「健康診断の前日や当日の食事はどうしたら良いのか?」と考える方は多いと思います。
健康診断の当日は「朝ごはんを食べない」のが基本ですが、うっかり食べてしまったことはありませんか?
また健康診断の前日の食事内容も健康診断の結果に影響することがあります。
本記事では健康診断の朝ごはんについて以下の点を中心にご紹介します。
- 健康診断の当日の朝ごはんは食べて良いの?
- 健康診断の当日の朝ごはんを食べてしまったらどうなるの?
- 健康診断の前日の食事の注意点とは?
健康診断の朝ごはんについて理解するためにも、ご参考いただけますと幸いです。
ぜひ最後までお読みください。
スポンサーリンク
健康診断とは
健康診断とは全身の健康状態を検査する目的で行われます。
生活習慣病をはじめとして、病気の早期発見・予防を目的とした検査です。
会社員の場合、労働安全衛生法等で会社が実施することが義務づけられています。
これを「法定検査(定期健診)」といい、会社が健診代を負担して1年に1回受けることになっています。
また国民健康保険の加入者が、個人負担で自分の意思で受けるのが「任意検査」です。
忙しい仕事や生活の中で健康診断を受けるのは、難しいと考える方も少なくないと思います。
健康診断となれば前日から飲食の制限などがあり、当日も仕事や予定を調整する必要があるためです。
しかし病気が進行してしまうと、手遅れになる場合があります。
自分では自覚していない違和感や症状を見逃さないため、定期的な健診が大切です。
スポンサーリンク
健康診断の当日は朝ごはんを食べても良い?
健康診断を受ける場合は「前日と当日の朝ごはん」の制限があります。
これは正しい数値を測定するためですが、とくに「血液検査」が食べものによって大きく影響されるからです。
血液検査は、空腹時に採血することで「血糖値」と「中性脂肪」の正確な数値を計ることができます。
健康診断当日の朝食は控える
健康診断当日の朝ごはんは控えるようにしてください。
事前に病院からも、食事についての説明はあると思いますが正確な数値は「空腹時」の値が基準となるからです。
また朝ごはんを抜いても甘い飲み物やコーヒー、サプリメント、ガム、飴などもNGです。
朝の習慣になっていることがあれば、うっかり口にしないように注意が必要です。
ただし午後から健診の場合は朝ごはんを食べても良いケースがあります。
これは健診を受ける病院によりますが、朝ごはんOKの場合は消化の良いものを選びましょう。
健康診断当日に朝食を抜く理由
ではなぜ健康診断の当日は朝ごはんを抜かなければならないのでしょうか?
それは、健康診断の前に朝ご飯を食べてしまうと、血液検査で異常な数値が出てしまうことがあるためです。
ご飯を食べると「血糖値」と「中性脂肪値」が上昇します。
一度上がってしまった数値が「空腹時と同じ状態」になるまで血糖値は2時間、中性脂肪は10時間ほどかかってしまうのです。
したがって朝ごはんを食べた状態で健康診断を受けると「糖尿病や脂肪異常症の疑いがある」という結果が出てしまう可能性があります。
また、胃の中に消化していない食べ物があると胃のレントゲンや内視鏡検査で正しく診ることができません。
検査の精度が下がるため、場合によっては検査を実施することができなくなります。
健康診断の当日に口にして良いもの
朝起きてから検診までの間に口にして良いものは「水」や「お茶」です。
ここでいうお茶は、緑茶やほうじ茶などの無糖のものを指します。
検査当日にコーヒーやジュースなど飲んでしまうと検査に影響しますので注意が必要です。
またバリウム検査の場合は、検査2時間前から水分摂取は控えるようにしましょう。
もし持病で内服する薬がある場合は、当日飲んで良いのかを健診を受ける病院に確認してください。
薬によって内服出来ないものがありますので、自己判断は禁物です。
サプリメントや健康食品も基本的には検査当日には飲まないようにします。
