目を示す
- 0%〜25% :花粉症の疑いは低いが気になる方は医師の診断を推奨
- 26%〜50% :花粉症の疑いは低いが可能性はあるので医師の診断を推奨
- 51%〜75% :花粉症の疑いがあるので医師の診断推奨
- 76%〜100% :花粉症の疑い濃厚なので早めの医師の診断推奨
花粉症と病院のまとめ
ここまで花粉症と病院についてお伝えしてきました。
花粉症と病院についての要点を以下にまとめます。
- 花粉症の場合は耳鼻咽喉科、内科、眼科が一般的だが症状に応じ小児科、アレルギー科などで受診する
- 花粉症の診断方法には皮膚反応検査、血中IgE検査、鼻粘膜誘発テストがある
- 病院でできる花粉症の治療には薬物治療、手術、舌下免疫療法(減感作療法)がある
これらの情報が少しでも皆さまのお役に立てば幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。