もし薬やサプリメントを飲んでしまった場合は「飲んだ時間」と「薬の種類」を医療スタッフに伝えるようにしましょう。
年に1度の健康診断は受けていますか?つい面倒で、しばらく受けていないという方もいらっしゃるのではないでしょうか。健康診断は、病気の早期発見や予防に欠かせません。 本記事では健康診断について以下の点を中心に[…]
健康診断の当日に朝ごはんを食べてしまった場合
うっかり健康診断の当日に朝ごはんを食べてしまったときは、医療スタッフや健診センターに申告しましょう。
その際に「食べた時間」と「食べたもの」「食べた量」をできるだけ正確に伝えます。
朝食を食べることで影響がでる健康診断の項目は以下の通りです。
- 血液検査(血糖値・中性脂肪)
- 胃カメラ
- 腹部エコー
- バリウム(胃透視)
バリウム検査や胃カメラ、腹部エコー検査は後日の検査になる場合があります。
胃や腸に内容物があると正確な状態を判断しづらくなるため、別日に検査をした方が正確な診断を受けることができます。
健康診断の前日の食事の注意点
摂取した飲食物は約12時間ほどかけて全身に吸収されます。
当日はもちろん「前日」も食事の時間帯や食事内容に気を付ける必要があります。
- 夜ごはんは21時までに済ませる
- 脂っこいものや糖分、繊維質の多い食べ物は避ける
食べたものが消化されていない状態だと、胃カメラやバリウム検査に特に影響します。
したがって前日の夜ごはんは、消化の良いものを食べるようにしましょう。
【消化に良いメニュー】
お粥 | 半熟卵 |
煮込みうどん | 豆腐 |
白米 | 鶏肉のサラダ |
パン | 白身の魚 |
野菜スープ | 低脂肪ヨーグルト |
パンはナッツやドライフルーツ、雑穀などが入っていないものが良いです。
うどんやスープは具だくさん過ぎるのも脂質や糖質の取り過ぎになる可能性があります。
したがって具材の入っていないシンプルなものが適しています。
卵は「生卵」の状態だと消化に良くないので、「半熟卵」や「ゆで卵」にしていただくのがポイントです。
食材のほかに「調理法」も工夫しましょう。
野菜は小さめにカットして柔らかく煮込んだり、蒸してからすりつぶして調理するとグッと消化が良くなります。
また食品の筋や皮などを取り除くと食感も変わり食べやすくなります。
では、「検査に影響が出てしまう食べもの」にはどのようなものがあるのでしょうか?
健康診断の前日や当日に「避けたい食べもの」は以下のものが挙げられます。
【検査前日や当日に避けた方が良い食べもの】
揚げもの | ハンバーガー・ピザ | 海藻類 |
玄米 | きのこ類 | こんにゃく |
雑穀米 | 豆類 | とうもろこし |
脂身の多い肉・魚 | ナッツ類 | タコ・いか |
食物繊維 | 蕎麦 | 貝類 |
食事をしてから胃で消化するまでに、だいたい2〜3時間といわれます。
しかし上記の糖質や脂質、食物繊維の食べ物は消化に約2倍の時間がかかってしまうのです。
消化に時間がかかるものは胃の中に残り、腹部エコー検査では胃の後ろにある膵臓が見えにくくなってしまいます。
そのため、ごぼうやレンコンなどの食物繊維は消化に時間がかかるため避けた方が良いでしょう。
揚げものや糖質のあるものは、血液検査の血糖値や中性脂肪値に影響します。
食パンにバターやマーガリン、ジャムをたっぷり塗ってたべるのは糖質や脂質を摂取することになります。
またハンバーガーなどのファストフードも、血液検査で数値が上昇する原因になってしまいますので控えた方が良いです。
健康診断の前日と当日はアルコールとタバコを控える
健康診断の前日と当日は食事のほかに、アルコールやタバコにも気を付ける必要があります。
なぜなら血液検査で「肝機能」や「脂質」に異常値が出てしまうことがあるからです。
健診を受ける病院からは指示がなくても「禁酒」「禁煙」することが大事です。
肝機能の状態を知るためには以下の3つの項目があります。
AST(GOT)
肝細胞の1つで心筋や肝に存在しています。
肝臓に障害が起きると数値が上昇します。
- 急性肝炎、慢性肝炎
- アルコール性肝炎、脂肪肝
- 肝硬変、肝がん
ALT(GPT)
おもに肝に存在する細胞で、臓器に障害が起きて細胞が壊れると血中に流れ出ます。
- 胆汁うっ滞、慢性肝炎
- アルコール性肝障害、慢性肝炎、急性肝炎、中毒性肝炎
γ-GTP
タンパク質を分解する酵素で、肝臓・腎臓・膵臓に障害が起こると血中に流れ出て高値になります。
- 急性肝炎、慢性肝炎
- 肝硬変、肝がん、アルコール性肝障害
アルコールを摂取することで肝機能の数値が上昇し、異常値がでる可能性があります。
とくに「γ-GTP」はアルコールに敏感に反応し、肝障害ではなくても普段のアルコールで数値が上昇します。
またバリウム検査のあとは、アルコールやカフェインを控えなくてはいけません。
アルコールやカフェインの利尿作用によって脱水状態を起こすことがあるためです。
体内にあるバリウムが固まってしまう可能性があるため、検査当日のアルコールやコーヒーは控えるようにしましょう。
タバコが健康診断に及ぼす影響
健康診断の前日や当日にタバコを吸うことは、健康診断の結果に悪影響を及ぼす可能性があるため、推奨されていません。
喫煙は血圧を一時的に上昇させることが知られており、これにより正確な血圧測定が難しくなることがあります。
また、タバコの成分が血液に影響を与えるため、血液検査や心電図検査の結果が変わる可能性もあります。
さらに、胃部X線検査が予定されている場合、喫煙によって胃が活発に動き、飲んだバリウムが通常より速く胃から腸に押し出されることがあり、X線画像がきちんと撮れないことがあります。
そのため、健康診断の前日および当日の検査前には、喫煙を控えることが強く推奨されます。
もし健康診断の直前に喫煙してしまった場合は、検診機関にその旨を伝えることをお勧めします。
健康診断の結果を正確にするためにも、喫煙を控えることが重要です。
健康診断が午後からの場合の朝ごはんは?
健康診断が午後に予定されている場合、当日の食事には特に注意が必要です。以下に、具体的な注意点をまとめました。
朝食のタイミングと内容
健康診断当日の朝食は、午前8時ごろまでに済ませることが推奨されます。
それ以降の食事は控えましょう。
朝食のメニューとしては、消化の良い食パン1枚や素うどん1人前、白米のごはん1杯などが適しています。
ジャムやバター、チーズ、卵、牛乳、揚げ物などは避けてください。
昼食は中止し、水分摂取は水に限って許可されています。
健診の開始時間によっては、ルールが変更されることがありますので、医療機関に問い合わせて指示に従うことが重要です。
水分摂取の注意点
水分摂取は、脱水症状を防ぐために健診が始まる2時間前まで可能ですが、水あるいは白湯に限ります。
過剰な水分摂取を避け、コーヒー、日本茶、紅茶などカフェインを含む飲み物や糖分を含んだジュースは避けることが推奨されています。
前日の食事について
前日の食事については、午前の健康診断で要求されるような厳しい食事制限はありませんが、飲酒や喫煙は控えるべきです。
また、脂質が多く含まれるメニューを夜遅くまで食べることも避けてください。
健康診断で受ける検査の種類
健康診断ではどのような検査があるのか見ていきましょう。
問診(診察)
最近の健康状態や服薬歴・嗜好・喫煙歴・家族の既往歴などの質問に答えます。
血圧
血液が流れるときの血管の内壁の圧力のことです。
高血圧の状態が続くと動脈硬化や腎臓病などの発症を引き起こしてしまいます。
脂質
中性脂肪値や悪玉コレステロール値(LDL)が増えすぎてしまうと動脈硬化を起こし、心筋梗塞や脳梗塞の危険性が高くなります。血液検査で異常の有無を調べます。
肝機能
肝細胞や腎臓、膵臓、心筋などの細胞内に多く含まれる酵素です。体内の代謝がスムーズであるためには重要な役割があります。細胞内で障害が起きると血液中の肝機能数値が上昇します。
代謝系
空腹時の血液検査は糖尿病や甲状腺機能亢進症などを見つける手がかりになります。血液中のブドウ糖は食事後は上昇しますので、10時間以上絶食した空腹時の血糖値を調べることが重要です。
血液一般
血液は全身のすみずみまで酸素と栄養素を運ぶ役割があり、血液検査で全身の健康状態が反映されます。貧血や血液の病気の手がかりになります。
尿・腎機能
腎臓は体内の老廃物や過剰な塩分を排泄する働きがあります。尿に含まれるタンパク質や混ざった血液で腎臓や尿路系の炎症などの異常を調べることができます。
心機能
心電図検査は心臓の機能や心疾患の有無を見つける手がかりになります。心筋の収縮と拡張の際に発生する微弱な電気信号を、体の表面に付けた電極から検出します。この検査で狭心症や心筋梗塞、不整脈などを見つけることができます。
胃
バリウムと発泡剤を飲み込んで胃を膨らませて検査を行います。粘膜に付着したバリウムによって胃の内部をはっきり視診することができます。この検査で食道がんや食道ヘルニア、胃ポリープなどの有無を調べます。
大腸
大腸や食道などの消化管から出血していないかを調べる検査です。採取した便に試薬を混ぜて変化を確認します。この検査で消化管の炎症や腫瘍を見つけることができます。
肺
胸部レントゲンは背後からX線を照射する検査です。肺がんや肺炎、胸水などの異常を見つけるきっかけになります。
眼底
点眼薬の散瞳薬を用いて目の奥の眼底の状態を観察します。眼底に網膜や視神経などが存在し、これらの組織はさまざまな病気の影響を受けます。眼底検査をすることで糖尿病や動脈硬化症などを見つけることができます。
腹部超音波
高周波の超音波で肝臓や腎臓、胆のうなどの腹部の組織を調べます。腫瘍や結石がある場合、その部分が白く見えるため病気の発見に役立ちます。
子宮頸がん
比較的若い世代でも発症が見られる子宮頸がんを調べます。子宮細胞診は綿棒などで子宮頸部あたりの細胞をこすり取り、顕微鏡で確認します。がん化する一歩手前の異型細胞も発見することができます。
乳がん
視触診は医師が乳房にしこりや変形、分泌物がないかを目視と実際に触って診察します。
マンモグラフィーは小さな乳がんも見つけることができる有効な検査です。透明な板で乳房を挟みX線撮影をして確認します。
肝炎ウィルス
B型肝炎ウィルスとC型肝炎ウィルスを調べる検査で、血液検査で結果が分かります。C型肝炎ウィルスに感染している場合は肝硬変、肝臓がんへと進行することが多いため、「要精密検査」と診断されたときは早めに医療機関に受診しましょう。
脂質や血糖値は「空腹時の血液検査」をすることで正確な数値を出すことができます。
また胃や大腸検査も、消化器官に内容物(食べたもの)があると、X線や内視鏡検査ではっきりと問題点を捉えることが難しくなります。
したがって健康診断は「空腹である」ということが大前提といえます。
上記の項目の「眼底検査」から一番下の「肝炎ウィルス」までは、一般健診には項目がありませんが、本人の希望で加えることができます。
また「眼底検査」や「乳がん視触診」は医師が必要と判断したときに実施される検査です。
スポンサーリンク
健康診断と朝ごはんのまとめ
ここまで健康診断の朝ごはんについてお伝えしてきました。
健康診断の朝ごはんについて要点をまとめると以下の通りです。
- 健康診断の当日の朝ごはんは基本的に食べない
- 健康診断の当日の朝ごはんを食べてしまったら、医療スタッフへ時間帯や食べたものを細かく伝える
- 健康診断の前日の食事の注意点は「脂っこいもの」や「消化しにくいもの」「アルコール」は控える
これらの情報が少しでも皆様のお役に立てば幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。